カテゴリ:常設展
トークイベント「宮崎進(みやざきしん)の作品を語る」を開催します
トークイベント「宮崎進の作品を語る」
2月9日(日)14:00~ 常設展示室B
講師:宮崎とみゑ氏(作家遺族)
赤松祐樹氏(多摩美術大学美術学部非常勤講師)
黒川創氏(作家)
司会:荒木康子(当館学芸員)
現在、常設展示室Bに宮崎進(1922-2018)の作品17点を展示しています。
展示をして間もなく、いい画家さんだけれど今まで知らなかった、という声を聞きました。
まずは宮崎進について簡単にご紹介しましょう。
宮崎進は、山口県徳山市に生まれました。13歳の頃、絵の手ほどきをしてくれた画家・前田米蔵と共に、芝居小屋の一座の巡業に同行しながら舞台美術を手伝う経験をしました。1939年に上京し、日本美術学校油絵科で学びます。42年に応召。45年の終戦を満州で迎え、その後4年間シベリアに抑留されました。
49年に帰国後、東京での生活の合間に北陸、東北、北海道などを放浪し、絵を描き続けます。67年《見世物芸人》(東京国立近代美術館蔵)で第10回安井曾太郎記念賞を受賞。その頃、旅芸人や祭りの作品を多く描いています。76年からは多摩美術大学で教鞭をとりました。
80年代に入ると、画面から具象的要素はだんだんと消え去ります。シベリアで馴染みのあったドンゴロス(麻布)が直接張り付けられ、画面は抽象的な方向に向かいました。
94-95年の「宮崎進展」(下関、笠間他を巡回)で、50年代に描いたシベリアをテーマにした作品を初めて発表します。やがて宮崎の中で拭いされないシベリアがより一層力強く表現されるようになっていきました。
2004年には第26回サンパウロビエンナーレ日本代表として出品。「シベリアの声」というタイトルで展示をしました。
亡くなるまで、描く意味を問い続けた美術家でした。
当館は、作家の遺志に基づき、2018年度、東北、福島の風景、旅芸人や祭りを描いた作品19点をご遺族からご寄贈いただきました。今回の展示は、それらを初めてご紹介する機会となります。
この展示と関連して、2月9日日曜日トークイベントを開催します。
お三方にお話しいただきます。
ご遺族の宮崎とみゑさんは、間近で宮崎の姿を見つめてこられました。
赤松祐樹さん(多摩美術大学非常勤講師)は、山口県の周南市美術博物館学芸員時代に「宮崎進展 生きる意味を求めて」展を担当したご経験があり、また現在も資料整理に携わっておられます。
黒川創さんは、晩年の宮崎とも親交があり、宮崎をモデルにした人物も登場する小説を2月に刊行予定だそうです。2019年度大佛次郎賞を『鶴見俊輔伝』で受賞された作家です。
1時間程度ですが、宮崎進にとって東北とは何だったのか、そしてシベリアとはなど、いろいろお話をお聞きしたいと思います。
常設展観覧券をお求めの上、展示室Bまでお出で下さい。
皆様のお越しをお待ちしております。