カテゴリ:教育普及
「福島県高等学校文芸研修会」生徒作品を展示中!
9月22日(金)、当館講堂と常設展示室で、「福島県高等学校文芸研修会」が開催されました。
「文芸研修会」は、福島県内の文芸部に所属する高校生を対象に、創作活動の技術力向上や、生徒同士で交流し、
創作技法などについて意見を交換し合うことを目的として開催されています。
今回は、当館の「第Ⅲ期コレクション」の展示作品をみて、詩、短歌、俳句を創作するワークショップが行われました。
〇参加校
東日本国際大学附属昌平高等学校、福島県立会津学鳳高等学校、福島県立安積高等学校、
福島県立安積黎明高等学校、福島県立郡山東高等学校、福島県立須賀川創英館高等学校、
福島県立橘高等学校、福島県立福島西高等学校 8校
〇参加人数
高校1~3年生 38名
はじめに講堂で開会式と、活動の流れについて福島県立福島西高等学校及川俊哉先生から説明がありました。
以下のジャンㇽから一つを選び、作品を作っていきます。
①詩…1篇(20文字20行以内)
②短歌…一首以上
③俳句…一句以上
先生からは、
「いちばんは自分が心動かされる作品について書くこと!」
「作品から感じた感動や書きたいという気持ちを大切にしましょう!」とお話がありました。
さっそく2階にある常設展示室へ。
自由に展示室をめぐりながら、創作する作品を選んでいきます。
感じたことなどをメモしながら、作品をじっくり見てまわっていました。
作品が決まったところで創作へ。
プリントに書いたり、スマートフォンに入力しながら、それぞれ作品を作り上げていきます。
講堂に戻り、次の活動へ。
詩、短歌、俳句のジャンルに分かれて集まり、アイスブレイクと自己紹介をしました。
その後、作品の仕上げをして、グループ内でそれぞれの作品を発表しました。
お互いの作品のいい点についてコメントし合って、みなさん交流を深めていました。
現在、2階常設展示室では、生徒が創作に選んだ作品の近くに、手書きの生徒作品カードを掲示しています。
(一部展示替えに伴いパネルでご紹介しています)
会期は12月27日(水)までです。
生徒達が作品から感じた感動や、ひとりひとりの「書きたい」という気持ちが込められた詩、短歌、俳句をぜひご覧ください。
創作プログラム「歩く花のともだちをつくろう!」を開催しました
美術館の庭園にあるフェルナン・レジェの「歩く花」のリニューアルを記念して、
10月15日(日)に当館実習室にて「歩く花のともだちをつくろう」ワークショップを開催しました。
大自然の中で悠々としている「歩く花」のともだちを作り、一緒に歩かせようという企画です。
ワークショップ当日はあいにくの雨だったため、本物を見に行けませんでしたが、
写真を見て、「歩く花」の大きさや重さなどのクイズを通して鑑賞しました。
「歩く花」のポーズを真似しながら、自分はどんなともだちを作るか考えていきます。
作る形が決まったら、ポーズづくりです。
ペンチで骨組みの手足を曲げてポーズをつくります。
骨組みができたら土台に固定し、紙粘土でどんどん肉付けしていきます。
形ができたらいったんお昼の休憩。
紙粘土が乾くのを待ち、午後からは色塗りに入ります。
おともだちの性格やエピソードなどを考えながら着色していきます。
土台にも色を塗り、土台にビーズや人口芝、貝殻などの好きな装飾をボンドで貼って・・・完成!
しっぽが生えているともだち、姉妹一緒のともだち、海とごみ問題の壮大な物語を秘めたともだちなどができました。
かわいらしいともだちができて「歩く花」も喜んでいるでしょう。
参加者のみなさんありがとうございました。
創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました!
7/29(土)、当館実習室にて創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました。
講師は美術家の對木裕里さんです。
挨拶をしたあと、對木さんから今日の活動の流れと、当館の庭にある《歩く花》についてお話を聞きました。
フランス生まれのフェルナン・レジェがつくった《歩く花》。
この彫刻は、大きさが異なるものもありますが、世界中に何体もあります。
どうして何体もあるのでしょう?
