2016年7月の記事一覧

県立図書館でエドワード・ゴーリー展の関連展示やってます。

「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展はおとなりの県立図書館との連携企画です。

図書館では、ゴーリー関連図書を展示し、貸出しています。
ご紹介しましょう。

 

まずは美術館でも展示しているゴーリーの本。

なんと全部貸し出し中でした。展覧会場にも最後に読書コーナーがありますので、そちらでもご覧いただけます。

 



ここから先が図書館ならではの展示。もっと深くゴーリーを知りたい人のための参考図書になっています。

まずはゴーリー自身が好きだったという作家たち。

18世紀のイギリスの小説家、ジェイン・オースティン。


『源氏物語』を書いた日本の作家、紫式部。



イギリスの推理小説家、アガサ・クリスティー。



19
紀フランスの画家、版画家、挿絵も描いたギュスターヴ・ドレ。



20
世紀ドイツのシュルレアリスムの画家、マックス・エルンスト。



19
世紀イギリスのナンセンス詩人で画家、エドワード・リア。

『不思議の国のアリス』のルイス・キャロル。これに挿絵をつけたジョン・テニエル。

神秘的で静寂な絵画を描いた20世紀の画家、バルチュス。


 

ゴーリーを愛した人々で紹介されているのは、

『ムーミン』の作者として知られる、作家で画家のトーベ・ヤンソン。

ヤンソンにはゴーリーに捧げた短編もあります。

 


美術館と図書館は隣どうし。外に出ないで移動できます。

展覧会と併せて、是非お出かけ下さい。

コレクション展Ⅱ 版画作品のご紹介―斎藤清・清宮質文

コレクション展Ⅱについて、今回は版画の展示をご紹介します。

常設展示室Aでは、斎藤清の特集展示として、《凝視》や《会津の冬》シリーズなどの代表作を展示しています。

今回は版画だけではなく墨画もあり、その表現の違いを比べてみることもできます。
版画は展示替えがあり、現在の展示は8月25日まで。
8月26日からの後期には、《競艶》などが出る予定です。

また、展示室Dでは、清宮質文の版画とガラス絵を展示しています。

その深く澄んだ世界は、観る人の心に静かな涼やかな風をはこんできます。
こちらも展示替えがあり、清宮の展示は8月25日まで。
8月26日からは木口木版を展示する予定です。

そろそろ梅雨も明け、いよいよ夏本番。
斎藤清の《会津の冬》、清宮質文の作品と、涼みに美術館へいらしてはいかがでしょうか。

 

講演会「エドワード・ゴーリーを見る/読む/訳す楽しみ」

展覧会がオープンして三日目の718日、ゴーリー本のほとんどを訳されている柴田元幸先生にご講演をいただきました。ゴーリーのTシャツにスニーカーという出で立ちと気さくなお人柄。とても和やかな雰囲気の中で時間が過ぎていきました。

その時の様子を、ご紹介しましょう。

 

お話しは、ゴーリーが仕事を始めたばかりの1950年代から始まりました。

タブルデイ出版のブックデザイナーになったゴーリーは、人文系の良書を揃えた人気ペーパーバック・シリーズ、アンカー・ブックスの装幀を手がけました。例えばH.G.Wellsの『The War of the Worlds』、Thomas SzaszThe Age of Madness』など。柴田先生も、学生時代、ゴーリーの装幀とは知らずに手に取ったとおっしゃっていました。

 

そののち、1950年代、60年代前半にはゴーリーの代表作が出そろいます。

中でも一番有名なのは『ギャシュリークラムのちびっ子たち』。アルファベットブックですが、子どもたちが次々と悲惨な目にあうお話。「絵本とはこういうものだ」という固定観念に飽き飽きしていた人たちに解放感を与えました。ご自分にとってもそういう本だったそうです。


