親と子の美術教室「親子で絵本をつくろう」

内容:本のつくりや歴史の話をしながら、実際に紙を折り、糸で綴じて、親子で協力して製本を体験します。できた本にいろいろな画材や素材を用いてオリジナルの絵本に仕上げましょう。
日時:2014年5月5日(月・祝) 10:00~15:30
対象:小学生とその親10組程度
講師:内田由紀子氏(製本家、池袋コミュニティ・カレッジ講師)


 2012年度に開催した「親子で絵本を作ろう!」とほぼ同様の内容で絵本作りを行った。
 午前中は、下記の材料と手順に従って、親子で協力しながら簡易な製本をおこなった。
●材料:本文紙(GAケナフ130kg)
 見返し(マーメイド115kg)
 背中(カラー段ボール)
 表紙(カラーイラストボード1.5mm厚)
 その他(寒冷紗、麻布)      

●簡易な製本の手順
1.見返し(19.5×35cm)を軽く2つに折り、幅40mmの寒冷紗をボンドで貼る。
 
見返しに寒冷紗を貼る。

2.本文紙の中央に鉛筆で線をひき、点をつける(上から7mm、以下20mm間隔)。
3.見返しに本分紙を重ねクリップでとめて点の位置に目打ちで穴をあける。
  
見返しと本文紙をクリップでとめる。       目打ちで穴をあける。

4.本文紙の鉛筆の線を消して、糸で綴じる。
  
専用の糸を針にセットする。

  
針で糸を穴に通して綴じる。  通した糸の端を結んで処理する。綴じ終えた状態。

5.綴じたものを二つ折りにして強くおさえ、紙がずれないように天地方向に帯状の紙を巻いてテープでとめ、定規をしっかりとあててカッターで小口の部分を切る。

小口がきれいにそろうようにはみ出た部分を切り落とす。

7.巻いた紙をはずして広げ、背の綴じ糸の両側に線をひく(22.5mm)
8. ひいた線を目安にして、波板状のボール紙を寒冷紗にボンドを塗って貼り、背中のボール紙の両側の縁にへらを押し付けて平にする。
  
寒冷紗にボンドを塗る。     波板状のボール紙を貼る。      縁をへらで平にする。

9.見返しの周囲にボンドをつけ、表紙(20×18cm)を貼る。はみ出たボンドを軽く濡らした布巾で拭き取り、表紙側の見返しと本文紙側の見返しの間に油紙をはさんで、ボンドがくっつくのを防ぐ。 
  
見返しにボンドをつけ、表紙を貼り、裏返して本文紙を上にする。  

  
表紙に接着した見返しと本文側の見返しの間に油紙をはさむ。

10.見返しに表紙が完全に接着したら、表紙を上下は2mm、左右は3mm残して、定規がずれないようしっかりおさえながら、カッターで切り落とす。
  

11.定規を本文紙の縫い目にあてて二つ折りにして、押さえながら板の間にはさむ。その上に乗って体重をかけてプレスして完成。
  
板の間に二つ折りにした絵本をはさみ、新聞紙をしき、上に乗る。

 午後からは、製本した絵本の中身を制作した。
 はじめ読者を想定しながら全体の構想をページ毎に割り付け、それに基づいてカラーペンや色鉛筆を使って描画するほか、紙を切り抜いた型紙の上から絵の具を塗って図柄を作るステンシルの技法を用いたり、文字や数字のスタンプを押して図柄を作った。
   
色鉛筆やマーカーなどの画材。様々な文字や模様のスタンプ。本文や表紙にスタンプを押す。 

 ほかに、切り抜いた色紙や雑誌の切り抜きを貼りつけるなど様々な手法で中身を作り、最後に表紙を仕上げて完成させた。また、絵本のほかにも手提げの袋にも図柄をつけた。(久慈伸一)

 
 
 
 
 
 

   
実技講座「色彩銅版画入門」

内容:銅版画は銅の板を針でひっかいたり、酸で腐蝕するなどして作った溝にインクを詰め、プレス機で紙に刷り取る版画技法で、陰影に富んだ表現が魅力です。エッチング、アクアチントといった銅版画の基本的なテクニックを駆使して、はがき大程度の銅版3版を使った色彩銅版画を制作します。
日時:2014年6月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)
   *6回連続 土曜13:30~16:30、日曜10:00~16:00
対象:一般15名程度
講師:馬場章氏(版画家、女子美術大学教授)
   馬場知子氏(版画家、女子美術大学非常勤講師)

