福島県立美術館ブログ
創作プログラム「建築廃材で小さなまちをつくろう―木製ブックスタンド制作」
8月22日(土)、当館実習室にて創作プログラム「建築廃材で小さなまちをつくろう―木製ブックスタンド制作」開催しました。
講師は相馬市出身の画家、門馬美喜さんです。
講師のふるさと相馬市をはじめ、福島県の復興に使われた様々なかたちの建築廃材。
これらの木材を自由に組み合わせて、ブックスタンドにひとりひとりが思い描く、行ってみたいまちを作ります。
午前、午後で2回開催しました。
まず、L字に組み合わされた木の板を1人1つ選びます。
紙ヤスリを使って、角を丸くしていきます。
木をしっかりと押さえながらヤスリをかけていきます。
具体的に使う場所をイメージしながら作っている方もいました。
ヤスリがけが終わったら、上にのせる小さな木を選んでいきます。
たくさんの木片から、形や色合い、模様を見ながら探していました。
選んだ木片をL字の上にのせ、木工用ボンドで接着します。
それぞれが思い描く街や家をつくっていきます。
接着がだいたい終わったところで、柿渋を塗りました。
柿渋には防腐、防虫などの効果があります。
重ねて何度も塗ることで落ち着いた感じの色になります。
柿渋が乾燥したら、みつろうワックスをウエスですりこみ、完成です!
みんなでお互いの作品を見ていきました。
作品はこのような感じ。
小さな部屋のような空間を作ったり、木片の模様を波のように組み合わせたり、たくさんの木を並べてビルのようにしたり…
様々なまちの姿があらわれました!
門馬さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
9月より改修工事のため休館となりましたが、市内の施設を会場に、引き続き創作プログラムを実施します。
詳細は当館HPをご覧ください。
館長講座 延期分を開催しました
「古典に帰れ-西洋美術の巨匠たち」をテーマとした早川博明前館長による館長講座は2018年度より始まりました。
今年3月に最終回を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの影響によりやむなく延期に。
それから約半年が経過し、8月29日(土)にようやくこの最終回を延期開催することができました。
事前申込制・間隔をあけて座って頂くなど、ウイルス感染防止策を行いながら、これまでとは違う形での開催となりましたが、
みなさん非常に熱心に、久しぶりの早川さんのお話に耳を傾けていました。
約2時間、あっという間の時間でした。
お話を終えたあと最後に、美術館友の会の方が素敵な花束を贈って下さいました。
とても和やかな雰囲気に胸が温かくなった場面でした。
館長講座「古典に帰れ-西洋美術の巨匠たち」は一先ずこの最終回をもって一区切りです。
ご参加頂いたみなさま、有り難うございました!
そして早川さん、シリーズ講座おつかれさまでした!
2020年度第Ⅱ期常設展 終了
当館は本日9月1日~2021年春頃まで、改修工事により約半年間休館となります。
ご利用のお客様にはご不便をおかけしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。
さて、これに伴い展示の方も企画展・常設展ともに8月30日(日)に閉幕しました。
展示室も工事の手が入る予定なので、リニューアル後は展示室の雰囲気が少し変わったように見えるかもしれません。
改修前の展示室でのラスト展示となったので、作品撤去作業を終えたときはどこか寂しさを感じました。
以下、直近まで開催していた常設展Ⅱ期(7/1~8/30)について展示風景を振り返ります。
まずは Aの部屋から
日本画のコーナーです。川端龍子《螢》や中島清之《胡瓜》など、夏らしい作品もあります。
中でも速水御舟の《女二題》は当館でも一推しの名品の一つですが、昨年ご寄贈頂いた下絵を初めて展示し、下絵と本画を見比べられるという面白さのある空間となりました。
部屋の奥は、没後10年となる伊砂利彦の特集展示コーナーです。
涼やかな画面に包み込まれると不思議な心地よさを覚えます。目の前に波の流れを感じられる素敵な展示空間でした。
続いては Bの部屋です。手前の片面では洋画を展示。
関根正二、岸田劉生、安井曾太郎など大正期の画家達の作品に始まり、丸山晩霞、石井柏亭らの水彩画、そして村井正誠、百瀬寿らの抽象絵画などを並べました。
時代が進むにつれて作品のサイズが大型になっていくのが分かります。
もう片面の壁では、現代の彫刻の特集展示を行いました。
工藤哲巳、橋本章、入江比呂らのミクストメディアによる作品や、安藤栄作、髙野正晃による生命感のある力強い木彫作品などを出品しました。
部屋の真ん中に鎮座するのは川島清の《Observation 42-地下の落下物》。特別な存在感を放ちます。
次は Cの部屋です。海外コレクションを展示しました。
フランス美術では、コロー、ピサロ、ルノワールを出品。いつ見ても心がぱっと晴れるような明るい印象の並びです。
アメリカ美術では、ベン・シャーンを2面に展示。
おなじみの《ラッキードラゴン》などのペインティングに加え、シャーンが撮影した写真の資料展示を行いました。
ほかの作家としては、ジョン・スローン、レジナルド・マーシュ、そしてワイエスの《松ぼっくり男爵》と《ガニング・ロックス》を出品。
表現の多様さを感じます。
最後は Dの部屋です。
左側では、福島を代表する版画家・斎藤清の1930~1950年代の初期作品を展示。
右壁面では、今期は福島の版画家達を特集しました。
長谷川雄一さん(写真左)、安部直人さん(写真右)、山中現さん(写真下)の作品を取り上げました。
技法や表現の差異から、それぞれの版との向き合い方の違いも感じられるようです。
次にオープンするのは約半年後となってしまいますが、その間当館の収蔵品を用いて、
小峰城歴史館で関根正二を中心としたコレクション展(9/12[土]~11/8[日])、喜多方市美術館で海外コレクション名作展(10/18[日]~11/17[火])
といった移動美術館展を開催しますのでそちらにも是非足をお運び下さい。
リニューアルオープンをお楽しみに!
「アートなおはなしかい」開催しました!
8月8日(土)、おとなりの図書館さんと一緒に「アートなおはなしかい」を開催しました。
今回のテーマは、「夏をさがそう!」
図書館の本や美術館の作品の中から、“夏”をさがします。
まずは図書館さんで絵本のよみきかせです。
最初に紹介されたのは、『トマトさん』(田中清代作、福音館書店)。
真っ赤に熟れた「トマトさん」といきもの達のある暑い夏の1日を描いた絵本でした。
トマトさんの表情の変化が面白く、たくさんのいきもの達も愛らしく描かれています。
次はとなりの美術館へ!
ちょっとしたクイズも入れながら、みんなで作品を楽しみます。
作品を鑑賞した後には、関連する本を紹介していただきました。
最初に鑑賞したのは、中島清之作《胡瓜》(1923年)。
生い茂る葉っぱの間に見えるキュウリの実をみんなで探しました。
暑いかな?寒いかな?ジメジメ?カラッとしてそう?