『うろんな客』も人気の絵本。先生は、ゴーリーファンの方が手作りされたぬいぐるみの「うろん君」を持ってきて下さいました。かわいい、愛すべき「うろん君」でした。

このお話のある一つの解釈を、先生は本の後書きの中で紹介しています。「うろん君」は子供という存在そのものであると。しかしそうではない読み解きもあるのではないか。例えば、本の扉に描かれた、風にマフラーをたなびかせて外から窓の中をじっとのぞき込む「うろん君」。自分には入り込めない暖かい団らんの風景を、寒い外からじっと見つめているのかもしれません。「マッチ売りの少女」のように。であれば、ここから始まるお話は「うろん君」の空想の物語だということになります。
でもこれも一つの解釈。いい物語は読む人によっていろいろな読み方が可能なのです、と柴田先生はおっしゃいました。

 

1973年、『アンフィゴーリー』という本が出版されます。これまでなかなか広く読まれることのなかったゴーリーの本が15冊まとめられ1冊の本になりました。ゴーリーは次第にファンを増やしていきました。

そして80年代、アメリカのテレビ番組「ミステリー!」のタイトルアニメを手がけたのがゴーリー。これはとても人気の番組で、多くのアメリカ人は、ゴーリーのことを「あのミステリー!の人」として知っているそうです。これはYouTubeでも見られるので、是非チェックして下さい。

 

その後、まだ翻訳が出版されていない本を朗読して下さいました。

アメリカで一番人気があるという『The Curious Sofa 奇妙なソファ』。

先生お気に入りの『ジャンブリーズ』(これはすでに出版)。

ゴーリーを売れない時代からずっと支持してきたアンドレアス・ブラウンが一番好きな『The Remembered Visit 思い出した訪問』。

今年出版されるという『僕たちが越してきた日からそいつはそこにいた』。

最後にライブ翻訳『Jack the Giant Killer 巨人殺しジャック』。

 

講演後には大サイン会になりました。1時間近く、皆さんに丁寧にサインをしていただきました。

 

朗読をお聞きするのも楽しかったですし、たっぷりとゴーリーの世界に浸ることができた、とても幸せな時間でした。

 

本当に有り難うございました!

受講者募集中です!

わんぱくミュージアム「ものの表面採集をして、描いてみよう」
の参加者を募集しています!

日時:7月31日(日)10:00~15:00 ※お昼休憩をはさみます
対象:小学生~高校生 40名程度
講師:海老塚耕一氏(美術家、多摩美術大学教授)
会場:美術館エントランスホール
参加費:無料
美術館の外や中にある壁や床、植物や道具などさまざまなものの表面(デコボコ)を集めて、不思議な絵を描いてみましょう!

★海老塚先生からのメッセージ★
 ものはとってもおしゃべりなんだ。いろいろなものにふれたなら、それはそれは、たくさんのことばをきくことができるんだ。
 そんなもののおしゃべりを聞いて、集めて描いたら、どんなにすてきな世界が生まれるだろう、ね、そう思わない?

申し込みは、電話(024-531-5511)もしくはHPの申し込みフォーム、美術館総合受付にて、受け付けております。
ぜひお申し込みください!※HPは29日、それ以外のお申し込みは30日まで受け付けます。




新収蔵・石原コレクション

学生の皆さんは夏休みですね。
昨日から、美術館の外では、スマホをかざす学生さんの姿が多くみられるようになりました。
スマホはポケットのなかにしまってから、ぜひ美術館のなかへもお越しください。
2階常設展は高校生以下無料です!

2階常設展示室で開催中のコレクション展Ⅱについて、
今回は、新収蔵の石原コレクションについてご紹介します。

石原コレクションは、横浜市の会社経営者、故・石原巌氏が蒐集されたコレクションです。
福島県に深いゆかりのあった石原氏のご意志を受けて、このたび94点もの作品をご寄贈いただきました。
今回はそのうちの一部、ロダンをはじめとする彫刻と、シャルル・デスピオなどの素描を展示しています。



来期はさらに展示スペースをひろげて、引き続き石原コレクションの名品の数々をご紹介していく予定です。
どうぞお楽しみに。

明日、フォーラム福島連携企画

明日、7月23日(土)13:00から、福島市内映画館のフォーラム福島との連携企画として、映画会を開催します。
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福島県立美術館「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展 連携企画 「國民の創生」特別映画上映