馬場章氏作品

 銅版画は銅の板の表面に様々な状態の傷や溝を施し、そこにインクをつめて、余分なインクを拭き取り、プレス機で強い圧力をかけて紙に刷り取る凹版形式の版画技法。
 直接銅の板を刃物などを使って製版する直接法、銅板の上にグランドという防蝕膜を塗布して、針などでそれを掻き取った後、塩化第二鉄などの腐蝕液に浸して、溝をつくる腐蝕法(間接法)がある。
 この講座では主に腐蝕法をメインに直接法も必要に応じて加えていくことで制作が進められた。
 今回の3版を使った色彩銅版画の制作は、一版の銅版画と比べ、版がずれないように刷り重ねる技術が求められ、そこが最も重要なポイントとなる。
 以下、第1日目から5日目の作業の記録を技法項目別にまとめた。

第1日目
 はじめに、様々な技法による見本の版を受講者は手にとって、版の表面の状態を触って確かめた。
 次に鉛筆で下絵を描いたマットフィルムを銅版に重ねてプレス機にかけ、下絵を銅板に写す技術が実演された。
 また、銅版に使う様々な道具として、直接法に使うビュラン(彫刻刀の一種)、ニードル(針)、スクレーパー(銅板の表面を削る道具)、バニッシャー(銅板を磨く道具)、ルーレット(銅の板の上に網目状の傷をつける道具)、ヴェルソー(銅板の上に無数の点を刻む道具)が紹介された。それらを使って試し用の銅板で受講者が実際に試してみた。
 
ルーレット                     ヴェルソー

 
銅版を直接、彫ったり、削ったり、傷をつけたりする様々な道具を試してみる。

 また、グランドを引いた銅板に描画したり、サンドペーパーを重ねてプレスし、点状の模様をつけて腐食させて製版し、試し刷り一枚を刷る実演がされた。
 次に各自が使用するはがき大の銅版(※裏面には防蝕用のコーテイングが施されている)3枚の表面に♯1500の紙やすりをかけ、さらに金属磨きピカールで表面を磨いた後、各自の下絵を見ながら配色や作画の計画を個別に相談して1日目を終えた。

《版の研磨》
 
表面の傷をとるために紙やすりで銅版の表面を磨き、さらに金属磨きで滑らかに磨く。  

《製版の計画》
 
下絵に色分けの指示を書き込む。3版で使う各版の色と用いる技法をメモする。

第2日目
 はじめに銅板にグランドをひいて乾かしたのち、電熱器で熱して定着させた。
 続いて、下絵をトレーシングペーパーに写し、それをさらに鉛筆でマットフィルム(片面が半透明の転写用フィルム)に写し、マットフィルムの鉛筆で描いた面を銅版に重ね、プレス機にかけ、鉛筆の線を銅板に転写した。
 転写した下絵の線をニードルなどでひっかいて、グランドをはがし金属面を露出させ、腐食液に入れ腐食した。

《グランドひきと定着》
  
銅板にグランドをのせて、まんべんなくひく。余分なものはカップに流す。

  
グランドが乾いたら銅版を電熱器にのせて熱してグランドを定着させる。

《下絵の版への転写》
 下絵を鉛筆でトレーシングペーパーに写し、鉛筆で描いた面をマットフィルム(片面が半透明の転写用フィルム)に重ね、プレス機にかけて写す。マットフィルムの鉛筆の線がのった面を銅版のグランド面に重ね、プレスして写す。同様にして刷り重ねる2〜3版の下絵を版に転写する。
         
下絵         下絵を写したトレペ    図柄を転写したマットフィルム:左と銅版

  
プレス機       銅版にマットフィルムを重ねてプレス器にかける。

 ※刷り重ねる別の版も同様

●製版の技法1:エッチングは腐蝕を使う技法で、一般的にニードルなどで描画した版を腐食させて得られる腐刻線によるものをいう。


 グランドをひいた版((※裏面には防蝕用のコーテイングが施されている)をニードル(針を割り箸など、木の柄に糸でくくりつけたりしても作れる)よいなど)等で自由に描画し、これを腐食液に入れて腐食する。

《版の腐食》
 裏面(防蝕用のコーテイングが施されている)に取り出して腐蝕の具合を見るためにガムテープの持ち手を着けて腐蝕液(塩化第二鉄)に浸して腐蝕させる。 
  
 
               腐蝕してできた版 
 腐蝕液から取り出した版は、腐蝕液の作用を止めるために水で腐蝕液を流し、醤油をかけ、さらに水洗いし、グランドをリグロイン(ベンジン)で落とし、汚れのない金属の状態にする。

第3日目
 はじめにアクアチント(水彩調の濃淡の効果を出す技法)の技法が紹介された。乳鉢ですりつぶした松脂の粉を高さ60センチのダンボール箱に入れて、振って松脂の粉をホコリ状に充満させてから銅版を入れると、松脂の粉が点状にのった状態になる。それを電熱器の上で熱して松脂が溶けて銅の表面付着させる。これを腐食液に入れ腐食させると濃淡の効果を表す版ができる。

