2016年11月の記事一覧
広重展一万人&展示替え&地震!
11/21 休館日に展示替えをしました。今回は通期展示の作品4点と資料等をのぞき、作品が総入れ替え!
それから、一部のお客様から「パネル解説低すぎ」「展示室が暗い」という声がありましたので。照度はかえずに、ライトの角度をすこし上向きにして、部屋を明るく見えるようにしました!
パネルも若干上めにしましたので、前期より見やすくなったかもしれません。
ところが!
翌朝地震がありました。広重展は何も異常はありませんでしたが、福島市は震度4。
(もっと大きい感じがしましたよね)
2階常設展の彫刻をのせた免震台が作動しました。
こうしたことは、ないにこしたことはありませんが、実際に作動するところを見たのは今回が初めて(東日本大震災の時は免震台が設置されてなかった)。
もうこれ以上大きな地震はないといいなあ。
そうこうしているうちに、11/25には広重ビビッド展の入場者が1万人をこえました。折り返しをすぎて、平日でも混み合う時間帯が増えています。
お天気の悪い日の方が狙い目だったりして。
お天気が悪くても、熱心に鑑賞くださるお客様が思いのほか多くいらっしゃるのには本当に頭が下がります。
HY
コレクション展Ⅲご紹介 その3
まずは河野保雄コレクション。
福島市の実業家・故河野保雄氏が蒐集されたコレクションから、洋画を中心に展示しています。
小ぶりながらどれも宝石のようなきらめきを放つ作品たちです。
石原コレクションはⅡ期から内容を変えて展示しています。
ロダンなどの彫刻のほか、小磯良平の版画や佐藤忠良の素描など。
1階の企画展示室で開催中の広重ビビッド展は今週から後期展示が始まり、2階常設展の版画も先週展示替えをしました。
あらたな魅力を発見に、ぜひご来館くださいませ。
館長講座「みちのくの美-その源流を巡る旅」第4回 山形編
11月19日(土)、当館講義室にて館長講座を開催しました。
今年度は、「みちのくの美-その源流を巡る旅」ということで、青森から福島に至る東北地方の近代美術を中心にご紹介しています。
第4回は「山形編」です。
山形県では、美術の分野でどのような作家が活躍し、どのような作品が生み出されたのか、各作家とその作品について画像を映し出しながら紹介しました。
今回は、画家の菅原白龍、小松均、今野忠一、福王寺法林、高橋由一、椿貞雄、真下慶治。
そして彫刻家の新海竹太郎、新海竹蔵、桜井祐一、吾妻兼治郎・・・計11名の作家を取り上げました。
次回、「宮城編」は1月21日(土)、10:30~12:00まで開催いたします。
広重展特設ショップ
広重、北斎、国芳の作品をつかった展覧会グッズがいっぱい!
ショップの方にうかがったところ、
「一番の売れ筋は、クリアファイルですね」とのこと。
ねこグッズ…。
こっちはルービックキューブみたいなふしぎな浮世絵キューブ。
こちらのショップも広重ビビッド展と同じ9:30〜17:00の営業です。
残念ながら通信販売はできませんが、ショップのみのご利用は入場券がなくても大丈夫!! 人気商品は売り切れのおそれもありますので、お早めにどうぞ!
(※一部、展覧会出品作でないグッズも含まれています※)
以上、グッズ情報でした。(HY)
わんぱくミュージアム「キラキラつやつや七宝焼きバッジに挑戦!!」
11/13(日)の午前と午後、2回にわたり、
今回は小学1年生~6年生まで、23名の子ども達が参加してくれました。
七宝焼きとは、簡単にいうと金属の土台(銅板)に、
まずは丸か楕円のかたちの土台を選び、どんなバッジにしたいか、
あまり細かい模様は難しいですが、
どんどんアイディアが浮かぶのか、もう一枚描く!
スケッチが終わったら、お気に入りのひとつを選びます。
いよいよ一番難しい作業へ。考えた絵柄に沿って、ガラス絵の具を選び、
子ども達は、透明色(すける色)、不透明色(はっきりした色)を使い分けながら、丁寧に土台の上にのせていました。
のせている時の表情はみんな真剣!細かい模様にした子も、慎重にホセを動かしながらガラス絵の具をのせていました。
完成すると、スタッフが800度に熱した電気がまで焼きます。
かまの小さな窓から、ガラスが溶ける様子を見てもらいました。
焼き上がった熱々のバッジ。焼きたては絵の具の状態と全く色が異なります。
子ども達はどきどきしながら作品が焼き上がるのを待っていました。
バッジが冷めたら縁をやすりで削り、後ろにピンをつけます。
キラキラでつやつやの、世界にひとつだけのバッジが完成しました!
参加して下さったみなさま、お手伝いいただいたみなさま、ありがとうございました!