実は「型」を使って作品を作っているんです。
このプログラムでは、実際に「彫刻」をつくりながら、彫刻の謎を解き明かしていきます。
実際に庭に出て、《歩く花》をみんなでみます。
脚の部分に触ったりしながら、作品をじっくり観察。
よくみてみると、細かい線やデコボコがあり、作った時の痕跡が感じられます。
指でコンコン!と優しく叩いてみると、中が空洞になっていることが分かります。
当館にある《歩く花》はとても大きく、高さ6メートル、重さは3トンもあります。
(講座開催後塗り直しがされ、現在は色が鮮やかでピカピカな状態をご覧いただけます)
実習室に戻り、石膏型を作って、自分の指や手を型取りしていきます。
部屋に入ると、早速石膏の準備をしていたスタッフの周りに「やりたい!やりたい!」とみんな集まってきます。
水を入れたボウルに、交代しながら石膏をどんどん入れていきます。
石膏が固まるまでの間に、對木さんから作業の説明を聞きます。
まずは手ではなく、指でお試し!
水でといた石膏を紙コップに入れて親子それぞれに配ります。
型を取る指にワセリンをよく塗り、紙コップの中に指を入れます。
そのままなるべく動かないようにします。
だんだん石膏が固まってきて、温かくなってきました。
石膏は固まる過程であたたかくなるため、「熱い!」と言っている子もいました。
固まってきたところで指を抜きます。
これで型取りの一通りの流れがわかりました。
みんな一息ついて、いよいよ手の型取りに挑戦です!
對木さんからは、「休む手」をテーマにしようとお話がありました。
水を入れたビニール袋を手の下に置き、ポーズを考えます。
指の曲げ具合やビニール袋の水の量によって、それぞれ違ったポーズになります。
決まったところで、粘土板の上にポーズを取った手を置きます。
お母さんやお父さんの手を借りながら、ドロドロの状態の石膏を手にのせていきます。
(後で割り出しがしやすくなるよう、石膏に色をつけています)
ここからはスピードが大事!
水が入ったビニール袋と、手が完全に見えなくなるよう、どんどん石膏をのせていきます。
「冷たーい!」という声も聞こえました。
埋まらなかった部分や石膏が薄い部分を對木さんとスタッフで補充し、ここから手を動かさないでじっと待ちます。
子ども達はなるべく手を動かさないように気を付けます。
しばらくすると、またぽかぽかしてきました。
あと少し!しっかり固まるまで待ち続けます。
對木さんが見て回って、石膏の固まり具合を確認します。
「それでは外してみましょう!」
お母さんやお父さんの手を借りながら、慎重に手を動かし、パカッと手を外していきます。
石膏が入り込んでしまい、なかなか外れない子も!
取れた石膏の内側についたゴミを刷毛で取り除き、離型剤をたっぷり、まんべんなく塗ります。
この時、最初にお試しした指の石膏型にも離型剤を塗っておきました。
自分の手の型が完成しました!!
午前中はここまで。
離型剤を乾かしている間に、お昼の休憩です。
午後の作業のはじまりです。
内側に塗った離型剤が乾いたところで、型に石膏を流し入れていきます。
細かいところまでまんべんなく石膏がいきわたるよう、流し込んだ後に型を動かします。
流し込めたら、固まるまでしばらく置いておきます。
この時、最初にお試しで作った指の型にも石膏を流し込みました。
しばらく待って固まったら、いよいよ割り出しです!
對木さんから割り出しのやりかたを教えてもらいます。
金づちを使って、色がついている型を割っていきます。
みんな真剣です。
自分の作品の割り出しをしていきます。
初めて金づちを使う子もいましたが、みなさん一生懸命作業に取り組んでいました。
作品に残った細かい石膏は、ニードルなど先がとがった道具を使って取っていきます。
最初に作った指の割り出しもしました。
朝から1日かけて一生懸命取り組んだ作品が、完成しました!!
最後は鑑賞会。
みんなにタイトルや大変だったところ、感想などを教えてもらいました。
みんなの「今」の手の姿が作品としてできあがりました!
對木さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!!