●製版の技法2:アクアチントは広い面の濃淡の諧調が得られる技法で、エッチングに重ねて用いられる。濃淡は防蝕膜を塗り分けて、腐蝕にさらす時間の多少をコントロールして作り出す。

 乳鉢ですりつぶした松脂の粉を取り出し口をつけた段ボールに入れて振り、銅版を入れると上から粉が降り積もる。これを電熱器で熱すると粉が溶けて付着し、点状の防蝕膜ができる。これを腐食液に浸して腐食するとアクアチント独特の点状の粒の集合による面の効果を表現する版ができる。濃淡は腐食させる時間の長短で作ることができる。

  
  
 
松脂の粉がかかった版を熱する。     腐蝕後、松脂を落としてできた版。

   
アクアチントの技法で製版した版で刷った作例。  ※防蝕の黒ニスで腐蝕する部分、腐蝕しない部分を工夫しながら、塗り分ける。

      
腐蝕する以外の部分を黒ニスで塗る。     ※グレーの部分だけアクアチントを施すためそれ以外の部分に黒ニスを塗った例。

 思いどおりにアクアチントをかけるには、腐食させない部分には予め黒ニス(グランドと同様な働きをする防蝕用の液)を塗っておいてからアクアチントをかける。アクアチントで腐食させた後、メチルアルコールで松脂を拭き取り、黒ニスをリグロインで落とす。

第4日目
 版を刷るため、プレートマークの作成と3版を刷り重ねるための見当づくりをして、刷りの行程へとすすめた。

《プレートマーク》
 版の4つの辺をヤスリとスクレーパーで断面を45℃程度の角度で削りとり、プレートマークを入れる。
 

《刷り紙の準備》
 刷り紙は、刷りで使用する時、湿った状態にしておかなければならない。使用するBFK全紙を6等分の大きさに定規を当てて引くようにして切り、刷毛などで水分を加えた後、ビニール袋に入れて、重しとして板に挟んでおく。
  

《刷り》
 版にインクをゴムローラーやへらで詰め、寒冷紗で余分なインクを拭き取り、プレス機におき、刷り紙をのせてフェルトをかぶせローラーを通して刷る。
   
ローラーやへらによるインク詰め。                     インクの拭き取り。

   
インクを詰めた版                   プレス器

   
一版目の刷りの例     

●版を刷り重ねる技術:
《見当入れ》
 下絵とそれぞれの版を絵柄がずれないよう合わせて、縦の辺の上下中央に、版を刷り重ねるための見当穴をニードルで開ける。
 

《T字型トンボによる重ね刷り》  
 一版目を刷った紙に見当の穴をあけT字型トンボの針を通し、インクを詰めた二版目の見当穴に合わせ、紙を版の上に落とす。
  
T字型トンボ。        ねじで針と針の間隔を調節し、版にあけた穴の間隔に合わせる。
 
 

第5日目
 前回からの制作の継続を行い、3版を重ねて完成させ、参加者各自の作品について作者のコメントと講師の講評をまじえながら合評会をして終了した。
 銅版画の3版による多色刷りは、プレス機の圧力が強いため、プレスする時の紙の繊維の方向による伸びの違いなど、版の刷り重ねに細心の注意を要する。技法的には、かなり高度な内容であったが、銅版ならではのマチエールと色彩を加えた表現の可能性を垣間みさせられた講座であった。(久慈伸一)

合評会

  
線をエッチング、面をアクアチントで作った版と作品

 
 
  
  
 
一日創作教室「遠近法と幻想による描画を体験する」

内容:透明アクリル板にアクリル絵の具や油絵の具で直接透けて見える風景や静物等を遠近法を体験しながら描きます。さらに、ふと目にした樹木の形、壁の模様、落書きの線から発見する人や動物の姿など、幻想的なイメージの描画を体験し、見えるものを写すことや描くことの違いを探ります。
日時:2014年7月13日(日) 10:00~16:00
対象:一般15名程度
講師:久慈伸一(当館専門学芸員)

 はじめに美術館のホールに出て、規則的に並んだ同じ高さの柱、60cm角の敷石を碁盤の目に貼り込んだ床など実際の空間が線遠近法に従って見えること、さらに針金で作った60cm角の立方体を床の上において、視点の位置により一点透視、二点透視、三点透視図法と対応することを確かめた。
  
                 碁盤の目の敷石に置いた針金の立方体

 次に美術館の前庭に出て、遠景の山並と近景の植栽や建物を見ながら風景が空気遠近法に従って見えることを確認した。
 
空気にかすむ山並みを眺め、空気遠近法の存在を確認する。

 遠近法は透視図法とも呼ばれ、ドイツルネサンスの画家デューラーは、視点を固定してガラス板を透かして見える対象を写している版画を残している。これを参考に、アクリル板(30×45×2mm)にアクリル絵の具で風景等を直接描くことを体験した。できるだけ視点を動かさないよう注意しながら描きすすめた。いわゆる写実的なスケッチを描くことになれていてもこのような描き方の体験は参加者全員初めてだった。遠近法に厳密に従いながら対象を写すことが想像以上に不自由なことで、描画行為として極めて限定されたものであることを改めて体感した。
 