「触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ」開催
福島県立美術館では、2012年から毎年1回、視覚障がい者の方々とコレクション作品を鑑賞する「視覚障がい者のための美術鑑賞ワークショップ」を開催してきました。回を重ねるごとに、「今度はこういうのをやってみたらどうだろう?」というようなアイディアも出てきて、今年は見えない人と見える人一緒に作品を鑑賞するワークショップに挑戦することになりました。タイトルは「触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ」。
新しい試みでしたので、いろいろな方々にご協力をいただき、打ち合わせを重ねました。2012年の初回から講師をして下さっている真下弥生さん、半田こづえさん、そして福島県点字図書館の方に加え、県内の視覚障がい者の方、福島市内で活動されている「てつがくカフェ@ふくしま」の世話人の方々。その中で、昨年度新収蔵のロダンの彫刻《影の頭部》《髪をすく女》を鑑賞作品として選び、ワークショップの進め方を話し合ってきました。
11月3日(木・祝)ワークショップの当日。
午前と午後二回開催されたワークショップには、見えない方、見える方合わせて22人の方がご参加下さいました。
その様子をご紹介しましょう。
場所は常設展示室。
彫刻を触察するので、まずは手を洗い、時計やアクセサリーを外し準備をととのえてロダンの彫刻が展示してあるところに集合。
スタッフも大勢いましたし、いろいろな人たちが集まっていたので、まずは自己紹介から始まりました。多分、みんな緊張していたと思います。なんせ初めてのことですから。まずは緊張をほぐしウォーミングアップ。
そして講師の真下弥生さんがこれから鑑賞する作品の制作者、彫刻家のオーギュスト・ロダンについて、いつの時代のどこの作家なのか、どんな作品を作った人なのかをお話しして下さいました。
これから鑑賞する《影の頭部》という作品は、頭部だけなのですが、実はロダンの代表作である巨大な《地獄の門》のてっぺんに置かれた3人の男性の全身像《三つの影》に由来するものだということも紹介されました。
いよいよ鑑賞です。見えない人2人、見える人2人がチームになります。3チームで以下の3つの作品を鑑賞していきました。
ロダンの《影の頭部》と《髪をすく女》。
いずれもブロンズでできています。彫刻ってどうやって作るんだろう、ということを少しわかっていただくために、今回はいわきの彫刻家、髙野正晃さんにご協力をいただき、制作途中の粘土の人物頭部を拝借し、それも触察していただきました。
見えない人から鑑賞が始まります。触りながら、「これは何?」「ここはどうなっているの?」など、見える人と会話をしながら鑑賞を進めました。もちろん見える人も触ってみます。
《影の頭部》では、「目は開いてるの?」「あれっ、閉じてるのかしら?」お互いに対話をすることで、気がつかなかったいろいろなことが見えてきたようです。
鑑賞が終わったところで、「てつがくカフェ@ふくしま」の渡部純さん、小野原雅夫さんがファシリテーターとなり、それぞれが感じたことを共有し、深める場を持ちました。
午前中の「てつがくカフェ」では、どんな話しが出たかご紹介しましょう。
触ることと見ること
見える人:(見えない人から)、このところどうなっているのかと質問されましたが、それは触れるからこそ出てきた質問だと思いました。あらためて自分で触ってみて、彫刻って触ってみると一番いいところが見えるという思いがしました。(視覚障がい者の方は)いつも触っていらっしゃるので感覚が研ぎ澄まされているのだということが伝わってきました。
見えない人:《髪をすく女》は女だということはわかりましたが、果たして髪の毛がどこにあるかわからなかったです。前か後ろかもわからなかった。触ってみて、胸がある、お腹も出てるとかわかりました。手や足を触って、こうなってるから髪は前にあるんだとわかりました。Tさん(見える人)から前にあるんだよ、と聞かなければイメージできなかったと思う。
見える人:鑑賞の最初は、あまりヒントを与えないでいました。全体を触った後にだんだん細かいところをこういう風に触るとわかるわよと。
一緒に鑑賞しながら、見える者が無視しているものがあることがわかりました。例えば継ぎ目。それは鑑賞している時には全く目に入っていませんでした。今回、細かいところも一緒に触って、初めてこういうところもあるんだと逆に教えていただきました。
《影の頭部》の表情について
見える人:口のところがへの字に曲がっているようでした。苦悩というか、恍惚感と言ったらいいか。目のところには安堵感のようなものも感じられましたが、全体として、希望がない、諦念のような世界が表現されていると思いました。
見える人:そういう感じ方と、技巧的にこういう風になっているのだと感じることとは違うのですね。世界観を感じるためにもう一度触ってみたいです。
見える人:普段は眼鏡をかけています。今日は眼鏡を外して目を閉じて触ったのですが、触っての感想は、表情もへったくれもなかったです。《髪をすく女》はそもそも何のことかよくわからない。視覚をシャットアウトして触ってみて、最低限の情報が得られただけだったという感想でした。