絵から気温や湿度まで感じられそうです。
最後に、キュウリの育て方がわかる本や、日本各地の伝統野菜についての本を紹介してもらいました。
大きなふきが摺られ、背後に滝、周りを飛び交うツバメが描かれた平福百穂作《ふき》(制作年不詳)。
ここでは、葉っぱの部分をどうやって作っているのか、みんなでクイズなどをしました。
この後、葉っぱの形から植物を探すことができる本や、人の背丈より大きい秋田蕗の写真が載っている本を紹介してもらいました。
波の動きを表した伊砂利彦作の《瀬》(1978年)はとても涼しそうな一枚。
「どんな音が聞こえてきそうかな?」みんなで想像しました。
鑑賞後、水に関する本を紹介してもらいました。
百瀬寿作《NE.Blue,Blue,Blue and Blue》(1993年)
「青」にもいろんな色があります。
みんなが好きな部分はどこかな?指差してみてもらいました。
色には様々な名前がついています。
最後に、色の詳しい名前と由来に関する本や、青が変化していく様子を描いた、美しい絵本を紹介してもらいました。
展示室での活動はここまで。
最後に、百穂の《ふき》をイメージしながら、葉っぱを使った工作をしました。
今回は美術館の庭園から採取した葉っぱを活用。(美術館の庭園には様々な種類の樹木があります)
水彩絵の具をスポンジにつけ、葉っぱの裏側にトントンと付けていきます。
まんべんなく付いたら、厚紙の上に葉っぱを置き、新聞紙を重ね、上からこすりつけます。
葉っぱをゆっくりはがすと…。模様がきれいに写ります。
好きな葉っぱを2枚選んでスタンプしていきました。
最後に、葉っぱの間や上に、いきものをステンシルして、葉っぱのカードが完成!
ご参加いただいたみなさま、図書館のスタッフのみなさま、ありがとうございました!
WORKSHOP MART開催しました
8月2日(日)、当館庭園にて「WORKSHOP MART~おうちを美術館にしよう~」開催しました!
連日雨が続いていましたがこの日は晴れ、暑いくらいのお天気でした。
今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、いつもと形式を変えての開催となりました。
これまでのようなワークショップ出店ではなく、持ち帰って家で楽しめるワークショップキットを準備しました。
家の中で制作し、完成した作品を飾っておうちの中を彩ります。
準備されたキットは8種類。
絵画、彫刻、グラフィック、テキスタイル、版画の各ジャンルに加え、過去に参加してくれた作家のワークショップ3種類が並びました。
一番上から
画家になってみよう!「静物画を描くキット」
彫刻家になってみよう!「《歩く花》のとなりを歩く彫刻をつくろう」
グラフィックデザイナーになってみよう!「レイアウト・レイヤーキット」
染色家になってみよう!「キッチンでもできるハーブ染めキット」
版画家になってみよう!「フロッタージュキット」
さっそく美術館の石畳を使って作品づくりをしている方もいました!
こちらは、過去に参加してくださった作家さんによるワークショップキット。
左から、
工房マートル(キャンドル作家)さんの「揺らめく色のワックスモビール」
佐藤恭子(綿花農家)さんの「サシェをつくろう 鼻で絵を見たことがありますか?」
Decca*chi (革コモノ作家)さんの「とったどー!大漁だぞー♪モビール」
8種類のキットは、すべて完成後におうちで飾れるよう、額縁が入っていたり、ひもでかけられるようになっていました。
みなさん、キットでどんな作品ができるのかスタッフの説明を聞きながら、選んでいました。
また、当日参加できるワークショップが1つだけありました。
「いつもの街角」
軽くて水に強い素材でできたクラッチバッグに、スタンプを押して、オリジナルバッグをつくりました。
こちらもたくさんの方にご参加いただきました。
キットを使っておうち時間を楽しみ、完成した作品で部屋を彩っていただけたらうれしいです!
ご参加いただいたみなさま、ワークショップキットを企画・制作していただいたみなさま、ありがとうございました。
また、当日暑い中スタッフとしてお手伝いいただいた方々、FRIDAY SCREENの坂内さん、鈴木さんありがとうございました。
「勝手に!大津絵ふきだしグランプリ」結果発表
「大津絵展」にあわせ、エントランスホールで開催していた「勝手に!大津絵ふきだしグランプリ」。
28日(日)で展覧会が終了しました!
たくさんのナイス!を獲得した「グランプリ」は…
「どこまでが額ですか?」
18ナイス!を獲得しました!
他の作品も、「〇〇賞」で紹介していきます。
「館長賞」
当館の館長が選んだ一枚は…!
「福島の酒はんめーべ? もっと飲まんしょ!」
「担当学芸員賞」
今回の「大津絵展」を担当した学芸員が選んだのは…!
「きみといっしょにいたい」
「監視員賞」
日々、作品の安全を見守ってくれている監視員さん達の票を最も集めたのは…!
グランプリも獲得した 「どこまでが額ですか?」でした。
惜しくも一票差で2位だったのは、
「これからデートなんでよろしくお願いします」
みなさま、おめでとうございます!
今回ご紹介できなかったふきだしの中にも、楽しいものがたくさんありました!
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!
「ミニ大津絵をつくろう!」
現在、当館企画展示室では「大津絵展」開催中です。
これにあわせて、13日(土)と14日(日)の2日間、エントランスホールに小さな体験コーナー「ミニ大津絵をつくろう!」を設けました。
江戸時代に東海道の大津周辺で旅人へのおみやげものとして親しまれた「大津絵」。
量産のため、版木押しや型紙で骨格をつくり、素早い筆づかいで色が塗られたものもありました。
今回は、和紙にスタンプされた黒い骨格を元に、色を塗ったり、表情を描き入れたりして、小さな大津絵をつくりました。
塗る前はこのような感じ。
左から《瓢箪鯰》、《大黒外法の相撲》、《鷲》、《鬼の念仏》の4種類。
顔の部分が抜けているので、表情を自由に描きこむことができます。
着彩の道具はポスカを準備。
基本の7色以外にも、使いたい色を自由に使って色を塗っていただきました。
みなさんとっても集中して塗ったり描きこんだりしていました。
完成したミニ大津絵の一部ご紹介。
元になっている黒い骨格は一緒ですが、色合いや表情によって全く異なる印象の作品が完成しました。
オリジナルのキャラクターを生み出す方もいて、発想に私たちスタッフもびっくり!
ご参加いただいた方からは、「たのしかった」、「塗り絵なんて久しぶりでおもしろかった」、「展覧会の思い出になった」などのご感想をいただきました!