遠近法で描く様子をしめしたデューラーの版画。視点を固定しながら、風景を見えているとおりアクリル板に写す。

  
  
 
 
  
 
  
                                                          風景に想像を加えて描いた作品も。

 午後は午前中の継続をして完成させた後、それぞれの作品を見比べ、対象を写すということにおいて描画行為につきまとうタッチや時間性の問題を写真との比較で確かめた。
 次に常設展示してある、日本画や大正期の洋画、戦後の抽象絵画、モネ、ピサロ等印象派の作品、ワイエス、ベン・シャーン、斎藤清の作品を見ながら、絵画における空間の扱いをポイントに解説を交えて鑑賞した。
 
 

 次にホールの石柱の表面にトレーシングペーパーを押し当てて、模様を見ながら現れてくる人の貌その他見えてくるもののイメージを見えてくるそのままに鉛筆で写し取るという試みをした。(久慈伸一)
 
  

  
  
  
   
  
  
 
親と子の美術教室「オリジナルふろしきを作って、むすび方を身につけよう」

内容:ふろしき(50cm角程度)に、墨を使った染めの技法で模様や絵を描いて、オリジナルのふろしきを作ります。それを使ってふろしきの基本的なむすび方や、様々な使い方など、一生使える技を身につけます。
日時:2014年9月14日(日) 10:00~15:00
対象:小学生とその親10組程度
講師:よこやまいさお氏(ふろしきライフデザイナー)

 一枚の布で、大きな物も、小さな物も、形の異なる物も、包む物にあわせて、様々な包み方ができ、使わないときはコンパクトになる便利な風呂敷。
 午前中は、はじめに、講師が風呂敷を頭に頭巾のように被ったり、忍者の手甲状に巻くなど、物を包むだけではない、風呂敷の意外な使い方をして、工夫次第で面白く遊べることもできることが紹介された。 
   
 次いで、用意されたピンク、橙、黄、緑、青、5種類の中から各自1枚選んで以下の手順でふろしきに墨で模様を描いてオリジナルのふろしき作りをおこなった。

①講師がホワイトボードに描いた図案を参考にしながら、ふろしきに描く模様の下絵をコピー用紙(A3版)に鉛筆で描く。
   

②下絵を見ながら墨汁に呉汁を加えた墨で模様を描く。   
   
   
   
   
   
  

 午後からは、ふろしきの様々な結び方をやってみて、自分で一番上手くできるようになったむすび方を1人ずつ発表した。最後に受講者が持ってきた鞄や荷物などをふろしきを使ってひとつにまとめて、肩にかけたり、手に持てるようにするという課題に挑戦して教室を終えた。(久慈伸一)

   
   
   
技法講座「羊皮紙に描くヨーロッパ中世の細密画」

内容:ヨーロッパ中世の写本(手書きの本)に描かれた金箔を用いた極彩色の細密画の装飾は特殊な技法で描かれています。講座では羊皮紙に金箔を置いて磨き上げ、卵黄を使って彩色する中世の技法を、古画の模写を通じて体験します。
日時:2014年9月21日(日)、28日(日) *2週連続 10:00~16:30
対象:一般15名程度
講師:石原靖夫氏(美術家)

第一日目は以下の行程を行った。
①羊皮紙の処理
・羊皮紙(17×11.5cm)を板(共芯品ベニヤ板14×8.5×0.5cm)に貼る。
・羊皮紙(裏表どちらでもよい)の上に板を置いて、鉛筆で枠の線を引き板に貼る位置を決める。
・羊皮紙の裏表をぬれたふきんで湿らせる。皮は水にぬれると柔らかくなり、乾燥すると収縮するので、多少しわのある皮でもピンと張ることができる。

・羊皮紙の鉛筆の枠線が少し外側に伸びるように中心部から外側に強く引っ張りながらホッチキスで板の側面に貼っていく。
 
・四隅の角は折り畳んで処理し、貼った羊皮紙の端を板の裏面に皮革用ボンドで接着し、木べら等で擦ってよく密着させる。
 
・皮が乾燥したら皮の余分な油分を取るためにアルミナの粉をのせて、豚毛の刷毛で良く擦り、終わったら粉を払い落とす。


②下絵の転写
・用意した写本のコピーに下絵用のトレーシングペーパーを重ね、鉛筆でなぞり、図柄を写す。
  
・転写用に鉛筆で塗りつぶして作ったトレーシングペーパーを下絵と羊皮紙の間に挟んで、図柄の線をメノウ棒でなぞりながら羊皮紙に写す。
 
  
メノウ棒。                          転写した下絵

③石膏下地部分の処理
・石膏下地を盛り上げる部分に魚膠(ちょうざめの浮き袋から作った膠、ウエマツ画材店で市販されている)を塗る。
  
・石膏下地(細かなボローニャ石膏8:鉛白3:グラニュー糖2に少量の赤ボーロを混ぜ、約同量の魚膠または、卵白で溶いたもの)を表面張力できれいな曲面が出るよう、たらすように塗る。
 
