高畑・宮崎アニメの秘密がわかる。スタジオジブリ・レイアウト展
会期:2011年2月26日-7月3日 *震災被害による中断:3月12日-4月25日

 ≪レイアウト≫とは、一枚の紙に、背景とキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークの有無やそのスピード、撮影処理など、そのカットで表現される全てが描かれた映画の設計図とも言えるもの。分業化が進んだ現在のアニメーション制作において、作品の統一感を保つ上で重要な役割を果たしている。
 本展ではスタジオジブリ、三鷹の森ジブリ美術館全面協力のもと、「風の谷のナウシカ」から「崖の上のポニョ」まで、宮崎監督直筆のレイアウトを中心に、両監督がジブリ以前に手掛けた作品も加えたレイアウト約1,300点を一挙に公開。高畑・宮崎監督作品の創作の秘密に触れる貴重な機会となった。
 なお本展開催中の3月11日に東日本大震災が発生し、3月12日~4月25日まで展覧会は中断。幸い入場者に怪我はなく展示作品にも被害はなかったものの、展示室の一部に損傷が生じたため、復旧作業を経て4月26日より再開した。会期も当初は5月22日終了予定であったが、7月3日まで期間を延長することとなった。
第35回全国高等学校総合文化祭「ふくしま総文」美術・工芸部門
会期:2011年8月3日-7日

 全国高等学校総合文化祭は、高校生の文化芸術の祭典として毎回開催されている「文化部のインターハイ」とも呼ばれる全国大会である。
 当館では美術・工芸部門「全国高等学校美術展」の会場として、各都道府県から推薦された絵画や版画、彫刻、デザイン、工芸、映像などの作品400点あまりを展示。しなやかな感性と創造力で時代をとらえた全国の高校生たちの作品を紹介した。
がんばろう福島 生きる力・美の力展 福島の美術館から
会期:2011年9月10日-10月16日

 東日本大震災の発生を受けて、県内の6つの美術館が団結し、各美術館の所蔵するコレクションを持ち寄ってひとつの展覧会を開催することになった。それが「がんばろう福島 生きる力・美の力」展である。
 福島県内には、個性的な美術館が多く存在する。いわき市立美術館の現代美術コレクションや郡山市立美術館のイギリス美術コレクションは日本有数である。CCGA現代グラフィックアートセンターはポスターや現代版画などプリント・アートの専門館であり、諸橋近代美術館はダリを始めとする西洋美術の名品を揃える。また喜多方市美術館では毎年「ふるさとの風景」展を開催し、その優秀作品を収蔵している。それに当館のアメリカ美術や福島県出身作家たちの作品を加えて、全体で113点の作品で構成される展覧会となった。
帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展
会期:2011年10月29日-12月4日

 アメリカ・ニューオーリンズのギッター・コレクションは、個性溢れる日本美術のコレクションのひとつとして知られている。1963~65年までの日本滞在を機に、日本美術の蒐集を始めたカート・ギッター氏とイエレン夫人は、禅画をコレクションの中心に据え、さらに円山応挙、伊藤若冲、俵屋宗達、酒井抱一など江戸絵画を代表する画家へと幅を広げることで、一大コレクションを築き上げた。
 この展覧会は、ギッター・イエレン財団の所蔵する日本美術コレクションの中から、近世絵画を中心とする優品を選りすぐり、日本で初めてその全容を紹介するものであった。2005年のハリケーン「カトリーナ」の被害を奇跡的に免れたギッター・コレクションが、今回、ギッター・イエレン夫妻のご英断により、未曾有の震災・原発事故に見舞われているこの福島の地で公開されたことは、本コレクションのもつ数奇な運命を強く印象づける機会となった。