2017年6月の記事一覧
企画展 出品作品から②
ベルナルド・カヴァッリーノ《ヘラクレスとオンファレ》1640年頃 国立西洋美術館所蔵
左手前の男性は、ギリシャ神話に登場するヘラクレス、右の女性は恋人のオンファレ。
ヘラクレスはその怪力によって数々の困難を切り抜けた英雄ですが、
恋人を前に、少し様子がおかしいようです。
彼はこちらに背を向け、どこか頼りなげです。そしてよく目を凝らしてみてみると、
耳元には赤いイヤリングを付け、右手に糸つむぎの道具を持っているのが分かります。
一方、オンファレは堂々とこちらを見つめ、手元にこん棒を置き、
ライオンの毛皮をひざに敷いています。
つまりここでは、男女の持ち物や関係性があべこべになっています。
いわゆる「かかあ天下」に似た主題を描いたものと考えてもよいでしょう。
作者のベルナルド・カヴァッリーノは17世紀ナポリで活躍した画家です。
17世紀初頭のナポリには、光と闇の表現で一世を風靡(ふうび)したカラヴァッジョという画家が一時期滞在しました。
カラヴァッジョはローマで殺人をおかし、警察の手を逃れて南に逃亡するのですが、
その途中でナポリに立寄り、そこで活動していた画家たちに強い影響を与えました。
この作品では、光と影のコントラスとが印象的ですが、ここにカラヴァッジョからの影響を見ることができます。
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