2017年4月の記事一覧

企画展 出品作品から①

ただいま福島県立美術館では
「国立西洋美術館所蔵 ミューズ:まなざしの先の女性たち」展を開催しています。

東京・上野の国立西洋美術館は、フランスの建築家ル・コルビュジエが
建物の一部を設計し、昨年世界遺産に登録されたことで話題になりましたね。

この展覧会は、女性たちのを描いた作品をテーマごとに展示したものです。
その中から今日は一点ご紹介したいと思います。


カミーユ・ピサロ《立ち話》1881年頃 国立西洋美術館所蔵


カミ―ユ・ピサロは印象派を代表するフランスの画家です。

当館には《エラニーの菜園》が所蔵されているので、
ご存知の方も多いかと思います。

《立ち話》は、家事の合間におしゃべりをする二人の女性が描かれています。

彼女たちは何を話しているのでしょうか。

左の女性はどこか疲れているようで「旦那が休みの日には、
昼ごはんもつくらなくちゃいけないから、やんなっちゃうわ」と
愚痴をこぼしているのかもしれません。いろいろと想像が膨らみます。

この作品は点を重ねて描かれています。これは「点描」という技法です。

作品を近くで見ると、点の密度が異なることに気がつくと思います。

たとえば、左の女性の顔は細かな点で構成されています。

右の女性の下半身は粗い点で描かれ、足がどこにあるのかさえよくわかりません。

ピサロは点描の密度を変えることによって、
スナップショット写真のような効果を追求し、画面に臨場感を与えているのです。

是非実際の作品を前にして、その効果を体感してみてください。