福島県立美術館ブログ

「エアドームで信夫山を作ろう」ワークショップを開催しました。

2024年6月2日(日)、講師に塩川岳さん(アートコミュニケーター)をお招きして、創作プログラム「エアドームで信夫山を作ろう」を開催しました。5才~小学生7組の親子14名が参加して巨大エアドームづくりに挑戦しました。

はじめに塩川さんとごあいさつ。

 

子どもたちの多くは、これからエアドームを作って膨らませることをわかっていて楽しみに来ていました。

まずはカラーのポリ袋(45L)を60枚ほどを縦に切り開きます。

切る時のコツは袋を片方を持ってもらい、ハサミをちょきちょきとは動かさずにスーッと奥に向かって切り裂いていきます。

コツをつかむとどんどん切っていきます。

 

袋を切ったら、切り開いた袋を2枚ずつ、長辺をテープで貼っていきます。

袋はふわふわと静電気で動いてしまうので、テープを貼るのはちょっと難しく、一人に押さえてもらいながらもう一人がテープを貼っていきました。

すべて貼り付けたら、今度は縦に5枚分つなぎます。これを2班に分かれて3セットずつ、合計6セット作りました。

 

 

縦に5枚貼ったものを、今度は横をすべて貼り付けていき、一枚の大きなビニールにしていきます。

すべてくっつけたら巨大なビニールができました。

できた巨大ビニールの大きさを測り、ほぼ同じ大きさになるようにホワイトシートロールで今度は床面を作ります。

一旦、巨大ビニールを動かして、ホワイトシートロールを同じ大きさになるように広げて切り、こちらもテープでくっつけていきます。

巨大ビニールと同じ大きさのホワイトシートロールができたら、巨大ビニールを上に重ねます。

2枚重ねたビニールの上で、ひもを用いて中心からコンパスのように大きな円を描きます。

描いた円の線に沿ってビニールを2枚重ねたまま切っていきます。(ここは大人がやりました)

切り終わったら2枚重ねたビニールをテープで貼り合わせていきます。

ここは大事なところなので丁寧に貼っていきます。

貼り終わったらエアドームが半分できました。

ここでお昼休憩を取り、午後に再開です。

午後は、先ほど作ったエアドームと、さらに同じものがもう一つ出てきました。

実は前日に塩川さんと一緒に作って用意していたものです。

2つ分のエアドームに自由に絵を描いてきます。

とても大きいエアドームに、体より大きい絵を親子でどんどん描いていきます。

信夫山にあるものを描く子、福島市のももりんや桑折町のご当地キャラを描く子など、郷土愛も込められています。

当日飛び入り参加で描いた子もいました。

絵を描き終わったらいよいよ完成です。

エアドームをふくらませます。

この日はすぐに膨らむように、ダクトと大きな送風機を使いました。(特設展示中はサーキュレーターを使いました)

どんどん膨らんでいくエアドームと、そこに描かれている絵を見るので子どたちは大喜びです。

エアドームが膨らんだら塩川さんが入口を空けて中に入り、

二つのエアドームにトンネルの穴をあけてテープで貼ってつないでいきます。

トンネルが繋がったら完成です。

いよいよ中に入ります。

中ではミラーボールが天井を照らしています。

子どもたちは絵を見たり寝転がったり思い思いに楽しみました。

自分たちで一から作るエアドームはとても大変でしたが、みんなで作ったものに入ってみんなで遊べるのはとても楽しい経験になりました。

 

エアドームはワークショップ終了後も美術館のエントランスに2週間ほど設置して来館者にも自由に入ってもらえるようにしました。

また夏休みにも設置予定です。

ぜひ子どもたちが作ったエアドームに入って遊んでみてください。

「日本画でお部屋を彩るミニ屏風」づくり

4月20日に日本画家で東北芸術工科大学教授の末永敏明さんを講師にお招きして、和紙で蝶番(ちょうつがい)を作り、日本画で絵を描き、部屋に飾れるミニ屏風を作る「日本画でお部屋を彩るミニ屏風」という講座を行いました。同じく東北芸術工科大学副手の土田翔さんが一緒に指導してくれました。

