2018コレクション展第Ⅳ期
美術館では年明け1月8日より、常設展第Ⅳ期を開催しております。本年度最後の常設展です。
一室目は、現代の日本画にフォーカスを当てた内容です。ガラスケースの中には、福田豊四郎、仲山計介、佐藤多持の屏風が並びます。豊かな色彩や幾何学的な構図の面白さを感じられるでしょう。
向かい合う壁では、朝倉摂の作品を素描も含めて展示しています。スケッチだけ見ていても、画力の高さが充分に分かります。
奥に進むと、神秘的な世界を描いた星野眞吾、そして上野泰郎の大作が2点あります。人体のスケッチも併せて展示していますので、そちらもご覧下さい。
そして、この部屋で一番大きいのが横山操の作品。圧倒的な存在感を放っています。
続いて二室目では、近代の洋画を展示しています。
大正期の作品では、万鉄五郎、岸田劉生、恩地孝四郎、関根正二、木村荘八など。
昭和に入ると大型の作品が増えてきます。元永定正、山口長男など具体の作品、杉全直、脇田和が一面に並びます。
そのほか、福島にゆかりのある作家として、鎌田正蔵、土橋醇、若松光一郎、田口安男の力作を展示しています。
広い空間で一望すると、作品が持っている美しさをとてもよく感じられますね。
三室目は、海外の作品展示です。アメリカ美術では、ベン・シャーンとジョン・スローンを展示しています。
今期のベン・シャーンは、19世紀末にフランスで起きたドレフュス事件を題材にしたシリーズとポスター画をご覧頂けます。
フランス美術では、ドーミエの風刺画が一面に並びます。人の特徴を的確かつユーモラスに表現する手腕には驚きです。
そのほか、石原コレクションからロダンの彫刻を3品展示しています。ロダン独特の人体表現ですが、生命感溢れる美しさが感じられます。
最後の部屋は、斎藤清の木版画と日和崎尊夫の木口木版を展示しています。
今期の斎藤清の内容は、季節に合わせて「会津の冬」シリーズです。描かれているのは豪雪の様子ですが、画面からはどこか温かみが伝わってきます。
もう一方では、木口木版の魅力をテーマに、日和崎尊夫と柄澤齊(後期展示)を取り上げました。
木口木版とは、ハンコなどの印材に用いるつげや椿などの硬い木の木口(木を輪切りにした面)を版材に用いる版画技法です。
前期展示の日和崎尊夫は、詩画集『卵』を展示しました。至近距離で見ても確認しきれないほどの細密な線で版が彫られています。詩と併せて鑑賞することで、作品の幻想的な世界に浸れます。
現在開催中の常設展Ⅳ期は3月10日まで。
温かい美術館の中で作品を見てほっと一息つくのも、素敵な冬の過ごし方でしょう。
みなさまのご来館をお待ちしております。