将軍家への献上 鍋島—日本磁器の最高峰—
佐賀・鍋島藩の御用窯で、有田の民窯から最高の職人を集め、技術の漏洩を厳しく制限する管理体制のもとで、採算を度外視して焼かれた「鍋島焼」。技術・デザイン・格調の高さ、どの点からみても<日本磁器の最高峰>といえる。また最近の研究により、鍋島焼は江戸時代前期において鍋島家の存亡を左右する戦略的産品であることがわかってきた。
本展では、鍋島焼の最大のコレクションを誇る佐賀県立九州陶磁文化館所蔵作品を核に、重文3点を含む250点の名品によって、その歴史的全貌と真価を紹介した。
特集展示 シャガール《死せる魂》展
「死せる魂」は、近代ロシア文学の生みの親ゴーゴリの小説で、架空の町でくり広げられる詐欺師と住民の駆け引きを喜劇風に描写した傑作である。マルク・シャガール(1887-1985)はこの小説を愛読し、96点組の銅版画を制作している。本展ではその全作品を一挙に展示し、シャガールが描くゴーゴリの滑稽な世界を紹介した。展示では小説のあらすじを記したパネルを読み進めながら作品を鑑賞できるよう配慮したほか、同時代のロシア画家たちが描いた挿絵と比較することで、シャガールの表現の革新性を浮かび上がらせた。
夢のかたち おもちゃと模型のワンダーランド
おもちゃの歴史は有史以前まで遡るといわれている。時代を問わず、人間はおもちゃに夢やあこがれを託してきた。玩具メーカーの株式会社バンダイは、「ロンドンおもちゃ模型博物館」および「日本玩具資料館」からコレクションを受け継ぎ、貴重なおもちゃ数万点を保有している。
本展では、懐かしいブリキ玩具やドールハウス、精巧な鉄道模型、身近なキャラクター玩具まで約400点を紹介したほか、外部講師によるレクチャーやワークショップを開催してその魅力に迫った。
上村松園 近代と伝統
上村松園(1875-1949)は、京都画壇を代表する日本画家である。京都の商家に生まれた松園は、竹内栖鳳らに師事して独自の美人画様式を確立し、女性として初めて文化勲章を受章している。
本展は「花がたみ」「夕暮」「母子」など代表作約60点と、研さんの様子を伝える縮図帖・下絵等のほか、松園が大きな影響を受けたと思われる四条派、浮世絵などの近世絵画もあわせて展示し、松園の芸術に新たな光を当てた。
生誕100年 斎藤清展
福島県会津坂下町出身の版画家・斎藤清(1907-1997)は、独学で絵画や版画を学んで独自の造形感覚を磨き、数々の国際展に出品を重ねた。古都や会津の風景、花、猫など様々な題材を大胆な構図のなかに表した作風は高く評価されている。
生誕100周年を記念した本展では、ライフワーク<会津の冬>シリーズをはじめとする代表作を中心に、墨画、デッサンなど155点の作品によってその画業を振り返った。また本展は同等の内容で青梅市立美術館、北海道立釧路芸術館、秋田県立近代美術館にも巡回。広く斎藤清の芸術に親しむ機会となった。
風刺の巨匠 ドーミエ版画展
19世紀フランスの画家オノレ・ドーミエ(1808-1879)は、版画の巨匠としても知られている。生涯に4千点あまり制作した石版画には、政治や社会、風俗など時代を超えた人間模様の真実が、風刺とユーモアを込めて描かれている。
本展では、当時の新聞「シャリヴァリ」に掲載された作品を中心に100点を展示し、ドーミエの魅力を紹介した。
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