短時間のワークショップでしたが、「大津絵」の魅力を感じていただけたらうれしいです。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
「もうひとつの江戸絵画 大津絵展」は6月28日(日)まで開催しています。
ぜひご来館ください。
ジャポニスム展 第六章
企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。
今回は最終回、第6章「アール・デコとジャポニスム」です。
アール・ヌーヴォーに続く様式のアール・デコは、20世紀前半の両大戦間期に流行をみせた装飾様式です。
植物モチーフは抽象的な形となり、シンプルかつモダンなスタイルが人気を得ました。
また、工業の進展に伴い、数多くの新しい素材の使用が可能となったのも特徴的な点です。
本章で展示されるアール・デコ様式の作品は、日本美術の影響がアール・ヌーヴォーを超えて存続したことを示しています。
それでは、作品をご紹介していきます。
アール・デコを代表する作家、ルネ・ラリックの《ナーイアス図飾皿》(1920年頃)。
ギリシャ神話に登場する川や泉の妖精ナーイアスが型押し技法で表されています。
無数の水泡が妖精の体の動きに合わせるように揺らめき、躍動感を感じさせます。
まるで今まさに妖精が水中から浮かび上がってきたかのような錯覚を覚えます。
スウェーデンのエドワルド・ハルド、オレフォスガラス工場による《網にかかった魚文鉢》(1924年)。
器の周りに、漁網と網にかかった魚がぐるりと一周描かれている面白いデザインです。
水中で魚たちが、徐々に狭まる網の中で戸惑う様子が伝わってきます。
フランスのガブリエル・アルジー=ルソー《蝶文鉢》(1915年頃)。
茶色がかった色合いの蝶が羽を大きく広げて、器の周りを取り囲むように配されています。
羽の斑紋や立体的な造形など、なかなかリアルな蝶の表現です。器の淡い紫色と羽の緑色の色合いによって、幻想的な雰囲気が醸し出されています。
ドーム兄弟《ガラス水差》(1910年頃)。
ドーム兄弟は、アール・ヌーヴォー期から活躍していましたが、時代の流れに合わせてアール・デコ様式を取り入れた作品も手掛けるようになり、モダンなセンスによる造形で名声を保持しました。
本作は、表面に艶消しの加工を施して劣化しているような風味をわざと出しています。
フォルムのユニークさと相まって、特殊な色合いと質感により、存在感を感じさせます。
こちらもドーム兄弟、《多層間金箔封入小鉢》(1925-1930年)。
典型的なお茶碗の形です。色ガラスペーストが全体に滲みとして広がり、不規則な形状の金箔がガラス層の間に挟み込まれることによって、高貴な輝きを放っています。
驚くほど美しい本作は、日本の造形美と漆工芸の世界を集約した名品と言えるでしょう。
ジャポニスムの影響は、様々な形で表現を変えながら、アール・ヌーヴォー、そしてアール・デコまで続いていたことが分かります。
「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展の紹介は以上となります。
約100年以上前に起こった東西文化交流の熱を、その結果生み出された美しい名作群の魅力を少しでも感じて頂けたら幸いです。
本展は残念ながら中止となってしまいましたが、新型コロナウイルスが収束し、美術館で皆さまとまたお会いできる日を楽しみにしております。
ジャポニスム展 第五章
企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。
今回は第5章「もうひとつのアール・ヌーヴォー―ユーゲントシュティール」です。
19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米で同時多発的に流行したアール・ヌーヴォー様式ですが、その表現は主にふたつの潮流から成っていました。
ひとつは、植物など有機的なモチーフを曲線美豊かに、アシンメトリーな配置で表すフロレアル・アール・ヌーヴォーというもので、フランスを中心に流行しました。
もう一方は、主にドイツ語圏でもてはやされた幾何学的アール・ヌーヴォー「ユーゲントシュティール」です。
直角や幾何学的なディティールが特徴で、左右対称に表すシンメトリー性や様式化された植物モチーフが好まれました。
本章のユーゲントシュティールの作品を見ると、3章で紹介した作品群とは明らかにデザインの特徴が異なることが分かります。
それでは、これから作品をご紹介していきます。
ベルリン王立磁器製作所による、(右):《花束文鉢》(1900-1905年)と、(左):《四つ葉クローバー文花器》(1900-1905年)。
1751年に設立されたベルリン王立磁器製作所は、ユーゲントシュティールの時代に最盛期を迎えました。
豊かなフォルムと装飾モチーフで有名となり、幾多の万博で成功を収めました。
両作品とも植物が様式化されており、洗練された優雅さを感じさせます。
こちらもベルリン王立磁器製作所、(右):《エナメル彩花器》(1910年頃)と、(左):《植物文花器》(1910年頃)。
鮮やかなエナメル彩と小さな金の連珠で装飾されたデザインが規則正しいリズムで配されています。
同製作所が誇る装飾図案の豊富さ、技術の高さが分かります。
ドイツのビレロイ&ボッホ製陶所による《樹文花器(一対)》(1903年)。
幾何学的に様式化された濃紺の樹木が立ち上がっています。スタイリッシュな造形で、ユーゲントシュティールの特徴を明確に示しています。
最後にご紹介するのは、フランスのウッツシュナイダー社の《洋蘭文ティーセット》(1910年頃)。
クリーム色の器は、いずれも両側面に豪華な洋蘭のモチーフが配され、金彩や緑色の水滴模様で装飾されています。
このようなティーセットでお茶会をしたらとても優雅なひと時となるでしょうね。
同じアール・ヌーヴォー様式といえども、ユーゲントシュティールでは幾何学的デザインやシンメトリー性が明確に示されているのが分かります。
同時代の流行でも国や文化圏によって、デザインの特徴が大きく異なる点が面白いと思います。
次回は最終章の第6章をご紹介します。
ジャポニスム展 第四章
企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。
今回は第4章「建築の中の装飾陶板―1900年パリ万博のビゴ・パビリオン」です。
古くから陶器は、壁や屋根の建築資材やカバータイルとして使われてきましたが、19世紀末になると、工場生産の導入によって大きなサイズの陶板の製造が可能となりました。様々な陶器が作られ、鉄筋コンクリート構造の建造物を飾ったのです。
建築を装飾するそれらの陶器にも、表現のコンセプトや釉薬の使い方において、日本美術の影響は見られます。
ここで紹介する作品群は、1900年パリ万博でお披露目された建築用陶器群、いわゆるビゴ・パビリオンの建築装飾の一部です。
建築家ジュール・ラヴィロットが設計・建設し、陶器群はビゴ社が製造しました。
このパビリオンは博覧会でグランプリを受賞した後、ブダペスト国立工芸美術館館長によって買い上げられ、ブダペストに移送されました。
しかし、地下室に地下室に仕舞い込まれたそれらの建築装飾は、世界大戦後の動乱と共に長い間忘れ去られてしまいました。
ところが、美術館改修工事の折に発見され、1996年に同館で行なわれた展覧会でようやく一部が展示されるに至りました。
国外においてこれほどまとまった形で展示するのは、本展が初めてだそうです!大変貴重だということが分かりますね。
それでは、作品をご紹介していきます。
デザイン:ポール・ジューヴ、ビゴ社製《牡牛図フリーズ装飾陶板》(1898-1900年)。
1900年パリ万博のメインエントランスは、巨大な動物のフリーズで飾られていたそうですが、
本作はメインエントランスの作品をビゴ・パビリオン用に小型化したものの一部です。
万博の雰囲気を今に伝える作品です。
デザイン:G.ニコレ、ビゴ社製《水中図フリーズタイル》(1898-1900年)。
こちらも生き物を描いた作品。大小さまざまな魚やヒラメが泳いでいます。
水草も描かれていて、よく見ると細かく表現されていることが分かります。
デザイン:アルフレッド=ジャン・アルー、ビゴ社製《蛙図フリーズタイル》(1898-1900年)。
蛙の脚がタイルをまたいでいますが、ここで分割するのは理由があります。
並べる際に、タイルごとに焼き上がりの色が異なっていても自然に見せられるためだそうです。工夫されているのが分かります。
デザイン:ピエール・ロシュ、ビゴ社製《自転車に乗る人物図フリーズタイル》(1898-1900年)。
自転車を全速力で漕ぐ人物の列が描かれています。丸い輪二つで自転車を表し、上半身から布がたなびくことで疾走感が表現されています。
19世紀に発展した産物のひとつが自転車。当時の自転車ブームを生き生きと伝えています。
(左):ビゴ社製《草花図壁面カバー装飾陶板》(1898-1900年)。
大型の豪華なタイルは、建造物の内装用に、玄関ホールの内壁カバータイルとして制作されました。
本作は、濃淡のある青い地に植物が2枚にわたって大きく表されています。玄関にこのような装飾があると、とても優雅な気持ちになるでしょうね。
(右):デザイン:ヤーノシュ・バッハ、ジョルナイ陶磁器製造所製《蔓花図フリーズタイル-建築用陶器》(1911年)。
ハンガリーのジョルナイ陶磁器製造所は、芸術的な装飾品ばかりでなく、数百種に上る建築用装飾陶器も製造しました。
フリーズ用タイルの一部である本作は、かつてブダペストのある高級賃貸住宅の窓枠を飾っていたそうです!
