フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち
会期:2016年4月6日-5月8日

 17世紀オランダ絵画をメトロポリタン美術館(ニューヨーク)、アムステルダム国立美術館などのコレクションから振り返る展覧会。「光の画家」として知られるデルフト出身のヨハネス・フェルメールの《水差しを持つ女》や独特な発想、技法と構図で人気を博したレンブラント・ファン・レインの《ベローナ》をはじめ、オランダ黄金時代を彩ったさまざまな画家たちによる57作品を取り上げた。
 東日本大震災から5年の節目に開催する本展は、県外からも多くの観覧者を集め、風評の払拭に寄与するととともに、福島の子供たちをはじめ多くの県民に本物の芸術に触れ、芸術を通じた心の癒やしと輝きをもたらす機会を提供することになった。なお本展は2015年に京都市立美術館で、翌年森アーツ・ギャラリーで開催された展覧会を東日本大震災復興支援として巡回展示したものである。
よみがえるオオカミ 飯舘村山津見神社・復元天井絵
会期:2016年5月28日-7月3日

 全村避難が続く飯舘村佐須の山津見神社の拝殿が2013年4月に火災で焼失した。拝殿に描かれていた240枚のオオカミを描いた天井絵も焼失したが、このほど和歌山大学、東京藝術大学、NPO法人福島再生の会、福島県立美術館を中心にして復元プロジェクトが立ち上がった。
 本展では、完成した242枚の復元天井絵を披露、さらに飯舘のオオカミ信仰や地域の文化を関連資料によって紹介した。研究者や地元関係者によるフォーラム、復元担当者によるワークショップ等も開催した。
エドワード・ゴーリーの優雅な秘密
会期:2016年7月16日-8月28日

 エドワード・ゴーリー(1925-2000)は、モノクロームの緻密な線描と不思議な世界観で、世界中に熱狂的なファンをもつアメリカの作家である。日本では異色の絵本作家として知られ、ミステリー小説のような物語と、押韻・造語・古語などを駆使したテキスト、そして陰影や背景までもがペンで細かく描かれたイラストで数多くの作品を発表した。
 本展では、各国を巡回した原画展に、ゴーリーの愛好家である濱中利信氏のコレクションを加え、貴重な原画・書籍・資料など約350点を日本で初めて展示。ゴーリーの多彩な制作活動に迫る展覧会となった。
被災地からの発信 ふくしま3.11以降を描く
会期:2016年9月10日-10月10日

 東日本大震災とそれに続く原発事故から5年を経て、福島県の美術家たちが少しずつ震災を表現している。本展では、震災とその後の福島の状況をテーマに制作している作家7人の作品75点を展示し、作家たちが現状をどのように捉え、自己の表現に結びつけようとしているかに焦点を当てた。
原安三郎コレクション 広重ビビッド
会期:2016年10月29日-12月18日

 日本化薬株式会社創業者であった原安三郎(1884-1982)氏の本邦初公開となる連作を含む、美麗な浮世絵風景版画展。歌川広重(1797-1858)の晩年の傑作、〈六十余州名所図会〉〈江戸名所百景〉の初摺り揃いは、大きな反響をよび、また葛飾北斎《冨嶽三十六景》、同じく広重不朽の名作《東海道五拾三次之内》、さらに奇才歌川国芳の作品は、教科書でも見た名品として好評を博した。
シリーズGallery F:コレクション再発見

会期:2017年1月21日-3月20日

 「Gallery F」とは、当館のコレクションの中から、今まで紹介できなかった作品や新収蔵・寄託作品を取り上げ、あるいはテーマを絞って掘り下げる小さな展覧会を意味する。今年度は五つのGallery Fを二期に分けて開催した。
 第一期では、戦後郡山を中心に活動した洋画家・鎌田正蔵と、大正期に活動した白河市出身の関根正二を取り上げた。
 第二期では熊本県出身の版画家・秀島由己男と、高橋由一が栃木・福島・山形の道路を記録した《三県道路完成記念帖》を取り上げたほか、今年度に制作した鑑賞用補助教材「福島県立美術館アートカード」を使って、福島第四中学校の生徒たちが展示を考えた「福島四中からの発信・しあわせアートプロジェクト」を開催した。