福島県立美術館ブログ

美術鑑賞講座「イタリア・ルネサ ンス美術散策」の開催日変更のお知らせ

福島県立美術館友の会主催・美術鑑賞講座「イタリア・ルネサンス美術散策」

第2回「ローマ編」の開催日は、諸事情により、 以下のとおり変更されました


期 日   【変更前】 平成28年12月11日(日)
      ↓
     【変更後】 平成28年12月18日(日)

※場所、時間に変更はありません

時 間    10:30 ~ 12:00

会 場    県立美術館 講義室


すでに予定を立てられていた皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、

何卒ご理解
とご協力をお願いいたします。

コレクション展Ⅲご案内 その2

広重ビビッド展が盛り上がりをみせていますが、美術館にお越しの際は2階の常設展示室もお忘れなく。
企画展に関連した展示も行っています。

まず展示室Bでは、浮世絵とフランス美術と題して、フランスでジャポニズムが大流行していた時代の作品を展示しています。



印象派とドーミエの版画。


また、展示室Dでは版画の展示。昭和初期の新東京百景と、斎藤清です。

幕末の広重の名所江戸百景は安政の大地震後に、この新東京百景は関東大震災後に恩地孝四郎らによって制作されました。
どちらも大きな変化のあったときに生み出されたということに考えさせられます。

最後は斎藤清。

会津の風景をさまざまな構図から描いています。広重の構図と比べてみるのもおもしろいです。

なお、以上ご紹介した版画の展示は11月17日までです。
18日からの後期は、ドーミエと斎藤清は異なる作品に、
新東京百景は前期でおしまいで、後期は丸山浩司さんと長谷川雄一さんの作品を展示します。

美術館のまわりは紅葉まっさかり。紅葉狩りがてらぜひ美術館におこしください。

県立図書館の広重コーナー

もう初冬ですね。
吾妻山もいつの間にか白化粧しています。

美術館の隣には県立図書館があり、美術館の展覧会にあわせて、参考になる本をピックアップしてくれています。






展覧会にあわせて、ちょっと足をのばしてみると、また新たな発見がありますよ!
芸術の秋と読書の秋を満喫できちゃうのです。(HY)

広重展講演会

紅葉まっさかりの11月6日、企画展講演会が開かれました。
那珂川町馬頭広重美術館長の市川信也さんをお迎えして、
「名所江戸百景の今と昔」についてご講演をいただきました。



今から160年ほど前の江戸を描いたこのシリーズは、現在地を求めてもとてもわからないほど様変わりしている東京という都市の姿をまざまざと浮かび上がらせるものでもありました。
昔はどこからでも富士山が望めた江戸、水運が物流の中心であった東洋のベニス。
幕府の定火消同心だった広重は、高さ16mの定火消櫓に登って江戸の街を見渡したことがあったそうです。それで、鳥の視点から描いたような浮世絵も生まれたんですね!

さらに、この名所江戸百景は直前に安政大地震が起こって、かなり地震や火災で街は被害を受けていたことなど、単なる名所絵というだけではない、さまざまなことを講演会で知ることができました。
ちなみに、名所江戸百景は、
①地震前のかつてあった風景
②地震後このようになってほしい風景
のいずれかが描かれているのだと、広重研究者の間では言われているそうです。

震災後の福島で、風景と人間の営みを考えさせられる、ほんとうによい機会にもなりました。

(HY)

紅葉まっさかり!

朝晩だいぶ冷え込む日も多くなってきました。
出遅れていた紅葉も、ちょうど見頃となっています。

美術館の庭にはカエデやけやきなどの落葉樹も多く、散策する人の目を楽しませています。


ドウダンツツジも色鮮やか。





紅葉が散ってくると、いよいよ冬支度ですね。(HY)

広重ビビッド開幕!

いよいよ待望の浮世絵展、「原安三郎コレクション 広重ビビッド」展がはじまりました!

