佐藤玄々(朝山)の彫刻/福島の作家・福島の風景

会期:2021年5月22日〜6月20日

 収蔵作品を活用した特集展示として、2つのテーマ展を開催した。
 佐藤玄々(朝山)の彫刻:相馬市出身の佐藤玄々(朝山)は近代日本を代表する彫刻家の一人。今回は横井美恵子コレクションから、令和元年度に新たに寄贈された《牝猫》《銀鳩》《蜥蜴》などを中心に約20点を紹介した。
 福島の作家・福島の風景:近年当館のコレクションに加わった作品から、酒井三良、黒沢吉蔵、吉井忠、緑川宏樹、瀬戸正人らの日本画、洋画、写真、陶芸作品を紹介した。あわせて、2021年1月に90歳で逝去した彫刻家橋本堅太郎と、同年7月に逝去した三浦哲往の作品を追悼展示した。

ミネアポリス美術館 日本絵画の名品展

会期:2021年7月8日〜9月5日

 ミネアポリス美術館は、アメリカ中西部の大都市ミネアポリスに1883年設立された。開館当初から日本美術を収集し、3000点からなる浮世絵コレクションをはじめ、質量ともにアメリカ有数の日本美術コレクションを有することで有名である。本展は伊藤若冲をはじめ、葛飾北斎の浮世絵など江戸絵画を中心に、その優れたコレクションの一端を紹介する展覧会。晩年を福島県三春で過ごした雪村や、会津ゆかりの浦上春琴、白河ゆかりの谷文晁の作品などが里帰りした。コロナ感染症の拡大時期であったが、万全の対策のもと多くの来館者があり、フォーラム福島やアオウゼとの連携企画なども盛況であった。

THE ドラえもん展 FUKUSHIMA 2021

会期:2021年9月23日〜11月23日

 1970年に藤子不二雄が発表した漫画「ドラえもん」は、アニメにもなって日本中の子供の人気者となった。本展は、国民的キャラクター「ドラえもん」をモチーフに、「あなただけのドラえもんを作ってみてください」という呼びかけに応えた現代アーティスト28組の46点で構成された展覧会である。村上隆、奈良美智、蜷川実花など、現代美術のスーパースターたちや注目の若手作家たちが熱い思いをこめて作った1点しかないドラえもん作品が並んだ。現代アートの楽しさにふれる格好の入門展であり、その魅力を家族連れや若年層の来場者に広く伝えられ、開催の意義を果たすことができた。

瀬戸正人 記憶の地図

会期:2021年12月4日〜2022年1月30日

 瀬戸正人(1953- )はタイ国ウドーンタニ市に、日本人の父とベトナム人の母のもとに生まれ、1961年に父の故郷である福島県の梁川町に移り住んだ。高校卒業後、上京して写真を学び、1996年には特異な視点で都会に生きる人々を見つめた〈Living Room, Tokyo 1989-1994〉〈Silent Mode〉で第21回木村伊兵衛写真賞を受賞。また2021年には第37回写真の町東川賞国内作家賞を受賞するなど、日本を代表する写真家の一人として国内外で活躍している。本展では、デビュー作〈バンコク、ハノイ1982-1987〉、初期から震災後までライフワークとして撮り続けてきた〈Fukushima〉、最新作〈Silent Mode 2020〉までを展示し、瀬戸の「記憶の地図」を辿った。
 また瀬戸は、自ら運営するギャラリー〈Place M〉で2000年から写真のワークショップ「夜の写真学校」を始め、多くの参加者と写真に向き合ってきた。本展関連事業として8月から「瀬戸正人写真学校in福島」を開校し、写真を撮ることとは違った、もう一つの瀬戸の写真との向き合い方を紹介し、体験してもらった。

福島アートアニュアル2022 かたちが生まれるとき─吾子可苗・黒沼令

会期:2022年2月8日〜3月6日

 福島県立美術館では開館以来、福島県出身・ゆかりの若手作家を紹介する展示事業を継続的に開催してきた。「福島アートアニュアル」は、近年充実した創作活動を繰り広げており、これからさらなる活躍が期待される、福島の若手作家を紹介するシリーズ企画である。第1回展となる今回は、漆芸家の吾子可苗(北海道生まれ、会津若松市在住)、彫刻家の黒沼令(岩手県生まれ、郡山市在住)の2名を取り上げ、彼らの作品を通して福島のアートの現況を紹介した。