2018年7月の記事一覧
館長講座第2回目
7月21日(土)、本年度の館長講座第2回目が行われました。
今年と来年のテーマは「古典に帰れ ─西洋美術の巨匠たち─」。2年間かけて、初期ルネサンスからロマン派までの西洋美術史の流れを辿ります。
第2回目では、ピエロ・デラ・フランチェスカ、マンテーニャ、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチを取り上げました。
各作家の代表作品をスライドに映して、描かれた場面の意味や、描き方に関してどこが革新的な点なのか、分かりやすくお話ししていきます。
近代以降の絵画とは異なり、古典作品は内容を理解するのに知識を必要としますが、それだけに「意味を読み解く」楽しさがありますね。
次回の講座もルネサンス期を扱い、ラファエロ、ミケランジェロ、ティツィアーノ等について解説します。
日時の詳細は以下の通りです。
日にち:9月15日(土)
時間:10:30~12:00
場所:美術館講義室(定員約40名、聴講無料)
*本年度は事前申込を不要としていますので、聴講ご希望の方は直接会場までお越しください。
みなさまのご参加をお待ちしております!
嵐山光三郎氏×南伸坊氏「安西水丸さんのこと」
14日、嵐山光三郎氏と南伸坊氏による講演会「安西水丸さんのこと」が開催されました。250席の会場は満席です。
安西水丸さんと公私ともに親しくおつきあいのあったお二人に、水丸さんとの思い出、お人柄、関係のあった人々のことなど、たくさんお話しいただきました。
まさしく現代の文化を創り出されてきたお二人の楽しく、そして深いお話に、皆さん聴き入っていました。
写真は、講演会での一コマ。水丸さんのはじめての個展に出品されたという貴重な作品を嵐山先生がお持ちくださいました。
その裏には、当時南先生が書かれた展覧会評の記事が貼られており、それを読みあげています。
このように終始楽しい雰囲気で講演会は進みました。
水丸さんは、はじめ会社に勤めデザインの仕事に携わっていましたが、29歳のとき入社した平凡社で嵐山氏に出会います。
嵐山氏のすすめで漫画雑誌『ガロ』に漫画を掲載しますが、このとき『ガロ』の編集を務めていたのが南氏でした。
水丸さんのデビューにはこのお二人が深く関わっていたのです。
この時代『ガロ』には多くの才能が集まりましたが、そうした人々のことも交えながら、
時代をリードしていく文化が生まれる過程を、当事者であるお二人にお話しいただくという、なんとも贅沢な時間でした。
楽しいお二人のお話に会場からはたびたび笑い声もおき、あっという間の1時間半でした。
嵐山先生、南先生、ありがとうございました!
14日講演会「安西水丸さんのこと」について
明日14日(土)14:00~15:30、嵐山光三郎氏と南伸坊氏による講演会「安西水丸さんのこと」を福島県立美術館講堂で開催します。
開場は13:00です。お電話で予約された方は、講堂前の受付にてお名前を仰っていただきますようお願い申し上げます。
おかげさまで満席となり、当日は混雑が予想されます。なるべくはやくに受付のうえ、講演会が始まる15分前には会場へお入りくださいますようご協力をお願い申し上げます。
また、駐車場には限りがございます。できるだけ公共交通機関をご利用くださいますようお願い申し上げます。
なお、申し込みの受付は終了し、当日のキャンセル待ちの受付もございません。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
「イラストレーター 安西水丸」展 始まりました!
「イラストレーター 安西水丸」展が始まりました!
安西水丸(1942-2004)は、1970年代より多方面で活躍したイラストレーターです。
村上春樹氏とのお仕事や、名作『がたんごとんがたんごとん』や『ピッキーとポッキー』などの絵本がよく知られています。
また、絵を描くだけでなく、小説やエッセイも手掛けました。
今回の展覧会では、そうした水丸さんの生涯のお仕事の全貌をイラストレーションの作品を中心にご紹介しています。
入り口の壁には水丸さんの言葉が。 生涯にわたり「その人にしか描けない」「魅力のある絵」を目指しました。
皆さん、真剣に、そして楽しげにご覧になっています。
当館の重要な収蔵作家のひとりに、アメリカの作家・ベン・シャーンがいますが、水丸さんも大きな影響を受けています。
そうした学生時代の作品や、少年時代に描いた絵(とてもお上手です!)なども展示しています。
また、水丸さんの制作方法についても、実際にお使いになっていたパントーンの切り抜きや映像とともにご紹介しています。
公私ともに深いおつきあいのあった、嵐山光三郎氏、村上春樹氏、和田誠氏ら3氏とのお仕事についてのコーナーもあります。
そして、最後には、あの本のあのシーンが大きくなって登場です! ぜひ一緒に写真を撮ってくださいね。
グッズもたいへん充実しています。どれもこれもかわいいです。
なお、図録をお買い上げの方、先着100名にポスターをプレゼントしています。
ぜひお越しくださいませ。
2018コレクション展Ⅱ 開催中
いよいよ夏がやって参りました。暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
美術館では、先週ポーラ美術館展が終了し、来週末からは安西水丸展が始まります。
その合間の先日、常設展の展示替えをしました。 展示を簡単にご紹介いたしましょう。
展示室に入ると、その涼しさ、また夏の日本画の美しさにほっとします。
池田遙邨《大漁》、酒井三良《水郷の一日》、速水御舟《女二題》、安田靫彦《茶室》などを展示しています。
暑さに参っていた心がすうっと静まります。
奥には伊砂利彦と柚木沙弥郎の型絵染。
伊砂利彦の作品からは自然の音や音楽がきこえてくるようです。柚木沙弥郎の作品からもリズムを感じます。
展示室Bでは、今年亡くなられた保田春彦氏を追悼して《季節の残像》シリーズを展示しています。
まるで家々の間を散歩するように巡りながらご覧いただけます。
洋画は、田渕安一、針生鎮郎、橋本章、深沢軍司、村上善男、高橋幸之、高橋克之、玉川信一、佐藤幸代など。
また、いつもの関根正二も展示しています。今回は《神の祈り》など。
展示室Cはベン・シャーンとヤノベケンジのコラボレーション。
第五福竜丸事件に取材したベン・シャーンの《ラッキードラゴン》と、ヤノベケンジの《ラッキードラゴン構想模型》。
舟の上では、東日本大震災後の2011年8月に開催したワークショップ「トらやんの空飛ぶ方舟大作戦」の映像が流れます。
今回はさらに一般財団法人ふくしま自然エネルギー基金より《サンチャイルド1/10模型》をお借りし展示しています。
サンチャイルドはベン・シャーンのラッキードラゴンのほうを向きつつ、上を向いて未来を見つめています。
東日本大震災に際し、ヤノベさんからは大きな力をいただきました。今度はヤノベさんの地元大阪へ福島からエールを送ります。
大阪北部地震で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
最後の展示室Dは版画の展示。
斎藤清は1950年前後の女性像。《凝視(花)》に至る試行錯誤をみてとることができます。
前川千帆は《野外小品》より。勢いよく彫刻刀でかたちを彫りだしていきます。
コレクション展Ⅱは10月14日まで。途中一部展示替えを行います。
ぜひご覧ください。