当日は小学生から大人まで16名の方が参加しました。

まずは日本の伝統的な技術である和紙での蝶番づくりです。木の板に和紙を組み合わせて貼ることで両開きの蝶番を作れるなんてびっくりです。

  

 

板の側面に切り込みを入れて、和紙を交互に貼ることで蝶番を作ります。

貼り付ける面が大切なので、間違わないように気を付けながら作業します。

蝶番ができたら板の表面に和紙、裏面にふすま紙を貼っていきます。側面には製本テープを貼って美しい屏風に仕立てていきます。

 

 ミニ屛風が完成したら、和紙の面に用意した下絵をもとに日本画の画材で絵を描いていきます。

一色ずつ顔料を指で練って溶いて絵の具を作って描いていきます。時には墨や金箔も使います。

 

 

金箔や銀箔を散らす と一気に雰囲気が出ますね。

七夕の歌の「金銀砂子」の砂子は箔を散らすために砕かれた細かい箔のことをいうそうです。勉強になります。

 

作品が完成したら全員で鑑賞会を行いました。

盛りだくさんの内容でしたが、一日で蝶番から本格的な日本画制作まで行う満足の内容でした。

完成した作品はいつでもどこでも立ててすぐに飾れるのがいいですね。

末永さん、土田さん、ご参加の皆さまありがとうございました。

 

学校連携共同ワークショップ参加校作品展を開催しました

2023年度の学校連携共同ワークショップの参加校作品展「おとなりアーティスト」を2月10日(土)~25日(日)企画展示室Bにて開催しました。

「おとなりアーティスト」は県内の学校に福島県ゆかりのアーティストが出向き、子どもたちと一緒に造形活動を行うアートプログラムです。今年度はFRIDAY SCREEN、よしもとみかを講師に招き、10ヵ所の学校等で実施し、のべ248名の子どもたちが参加しました。

参加校作品展は、ワークショップに参加したすべての子どもたちの作品を展示するものです。

 

アートユニットFRIDAY SCREENさんのワークショップには、須賀川市立岩瀬中学校、郡山ザベリオ学園小学校、福島市のふれあい教室、郡山市立日和田中学校、郡山市立御舘中学校、会津美里町本郷生涯学習センターが参加しました。

FRIDAY SCREENのワークショップでは「文字」をテーマに、子どもたち一人ひとりがデザイナーとなって取り組みました。

 

 

アトリエみず文庫のよしもとみかさんのワークショップには、福島県立いわき支援学校くぼた校、小野町立小野小学校、福島県立富岡支援学校、福島県立伊達高等学校が参加しました。

よしもとさんのワークショップは子どもたちの「いま」を色と形であらわすワークショップです。

申込校の生徒の年齢や人数などに合わせてたわーショップ内容で、紙やパネルやプチプチの緩衝材等の素材に、絵の具やパステル、ペンなど様々な画材で表現しました。

 

ご参加いただいた学校、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

また来年度のご参加もお待ちしております。

創作プログラム「叩き鑿を五感で味わおう」を開催しました

2月17日(土)に、彫刻家の佐藤忠博さんを講師に招き、叩き鑿のワークショップを行いました。

会場であるエントランスホールには大きな丸太が並んでおり、丸太の前に集合してスタートです。

佐藤さんに叩き鑿のデモンストレーションをしてもらいます。

 

 

やり方がわかったところで、スタートです。

様々な形状の鑿から、鑿と木槌を選び、1本の丸太に1~2人ずつつき、鑿を叩いて鑿跡を入れていきます。

丸太は、杉、ケヤキ、楠などいくつかの種類がありますので、叩き鑿に慣れる練習をかねて一定の時間がたったら隣の丸太に移動していきます。

叩き心地や感触も木材によって異なります。木目の流れやきの硬さ・柔らかさ、叩いて感じるにおいなどを味わっていきます。

適宜鑿も交換し、鑿の種類ごとの特徴も感じていきます。

  

