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トらやんと福島の物語(2)

4月下旬、ヤノベさんが福島に来て下さって、再び《ラッキードラゴン構想模型》は福島県立美術館に展示されたのでした。

実はこの作品には、ヤノベさんがこれまで生み出してきたたくさんのキャラクターたちが乗っているんです。楽しい作品なんです。
これを見てある学芸員が言いました。
「私のぬいぐるみもここに乗せたぁ~い!」
そこに居合わせたみんなが一瞬「え~っ!」、でもすぐに「私も!」。
ヤノベさん「ええん、ちゃいますか。」
こうして「トらやんの方舟プロジェクト」が産声をあげたのでした。

みんなでお気に入りのぬいぐるみをこの船に乗せて、新たな大地に出発しよう!
被害者の船「ラッキードラゴン」が未来へ向けてみんなで船出をする希望の船へと変身。

みなさんもこのプロジェクトに参加しませんか?
美術館では、乗船させるぬいぐるみや人形を募集してま~す!

(荒)

トらやんと福島の物語(1)

今、福島県立美術館の常設展示室では美術家ヤノベケンジさんの《ラッキードラゴン構想模型》を展示しています。
実は昨年夏の「胸さわぎの夏休み」という展覧会に出品していただき、そのままお預かりしていた作品なんです。
何故この作品が福島県立美術館にあるかって?

ラッキードラゴンってご存知ですか?1954年に太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被曝をしてしまった焼津の漁船「第五福竜丸」のことを、英語でラッキードラゴンと言います。
福島県立美術館は、アメリカの画家・ベン・シャーン(1898-1969)が1960年に描いた《ラッキードラゴン》という絵を持っています。もちろんこれは第五福竜丸事件をテーマにした作品です。
ヤノベさんの《ラッキードラゴン構想模型》もこの事件に関連した作品です。ベン・シャーンが描いてから50年後に制作された新しい《ラッキードラゴン》。

昨年の展覧会ではこの二つのコラボレーションが実現し、その後ヤノベさんから私たちにこの作品が託されたのでした。

それから一年もたたないうちに、この震災が私たちを襲いました。
我が福島は津波だけでなく、未曾有の放射能災害に見舞われてしまったのです。
なんということでしょう!

今こそ《ラッキードラゴン構想模型》が活躍するべき時です。4月26日の美術館再オープンに向けて、この作品は再び展示されることになったのでした。

つづく

(荒)