福島県立美術館ブログ
斎藤清からのメッセージ展、5000人です!
創作プログラム「なりきり!清先生!」開催しました
まずはスライドを見ながら、今回みんながなりきる版画家の斎藤清さんについて知ります。
「会津の冬シリーズ」がよく知られていますが、動物をモチーフにした作品も制作しています。
今回当館のポスターにも使われている《凝視(猫)》もそのひとつです。
紹介の後はいよいよ制作!
まずは好きな動物をスケッチします。
今回の版画は糸のこで切る作業もあります。
ポイントはなるべく単純な形にすること。
丸や四角を組み合わせたり、脚やしっぽは細くなりすぎないようにしたり・・・
下絵が描き終わったら板に写し取り、輪郭を電動糸のこで切断していきます。
6年生の子達は慣れた手つきで切っていきます。
はじめて糸のこを使う子達は、スタッフと一緒にゆっくりと。
最後にはサポートなしで、自分で板を動かして切断していました。すごい!
次は彫っていく作業です。動物の輪郭ができたので、目や鼻、口など顔のパーツや、毛並みなどを彫っていきます。
今回はじめて彫刻刀を使う子達には、持ち方を一緒に確認。
彫刻刀の種類によって、どんな彫りあとになるか説明します。
はじめての彫刻刀で緊張!まずは色をつけた練習用の板を、彫刻刀を使って彫ってみます。
慣れてきたら本番。みんな真剣に板に彫っていきます。
糸のこでうまく切れなかった部分も、彫刻刀で削ることで輪郭をきれいにできます。
お昼休みをはさみ、再開。
みんな集中していて、休み時間にも彫っている子達もいました。
最後に輪郭に紙ヤスリをかけてきれいにして、猫や犬、鳥、ヘビなど、それぞれ好きな動物の版が完成しました!
版ができたら刷りです!
まずは刷り方の説明をします。
インクをローラーでのばし、版につけていきます。
版木全体にまんべんなくつけることが大事です。
今回は何度もインクを水で洗って刷ることができるよう、水性の版画絵具を使いました。
インクの色は、黄色、赤、青の3色。メディウムを混ぜることで透けた感じも出すことができます。
色が重なると緑や紫、オレンジなどの色が生まれます。
筆でインクをつけて、塗り分けの工夫をする子も!
インクをつけたら、版木の上に紙を置き、バレンで端の方までしっかりおさえます。
紙をとってみると・・・きれいに刷れました!
試し刷りを何枚かした後は本番の1枚。
自分で作った動物の版を刷った後はまわりに装飾をしていきます。
ローラーでインクをつけ紙にこすりつけると、葉っぱの葉脈が浮かび上がります。
ボードを切って、お花を作ったり、スポンジで湖を作るアイデアも!
最後は大きな紙にみんなで刷ってみよう!
大きなロール紙に動物たちが集合します。
大きな紙に、版を足で踏んで刷ってもらいました。
まんべんなく、とんとんと足踏みして刷っていきます。
絵を描き、板を彫って版をつくり、刷るところまで・・・。
版画づくしの1日で、みんな小さな版画家さんになりました!
参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
みんなでつくった作品は、斎藤清展会期中、エントランスホールに展示しています。
ぜひご覧ください!
創作プログラム「多色木版画の制作」4回目
10月29日(日)、「多色木版画の制作~木目と色彩のハーモニー~」4回目を開催しました。
4回連続で開催してきたワークショップ。今回が最終日です。作った版を、刷る作業に入ります。
太田先生からの刷りの手順について説明を聞いた後、みなさんそれぞれ刷りの作業に入りました。
ローラーにつけたインクをそれぞれの版にのせ、どんどん刷っていきます。
版を重ねて置く時にずれないよう、みなさん緊張感がただよいます。
プレス機のハンドルをまわし、版と紙を通します。
版木をとった瞬間が一番たのしみな時間です。
刷ってみるまでどうなるか分からないところも版画の魅力のひとつです。
イメージと違った時には、彫り足りなかった部分やのせるインクの量を修正してみます。
最後は鑑賞会!
それぞれ刷った中から数枚選んでもらい、作品について紹介していただきました。
どんな風景をモチーフにしたのか、難しかったところはどの部分か、そしてこだわった点など・・・。
みなさんそれぞれ描いているものが全く異なり、バリエーションに富んだ作品が完成しました!
最後に鉛筆でサインとタイトル、エディションを記入します。
みなさん素敵な作品ができ、「額はどうしようかな」という声も聞こえました。
刷った色合いによって印象が全く異なるので、「季節ごとに変えるのもいいかな」という感想も。
ぜひ額装してご自宅に飾っていただきたいです!
4日間にわたり講師をしてくださった太田先生、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
創作プログラム「多色木版画の制作」2、3日目
10月14日(土)に2回目、21日(土)に3回目のワークショップを開催しました。
いよいよ本制作!
