福島県立美術館ブログ

「前衛美術会とその周辺」ギャラリートーク

本日、特集展示「前衛美術会とその周辺-川妻さち子コレクションから」のギャラリートークが開催されました。
 

今回は、学芸員による通常の解説に加えて、画家・伊藤和子氏とアートギャラリー環の川妻さち子氏をお迎えしてお話をお聞きしました。


伊藤氏は1958年に常磐炭鉱を訪れ、それを題材に作品を残されました。本展には《ボタ山への道》、《第二縦坑と選炭やぐら》と下絵数点が出品されています。
伊藤氏は、当時の炭坑の様子をお話しいただきました。巨大な選炭やぐらを見たときの感動が生き生きと伝わってくるお話でした。


アートギャラリー環の川妻さち子氏は、本展出品作品のほとんどを当館にご寄贈下さった方で、氏なくしては、本展の開催はなかったといっても過言ではありません。
前衛美術会の力強い作品の数々は、川妻さんがおっしゃるとおり、「あの時代が描かせたもの」だったと思います。そんな作品に対する川妻さんの深い愛情が伝わってくるお話でした。

特集展示「前衛美術会とその周辺-川妻さち子コレクションから」は、12月27日まで開催いたします。皆様ぜひ足をお運びください。

S.A.

特集展示「前衛美術会とその周辺展」がオープンしました。



外は雪交じりの今日、企画展示室の1室を使って、
コレクションをメインにした小企画「前衛美術会とその周辺展」がオープンしました。


これは、2012年にアートギャラリー環を主宰する川妻さち子氏からご寄贈いただいた高山良策、尾藤豊、桂川寛、中村宏、鏑木昌弥など前衛美術会やその周辺の作家たちの作品をご紹介する展覧会です。
 

戦後間もない1947年、前衛美術会は誕生しました。
1920年代のフランスで始まった、人間の無意識を表面化しようとするシュールレアリズムの表現方法は、日本でも、画家の福沢一郎を中心として戦前の前衛的な美術家たちによって取り入れられました。
戦中、この動きは一旦中断しますが、戦後の展開を担ったのが前衛美術会でした。
 

彼らは、芸術の前衛と政治の前衛をどのように融合させるか、という新たな課題に正面から向き合いました。社会主義リアリズムに異議を唱え、一方で当時、アメリカから流入してきた抽象絵画の奔流にも飲み込まれることなく、社会や政治と芸術の関わりを考え続け、人間を見つめ続けてきた美術家たちの集団です。前衛美術会は、76年に齣展に改組し、現在も活動を続けています。
 

本展では、石井茂雄、池田龍雄、尾藤豊、伊藤和子、高山良策、山下菊二、志賀丈二、入江比呂、桂川寛、中村宏、鏑木昌弥、11名の作家の91点を展示しています。
 

12月13日(土)午後2時から、ギャラリートークも行いますので、是非みなさま足をお運び下さい。

荒木

千甕展ギャラリートーク2回目開催&明日は友の会バザー!

本日、現在開催中の「小川千甕展」のギャラリートークを行いました。

おかげさまでたくさんの方にお越しいただき、担当学芸員も力が入ります。
見どころ、千甕の生涯について、あつく語りました。





この展覧会は、この後、東京、京都へも巡回しますが、作品のなかには福島展のみ展示のものもあります。
こちらの漫画絵巻は、福島県の檜原湖・猪苗代湖の旅の様子を描いたもの。
千甕さんの愉快な人柄が伝わってきて、ついくすくすと笑ってしまいます。
福島展のみの展示ですのでお見逃しなく!

明日は友の会によるバザーも開催されます。

美術に関する書籍や図録、グッズ、骨董まで、興味引かれるさまざまなものが並びます。
ぜひ皆様お誘いあわせのうえ、ご来館ください!

K.T.

常設展の版画の展示替を行いました。

すっかり寒くなった今日この頃、美術館まわりの紅葉も見頃を迎えています。

昨日閉館後、常設展の版画の展示替えを行いました。

まずは常設展示室Cのドーミエ。
今度は『当世代議士鑑』の立法議会シリーズです。



また、常設展示室Dの斎藤清は外国シリーズになりました。
メキシコ、フランス、アメリカと、一緒に旅する気分です。



反対側の壁は、日和崎尊夫と柄澤齊の木口木版です。
木口木版による緻密な表現に魅了されます。

 

企画展「小川千甕展」も今月24日までとなりました。
ぜひ美術館にお出かけください。

K.T.