このように華やかで細かな装飾を施した陶器で建築物を彩るのは西洋的な文化ですが、
特に陶磁器の生産が盛んなハンガリーでは、自国を代表する文化の一つであるとも言えるでしょう。
実際、ブダペスト国立工芸美術館の屋根はジョルナイ陶磁器製造所によるタイルが使用されていて、素晴らしい美しさを誇っています。
次回は第5章をご紹介します。
ベッツィ・ワイエス夫人を偲んで
アメリカの画家アンドリュー・ワイエス(1917-2009)のベッツィ夫人が4月22日に98歳で亡くなられました。
ワイエスは当館のコレクションにとって、とても重要な画家の一人です。常設展示室の三番目の落ち着いた部屋の中央に掛けられた《松ぼっくり男爵》を、一度はご覧になった方も多いのではないかと思います。
親愛なる家族や親しい友人たち、そしていつも目にする日常の風景をとても大事に描き続きたワイエスにとって、ベッツィ夫人はインスピレーションの源であり、よき理解者であり、いつもそばにいる最愛の人でした。すでに天国に召されたワイエスの傍らで、おそらく微笑んでおられることでしょう。
ワイエスの孫娘、ビクトリアさんが制作した祖父母への追悼のビデオをご紹介いたします。
皆さまと共に、アンドリューとベッツィ夫妻の人生を振り返り、ご冥福をお祈りしたいと思います。
ただいま、コロナウィルス感染防止のため休館をしておりますが、開館した折には、またワイエスの作品を見に来ていただければ嬉しいです。
ジャポニスム展 第三章
企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を前回に引き続き、ご紹介していきます。
今回は第3章「アール・ヌーヴォーの精華―ジャポニスムを源流として」。本展のメインの章になります!
アール・ヌーヴォー様式の源泉のひとつとなり、芸術のあらゆる領域へと広がりを見せたジャポニスム。
本章では、作品を特徴に基づいて4つのセクションに分類し、体系的にご紹介しています。
第一セクション:花のモチーフ
西洋美術においても、植物など自然の描写は昔から行われてきましたが、それらはほとんど物語画や人物画の背景であったり、教訓的な意味を担った静物画であったりしました。
一方、日本美術では、植物の造形美そのものが作品の主題として成り立ち、茎や蔓による曲線美や花の可憐さなど、表現は多様に富んでいました。
また、構図もアシンメトリー(非対称)で、細部の表現は精緻で洗練されたものでした。
このような日本美術の特徴が活かされたアール・ヌーヴォー様式の作品が並びます。
エミール・ガレ《洋蘭文花器》1900年頃 エミール・ガレ《クレマチス文銀製台付花器》1900年頃
ジョルナイ磁器製造所《葡萄新芽文花器》1898-99年 ドーム兄弟《水辺風景図花器》1910年頃
第二セクション:表面の輝き
日本の品々のうちでも、蒔絵の漆芸品には大きな意義がありました。
表面に蒔かれた金や銀の粉の煌めきは、古くから黄金を特別視していた西洋の人々にとって特に魅力的に映りました。
ジャポニスムはアメリカでも流行しましたが、ルイス・カンフォート・ティファニーも日本工芸の金属的な輝きに魅せられたひとりです。
ティファニーが開発した虹色の光を放つファブリルガラスは、類いまれな華やかさと洗練さを備えたものですが、日本の金工芸の影響をも想起させます。
第三セクション:伝統的な装飾モチーフ
日本のデザイン表現の特徴のひとつに、植物や雲や波などの自然の装飾文様・モチーフを繰り返し反復させるという手法があります。
ヨーロッパの工芸界もこの日本美術の装飾表現を採用しましたが、反復するモチーフを正確に絵付けするのは非常に繊細な作業でした。
ジョルナイ陶磁器製造所は、玉虫色に輝くエオシン彩を用いたり多彩な色合いでもって描き出し、驚くほど美しく細密な装飾表現を実現させています。
成型 デザイン:シャーンドル・アパーティ・アブト ジョルナイ陶磁器製造所《黄色のヤグルマギク文花器》1900年頃
ジョルナイ陶磁器製造所《花瓶》1903年
左:《花煙帯文花器》1898年、右:《天空風景文花器》1898年 ともにジョルナイ陶磁器製造所作
第四セクション:鳥と動物
動物のモチーフは、西洋美術においても古くから様々な形で描かれてきましたが、脇役的な立場で描写される場合が多く、主役として扱われることはあまりありませんでした。
一方の日本美術では、動物の描写が際立っており、作品の要として描き出されることが多くありました。
動物の特性を観察し、生き生きと面白く表現した浮世絵や根付けは、ヨーロッパ美術の動物表現にも影響を与えました。
ルイス・カンフォート・ティファニー《孔雀文花器》1898年以前 エミール・ガレ《昆虫文花器》1889年以前
シャーンドル・アパーティ・アブト、ジョルナイ陶磁器製造所 左:ロイヤルドルトン社《ヨークシャー豚像》1905年頃
《狩りをする雌ライオン像》1908年 右:チャールズ・ジョン・ノーク、ロイヤルドルトン社
《スコッチテリア像》1904-10年
芸術家が日本美術の表現を吸収して理解し、自分なりの表現へと昇華させていった跡が作品から感じられますね。
現在ほど情報量の波に溢れていなかった時代に生じた東西交流が、このような形で美しい作品群に結晶したことを考えると感慨深いです。
次回は4章をご紹介します。
ジャポニスム展 第二章
企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を前回に引き続き、ご紹介していきます。