東京、大阪などでも話題となった、浮世絵風景版画珠玉のコレクション、東北初上陸です。
「初摺り(しょずり)」とよばれる美しい状態の版画が約250点(前後期あわせて)。
なかでも注目は、初公開となる<六十余州名所図会><江戸名所百景>の歌川広重最晩年のシリーズです。
前期(10/29〜11/20)、後期(11/22〜12/11)で、ほぼ総入れ替えの展示替えありますが、それでも展示室には約140点が展示されています。
これを見逃すと10年は見ることができないであろう美麗な名品の数々…。北斎、国芳の名作とあわせ、ぜひ実物にふれてみませんか?

くわしくは、こちらまで↓
展示替リストは、こちら。

ギャラリートーク 14:00〜15:00 ①11/11(金)、②12/3(土)

講演会 14:00〜15:30 「名所江戸百景の今と昔」市川信也氏(那珂川町馬頭広重美術館長)

などのイベントもあります。(HY)


〜実技講座〜 粘土で表現する「首像制作」2日目

彫塑用粘土をつかって人体モデルの頭部をつくる講座の2日目です。講師の先生は、いわき市の彫刻家、髙野正晃さんです。


常設展第Ⅲ期(10月15日㈯〜12月25日日)の展示にあわせ、エントランスホール2階に髙野さんの作品
『ずっとここで生きてゆく』2013(平成25)年の展示が始まりました。


今回の講座では、受講者の方々に髙野さん自ら作品について語って頂きました。
震災当時のこと、この作品をつくるきっかけ、そして作品についての思いなど。貴重なお時間を頂きました。


さて、制作です。
講座は全3日間。真ん中の2日目は各々のペースで制作が続きます。

改めてエスキースを描いたり......

かたちを探ったり....

「首から下、鎖骨の所までつくるということは、そこで終わりではなくその先の身体を意識して粘土の際まで力を入れてつくるということ。作品は、そうした空間をつくっていくこと。」と髙野さんから。


視点を変えてみましょう!モデルさんに台から降りてもらって、上からのぞき込みます。

なるほど。顔から肩にかけての凹凸がよくわかります。


こうして、2日目も黙々と充実した時間が流れました。
みなさんの首像もだいぶ形が見えてきました。次回はいよいよ最終回です!完成が楽しみですね。

常設展Ⅲオープンしました

常設展Ⅲがオープンしました。
今日はそのうち展示室Aの様子をご紹介します。

まずは酒井三良と小川芋銭の日本画。

代表作《雪に埋もれつつ正月はゆく》をはじめとして、三島町出身の日本画家・酒井三良(1897-1969)の作品がずらりとならびます。
注目は、新収蔵の《冬暖》! 猿の親子が可愛らしいです(写真右から2番目の作品)。

三良が師と仰いだのが小川芋銭(1868-1938)。
福島での旅をもとにした《細道絵日記》と、おならの大会の様子を描いた《於那羅合戦》を展示しています。

写真は《於那羅合戦》から。あまりの臭さに狐も鼻をつまんで逃げてゆきます。
三良と芋銭。ほのぼのとした、ふたりの競演をお楽しみください。

展示室を奥へ進んで行くと今度は洋画。
関根正二を中心に、岸田劉生や村山槐多など大正期の洋画を展示しています。

関根正二(1899-1919)については、1月からの企画展「Gallery f コレクション再発見」展でもご紹介予定ですので、こちらもお楽しみに。

最後に、今年没後10年となる村上善男の特集。

東北を拠点として活躍した美術家・村上義男(1933-2006)の《釘打ち》シリーズ作品を展示しています。

ほかの展示室の様子については次回以降、順次ご紹介していきたいと思います。

美術館のまわりでは木々が色づき始めました。
お散歩がてら、ぜひ美術館へもお立ち寄りください。

〜実技講座〜 粘土で表現する「首像制作」1日目

彫塑用粘土をつかって人体モデルの頭部をつくる講座が始まりました。彫塑の基礎からじっくり学べる三週連続(3回)の講座です。
講師の先生は、いわき市の彫刻家、髙野正晃さんです。髙野さんには、2年前の夏、当館展覧会「コレクションクッキング展」に作品を
ご出品頂きました。