千甕展グッズ、入荷しました

千甕展グッズがかわいいのでご紹介します。



入荷が遅れていたグッズが出そろいました。お待たせしました。
 

マグネット、エコバッグ、一筆せん、クリアファイルに絵はがき。


おしゃれなはずです、千甕は若い頃、陶磁器デザイナーだったのです。



ひそかに私は千甕作品の魅力の一端は「女子力の高さ」だと思っています。
(千甕自身はクールな紳士だったのですけれども)

グッズ売り場だけでもご利用いただけます。

図録も絶賛販売中です。今回は求龍堂から書籍として出版しましたので、
遠方の方は書店でも入手できます。

M.K

小川千甕展記念トークイベント

去る10月26日、記念イベント、「小川千甕の魅力を語る」が開催されました。

豪華ゲストは前川公秀氏、山田敦雄氏、野地耕一郎氏。

前川氏は千甕と師・浅井忠とのかかわりを、


山田氏はヨーロッパ遊学中の千甕を、


野地氏は日本画家としての千甕を、


それぞれ熱を込めてお話くださいました。

その後は千甕についての自由トーク。


お3人によって多彩な活動が色々な角度から照射され、
千甕という一人の画家の姿がおぼろげながら、
像を結んできました。

千甕とはどういう画家だったのか。

まだまだ謎は尽きません。

どうぞ皆さんも、実際にその目で作品をご覧になって、
考えてみてください。

M.K

千甕展ギャラリートーク開催

本日、千甕展のギャラリートークを行いました。
仏画、洋画、漫画、日本画、南画と、さまざまなことに手を染めた、まさしく縦横無尽な画家・小川千甕。
その幅広い画業を、今回の展覧会を企画した担当学芸員がわかりやすく説明します。



千甕の絵の雰囲気そのままに、ほのぼのと、時にはお客様と対話しながら進みました。

ギャラリートークは来月にももう一度、11/15(土)14時から行います。

また、そのほかにもイベントとしては、今月10/26(日)14時から講演会があります。
前川公秀氏(DIC川村記念美術館顧問)、山田敦雄氏(目黒区美術館学芸員)、
野地耕一郎氏(泉屋博古館分館長)らが千甕についてさまざまな視点からお話しくださいます。

観れば観るほどその魅力に引き込まれる千甕の絵。
とてもよかった、と監視員に声をかけてお帰りになられるお客様がとても多いです。
ぜひ足をお運びください。

K.T.

小川千甕展はじまりました!

画家・小川千甕のほぼはじめての回顧展です。

 

こんな実力者が紹介されずにいたのが不思議です。
作品がたくさん残っているのはありがたいことでした。

浅井忠の弟子だっただけあり、こんなに上手いのです。


そしてこんなふうに面白いのです。


ヨーロッパ遊学中、安井曾太郎とルノワールに会いに行ったりしました。

旅を愛し、ほのぼのとした田園風景を描きました。


描かれる人や自然はいつも優しくて、こちらを歓迎してくれます。


なぜ当館でご紹介するかというと、福島を何度も何度も訪れたゆかりの画家だからです。
福島、坂下、喜多方、白河、須賀川、棚倉、国見。
とくに大正期の美術愛好団体「喜多方美術倶楽部」の人たちが千甕を支援しました。

おすすめはユーモアたっぷりの絵巻《二人旅の巻》。
喜多方の岩田圭一郎と桧原、猪苗代へのスケッチ旅行を描いたものです。
千甕は漫画家でもありました。(福島限定展示)


晩年になればなるほど縦横無尽。


千甕は「せんよう」と読むのが正式ですが、
若い頃に挿絵を描いた本に「ちかめ」とルビを振られ、
そのほうが人気があったので、まあいいか、
と自分でも「ちかめ」とサインしたりしています。

初日には、千甕のご遺族がかけつけてくださいました。



10月26日(日)には、前川公秀氏、山田敦雄氏、野地耕一郎氏という
豪華ゲストをお招きし、「小川千甕の魅力を語る」トークイベントを開催します。

この展覧会は、東京六本木の泉屋博古館分館(2015年3月7日~5月10日)、
京都市の京都文化博物館(2015年12月8日~2016年1月31日)に巡回します。

M.K