小川千甕展はじまりました!
画家・小川千甕のほぼはじめての回顧展です。
こんな実力者が紹介されずにいたのが不思議です。
作品がたくさん残っているのはありがたいことでした。
浅井忠の弟子だっただけあり、こんなに上手いのです。
そしてこんなふうに面白いのです。
ヨーロッパ遊学中、安井曾太郎とルノワールに会いに行ったりしました。
旅を愛し、ほのぼのとした田園風景を描きました。
描かれる人や自然はいつも優しくて、こちらを歓迎してくれます。
なぜ当館でご紹介するかというと、福島を何度も何度も訪れたゆかりの画家だからです。
福島、坂下、喜多方、白河、須賀川、棚倉、国見。
とくに大正期の美術愛好団体「喜多方美術倶楽部」の人たちが千甕を支援しました。
おすすめはユーモアたっぷりの絵巻《二人旅の巻》。
喜多方の岩田圭一郎と桧原、猪苗代へのスケッチ旅行を描いたものです。
千甕は漫画家でもありました。(福島限定展示)
晩年になればなるほど縦横無尽。
千甕は「せんよう」と読むのが正式ですが、
若い頃に挿絵を描いた本に「ちかめ」とルビを振られ、
そのほうが人気があったので、まあいいか、
と自分でも「ちかめ」とサインしたりしています。
初日には、千甕のご遺族がかけつけてくださいました。
10月26日(日)には、前川公秀氏、山田敦雄氏、野地耕一郎氏という
豪華ゲストをお招きし、「小川千甕の魅力を語る」トークイベントを開催します。
この展覧会は、東京六本木の泉屋博古館分館(2015年3月7日~5月10日)、
京都市の京都文化博物館(2015年12月8日~2016年1月31日)に巡回します。
M.K