それぞれが持ち寄ったアイデアスケッチを元に、版下の制作をします。
今回、太田先生には作品をたくさんお持ちいただきました。
ご自身の作品がどのようにして作られているのか、というお話も交えながら版下の作り方を説明します。
本制作の多色木版は、色ごとに版を作るため、1つの作品に3つから5つの版をつくります。
まずは色彩計画。太田先生から色の重なりによって、何色の表現ができるのか説明がありました。
使うインクの基本色は、黄色、赤、青ですが、重なりによって橙、緑、紫、茶(全色が重なった色)、そして白(何も色がつかない、紙の色)の計8色で表現できます。
さらに黒のインクを加えることもできます。
前回作った回転木版画は、色の重なりによってどのような色の組み合わせができるのかイメージする参考になります。
アイデアスケッチを元に、どの部分を何色にしたいか、色彩計画を立てながら、スケッチにメモをしていきます。
次は色彩計画を描いた原画を、板に写していきます。
トレーシングペーパーとカーボン紙を使って板に写したり、やまとのりを板に塗って原画を貼りつけ、作業します。
色彩計画に沿って、彫る部分と彫らない部分、切り落とす部分と残す部分を○×で書き込み、版を作っていきます。
早い方は午後から彫る作業に入りました。
◆◆◆◆◆
1週間あけて、21日(土)の3回目は製版の作業です。
みなさん集中して、それぞれの版を彫刻刀で彫ったり、糸のこで切ったりしていきます。
彫刻刀と手に、黙々と版に向かいます。
早く進んでいる方は、最後に試し刷り。
プレス機から取り出し、はじめて刷った紙を見る瞬間は、とてもわくわくします!
きれいに色が重なりました!
どのように刷れたのか確認し、彫り足りない部分を修正していきます。
次の最終回は、製版した版にインクをつけて刷ります。
創作プログラム「多色木版画の制作」1日目
現在開催されている「斎藤清からのメッセージ」展に合わせて、創作プログラム「多色木版画の制作~木目と色彩のハーモニー~」を開催しました!
全4日間の日程で、講師は市内で版画家として活動している太田隆明先生です。
10月9日(月・祝)、当館実習室にて1回目のワークショップを開催しました。
第1日目は、技法体験。正方形の板1枚を使い、「回転木版画」に挑戦しました。
まずは板の大きさに合わせ、図案を考えます。
太田先生からのアドバイスをもとに修正し、図案を板に写して彫刻刀で彫っていきます。
彫刻刀で彫るときのポイントについてもお話いただきました。
白くしたい部分が大きい場合は、電動糸のこを使って切り出します。
版木に使っているのはベニヤ板。
ホームセンターなどでも購入でき、薄いものであればカッターで切断することもできます。
彫り終わった後は木目に沿ってワイヤブラシをかけ、粉を掃除機で吸い取って木目を際立たせます。
次は刷る作業です。
今回は油性インクを使いました。色は黄色、赤、青、黒の4色。
太田先生の実演で刷り方の手順を確認した後は、受講者の方も自分の版を紙に刷っていきます。
インクをローラーにつけてのばし、ローラーを転がして、版にまんべんなくインクをのせていきます。
版と紙をプレス機に持っていき、刷ります。
色ごとに90度ずつ回転させて3色まで刷るもの、黒を入れて4色まで刷るもの、回転させないで重ねて刷るものの3種類をまずは刷ってみます。
版は1枚だけですが、回転させて刷っていくことにより、思いがけない複雑な重なりが生まれます。
他にも、黒だけで3回刷ったり、2色で刷ったり、グラデーションをつくったり・・・。
インクの色が重なった部分は紫や緑、橙色などになり、多様な色合いになりました。
1日目はここで終了!
今回制作した回転木版画の作品を参考に、次回までに本制作の図案を考えてくることになりました。
4000人です!
ギャラリートークを開催しました。
肌寒い天気にもかかわらず、大勢の方にご参加いただきました。
初期作品を中心に、技法の解説、画風の変遷などをご説明しました。
斎藤清展3000人!
郡山市からお越しいただきました石山様と菅野様です。館長より展覧会図録と斎藤清カレンダーをプレゼント。
明日からの3連休は、美術館はイベントが目白押し!
ワークショップほか、4日の2時からはギャラリートークを行います。
今月7日までは県の教育週間。高校生以下は無料となります。
ぜひご家族でお越しくださいませ。
桑原氏講演会
「斎藤清の芸術ーその国際的評価をめぐって」
近代版画史の中での斎藤清の位置づけ、
進駐軍のコミュニティで評価が広がり、
戦後のアメリカとの文化交流に大きく貢献したことなど
たいへん興味深いお話でした。
桑原さんは恩地孝四郎の研究で有名な、日本近代版画史の
第一人者です。
ご研究の精度の高さはもちろんのこと、わかりやすく面白い
お話に終始引き込まれました。
日曜、講演会があります。
講演会「斎藤清の芸術ーその国際的評価をめぐって」が開催されます。
講師は聖徳大学教授、桑原規子氏。
日本の近代版画研究の第一人者です。
海外調査の成果も含め、最先端のご報告をいただきます。
無料でご聴講いただけます。是非ご参加ください!