創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました
7月16日(日)、22日(土)、23日(日)の3日間、当館実習室にて創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました。
講師は、版画家の安部直人さんです。
安部さんは当館でも作品を収蔵させていただいており、第Ⅱ期常設展示室で作品を展示していました。
銅版画技法のひとつであるメゾチントは、深みのある黒を背景に、細かな明暗の調子が表現できます。
この講座では、ベルソー(ロッカー)を使った銅板の「目立て」から始め、それぞれが考えた下絵を元に、はがきサイズ(10×15cm)の作品をつくりました。
~1日目~
安部さんから技法と3日間の流れ、道具の使い方などについて説明を受けました。
メゾチントは、以下のような技法です。
キズがないきれいな状態の銅板(はがきサイズ)が受講者に1枚ずつ渡されます。
ここに、ベルソーを使って目立てをしていきます。
ベルソーは、櫛のように刃が細かく入っている道具で、ロッカーとも呼ばれます。
これをベルソーの重さを生かしながら、ゆらゆらと横に動かし、少しずつずらしながら傷をたくさんつけていきます。
縦・横・斜め・斜めの4方向に細かい傷をつけていきます。
これを10回やることが目標!と安部さんからお話があり、受講者の方からは「えー!!」と驚きの声が挙がります。
この作業と並行して、安部さんが事前に目立てして準備してくださった5×7.5cmサイズの作品制作を行います。
銅板に下絵を写し、パニッシャーとスクレーパーを用いて製版していきます。
「線ではなく、面で表現する」ことが安部さんからアドバイスされました。
道具を鉛筆のように使わず、なでるように使うのですが、コツをつかむまでみなさん何度も試したり、道具や持ち方を変えたりと、工夫していました。
ある程度製版できたところで試し刷りをします。
版にインクをしっかりつめて、余分な分を寒冷紗などでふき取ります。
版の上に紙を置き、プレス機で刷っていきました。
白くなるようかなり磨いたつもりでも、刷ってみると思ったよりも絵が出てこないことも。
最低1回は全員試し刷りをして1日目は終了。
小さな版を一度製版して刷ってみることで、調子のつけかたや、白くなるように磨く感覚をつかんでいきました。
はがきサイズの銅板の目立て作業は、次回までの宿題とされました。
~2日目~
まずは宿題となっていた目立ての出来具合を安部さんがひとりひとり確認。
みなさん1週間のあいだに、目立て作業に取り組んできてくださいました。
20回やりました!という方も。
目立てが済んだ人から下絵を銅板に写し、製版作業に入ります。
並行して、1日目に作った小さい版の本刷りをしました。
黒インクで刷ってみて、作品によってカラーインクをつめて刷っていきます。
さらに、雁皮摺りをすると、柔らかな黒の調子が出てきます。
小さな版の作品がみなさん完成しました。
はがきサイズの試し刷りをして2日目が終了しました。
~3日目~
講座最終日です!
前日の試し刷りをもとに、それぞれはがきサイズの作品の製版作業を進めました。
版が完成したところで本刷りへ。
部分的にカラーインクをつめる、雁皮を貼って刷るなどして、それぞれの作品を仕上げていきました。
完成した作品に、エディション、タイトル、日付、サインを記入。
全日程が終了しました!
受講者からは、次のような感想(一部)をいただきました。
●目立てをつくる作業がとてもたいへんだったけれど、すべての工程が興味深く楽しかった。
●とても良かったです!充実した3日間でした。ありがとうございます!!
●超楽しかった!!新しい世界がひらけました。
●大好きな愛犬をフワフワにかくことができて大満足です。
●最初どういうものかよく分からずに来てしまい不安だったけど、とても楽しかった!!です!!
目立ては腕がもげるのでは…となるくらいツラかったですが、キレイに色がでたとき、頑張ったかいがあったなと思った。
普段描かない感じの絵ができてよかったです。版画作品をみる際に考えることが変わりそうだと思いました。
講師をつとめていただいた安部直人さん、受講者のみなさん、ありがとうございました!
受講者の作品は、1か月ほど当館のエントランスホールで展示させていただきました。
「アートなおはなしかい」開催しました!
6月17日(土)、おとなりの図書館さんと「アートなおはなしかい」を開催しました。
今回は美術館のエントランスホールからスタート!
まずは図書館さんによる絵本のよみきかせです。
『まほうのえのぐ』林明子
主人公の女の子と様々な生き物たちが絵具を使って絵を描く様子が楽しい絵本です。
『びじゅつかんへいこう』絵:ピーター・レイノルズ、文:スーザン・ベルデ、訳:なかがわちひろ
美術館で作品と出会うことによって生まれる心の変化を描いており、美術館に行ってみたり、絵を描いてみたくなるような絵本でした。
ここからは展示室へ行き、作品を鑑賞しつつ、関連する絵本などを紹介してもらいます。
まずは2階の常設展示室へ。
最初にみたのは、佐藤玄々(朝山)《蜥蜴》1940年代作。
何の生き物かな?
「トカゲ!」「カナチョロ?」「イモリとかヤモリとか…」
この作品は、《蜥蜴》とタイトルが付いていますが、尻尾の長さなどからカナヘビだと考えられます。
(余談ですが、カナヘビのことを県北出身の美術館スタッフも“カナチョロ”と呼んでいます。)
カナヘビは何をしているところなのかな?
