創作プログラム「鍾馗様の小旗を作ろう」を開催しました

11月20日(日)に当館実習室にて創作プログラム「鍾馗様の小旗を作ろう」を開催しました。今回は、当館にて開催中の企画展示「亜欧堂田善展」の関連ワークショップです。講師は、伝統工芸須賀川絵のぼりの吉野屋六代目大野青峯さんです。

 

まず、大野さんから絵のぼりの成り立ちについてお話がありました。江戸時代に男の子が生まれると、のぼり旗に絵を描きお祝いするようになりました。「須賀川絵のぼり」は白河藩主松平定信の御用絵師亜欧堂田善が、和紙や布地に唐の守り神である鍾馗を描き、庭先に立てたのが始まりで、田善から弟子・安田田騏へ、田騏から吉野屋の初代大野松岳へと継承されて、今に至ります。

 

お話が終わり、制作の開始です。

はじめに、オリジナルの落款を作ります。自分の名前をそれぞれ考えたデザインで型紙に書いていきます。

  

 

型紙から各自がデザインした文字をカッターで切り取っていきます。ここで切り取る際のポイントがあります。型紙の字や図がスポッと抜けないよう、線が曲がるところやぶつかるところは、切り取らないでつなぎとして残すようにします。

   

 

 

落款ができあがったら、鍾馗様の図柄を選びます。

 

左の鍾馗様は不動、真ん中は四方八方に目を配り、右は動きがあるポーズをとっています。大野さんは、左は長男、真ん中は三男、右は次男へののぼり旗としておすすめするそうです。みなさんは、自分の好きな図柄、お孫さんへのおくりものなど、それぞれ選ばれていました。

 

さあ、馬毛のハケを使って顔料をすりこんでいきます。

 

顔料を付けすぎると滲み、逆に足りないとかすみます。加減を調整しながらすりこみます。

 

仕上がりはどうでしょうか?

 

第1段階はこれで完了です。鍾馗様の全体図が小旗に付きました。

 

第2段階は、顔料が付かなかったつなぎの部分(サンプルでは赤い箇所)を、面相筆で描いていきます。

 

細い線が途切れたつなぎ部分は、繊細な筆づかいが求められるので、サンプルと見比べながらみなさん慎重にじっくりと筆を運んでいました。

 

同様に、自作の落款にも顔料をすりこみ、つなぎ部分をうめていきます。

 

 みなさん途切れている部分を丁寧につないで仕上げていきました。

 

最後に、アイロンをして小旗に棒とひもをつけてもらいます。

 

 

完成しました!

 

自分だけのオリジナルの小旗が出来上がりました。

 

受講者の方からです。

 

・こんなに本格的にやるとは思っていなかったのでびっくりです。感動です。

・大変良かったです。孫にプレゼントいたします。

・筆でかくのは難しかったけれど、きれいにできあがってよかったです。

 

 お子さんが小さい時に吉野屋さんにのぼりを作ってもらい、毎年端午の節句にのぼり旗を立てている参加者の方がいらっしゃいました。地元に根付く伝統工芸を体験できる機会をつくってくださった大野さん、アシスタントの安齋さんありがとうございました!