●日時:7月23日(土)13:00~
●前売券1,000円(150名限定)
県立美術館で開催する「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展(7/16-8/28)では、モノクロームの緻密な線描と不思議な世界観で人気を集めるアメリカの作家、エドワード・ゴーリー(1925-2000)をご紹介します。日本で絵本作家として知られるゴーリーは、サイレント映画への造詣が深く、彼の作品の中には本映画の主演女優、リリアン・ギッシュに捧げられたものもあります。ゴーリーが魅了され、時に創作のヒントにもなったD.W.グリフィスの映画の世界を、ぜひごゆっくりお楽しみください。
(福島県立美術館学芸員 白木ゆう美)
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・監督:D・W・グリフィス  ・出演:リリアン・ギッシュ/ジョゼフ・ヘナべリ
[1915年/アメリカ/1h55]
・上映協力:国立近代美術館フィルムセンター
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http://www.forum-movie.net/fukushima/

(フォーラム福島HPより掲載)

フィルムでの上映です。なかなか映画館では見られない映画ですので、是非皆さまご来場下さい。




エドワード・ゴーリー展始まりました。

エドワード・ゴーリー展始まりました。

 

先週土曜日に、「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展がオープンしました。

 

エドワード・ゴーリーは、アメリカの絵本作家(1925-2000)。絵本といっても、子供というよりはどちらかというと大人向けのシュールで不思議な世界観を持った絵本です。

ちょっとマニアックな雰囲気はありますが、ゴーリー独特の謎めいた絵画世界に魅了されたファンは世界中に数多くいて、各国語に翻訳されています。

 

この展覧会は、そんなゴーリーの世界を150点を超える原画、スケッチ、そして書籍、ポスター等の印刷物などを合わせて370点あまりでご紹介する日本で初めての回顧展です。

 

なんといっても、細かく繊細な黒い線が魅力。本物の線はやっぱり違います!本当に!

少しテカリのある黒いインクの線には深みがあって、それは印刷とは全く違った力強さです。そのエッジの効いた線が生み出す不可思議な空間は、私たちをどこか別の世界へと連れて行くのです。

 


これこそ、本物の魅力。ゴーリーを本で知っていた人も是非ご来場下さい。

お待ちしております!

館長講座「みちのくの美―その源流を巡る旅」

本日開催された館長講座。

会場は、聴講者の皆さんでいっぱいになりました。


第二回目の今日は秋田編。

秋田蘭画の佐竹署山や小田野直武、そして日本画の平福穂庵・百穂親子、

寺崎廣業、福田豊四郎など、新しい美術の表現を追求した秋田出身の

芸術家たちにスポットを当てました。






次回は9月17日(土)「岩手編」です(聴講無料)。

皆さんのご参加をお待ちしております。

荻生天泉特集

コレクション展は、一週間ほどのお休みの期間に展示替えをしました。
第II期は、特集が二つあります。

その1、没後70年・荻生天泉特集 (展示室A ;斎藤清の展示とシェア)
その2、石原巌コレクション (展示室B;「草木のある風景」の展示とシェア)

今回は荻生天泉特集をご紹介!
福島県二本松市出身の日本画家、荻生天泉(1882-1946)は、橋本雅邦に師事し、東京美術学校に学んで文展、帝展で活躍しました。
没後70年の今年、天泉の作品と、明治末〜大正時代の画家たちをあわせて展示し、その画業を振り返ります。

荻生天泉 《待宵》1925年 第3回日本画会展出品/ 《書聖》(藤原行成) 1935年 日本画会昭和10年展出品 県立図書館蔵/《花卉虫鳥類写生図巻》1921年 など。

7月9日〜10月10日まで展示しています。



実技講座 ~大堀相馬焼をつくる 2日目絵付け〜

7月2日㈯は、「実技講座 大堀相馬焼をつくる」の2日目「絵付け」を行いました。
 
講師:半谷さんの窯で素焼きをしていただいた受講者それぞれの器に絵付けをしました。

絵付けに先立ち、半谷さんから筆の使い方や絵の具ののせ方など、絵付けのコツを学びました。

受講生の皆さんは、大堀相馬焼の代表的なデザイン「走り駒」や、前もって考えてこられた模様など、
思い思いのデザインを器に描いていきました。





絵付けの後は、釉薬(ゆうやく)をかけて、本焼きをしてもらいます。
完成が楽しみですね。