魚膠を塗った部分に石膏下地を盛る。   懐中電灯で横から照らすと盛り上がり具合がわかる。

・石膏下地が乾燥した後、グラシン紙を盛り上げ部分の上に当て、その上からメノウ棒で磨き、後にグラシン紙を外して表面に光沢が出るまで直接磨き上げる。
  
 
④楽譜部分の制作 
 楽譜、文字部分の制作は、李家裕子氏(装飾写本技法研究家)の指導で行われた。
・烏口と定規を使って(アラビアガム:濃度約30%で溶いた)フレンチ・バーミリオンで線引きする。
・文字と音符はカリグラフィー用のペンに天然セピア(イカ墨)をつけて書く。
(大きな文字はコバルトブルーペイルの絵の具で輪郭を描いてから筆で塗る。)
 
バーミリオン     烏口にインクを着けて定規で楽譜の線をひく。

  
天然セピア      カリグラフィー用のペン:葦ペン(上)、金属製ペン(下)

  
楽譜と文字を書く練習

  
絵の具は筆で着ける。   集中して一気に書く。

⑤金箔の貼付け
・石膏下地盛り上げ部分にそれより少し大きめに切った金箔を乾燥した筆の先につけて運び、紙を丸めて作ったストロー状の筒で息を吹きかけながら置き、筆で、盛り上げ部分の形に収まるよう押し込む。
  
専用のクッションとナイフを使って金箔を切り、筆にそっと着けて運び石膏下地盛り上げ部分に置く。

  
微妙に息をかけながら、盛り上げ部分の形に収まるよう金箔を筆で押し込む。

・グラシン紙をあて、上からメノウ棒で軽く磨き、さらにグラシン紙を外して、直接軽く磨いて光沢を出す。


第二日目は以下の手順で制作した。
①絵の具作り
・卵黄1個に大さじ一杯の酢を混ぜ媒材を作る。
・顔料に媒材を混ぜ水で溶く。
  
卵黄に酢を混ぜ撹拌して媒材を作り、容器に入れ、顔料に混ぜて、水で適当な濃度に溶いて使う。

②描画・彩色
・模様の部分はローアンバーで輪郭を描いてから色面を塗る。

細かい部分が多いので面相筆で描画。 

・石膏を盛り上げて金箔を貼った部分と羊皮紙が接する部分はセピアの線で縁取る。


・基本色をべた塗りし、陰影部分、ハイライト部分を描いて立体感を出す。


・使用した顔料:ローアンバー、テルベルト、コバルトブルー、アースグリーン、フレンチバーミリオン、レッドオーカー、ネープルスイエロー、シルバーホワイト
 
以上の工程を経て完成させた。
 西洋の絵画技法として油絵は広く知られている一方、羊皮紙を用いたヨーロッパ中世の写本については、最高傑作のひとつとされるランブール兄弟の「ベリー公のいとも豪華なる時禱書」さえ、豪華画集で数少なく出版されているだけで、一般には全くと言ってよいほど知られていない。
 羊皮紙という、“未知の素材”に実際に触れて描く講座を通じて、宗教、文化、伝統、歴史、生活環境といった諸々の背景について、改めて考えて見る貴重な契機となったように思われる。(久慈伸一)

   
   
実技講座「日本画の描き方」

内容:各自描きたいもの(植物や風景、人物その他)を予め準備したスケッチや下絵をもとに日本画の材料を使って6号(42.1×32cm)程度の作品に描きます。
日時:2014年10月25日(土)、26日(日)、11月1日(土)、2日(日)
   *4回連続 土曜13:30~16:30、日曜10:00~15:30
対象:一般12名程度
講師:植田一穂氏(東京藝術大学准教授、創画会会員)

 第一日目ははじめに下準備として6号のパネルに雲肌麻紙を貼る作業を行った。パネルより大きめに切った雲肌麻紙の裏(ざらざらした方)に刷毛で水を塗り、パネルに水張りテープで側面の麻紙を5mmくらい出して貼った。

 
雲肌麻紙に刷毛で水を塗り、パネルに貼る。 刷毛で水張りテープに水をつける。  

 
雲肌麻紙の4辺を水張りテープでパネルに接着する。

 本制作の前段階として構想を小下図にし、それを実物大の大下図にし、トレーシングペーパーに写し、裏から鉛筆で塗り、本紙(パネルに貼った雲肌麻紙)にあて、構図を決めて線をなぞって写した。

