カテゴリ:常設展

令和4年度 第Ⅱ期コレクション展

当館では、7月16日(土)から10月16日(日)まで、2階常設展示室にて「第Ⅱ期コレクション展示」を開催しております。
今回はその展示の様子をご紹介します。

【展示室A】

  
入って最初のコーナーでは、『特集展示 みんな大好き!福島ねこづくし展』(7月23日~8月21日)に関連して、「動物づくし」を展示しています。
この展示は当館の収蔵作品から、佐藤玄々(朝山)や斎藤清などの、動物をモチーフにした愛らしい彫刻や絵画の数々を紹介しています。


その奥では、「関根正二と大正期の洋画」を展示しています。
関根正二は福島県白河市に生まれ、1915年には二科展に初入選するも、1919年に20歳という若さでこの世を去った夭逝の画家です。
ここでは関根正二を始めとし、岸田劉生や石井柏亭、飛田昭喬など、大正期から昭和期にかけて活躍した画家たちの油彩画を展示しています。

【展示室B】

展示室Bでは、『生誕100年 朝倉摂展』(9月3日~10月16日)に関連して、「戦後社会とリアリズム」の展示をおこなっています。


戦後間もない時期、日本では多くの社会問題が噴出していました。
そうじた時代の中で美術家たちは、1940年代に起こったリアリズム論争を出発点とし、単なる自然の再現に留まらない「現実」の描写を社会の中に求めていきました。
安部公房は社会事象を記録して伝えるルポルタージュの手法を唱え、それに触発された高山良策など前衛美術会の画家たちはシュルレアリスムに通じた手法で政治や社会によって歪曲された心象を描き出しました。
また、画家が社会に身を置いて切実な実感のもとに対象を描き出すべきだと主張した美術評論家の針生一郎に影響を受け、朝倉摂や佐藤忠良、中谷泰、吉井忠らは研究会を立ち上げ、漁村や工場に取材して具象表現による絵画を追究しました。
とりわけ福島県いわきの常磐炭田には多くの美術家たちが訪れ、上記に挙げた人物たちの他、宮崎進や伊藤和子らがズリ山や炭坑長屋の風景を描いています。
さらに、こうした社会にまなざしを向けたリアリズムの美術は、洋画のみならず、横山操や渡辺学といった日本画家たちにも波及しています。

【展示室C】

展示室Cでは、アメリカの美術とヨーロッパの美術を展示しています。

ジョン・スローンや清水登之、野田英夫といったアメリカン・シーンの画家たちの他、アンドリュー・ワイエス《農場にて》、ベン・シャーンのポスターや《ラッキードラゴン》など、アメリカのリアリズム絵画を展示しています。
また、ヨーロッパの美術ではカミーユ・コローの作品を展示しています。

【展示室D】

最後の部屋では、「斎藤清の版画」「現代の版画」を展示しています。

斎藤清の版画では「霊峰」シリーズを中心に1980年代の作品を公開しています。
その向かい側で、加納光於と百瀬寿による、主に1980年代から1990年代にかけての版画作品を展示しています。
構成的な手法を凝らした斎藤清後年の作品と、色彩による実験を試みている加納光於と百瀬寿の作品をぜひ見比べてみてください。


「第Ⅱ期コレクション展示」は10月16日(日)までとなっております。

一般・大学生 280円(団体220円)
高校生以下 無料

企画展と関連した展示が目白押しですので、ご来館の際には併せてご覧ください。

ぜひお誘いあわせの上、ご来館をお待ちしております。