アンドリュー・ワイエス 創造への道程
アメリカン・リアリズムを現代に受け継ぐ画家として知られるアンドリュー・ワイエス(1917-2009)は、テンペラという古典的な技法を用いて、細い枯れ枝、あるいは光に輝くブロンドの髪一本一本まで克明に描き出し、まるで時間が止まったような不思議な世界に私たちを誘う。こうした作品はどのように生み出されたのだろうか。
本展では、ワイエスの芸術が生まれる過程に焦点を当て、素描や水彩などの習作から完成作品にいたる創造のプロセスを150点の作品によってたどった。
特集展示 レジェ『サーカス』展
フェルナン・レジェ(1881-1955)は、20世紀前半にピカソらとともにキュビスムの芸術運動に参加したフランスの画家である。機械や都市の建設現場、現代に生きる人々の人生の喜びを、明るい色彩や円筒形に簡略化された人体表現として描いた。
版画集『サーカス』は、サーカスだけでなく、サイクリングやトランプ占いなどの市民の楽しみが描かれている。漫画にも通じるユーモラスな表現が見られる楽しい作品、全64点を展示した。
開館25周年記念 アートの遠近 福島県立美術館のすべて
福島県立美術館が信夫山の麓に開館して25年。この間、県内外を問わず、各時代を代表する作家や作品についても広く紹介してきた。こうした活動の成果は、2,200点を数える所蔵作品にもあらわれている。
本展では2部構成により、当館コレクションの中から代表的な作品を全展示室を用いて展示することで25年間を回顧、さらに美術館の今後を展望する企画となった。
【第1部 アートの魅力<遠> コレクションの全貌】
代表的な所蔵作品約200点をもとに、コレクションの魅力を紹介。
【第2部 アートの魅力<近> オモテを見るか/ウラを読むか】
学芸員が設定した9つのテーマから迫る、コレクションの秘密。
また本展の関連企画として、来館者の投票による「あなたが選ぶ名品ベストテン」を募集。総数8,431名の投票を記録した。
文化の力―福島と近代美術
近代という激動の時代、絵画や彫刻はどのように制作され、鑑賞され、愛されてきたのだろうか。福島では、多くの個性的なパトロンが芸術家たちを引き寄せ、惜しみない援助を与えてきた。それとともに、会津の磐梯山や檜原、白河の南湖、本宮の蛇の鼻といった風致に富んだ景観が、画家の創作の源泉となっている。
本展では、福島にゆかりの深い作家たちの絵画・彫刻180点あまりのほか、当時の様子を伝える手紙・写真・画帖などの関連資料を展示することで、地方の文化を育む力=<文化力>に光を当てた。
アルバム:美術館で作る楽しみ・描く喜び
福島県立美術館では1984年の開館以来、展覧会や鑑賞に関わる様々な活動のほかに、絵を描いたり、彫刻や版画、工芸など、実際に美術の創作に関わる体験を提供する、さまざまな教室・講座を開催してきた。これらの事業は、大人から子どもまで参加対象ごとにプログラムを設け、誰もが創作のプロセスにじっくりと取り組むことができる機会として、継続的に開催されてきたものである。
開館25周年を機にこれらの活動を振り返り、改めて紹介することによって今後の活動を展望するために、これまでに開催した中からいくつかを選んで、活動の記録をパネル等により紹介した。
山中現展 夢の領域
山中現(1954-)は福島県喜多方市出身の版画家。モノトーンや淡い色彩、シンプルな構図の中にユーモラスな形体が漂い、無言劇を演じる画面は、独特の詩情をたたえる。また串田孫一、松永伍一ら詩人たちとの共作による詩画集は、言葉と版画が絶妙なハーモニーを奏でる佳品として知られている。
この展覧会では、初期作から最新作にいたる178点を展示。もとより評価の高い木版画に加え、水彩画やモノタイプ、ガラス絵、ドライポイント、油彩画、オブジェなども合わせ、山中の繊細な創作の全容を紹介するものとなった。
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