 
下図               下図を写したトレーシングペーパー

 第二日目は、本紙の鉛筆の線の上から面相筆に墨をつけて、骨書き(形や輪郭を決める線描)を行った。日本画においては、水彩や油絵に比べて、色数が少ないので画面作りを工夫しながら骨書きする必要がある。

 
鉛筆の輪郭線の上から墨で骨書きする。       骨書き。

 続いて、絵の具について、顔料と染料、岩絵の具には天然(鉱物の粉、かきの殻を砕いた胡粉等)、人造の新岩絵の具(色ガラスを砕いて粉末にしたもの)などについて説明された。
 さらに、岩絵の具には粉は粗いもの4番から細かい白があり、普通使うのは15番あたりであること。粒の大きい粗い絵の具は細かい絵の具より画面につきにくいので膠の濃度を上げて使うこと。顔料を膠で溶く際、はじめに水を入れると、膠が浸透しにくいので、顔料に膠をよく混ぜてから水を加えること。絵の具を使う時、比重の大きいものと小さいものを混ぜて使うと、大きいものが下、小さいものが上になるので、比重の違いを考慮して効果的に使うこと。重い絵の具は画面につきにくい場合、膠で練った絵の具を皿のまま火に炙って乾燥させ、さらに膠を入れると膠分が濃くなること。胡粉を少量使う場合はそのまま使ってもよいが、大量に用いる時は乳鉢でから摺りしてから用いることなど、絵の具についての様々な知識、使用に際しての留意点が話された。また、たらしこみなどの技法も紹介された。

 
湯煎で膠を溶かす。         顔料に膠を混ぜる。 

  
技法の実演。         濃淡、色の重ね、たらしこみなど。

 三日目は前回の継続で制作。最終回は、はじめに、画面を水で濡らして余分な絵の具を落とす、洗いの技法が紹介された。

 
画面を水で濡らし、余分な絵の具を落とす。

   
彩色を重ねる。

 
              効果的表現を模索しながら制作。

 洗いで、絵の具を落としても、墨の骨書きの線は残るので問題はない。部分的に洗うとき水またはお湯でもよいことだった。次いで制作を継続し完成させた。各自のモチーフをどうやったら効果的に表現できるか、模索、工夫しながら制作するプロセスが体験できた。(久慈伸一)

   
  
技法講座「裸婦デッサン」

内容:裸婦のモデルをモチーフに、鉛筆または木炭で65×50cm程度の画用紙や木炭紙に、デッサンの基礎を踏まえながら描きます。
日時:2014年11月22日(土)、23日(日) 両日とも13:00~16:30
対象:一般12名程度
講師:北折整氏(東北生活文化大学教授)

 講座のはじめに大正時代の安井曾太郎などの写実的なデッサンの例を画集で見て、普通イメージするデッサンの例を紹介した。
  

 また、画家、野見山暁氏のデッサンについてのエッセーの中で、何気ない普段の姿が良いと思っているので、モデル台に立ったプロのモデルがポーズする姿は銅像のようであまり興味がない。という話が紹介され、そのような意味では、今回のようなプロのモデルによるデッサンの講座は「銅像」を描くということかも知れないが、裸婦を描く意味やそこに何を表現したいのか考えてみるのもよいのではないかという、デッサンのひろがりを意識させるインフォーメーションがなされた。
 次に1ポーズ10分間のクロッキーを2ポーズ行い、イーゼルの位置を調整した後、デスケール(格子の目がついたデッサン用の枠)とスケール棒(対象の長さの比率を計るための細長い棒。ピアノ線などが用いられるがまっすぐであれば何でも良い)の使い方の説明がなされた。スケール棒は対象に垂直または水平にあてた時、他の部位との位置関係がどうなっているかを大まかに調べる時に使うものであるが、細かいところを調べる時は、ほとんど無意味であるということだった。10分間の休憩を挟みながら、20分毎の固定ポーズによるデッサンを5回行った。途中モデルを見ながら、体重のかかった、かかとの位置と頭の位置が直線状にあるといった留意点が話され、一日目を終了した。
 二日目は20分間の固定ポーズを6回、間に10分間の休憩を挟みながらデッサンを行った。
  

 最後の講評会では、各受講者が自作についてのコメントや質問に対して講師から1点1点講評がなされた。そこで出されたいくつかとして、描く人にはそれぞれの癖があるものである。普通のプロの画家は見ている対象と光のセットを演出できる。薄いタッチを重ねる方がやりやすい。最終的に絵として見れればよい。ポイントを押さえて密度を出す。デッサンの見方は、普通日常で物を何気なくみているのと異なり、全体の中での光と陰、明暗や長短などバランスの比較や、場合によっては顔のほか手や細部は見ないで省略するなど全体の中でどうなっているか、常に引いて見ることが必要で、全てが比較にもとづいた、特別な見方である。等々、以上、デッサンに向かう時に参考になる、様々な観点、要点、心構えが話され、講座を終了した。(久慈伸一)