今回は第2章「日本工芸を源泉として―触感的なかたちと表面」です。
東洋の工芸では、作品の形状に自然の造形をそのまま「かたち」として取り入れることが多々あります。たとえば、瓢形の器や果実の形をした器などです。
このような発想は、古代ギリシャやローマ時代の造形を伝統的なフォルムとして参照してきたヨーロッパの人々にとって新鮮なものでありました。
また、西洋文化では釉薬や顔料は、表面を均一に覆い、計算通りの完璧な仕上がりとなった場合に高く評価されました。
その一方、東洋では、作品の焼成中に起こる事態や偶発性も制作過程のひとつとしてとらえ、自由な創作の余地をはらんでいました。
このような東洋の陶磁器の影響を受けて、多くのヨーロッパの作家が、東洋的なフォルムを採用したり、表面に特殊な色合いや質感を出そうと釉薬の様々な実験を行なったりし、成果を収めました。
それでは、2章の作品をいくつかご紹介していきます。
こちらは、スウェーデンのロールストランド磁器製造所作の《結晶釉花器》(1903年頃)です。
シンプルな色と形が、結晶釉の美しさを引き立てています。雪の結晶のようにも、咲き誇る桜の花びらのようにも見えてくるほど美しいです。
気品に満ちていて、日本人の感性に強く響くものがあります。
続くこちらも、ハンガリーのジョルナイ陶磁器製造所作の《結晶釉花器》(1902年)。
瑠璃色が美しく輝く作品です。縦方向に濃く流れる結晶の蔓とその周りを染める淡い色彩は、まるで青い藤の花を彷彿とさせます。
ハンガリーのイエネー・ファルカシュハージ=フィッシェルとヘレンド製陶所が制作した《瓢形花器》(1901年)です。
瓢箪の形は、東洋の工芸に特徴的な形です。また、このくすんだ色合いと不規則に浮かぶ茶色の斑紋が日本らしさを一層感じさせます。
ヘレンド製陶所はハンガリーの陶磁器ブランドとして、テーブルウェアなどで有名ですが、かつてはこのようなジャポニスムの作品も手掛けていたんですね。
こちらは、スウェーデンのアウグスト・ヘルマン・ノイド作の《青春と老いを象徴する飾壺》(1896年)です。
不思議な球根型をした作品には、片面に、髪に花を挿した若い女性の肖像が、もう片面にはしわだらけの老婆の顔が配されており、「青春」と「老い」を象徴的に示しています。時の流れはまたたく間に移ろいゆき、生命は儚いというメッセージを伝えています。
釉薬の濃淡と浮彫で表情を細かく描き出す技術が素晴らしいです。
最後にご紹介するのは、テプリツェ=ツルノヴァニ製陶所の《ラスター結晶釉花器》(1900年頃)です。
全体を紫や青、緑、黄色の金属光沢のある結晶ラスター彩が覆っています。
光の当たり具合によって色合いが変わりますが、日本工芸で使われる螺鈿(貝殻の内側の七色に光る層を装飾に用いる技法)と通じているようにも思われます。
魅惑的な色合い、結晶釉のきらめきと光沢感、それらを効果的に引き出す不思議な形状。いずれを見ても完成度の高い作品です。
1章で表された日本的なモチーフは影を潜めても、かたちと表面の質感から日本らしさが感じられます。
新しい技法による表現に果敢に挑戦した芸術家の努力を思い浮かべると素敵ですね。
次回は3章をご紹介します。
「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ展」第一章
当館は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月10日まで企画展・常設展含め全館臨時休館となりました。
企画展「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」についても残念ながら中止が決定となりました。再開を楽しみにされていた皆様には心よりお詫び申し上げます。何卒ご理解の程、お願い申し上げます。
観覧券の払い戻し対応については、本展公式HPよりご確認ください。
http://www.fct.co.jp/Japonisme_F/
中止を受けましたが、会場では美しい作品群がいまも展示されています。
ぜひ皆様にご覧になっていただきたいので、前回に引き続き、本展の紹介を行なっていきます。
本展は全6章で構成されています。
はじめの第1章は「自然への回帰―歴史主義からジャポニスムへ」。
ヨーロッパの一般大衆が初めて日本文化に触れる機会を得たのは、1862年のロンドン万国博覧会と1867年のパリ万国博覧会でした。
海を渡りやってきた日本の珍しい品々は、古典的な芸術ルールに慣れていたヨーロッパの人々に衝撃を与え、多くの芸術家や工房が日本趣味に基づく作品の制作に着手しました。
ここでは、日本美術の影響がもっとも強く認められるジャポニスムの初期段階の作品を紹介しています。
日本的な装飾や直線的・平面的な表現、大胆な構図など、日本らしさが明確に表現されています。
しかし一方で、作品の仕上げ方は、設計通りの完璧な仕上がりが目指されており、日本美術の特徴のひとつである偶発性の美の追求は無視されています。
なめらかな表面と計算通りにデザインが精緻に反映されているのが優れた作品という、西洋の伝統的な意識は変わらずに示されていました。
それでは作品を何点かご紹介いたします。
こちらは、ハンガリーを代表する製陶所のジョルナイ陶磁器製造所が作成した《滝に植物蝶文スツール》(1896年)。
ユーリア・ジョルナイが日本の布地を見本にデザインしました。
蝶の後ろに縦に長く伸びているのが滝です。もともとの布地デザインでは滝は青色でしたが、黄金色に変わりました。(筍のようにも見えるような?)