伝えるということについて
見える人:障がい者の方は、支援する者の説明を受けながら鑑賞するわけですが、支援する側の資質、感性が非常に重要な位置にあることを感じました。どういう意図を持って感じてもらうのか、大変な課題です。責任重大だというのを感じました。うっかりすると自分の押しつけになってしまうのではないかと。
作品を鑑賞することとは
見えない人:ロダンの彫刻という先入観を持つことで、僕らは何かを感じ取らなければならないと感じてしまいます。私自身は絵や彫刻に対する知識もありませんから、最初からロダンは凄い彫刻家なんだという思いで触る。そうすると、首をかしげていることは何かを意味しているのか、ということばかり考えてしまいます。何でこれを世の中の人が評価するのか、私にはまずわからない。私自身はこれのどこがいいのかなって思う。見えている人は逆にそれがわかるのかな、という思いがあります。街中にある彫刻は通り過ぎてしまうのに、美術館に来た時だけ一生懸命触るというのは何なのでしょう。美術鑑賞するってどういうことなのかな、と思いました。
見えない人:この前モネ展に行ってきました。私も、モネの睡蓮は学校で習うので知っています。でもよくわからなかった。モネの描いた睡蓮だから、みんなお金を出してでも見に行くということがもしかするとあるのかな。
てつカフェ:見えているからちゃんと鑑賞できているのでしょうか。ただ単にモネとかロダンという名前の権威に照らされて、有り難く見ているだけかもしれないし、逆にそういうところから切り離された人の方が言い当ててくれるのかもしれない、という気がします。
美術館への要望
見えない人:作品保存のためなどいろいろな問題で、どうして美術館って暗いのだろうという素朴な疑問があります。段差もあるし、美術館は怖いです。保存などの理由があるのはわかります。わかりますが、でも明るいところで見たいです。それが私の希望です。
見える人:それは私たちも同じです。歳のせいもありますが、暗いですね。
午後の部の様子は、「てつがくカフェ@ふくしま」さんがブログにまとめて下さいました。是非チェックして下さい。
http://blog.goo.ne.jp/fukushimacafe
みなさんと作品鑑賞し、お話しをする中で、見える人、見えない人それぞれに発見があったと思います。そして最後の対話の部分では、鑑賞の本質的な部分にも話しが及びました。また美術館への要望も出ました。どれもすぐに解決できることではありません。答えはありません。これからもまた一緒に考えていきたいと思っています。
皆さま、本当に有り難うございました。
5千人&ギャラリートーク
初日からの入場者が5000人となり、ちょうど5000人目の入場者のお客様に、館長から記念品が手渡されました。
この日はギャラリートーク。
こちらも盛況で、話し手が緊張して「亀戸梅屋鋪」を「梅井戸カメやしき」と言い間違えたのを笑わずに最後まで清聴いただいたのには、とても感謝です。
展覧会も前期はあと10日あまり。
とはいえ、後期もみどころ満載なので、ぜひご期待ください。
展示替 前期:〜11/20(日) 後期:11/22(火)〜12/11(日)
まだ紅葉はのこっています。
明日は晴れるといいなあ。
HY
美術鑑賞講座「イタリア・ルネサ ンス美術散策」の開催日変更のお知らせ
第2回「ローマ編」の開催日は、諸事情により、 以下のとおり変更されました。
期 日 【変更前】 平成28年12月11日(日)
※場所、時間に変更はありません。
すでに予定を立てられていた皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、
何卒ご理解とご協力をお願いいたします。
コレクション展Ⅲご案内 その2
企画展に関連した展示も行っています。
まず展示室Bでは、浮世絵とフランス美術と題して、フランスでジャポニズムが大流行していた時代の作品を展示しています。
印象派とドーミエの版画。
また、展示室Dでは版画の展示。昭和初期の新東京百景と、斎藤清です。
幕末の広重の名所江戸百景は安政の大地震後に、この新東京百景は関東大震災後に恩地孝四郎らによって制作されました。
どちらも大きな変化のあったときに生み出されたということに考えさせられます。
最後は斎藤清。
会津の風景をさまざまな構図から描いています。広重の構図と比べてみるのもおもしろいです。
なお、以上ご紹介した版画の展示は11月17日までです。
18日からの後期は、ドーミエと斎藤清は異なる作品に、
新東京百景は前期でおしまいで、後期は丸山浩司さんと長谷川雄一さんの作品を展示します。
美術館のまわりは紅葉まっさかり。紅葉狩りがてらぜひ美術館におこしください。
県立図書館の広重コーナー
吾妻山もいつの間にか白化粧しています。
美術館の隣には県立図書館があり、美術館の展覧会にあわせて、参考になる本をピックアップしてくれています。
展覧会にあわせて、ちょっと足をのばしてみると、また新たな発見がありますよ!
芸術の秋と読書の秋を満喫できちゃうのです。(HY)