男も女も装身具 江戸から明治の技とデザイン
会期:2003年4月19日-5月25日

 江戸時代から明治時代にかけては、特に都市生活者を中心として身分階層にかかわらず装身具へのこだわりが高まる。人々は個性的で斬新な趣向を求め、それは高度な技術をもった職人たちによって形となった。ウィットに富む奇抜なデザインや、多様な素材による工芸技術の粋を集めた作品は、現代でも新鮮な驚きを与えてくれる。
 本展では特に、日本の伝統的衣服である着物の装いにおいて、これらの装身具が果たした役割や特徴を紹介しながら、日本的装飾世界の神髄に迫ろうと試みた。
時代ヲ撃テ! 橋本章展
会期:2003年6月7日-7月13日

 橋本章(1919-2003)は、人間・社会・文明をテーマに独創的な絵画やオブジェを制作する、福島県伊達町在住の画家である。自由美術展、主体展などの団体展での活動をはじめ、第二次大戦後早くから福島青年美術会、新作家グループなどを同志と結成し、県内前衛作家のリーダーとして活躍してきた。
 橋本の作品の魅力は、幻想性とユーモアが混在した原初的な生命感にある。本展では、60年以上に及んだ橋本のユニークな画業を、初期から新作までの油彩、水彩、素描、オブジェなど約150点により紹介した。
世界名作版画展 美術館で夏休み
会期:2003年7月19日-8月24日

 版画は身近で親しみのある表現だが、木版、銅版、リトグラフ、シルクスクリーンなど様々な技法によって効果が異なり、多様で奥深い表現が可能な技法である。この展覧会では、ピカソ、シャガール、ルオーをはじめとする世界的な画家による版画の名作を当美術館のコレクションを中心に展示した。
 同時に、版画制作に使用する道具などの展示、ワークショップなども開催して見るだけでなく作る楽しみも味わえるよう配慮することで、夏休み期間にふさわしい、誰もが楽しめる企画展を目指した。
土門拳 全仕事・傑作展
会期:2003年9月6日-10月26日

 土門拳(1909-1990)は、戦前から戦後を通じて活躍した、わが国を代表する写真家のひとりである。
 山形県酒田市に生まれた彼は、日本工房写真部員として活動をはじめ、初期には報道写真や黄金期の文楽、肖像写真に精彩を放つ。戦後は<リアリズム写真>を提唱し、日本社会の現実に深く迫った「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」に代表されるドキュメント・シリーズ、日本美の探求に生涯をかけた「古寺巡礼」シリーズなど、数々の傑作を生んで日本写真界をリードした。
 本展は写真家・土門拳の全業績を約400点の作品により紹介する大規模な回顧展となった。
特別展 円山応挙 <写生画>創造への挑戦
会期:2003年11月3日-12月14日

 円山応挙(1733-1795)は、江戸時代中期に京都で活躍した画家である。中国絵画や西洋画の表現を取り入れながら、実際の花や鳥、風景を丹念に観察して当時としては画期的な<写生画>を確立した。この近代的ともいえる視点は、その後の日本絵画に大きな影響を与えたのである。
 本展は、最新の学術成果を踏まえて、応挙作品の全体像を紹介する大規模な回顧展である。代表作である大乗寺襖絵の立体再現をはじめ、重要文化財12件を含む名宝100点余りを紹介した。
特集展示1 山川忠義展 風景の記録
会期:2004年1月17日-2月11日

 福島市茂庭に生まれた山川忠義(1903-1983)は、福島大学などで長く美術教育に携わったほか、県美術協会会長などを務めるなど福島県の美術界の振興に力を尽くした。同時に、堅実な写実的画風の作品を制作し、日展や一水会展などで発表した。
 生誕100年を機に開催した今回の展示では、当館の所蔵作品25点を展示するとともに、制作地点の現状写真、地図などを表示し、さらに茂庭の四季を記録したドキュメンタリー映像もあわせて紹介した。
特集展示2 小塚和子コレクション 面白着物ワールド
会期:2004年2月27日-3月21日

 近年静かなブームとなっている明治から戦前までの着物を、小塚和子氏のコレクション約100点により紹介した。小塚コレクションは女性用の着物、羽織、帯、男性の襦袢、子供の着物など多彩な内容で構成され、年代的には明治中期から昭和前期のものが大半を占めている。
 わずか半世紀前までは当たり前のように着用していた着物でありながら、着物の美は私たちの日常から随分遠い存在になってしまっている。この展覧会では、日本の染織技術の高さや時代の空気とともに、着物を作り伝えてきた人々の情熱をも併せて楽しむことができた。