背景の赤に色が映えて調和のとれた豪華で美しい装飾となっています。
続いては、マルク=ルイ・ソロン(伝)、ミントン社制作の《尾長猿文飾壺》(1877年頃)。
深い藍色の地をバックに、イチジクの木の枝を渡る尾長猿が精巧な絵付けで描かれています。また、幾何学文様が描かれた丸文が何か所かに配されています。
躍動感あふれる見事な造形と装飾のいずれにおいても日本美術の影響が表れている逸品です。
展示室でひときわ目を引くのが、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家エミール・ガレの《菊花文花器》(1896年頃)。
日本美術でよくみられる帯状の霞や靄の上に、色鮮やかな菊の花々が描かれています。
植物学者としての側面ももっていたガレは、自邸の庭で2,500種以上の植物を栽培し、その中には日本由来の品種も相当ありました。
日本のことを「キクの国」と呼び、日本美術に強い興味を抱いていたガレの趣味が顕著に示されています。
こちらは、フランスの陶芸家ジョゼフ=テオドール・デックによる《花鳥文花器》(1880年頃)です。
みずみずしい自然の描写、今まさに飛んできたかのような生命力に満ちた鳥の表現が素晴らしいです。
日本の花鳥画を思わせる作品ですが、黄色と目の覚めるようなスカイブルーの色の組み合わせは日本では中々生まれなかったのではないでしょうか。
また、作品左右の側面には、口に輪を咥えた獅子がいます。東西の表現が混ざったような造形に感じられます。
見れば見る程おもしろい作品です。
最後にご紹介するのは、フランスのフランソワ・ロラン、ロラン&フィス・ファイアンス製陶所作《花枝にとまる鳥図花器》(1872年頃)です。
灰色の地にダイナミックな筆使いで花鳥図が描かれています。正面には、花のもと枝にとまる鳥が一匹、裏面には、植物のあいだを二匹のトンボが飛んでいます。
日本の陶磁器や水墨画を参照して描いたのでしょうか。手本を見つめながら絵付けに励む作者の姿が想起されます。
ほかにも1章ではジャポニスムの影響がよく分かる作品群が展示されています。
当時西洋で巻き起こった日本ブームの熱が伝わってくるようです。
次回は第2章をご紹介します!
ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ
3月24日より開幕した企画展「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」。
5月10日までの開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月19日から5月6日まで急遽臨時休館となりました。
観に行く予定だったけれども行けなかったという方もいらっしゃるかと思います。web上ではありますが本展についてこれから何回かにわたりご紹介していきたいと思います!
まずは、素晴らしい作品群をお貸出し頂いた「ブダペスト国立工芸美術館」についてご説明します。
同館の創設は1872年に遡ります。1896年に建築家エデン・レヒネルの設計によって建物が生まれ変わり、ハンガリアン・アールヌーヴォーを代表する記念碑的建築となりました。まさに建物自体が作品です。(ちなみに美術館の屋根には、ジョルナイ陶磁器製造所製のタイルが使われているんですよ!)
そして当時の館長イエネー・ラディシッチ氏の下で、若い世代の芸術家達を刺激するような名品・優品群が収集され、また同時に彼ら現代作家の作品も多く購入されました。その結果、国際的に名高い第一級のアール・ヌーヴォーコレクションが形成されるに至ったのです。
会場展示室にて ブダペスト国立工芸美術館の外観・内観写真紹介コーナー
本展のテーマは「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」。
同館から本展には、日本趣味、いわゆるジャポニスムの影響が感じられる作品群がセレクトされ出品されています。
19世紀半ばに開国した日本から多くの文物が西洋に渡り、欧米では日本ブームが巻き起こりました。新しい表現を開拓したいと模索していた芸術家達にとって、目新しい日本の文物や美術作品はまさに天からの啓示のようなものでした。
浮世絵が印象派やゴッホなどのポスト印象派に影響を与えたことは広く知られているかと思いますが、このように日本の品々が欧米に影響を与えた文化現象のことを「ジャポニスム」というんですね。
ジャポニスムが瞬く間にもてはやされた後、19世紀末に流行を見せるのが「アール・ヌーヴォー」様式です。
アール・ヌーヴォーは表現としては、有機的な植物モチーフや流線的な表現が特徴です。その根底には、自然そのものの造形美に目を向け、芸術品に取り入れる日本美術の考え方・姿勢が影響源のひとつとして表れています。
本展に出品されている作品も、日本美術の造形的特徴やモチーフを率直に反映させたものから、さらに一歩踏み込み、作者のオリジナル性溢れる表現へと昇華させたものまで様々な形で日本美術のエッセンスが表現されています。
ジャポニスムからアール・ヌーヴォー期の宝石のように美しい工芸品を通して、西洋から見た日本、また私たちが考える「日本らしさ」「西洋らしさ」に思いを馳せることができる展覧会です。
次回からは、展示風景をご紹介していきます!
「ジャポニスム展」作品についてご紹介いただきました
「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへー日本を夢見たヨーロッパ工芸」
中止となったゲストトーク(4月18日)と創作プログラム(4月19日)の講師、ガラス作家の近岡令さんより、作品についてご紹介いただきました!
「アートカード★チャレンジ」展終了しました
掲載が遅くなりましたが、3月8日(日)「コレクション再発見2020」で開催していた「アートカード★チャレンジ」展が終了しました。
今回展示を考えてくれたのは、福島市立野田中学校の3年生117名の生徒さん達でした。
2月29日(土)に予定されていた代表生徒によるギャラリートークが中止となりました。
また、会期中に、3年生全員で展覧会を観覧する予定でしたが、臨時休校となりみんなで一緒にご覧いただくことができませんでした。
少しではありますが会場写真を掲載し、来場者の方々からいただいたメッセージを紹介したいと思います。
展覧会会場前の看板 「アートカード★チャレンジ」展入り口
今回の活動は、第3学年の生徒、4クラス117名の美術科の授業で実施されました。
はじめにアートカードを用いたゲームで当館の収蔵作品に親しみました。その後、クラスごとに展示のテーマを考え、下記の4つのテーマが決まりました。
1組…「孤独」 2組…「Face」
3組…「Let’s think !」 4組…「Sky Sea」
最後に、各クラス4,5名で6つのグループに分かれ、テーマに合うと思う作品を1点ずつ選び、作品に対して感じたことや考えたことなどをまとめました。
それぞれのクラスの展示をご紹介します。(順番は会場内の順路、太字は生徒からのコメントなど)
2組「Face」
人の顔はそれぞれ個性をもっていて、表情の表現の仕方も違ってくるから、いろいろな顔があるという気持ちからこのテーマにしました。
選ばれた作品は、右から
ベン・シャーン《ラッキードラゴン》、国吉 康雄《婦人と子供》、脇田 和《窓》、
斎藤 清《凝視(花)》、玉川 信一《樹のある風景》、ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子を被る女》
ルノワール《帽子を被る女》には、生徒さんからこのようなコメントがありました。
「この顔を選んだ理由は、人物の顔の印象は優しいイメージを持っていますが、
背景は彼女の心情を表したかのような、薄暗い感じの色使いから、悲しさを連想させると思ったからです。」
4組「Sky Sea」
同じ青でも、空と海で違っていて、その違いや空の広さ、海の深さ、
自然の壮大さを数々の絵画で表現しているところを伝えたいと思い、「Sky Sea」というテーマにしました。
選ばれた作品は、右から
鎌田 正蔵 《小家族(A)》、カミーユ・コロー《ヴィル・ダブレー―林を抜けてコロー家へ向かう池沿いの道》、百瀬 寿《NE.Blue,Blue,Blue and Blue》
クロード・モネ《ジヴェルニーの草原》、福王寺 法林《バドガオンの月》、伊砂 利彦《瀬》
カミーユ・コロー《ヴィル・ダブレー》には、生徒さんからこのようなコメントがありました。
「この絵は、地面にある土や、暗い色などと対比させることによって、空の青さをとても強調しています。
全体的に黒が多いので、夜に近づいていることがわかります。
木々はいろいろな色を使ってあり、本物のように今にも動きそうな感じがします。」
1組「孤独」
人間関係の残酷さ、一筋の光に求めるもの、旅立ちの寂しさに、何か訴えかけるものを感じました。
その中に「孤独」というものが共通していたので、「孤独」というテーマにしました。
選ばれた作品は、右から
マックス・エルンスト『博物誌』《光の輪》、斎藤 清《会津の冬(51)》、野田 哲也 《日記1976年8月19日》、
アンドリュー・ワイエス《ガニング・ロックス》、山中 現 《第三夜》、速水 御舟《晩冬の桜》
速水 御舟《晩冬の桜》について、生徒さんからこのようなコメントがありました。
「みなさんの桜に対するイメージは何ですか?きっと春の満開の桜の様子を頭に浮かべると思います。
しかし、この絵のタイトルを読んでみてください。《晩冬の桜》と書かれています。
なぜ作者は冬の桜を描いたのでしょうか?