  
合評会。

  
  
  
  
 
一日創作教室「絵画やイラストを粘土で模写する~イメージの変換」

内容:美術館の絵画と彫刻を表現の特質・違いを明らかにしながら鑑賞した後、絵画、イラスト、写真等を粘土のレリーフや彫刻に起こし、写真に記録します。平面のイメージを立体に変換・再構成することを通じて、美術をより深く体験します。
日時:2014年12月7日(日) 10:00~16:00
対象:高校生から一般10名程度
講師:久慈伸一(当館専門学芸員)

 2008年に開催した「絵画を粘土で模写する~イメージの変換」と同様、物を媒介にしたイメージ、メッセージのコミュニケーションとして美術をとらえるための“変換”というキーワードを軸にした講座である。
 平面のイメージを立体に変換して著し、それを写真という平面に変換・記録するプログラムを通じて、絵画、彫刻、レリーフ、写真が本来、持っている媒体としての特性や可能性と限界を意識的にとらえることがねらいであった。
 講座のはじめに、絵画と違って、あまり鑑賞する機会の少ない、彫刻の表現について館にある作品を見ながら、それぞれのポイントを解説した。写実的傾向の強い彫刻あるいは抽象的傾向の強い彫刻など、様々な彫刻がどのようなアイデアを表しているかを具体的にみていくことで、彫刻などの立体と絵画やイラストの平面における表現の特質や違いに意識を向けるようにした。
 次に、アーティスティスタソフトという軽量粘土を配り、軽く練ってから使用すると扱いやすいこと。必要であれば発泡スチロールの板を切って台や芯にしたり、針金や、竹の串、楊枝などの芯を入れたり、粘土の表面をブラシや、セロテープカッターテープなどで擦ったりして、手だけでは作れない質感を出す方法など、制作上、技術的に参考となる方法を紹介した。
 参加者は持参した模写する作品の図版や写真を見ながら、必要であればA3のコピー用紙を使ってアイデアスケッチして制作に入った。

   

 途中、彫刻とレリーフの違い、さらにレリーフの厚さの問題が絵画性、彫刻性とどう関わってくるかをコメントした。
 変換という概念について、(1)アイデアを発想して表現する表現主体。(2)紙や絵の具、粘土やブロンズなど何らかの表現を付与され記号化を担う物質、手段としての・媒体。(3)アイデアや表現内容に何らかの抽象作用を加えること・関数化 ・記号化・情報化する表現作用。これら表現主体、表現媒体、表現作用、そしてできた作品の関係から説明した。



 できた作品を元にした図版や写真、スケッチと対照し、受講者のコメントを聞きながら鑑賞して終わった。(久慈伸一)

      

      
親と子の美術教室「親子で楽しむ~風船を使ったキャンドル作り」

内容:水を入れた風船を溶けたロウに浸すと、風船のまわりにロウが付着してドーム型の器ができます。内側に様々な色のロウを流して色をつけ、中にキャンドルを入れて火を灯すと、夕食の食卓を彩るほのかで素敵な明かりが楽しめます。
日時:2014年12月14日(日) 13:00~15:30
対象:小学生の親子10組程度
講師:横島憲夫氏(造形作家)

はじめに以下の手順で細いロウソクを作った。
①色違いの2本の細長い板状のロウソクを手に持ち、体温で柔らかくする。
②そこにロウソクの芯を先を1cm出して挟んでひねり完成。
また、色違いの3本の板を使ったものを同様にして作った。
    

次にキャンドルを以下の手順で作った。
①ゴム風船の口を水道の蛇口にはめて自分のこぶし大の大きさに水を注ぎ入れ、口をクリップでとめ、風船のまわりの水分をよく拭き取る。
 

②水の入った風船をホーローの容器に溶かした65℃のワックスに浸し、風船のまわりのロウが冷えて固まって風船に付着するのを待つ。
 

③ロウが風船に適度な厚みに付着したら引き上げ、バケツに汲んだ水の中に入れ、ロウを冷やす。
  

④十分に冷えて形が保てる状態に固まったら、風船の口をとめたクリップをはずし、中の水を出して風船を取り出し、紙コップの上にいったん置いて(底面が丸いので)、適度な固さになったら、机に押し付けて、机に置けるよう、丸い底面を平らにする。このときキャンドルを中に入れて灯した際、水平がしっかり保たれないと、片側が溶けたりするので注意する。
   

⑤十分固まったら、色のついた溶かしたロウを中に注ぎ入れ、横にした状態で回転させ、内側に付着させながら模様をつける。ロウは単色を重ねたり、予め混ぜたものを入れるなどの方法がある。
 