講座の第1回目は、モデルさん(福島大学の学生さんにお願いしました)のクロッキーと彫塑の芯棒作り、そして粘土の粗付けです。





講座のはじめに、髙野さんから18歳当時制作された処女作のご紹介にあわせ、彫塑制作への心構えなどをご教授頂きました。



クロッキーは、みんな真剣。髙野さんの「モデルの(骨格や筋肉などの)情報を集める」という言葉を受けてみんな黙々とスケッチブックむかいます。





彫塑制作は、芯棒作りから始まっている!(髙野さん) 長野県上田市出身の彫刻家、石井鶴三の「こだわりの芯棒」を参照しながらの芯棒作り講義です。



しっかりとした芯棒ですね。
次は粘土の粗付けです。







髙野さんは、おひとりおひとり丁寧にご指導くださいます。



ユーモアを交えながらの・・・。



モデルさんを様々な角度からみてつくること。顔から首にかけて、自分で何処かに基準を定める。そこを手がかりに粘土の付け具合を調整する。



髙野さんのアドバイスで、皆さんだんだん形になってきましたね!
次回は、いよいよ作り込みです。週末が楽しみです。

常設展にて鑑賞会!

107()、二本松市立東和小学校の3、4年生73名が来館しました。

美術館に来るのは今回がはじめてという子ども達。まずは美術館ではどのようなものを飾っているのか、そして、美術館でのやくそくごとなどをお話しました。

 

いよいよ鑑賞会。4つのグループに分かれ、それぞれのグループと当館のスタッフが一緒に鑑賞します。

今回取り上げた作品は、マリノ・マリーニ《騎手》、荻生天泉《霊夢》、玉川信一《樹のある風景》、ジョン・スローン《ジェファーソン・マーケットナイト》です。

 
































スタッフと一緒にそれぞれの作品の前に集まり、4、5人の小さな班に分かれて、作品をじっくりみます。

今回は、作品から想像をふくらませて物語を考えました。

「ここに〇〇があるからきっと季節は□□だよ」

「ここにある△はなんだろう?」

・・・作品をじっと見つめながら、なにが描かれているのか、どのような印象なのか、気づいたことなどを話しながら、子ども達は物語をふくらませていきました。

 


それぞれの班で物語が完成すると、今度は発表会。自分たちの班で考えた物語をみんなに紹介します。同じ作品をみていても、班によってできる物語はひとつひとつ異なり、どれも作品を細かいところまでよくみて、自由に物語を考えていました。

 

全てのグループの発表が終わると、今度はスタッフから、作者や作品が生まれた背景などについてお話しました。作品によって、悲しい時代背景があったり、不思議なできごとが画題になっていたりします。作者が作品に込めた想いや、作者がどのような人物だったのか?子ども達は真剣に耳を傾けてくれました。

 

ここで、東和小学校の子ども達に特に注目してほしい作家を紹介。

それは、子ども達が暮らしている東和町出身の画家、荻生天泉です。
第Ⅱ期の常設展示室では、没後60年ということで特集展示をしていました。

東和町生まれの画家だということを紹介すると、子ども達は「えー!」「すごい!」「本当?」「上手!」などと、つぶやいていました。
今回はちょうど来館のタイミングで、子ども達の大先輩である天泉を紹介することができました。常設展示といっても、当館では年に4回展示替えがあるため、いつも同じ作品をみることができるわけではありません。その時、その作品に出会うというのは、巡り合わせともいえるかもしれません。

 

さて、残りの時間は自分の好きな作品を1点選び、物語を考えたりしながら、自由に常設展示室と1階の企画展示室を巡りました。

はじめての美術館。子ども達の心の中にどのような思い出が残ったのでしょうか・・・。