横尾忠則ポスター展
横尾忠則(1936年、兵庫県生まれ)は、第一線で活躍するグラフィック・デザイナー、美術家である。横尾は、高校生時代からポスターを作り始め、地元で注目を集めていた。1960年に上京後、舞踏家・土方巽、劇団状況劇場の唐十郎、天井桟敷の寺山修司、そして作家・三島由紀夫などとの出会いから生まれた、独特なイラストとデザイン感覚にあふれるポスターは、たちまち若い世代の支持を集め、大衆文化を代表する寵児となった。その後、横尾の仕事は絵画や版画、映画といった芸術分野にまで広がっていく。
今回の展覧会では、常に彼の創作活動の中心にあったポスターに焦点をあて、初期作品から最新作ポスター、原画等の資料も含め約400点を展示。作家の原点と全体像を紹介した。
特集展示 没後10年 橋本章展
三重県四日市市に生まれ、満洲で応召後、福島に定住した洋画家、橋本章(1919-2003)。戦後精力的な活動を展開し、2003年7月1日、当館での回顧展開催中に急逝したが、ユーモアと諧謔にみちたその作品世界は、今なお生きることの意味を投げかけている。橋本は第二次大戦後福島に定住し、自由美術や主体美術などの団体展に出品しながら、福島在住作家を中心とした集団個展を仕掛け、県内前衛の旗手でもあった。本展では没後10年を機に、当館所蔵・寄託作品を中心にその鮮烈な足跡を振り返った。
若冲が来てくれました プライス・コレクション 江戸絵画の美と生命
伊藤若冲をはじめ、曽我蕭白や長沢芦雪、酒井抱一など江戸時代を代表する画家の名品の数々で世界的に知られるプライスコレクション。その美しく生命の輝きと喜びに満ちた江戸絵画が、震災で被害に遭われた方々、とりわけ未来を担う子どもたちの心の支えになればというプライス夫妻の強い思いにより、本展は実現された。《花も木も動物もみんな生きている(鳥獣花木図屏風)》をはじめとする動物たちを描いた作品のほか、季節の移り変わりのなかで自然がみせる一瞬の表情をとらえた作品、ユーモアあふれる作品など、コレクションのなかから選りすぐりの100点を展示。
また、プライス夫妻の熱意に賛同された独立行政法人国立文化財機構の各館(福島会場では東京国立博物館、京都国立博物館、東京国立近代美術館)、宮内庁(三の丸尚蔵館、正倉院事務所)、およびMIHO MUSEUMからも所蔵作品が出品された。
ホセ・マリア・シシリア 福島・冬の花
スペインの現代アートシーンでひときわ異彩を放つアーティスト、ホセ・マリア・シシリア(1954年マドリード生まれ)。数年前から彼の芸術的探求は、自分の関心の対象物が発する「言葉」の解読に向けられている。
「福島・冬の花」展は、2011年3月に東北地方沿岸を襲った津波の様々な音を元に作り出された作品で構成された。シシリアは、津波発生時に大洋で記録された音声データや避難放送のメッセージ、鳥の音声などを解析することで、絵画やオブジェ、インスタレーションなど、多様な表現形態、技法、外観の作品を生み出した。さらに本展覧会では、東北地方の被災地の学校でシシリアが児童を対象に開催したワークショップの作品もあわせて紹介した。なお本展は「日本スペイン交流400周年」の一環として、スペイン政府、スペイン文化活動公社、スペイン大使館の協力のもと開催された。
近代洋画にみる夢 河野保雄コレクションの全貌
福島市の実業家・河野保雄(1936-2013)は、有数の日本近代洋画コレクターである。音楽評論家でもあった河野は、音楽や文芸なども視野に入れた批評眼により、長谷川利行、青木繁、関根正二など、個性あふれる画家たちの作品をいちはやく収集した。1990年から2006年まで、福島市内に「百点美術館」を開き、質の高い絵画を広く公開、さらにコンサートやパーティー、本の出版などを通じて、文化サロンとしても親しまれた。その深い人間愛に貫かれたコレクションは、震災を経た今日にあって、なお輝きを増している。
本展は、河野コレクションを引き継ぎ、まとめて収蔵・受託する、府中市美術館と福島県立美術館が共同で企画した。2013年10月に77歳で急逝した河野が、生涯にわたって収集した400点あまりの作品を一堂に集め、コレクションの全貌に迫った。
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