その桜は、すっかり葉が落ちていて、見どころがありません。背景も何一つ描かれていません。
でも、描いた理由があるはずです。
私たちは、この桜の心情を考えて描いたのでは、と推測しました。
春とは違って、人が寄り付かないことへの寂しさ、「孤独」さがあふれていると思います。
1組のテーマは「孤独」。この絵のイメージも「孤独」だと思います。」
3組「Let's think !」
このテーマにした理由は、いろいろな捉え方の出来る作品をあえて選択し、その作品について深く考えてほしいと思ったからです。
「Let's think (考えてみよう)」ということで、作品に思いを馳せてみてください。
また、私たちのキャプションも参考に、自分の捉え方を創作してみてください。
選ばれた作品は、右から
若松 光一郎《COMPOSITION・30.8.82》、橋本 章《武装する都市》、小林 浩《星辰軌道》、
マルク・シャガール《少年時代の思い出》、オノサト・トシノブ 《シルクNo.10》、吉井 忠《赤い風景》
若松 光一郎《COMPOSITION・30.8.82》について、生徒さんからはこのようなコメントがありました。
「音楽や楽器がたくさんあることで、この絵から何か音が聞こえそうだと感じました。
どんな音楽が聞こえてくるのか考えさせられる作品だと思います。また、夢の中のようにも思えます。
さまざまな向きでバラバラの文字のようなものが散りばめられていて、作者は何を伝えたいのか、見る人によって考えさせられる作品です。」
他にも、 展示室で生徒さんたちの活動の様子をパネルで紹介しました。
1:20の展示室模型に作品を並べてみながら、展示を考えました。
来場者からの感想やメッセージを一部ご紹介します。
~メッセージカードから~
- 皆さんが「チャレンジ」したと知り、私自身もこれらの絵を見たらどう感じるだろう、ということを意識して鑑賞しました。ただなんとなく眺めるよりも作品に一層興味がわき、あれこれ思いめぐらせながら皆さんの考察を読むひとときがとても楽しく感じました。たまたま立ち寄った美術館でのすてきな出会い、ありがとうございました。
- 中学3年生という多感な時期に、みなさんが絵をどう感じていらっしゃるのか、とても新鮮な気持ちで見せていただきました。これまで何度か見た作品もみなさんの解説のおかげで新しい視点をもつことができました。
- 紹介のところにあったみなさんの写真にうつる顔がいきいきしていて、みていてとても楽しかったです。テーマにそって絵を選び、思いを語る。そんな授業私も受けてみたかったな~。素敵な時間をありがとうございました。先生のご指導も素晴らしいですね。
- どのクラスも作品の選び方がとてもステキで、自分では考えつかないような発想が多く、面白く見ることができました。「この作品の意図は?作家の気持ちは?」と考えてみることの楽しさを改めて感じることができました。とってもステキな展示、ありがとうございました!
- とても面白かったです。まずどうしてこの絵を選んだか、それが興味をひきました。そしてずっとながめているうちにメッセージ又は自分なりに伝わってくる事を感じ、それを文章にきちんとまとめられていてステキです。こういう見方もあるのか!ととても参考になりました。一人で鑑賞しましたが、皆さんたちと一緒にお話しながら、“ああ観える!こう観える!”と多角的に作品を見られたと思います。楽しかったです。ありがとうございました。
- みなさんのコメントがどんな批評よりもシンプルな言葉でしかも、深い。新鮮。いつもみている作品に別の見方があるよとみなさんに教えてもらいました。ありがとう!
- 皆さんがどきどきしながら、わくわくしながら話し合って選んだ姿が浮かびます。発表をお聞きしたかったです。しかし、芸術の深さや美しさを感じ取る心の授業に参加できて、皆さんはラッキーと思いますヨ。きっと何かが残るでしょう。3年生の皆さん、先生方、美術館の皆様に感謝致します。(保護者より)
- アートカードチャレンジおつかれさまでした。あなた達の視点による作品の展示はとても新鮮なものにうつりました。あなた達のギャラリートークがあると知り、どのような話が聞けるのか、楽しみでした。中止となりとても残念です。でも、よい展示でした。ありがとう。
- とても素晴らしい展示でした。テーマを決め、その作品から感じたコメントも付いていて、とてもみごたえがありました。学芸員さんとはまた違った視点がとても面白かったです。私も一緒にアートについて語り合いたいと思えるほどでした。ありがとうございました。
- いろいろな絵を見て、考え、他の人たちにもどう伝えるか、良い経験をされたと思います。共通の絵を大人数で見ることにより、自分には感じなかったことも、聞くことにより共感するという機会もあったのではないでしょうか。きっと一人で見るより楽しい経験となり、後々豊かな鑑賞への足がかりになったことと思います。それがこちらにも伝わるような絵画展でした。ありがとうございました。
- 通常の展示とちがい、題に対するイメージ、そこからつながる絵。そしてさらにそれに対するイメージと、とても楽しませていただきました。私はもうみなさんのおばあちゃんの歳なので感じ方、考え方がとても新鮮でした。ありがとう!
- 知っている作品の気づかなかった魅力に気づいたり、知らない作品を知るきっかけをいただきました。選んだ作品や、選ばれなかったけれど気になった作品の背景にみなさんが興味を持って調べる手がかりになるとよいなと願っています。
~アンケートから~
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アートカードチャレンジはとてもおもしろい。同じ中学生が考えたと思うと、わたしも参加したいと思った。(郡山市・14才・女性)
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観ていておもしろかった。野田中の生徒達による説明も良かった。中学生としての捉え方が良いと思う。(福島市・44才・女性)
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中学生の絵に対する思いがわかり楽しかった。中学生にいろんな絵を見て、芸術に興味をもってもらえたらうれしいです。心の栄養になりますように。(伊達市・66才・男性)
野田中学校3年生のみなさん、ギャラリートークで発表予定だった4名の代表生徒さん、ありがとうございました!
