日本洋画の最高峰 須田国太郎展
須田国太郎(1891-1961)は京都で生まれ、昭和戦前から戦後をとおして活躍した近代油彩画の巨匠である。須田ははじめ京都帝国大学で美術史を学んだ後、スペイン留学に出てヨーロッパの古典絵画を探求している。日本人にとって異質な油彩画の技法や表現に習熟しながら、京都に代表される日本文化の幽玄なる美意識に、光と影の表現効果を加味することで、独創性あふれる雅趣深い作品を数多く描いた。
本展では、名作『犬』など代表作をはじめ、ルネサンス・バロック絵画の模写約20点を含む約150点によって、須田国太郎芸術の豊饒な絵画世界を紹介した。
カミーユ・クローデル展 愛と運命を刻んだ彫刻家
19世紀彫刻界に大きな足跡を印した天才彫刻家オーギュスト・ロダン。早熟な才能と輝くような美貌をもったカミーユ・クローデル(1864-1943)は、ロダンの愛弟子として、また、愛人として知られる女性彫刻家である。彼女はロダンの下で才能を開花させながら、独自の彫刻の世界を追い求めて苦闘し、ロダンとの関係にも疲れ果て精神を病んでいった。
本展では、自らの姿をモデルにしたような悲痛な女性像、室内に憩う女性の姿を細やかな感性で表現した<親密な>様式の作品など、初期から晩年にいたるまで約60点の作品によってカミーユ・クローデルの芸術を回顧した。
ドキュメント福島 日本に向けられたヨーロッパ人の眼/日本の視点、福島との対話
ヨーロッパ、日本で活躍する気鋭の写真家が福島の<いま>を撮り下ろした作品を、二部構成で紹介する展覧会。
「日本に向けられたヨーロッパ人の眼・ジャパントゥデイ」は、ヨーロッパ人写真家が<人間と暮らし>をテーマに日本の現在を記録する写真プロジェクトの8回めとして、フィンランド、ギリシャ、ベルギーの写真家4名が福島県と佐賀県で撮影した写真を展示した。
「日本の視点、福島との対話」では、日本人写真家3名がそれぞれのアプローチで福島に迫った。
ふたつの展示をとおして、私たちの身近な日常を、ヨーロッパ/日本/福島という重層的な視点から見つめ直そうと試みた。
ハギレの日本文化誌 時空をつなぐ布の力
日本人の暮らしにおいて、身体と衣の関係は、日常生活や人生の節目の象徴とされるほど密接で重要な意味をもっていた。そうした布との具体的な関わりを通して、人々は触覚、趣味、嗜好など様々な感覚を覚醒、発達させてきたのである。ただ、布はとても貴重であったため、人々はむしろ、断片で布と接することが多く、ハギレという概念それ自体も、時代や地域によって現在の私たちとは異なるものがあったと思われる。
この展覧会では、布、特にその断片であるハギレと人との関わり方に焦点を絞り、日本の染織文化、さらには日本文化の深層を探った。
風景読本~絵の旅・東北~
私たちにとって、風景画はなじみ深い画題である。しかし、ひとくちに風景画といっても、自然の美を描く近代的な絵画だけではない。地図、絵図、地誌などのほか、地域の象徴的風景や、文学的な名所や景勝地を描いた絵も、くり返し描かれてきた。また、自然現象や、道路・鉄道の建設などによって変化した風景を、新たな関心をもって描いた画家たちもいた。
この展覧会では、それぞれの風景画はなぜ描かれたのか、どのような意味を担ったのか、それを見た人々の思いなどを考えるために、東北地方の風景を描いたさまざまな絵画約100点を展示した。
特集展示 生誕100年 渡部菊二展
会津若松市出身の渡部菊二(1907-1947)は、昭和の戦前期を代表する水彩画家のひとりである。ピンクや黄、紫、青など澄んだ明るい色彩、力強い筆触、大胆にデフォルメされた人物像、意表をつく斬新な画面構成など、新しい造形感覚と都会的な雰囲気に満ちた作品を次々と生み出した。
今回の特集展示では、生誕100年を記念して当館の所蔵作品20点を一堂に展示。その短くも充実した制作活動を振り返った。
名画の散歩道 山形美術館名品展
1964年に開館した山形美術館は、印象派の名品で知られる吉野石膏コレクションをはじめ、与謝蕪村『奥の細道図屏風』(重要文化財)などを所蔵する、東北を代表する美術館のひとつである。西洋絵画から江戸時代の絵画、近現代美術まで幅広く網羅するコレクションは、東西名画の宝庫といえる。加え、古美術から現代美術までを網羅している。
その珠玉の作品約80点を厳選して展示した本展は、早春にふさわしい、名画鑑賞の機会となった。
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