「獲物を見てる」「川に流されているんじゃないかな?」
作品をみながら自由に思ったことをお話します。
カナヘビがどんな生き物なのか、知ることができると、もっと色々な想像が膨らむかもしれません。
図書館さんから『かなへび』文:竹中践、絵:石森愛彦 を紹介してもらいました。
絵本の中には、作品とそっくりの体勢で木の上でひなたぼっこしているカナヘビがいました。
作品を見ながら、何をしているところなのかな?と想像してみるのもおもしろいですね。
ここでクイズ!この作品はどうやってできているでしょうか?
「粘土」「下は竹で、上が木でできてる」「プラスチック」…。
子ども達はもう一度作品をじっくり見ながら予想します。
ヒントになる隣の作品を見てみました。
佐藤玄々(朝山)《巣鶏》1920年頃作。
「木だ!」と子ども達から声があがりました。
《蜥蜴》と《巣鶏》は作者が同じであること、実際に木を彫っている様子の写真などを紹介しました。
今日は特別!展示ケースを外し、普段は見られない作品の裏側をみんなでみます。
《巣鶏》はにわとりと2羽のひよこ、それぞれの足が彫られ、色が塗られています。
玄々の作品は、裏側まで彫ってある作品がいくつかあります。
ここで、図書館さんからにわとりの親子をテーマにした絵本をよみきかせしてもらいました。
『ロージーのひよこはどこ?』作:パット・ハッチンス、訳:こみやゆう
めんどりのロージーがひよこを探して歩き回るおはなしです。鮮やかな色彩がとても可愛らしい絵本でした。
次は絵を見てみましょう。
山口華楊《畑》1925年
何が見えるかな?
「スイカ」「ナス」「豆」「スズメ」「判子」…。
作品には様々な種類の野菜が描かれています。
作者が押した印に気づいてくれた子もいました。
ナスや豆は普段目にしているものとはちょっと種類が違うかも?
京都の野菜が描かれているようです。
描いてある野菜をよーく見てみると、スイカの模様やナスのヘタのとげなど細かい部分まで描かれていることが分かります。
ここで、畑をテーマにした絵本を紹介してもらいました。
『はたけうた』作:田島征三
畑で育つ野菜たちが生き生きと、力強く描かれています。
ヨイショ、ドッコイショ、チョイトナーなどと合いの手が散りばめられ、聞いていて楽しい絵本でした。
1階の特集展「眼にうつる詩」の展示室へ。
美術作品と文学をテーマにした当館所蔵作品のテーマ展示です。
まずはみんなで休憩室へ入り、山中現『きたのまち』をよみきかせしてもらいました。
「山のむこうに山が見える」そんな一文からはじまる本は、優しい色合いが魅力的です。
作者の山中さんは喜多方市出身の作家で、『きたのまち』は故郷をイメージして作られたそうです。
展示室へ移動し、今回展示している山中さんの《水の庭》2003年刊をみます。
作品を見ると、子ども達から「切り絵かな?」などと作り方に関心を寄せる言葉がありました。
この作品は木版画であること、よーく見るとインクがきらきらしていることなどをお話しました。
最後はとっても小さな作品をみんなで見ました。
タイトルを隠し、何が描いてあるか、みんなでお話しながら見ていきます。
「キツネ」「アジサイ?」「池?」
「隣の作品と似てるからブドウ!」など、鋭い意見も飛び出しました。
この作品には実は元になっている物語があることを伝え、図書館さんに本を紹介してもらいました。
『キツネとブドウ』文:蜂飼耳、絵:さこももみ
キツネが必死でブドウを取ろうとする様子がユーモラスに描かれた絵本です。
ということで、この小さな作品は桂ゆき《ブドウとキツネ》制作年不詳。
この作品は、紙やキャンバスではなく、透明なガラスに描かれていることをお話しました。
最後は実習室での工作です!
今回は《ブドウとキツネ》をテーマに、ガラス絵風の絵をつくりました。
危ないのでガラスではなく、透明な下敷きを使います。
短時間で仕上げるため、2枚の下敷きで絵具を挟む方法で実施しました。
1枚目にキツネと自分のイニシャル、丸いスタンプを押していきます。
ここまでできたら2枚目。
紙パレットの片側に、自分の好きな色を出していきます。
二つに折って手で絵具をのばし、紙パレットを開くと、不思議な模様の出来上がり!
絵具を挟むようにして、2枚をぴったり重ねます。
作品が完成!
スタッフが窓に貼り付けていきました。
光にかざすと絵具がよりきれいに見えます。
最後にみんなで記念撮影。
ご参加いただいたみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!