   

⑥下方側面にきりなどで2か所、空気孔を開け、キャンドルを入れて完成。キャンドルを灯して鑑賞して教室を終了した。(久慈伸一)

    
   
実技講座「木の心、私の想い~自然木を使った木彫」

内容:木の自然の姿を活かして、のみと木槌を使って人の姿や生き物などをかたち作り、円空が求めたものに想いを巡らせながら、30㎝前後の大きさの木彫制作を楽しみます。
日時:2015年2月15日(日)、22日(日)、3月1日(日)、8日(日)、15日(日)
   *5回連続 各回とも10:00~15:00
対象:一般12名程度
講師:新井浩氏(福島大学人間発達文化学類教授)

 講座のはじめに、自然木を用いた木彫の制作にあたって、木が本来持っている形を生かすよう、木の形を誘発される何らかのイメージに見立てるなど、自然な気持ちで木に向き合い試行錯誤しながら表現していければという講座のねらいが話された。
 以上のことを念頭にし、参加者は用意された桜の木材を見ながら、好みの木材を選んで各自チェンソーで必要な大きさに切り出した。
   
 切り出した木材は木口の断面に乾燥によるひび割れを防止するため、水で薄く溶いた木工用ボンドを刷毛で塗って処理した。

 第二日目は、木彫の制作にあたっての留意点として、面や稜線(面と面が接する境界線)の傾きが、像に付与する形の性格(内向的性格、外向的性格、リズム感等)を決めるということ。あるいは、目鼻の位置関係により、顔の表情(性格、年齢等)の特徴が表されること。さらに、木材を彫るときの順目と逆目の区別があること等を念頭に制作した。
 制作は正面と側面のスケッチをもとに木材にチョークで形を印し、大まかな形をのこぎりで切り出した。のみとげんのうで彫り進めるごとに、スケッチをもとに木材に木炭でデッサンを描き込みながら制作した。一日の制作の終わりにはひび割れ防止のボンドを塗る処理をした。(以降完成まで毎回同じ処理をした。)

    
イメージを正面図、側面図に描き、スケッチをもとに木材にチョークであたりをつける。

   
大まかな形をのこぎりで切り出す。    彫り進める度に木炭でスケッチする。     
              
 
木材の急激な乾燥によるひび割れを防ぐため、その日の作業の終わりに木口にボンドを塗る。

 第三日目は、顔面の形の性格を決める面の傾きについて、正面から見た時の正中線からの角度や距離、とりわけ等距離になっている部分に留意しながら制作した。
 また、ノミの研ぎ方について、荒砥(240♯)で欠損した部位を大きく落として刃を出し、中砥(100♯)で筋目が消えて不透明な感じになればよい。研ぎのストロークは刃の角度が変わらないように短くすること。丸ノミは、外側は砥石の端を使って、短いストロークで研ぎ、内側は砕いた小さい砥石で研ぐ等の留意点が説明された。
  

 第四日目は、仕上げの段階として、より良いものを求める気持ちで制作すること。特に左右対称性をミリ単位で追求することで堅牢性と彫刻性が出てくる。さらに発展させて左右非対称性を追求することで左右の連動と関連することの効果が出てくるという点。また、面と面の境の角を落として糸面をつけることで形に奥行きがつくこと。割れた部分には万力に固定した材を切り出して埋木を施すこと。以上に留意して制作した。
 最終日は、仕上げの彫りを、以下のポイントを意識して行った。
1. 面をノミ、切り出しの彫刻刀で効果的に仕上げる。
2. 鼻筋と眉の稜線は繋がっているので目のいちとの関係、糸面をどうするか。
3. 頬骨と頬の丸みの曲面に意識して変化をつけて形に深味を出す。
4. 眼の形:目頭・全体・目尻と三つのリズムで把握する。瞳は少し上の方にあることを意識する。上瞼と下瞼の位置関係がどのような状態にあるか注意する。
5. 唇の形:巧くできると彫刻家として一人前とされる。

 彫りの終了後、像の着色について、材料は、固有色系のアクリル絵の具、木質系のオイルステイン(油性:チーク、オーク、マホガニー等を薄めて使用)を用いることや、表面保護の塗装にはラッカースプレー(つや消しクリア)が適していること、艶が出したい場合は固形のワックスを塗ることなどが紹介された。
 最後に、うまさやきれいさ、見栄えの良さといった表面的な結果を求めるのではなく、木をどのようにとらえ、どのように表現に活かす工夫ができたかということを大切にすることが肝心であるとの講師のアドバイスが話されて、講座を終了した。(久慈伸一)
 
   
   
万力を使うなど、様々なやり方で彫りやすい状態に固定しながら彫り進む。

  
彫り進めるごとにデッサンしながら細かい部分は彫刻刀を使い細部をつめていく。