今回は展示を全員でご覧いただくことができず、発表の機会もなくなってしまい、本当に残念でした。
美術科の中條先生、木島先生、約1年間にわたりお世話になりました。ありがとうございました!
そしてご来館いただいたみなさま、ありがとうございました!
「冬に透ける街~水彩絵の具の光に透ける感覚を楽しもう~」開催しました。
2月15日(土)創作プログラム「冬に透ける街~水彩絵の具の光に透ける感覚を楽しもう~」を開催しました。
講師は画家で絵本作家の小原風子さんです。
今日のワークショップでは、クレヨンや水彩絵の具で半紙を彩り、実習室の大きな窓に貼って街や森を創ります。どんな風景が広がるのか楽しみです!
はじめにフロッタージュの実演です。
凸凹の上に半紙を置いて、クレヨンやパステルでこすり模様を写し取ります。
実習室の中にもおもしろい模様がたくさんありました。まるで宝探しです!
今度は、美術館の庭で宝探しです!
木の根や葉の複雑な形もおもしろい。人工物の規則正しさもおもしろい。いろいろな発見があります。
集めた模様をみんなで鑑賞して午前は終了です。たくさん集めました!
午後は、集めた形を水彩絵の具で彩り、実習室の窓をみんなで街や森にしていきます。
貼ったり、切ったり、ちぎったり、大きな窓が彩られていきます。背景の信夫山もいい演出をしてくれています。
できあがった街や森に、自分と自分の友達を住まわせます。かわいい。
室内の照明を消すと光に透ける街が浮かび上がりました。
外から見ると、ここでも信夫山がいい演出をしてくれています!
天候にも恵まれ、笑顔の絶えないワークショップでした。
風子さん、参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
「Gallery F 2020 コレクション再発見」展開催中!
2月8日(土)より、当館1階企画展示室にて「Gallery F 2020 コレクション再発見」展がはじまりました。
4度目の開催となる今回は、「生誕100年 建畠覚造展 かたちの探求」、「アートカード★チャレンジ」ふたつの小さな企画をご覧いただけます。
「生誕100年 建畠覚造展 かたちの探求」
建畠覚造(1919‐2006)は、抽象彫刻の世界に大きな足跡をのこした作家です。
今回の企画では、当館が所蔵する8点に個人蔵1点を加えた9点の作品を展示しています。
中央に展示されている、《WAVING FIGURE47(大)》1987年は、幅が4mをこえる大きな作品です。
当館所蔵の建畠作品をまとめて全てご覧いただける機会です!
ぜひ建畠が探求し続けた独自のかたちの世界をご覧ください。
◆ギャラリートーク
「建畠覚造の思い出」※終了しました
2月8日(土)14:00~
酒井哲朗氏(当館名誉館長)
「建畠覚造と日本の現代彫刻」
2月22日(土)14:00~
三上満良氏(元宮城県美術館副館長)
※申し込み不要。チケットご購入の上、企画展示室入り口にお集まりください。
「アートカード★チャレンジ」
当館のアートカードを使って、福島市立野田中学校3年生の生徒たちが考えた小さな展覧会を、実際に当館の所蔵作品を展示して再現しました。
今回、生徒たちはクラスごとに4つのテーマを設定し、作品を選びました。
1組…孤独
2組…Face
3組…Let's think!
4組…Sky Sea
各テーマに合わせ、クラスで6点ずつ作品が選ばれました。
作品に添えられた子ども達のコメントもあわせて、お楽しみください。
◆福島市立野田中学校3年生代表生徒によるギャラリートーク
2月29日(土)14:00~
※申し込み不要。チケットご購入の上、企画展示室入り口にお集まりください。高校生以下は無料です。
〇会期:~3月8日(日)まで。
〇開館時間:9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
〇観覧料:一般280円、高校生以下無料 ※常設展示室もご覧いただけます
〇休館日:2月17日(月)、25日(火)、3月2日(月)
ぜひご来館ください。
トークイベント「宮崎進(みやざきしん)の作品を語る」を開催します
トークイベント「宮崎進の作品を語る」
2月9日(日)14:00~ 常設展示室B
講師:宮崎とみゑ氏(作家遺族)
赤松祐樹氏(多摩美術大学美術学部非常勤講師)
黒川創氏(作家)
司会:荒木康子(当館学芸員)
現在、常設展示室Bに宮崎進(1922-2018)の作品17点を展示しています。
展示をして間もなく、いい画家さんだけれど今まで知らなかった、という声を聞きました。
まずは宮崎進について簡単にご紹介しましょう。
宮崎進は、山口県徳山市に生まれました。13歳の頃、絵の手ほどきをしてくれた画家・前田米蔵と共に、芝居小屋の一座の巡業に同行しながら舞台美術を手伝う経験をしました。1939年に上京し、日本美術学校油絵科で学びます。42年に応召。45年の終戦を満州で迎え、その後4年間シベリアに抑留されました。
49年に帰国後、東京での生活の合間に北陸、東北、北海道などを放浪し、絵を描き続けます。67年《見世物芸人》(東京国立近代美術館蔵)で第10回安井曾太郎記念賞を受賞。その頃、旅芸人や祭りの作品を多く描いています。76年からは多摩美術大学で教鞭をとりました。
80年代に入ると、画面から具象的要素はだんだんと消え去ります。シベリアで馴染みのあったドンゴロス(麻布)が直接張り付けられ、画面は抽象的な方向に向かいました。
94-95年の「宮崎進展」(下関、笠間他を巡回)で、50年代に描いたシベリアをテーマにした作品を初めて発表します。やがて宮崎の中で拭いされないシベリアがより一層力強く表現されるようになっていきました。
2004年には第26回サンパウロビエンナーレ日本代表として出品。「シベリアの声」というタイトルで展示をしました。
亡くなるまで、描く意味を問い続けた美術家でした。
当館は、作家の遺志に基づき、2018年度、東北、福島の風景、旅芸人や祭りを描いた作品19点をご遺族からご寄贈いただきました。今回の展示は、それらを初めてご紹介する機会となります。
この展示と関連して、2月9日日曜日トークイベントを開催します。
お三方にお話しいただきます。
ご遺族の宮崎とみゑさんは、間近で宮崎の姿を見つめてこられました。
赤松祐樹さん(多摩美術大学非常勤講師)は、山口県の周南市美術博物館学芸員時代に「宮崎進展 生きる意味を求めて」展を担当したご経験があり、また現在も資料整理に携わっておられます。
黒川創さんは、晩年の宮崎とも親交があり、宮崎をモデルにした人物も登場する小説を2月に刊行予定だそうです。2019年度大佛次郎賞を『鶴見俊輔伝』で受賞された作家です。
1時間程度ですが、宮崎進にとって東北とは何だったのか、そしてシベリアとはなど、いろいろお話をお聞きしたいと思います。
常設展観覧券をお求めの上、展示室Bまでお出で下さい。
皆様のお越しをお待ちしております。