鑿を使ってひたすら木を叩いていく行為は 普段使わない筋肉も使うので、疲れも感じます。

一方で、木を感じながら無心で手を動かしていく行為に夢中になっていく感覚もあります。

お昼休憩をはさみ、午後も叩いていきます。

目標は、丸太の表面に一通り鑿跡が入るまでです。

美術館のエントランスホールに木の香りが立ち込め、鑿音が響き渡ります。

小学校1年生の参加者も、一日の作業に疲れてしまうかと心配しましたが、休憩したり、庭を走って元気をチャージして、さいごまでパワフルに取り組みました。仲良くなって協力し合いながら彫り進める姿も見られました。

 

丸太に彫り足りたいところがないかを確認し、完成となりました。

さいごに、振り返りで今日の感想を一言ずつ述べていきます。

日常では味わえない、貴重な一日となりました。

佐藤さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

「美術館への年賀状展2024」を開催しました

1月12日~31日までの期間、毎年恒例となる「美術館への年賀状展2024」を開催いたしました。

今年は県内外の小・中・高等学校・特別支援学校から188通の応募をいただきました。

今年は辰年ということで、龍の絵が多くありました。

色鉛筆やマーカーなどで描かれている絵の他に切り絵や版画、CGなど、気合の入った力作が多く寄せられました。

たくさんの子どもたちの作品は厳冬期の美術館を明るく華やかにしてくれます。

美術館に子どもたちの作品を一挙に展示する年に1回の機会です。来年もたくさんのご応募をお待ちしております。

創作プログラム「消しゴムはんこで年賀状をつくろう」を開催しました

11月25日に美術館実習室にて消しゴムはんこによる年賀状作りのワークショップを行いました。

小学生から高校生まで8名が参加しました。

考えてきた図案を鉛筆でトレーシングペーパーに写し、反転して消しゴムに転写します。

2024年は辰年ということで、龍をモチーフとしたものも多く、その他にも鯛やだるまなどの縁起物、梅やお雑煮や羽子板などのお正月のもの、オリジナルのキャラクターなどさまざまなデザインを考えてきてくれました。

転写ができたらあとはひたすら彫る作業です。

初めて彫刻刀に触る人もいて、苦戦する様子もありましたが、地道に練習して彫れるようになっていきました。

 

ある程度彫りができたら、試し刷りです。

刷ってみて、出来ばえや彫り残しやなどを確認します。

さらに彫って修正し、試し刷理をすることを繰り返します。

 

ハンコを彫り終えたら色や配置などの年賀状のデザインを決めて、はがきに刷っていきます。

 

 

多色で重ねたり、一部色を変えて刷ったりと工夫が光ります。

さいごに文字を書き入れて完成です。

近年は年賀状を送ることも減ってきましたが、1年に1度、オリジナルの年賀状を作って誰かに送る、そんな文化を楽しんでもらえる機会になればと思います。

作ったスタンプは今年の年賀状のみならず来年以降も使えます。使えるものを手作りすることも楽しいですよね。

ご参加いただきありがとうございました。

 

ワークショップ後の年末の時期には、美術館のエントランスホールにスタンプコーナーも設置しました。

多くの方にご利用いただきありがとうござました。

 

 

創作プログラム「までいな花-飯舘村の美しい自然を表現しよう」開催しました

9月24日(土)、当館エントランスホールにて、「までいな花-飯舘村の美しい自然を表現しよう」を開催しました。

講師は美術作家で東京工科大学教授の酒百宏一先生です。

 

色鉛筆で飯舘村の葉っぱを写しとり、現在も変わらない美しい村の自然を表現するアートプロジェクトです。

酒百先生は、2021年よりこの活動を始め、県内各地でワークショップをされています。

はじめに、酒百先生からプロジェクトの概要や活動に込めた想いについて、スライドを使いながらお話がありました。

 

「までい」とは、「両手」という意味の「真手(まて)」が語源です。
「手間暇を惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」
といった東北地方で昔から使われている方言です。

今回は、酒百先生が飯舘村の森から集めた葉っぱを元に、丁寧に心を込めて「までいな花」を作っていきました。

 

葉っぱの上に紙を重ね、色鉛筆で写しとっていくと、細かな葉脈が見えてきます。
葉っぱの種類によって、形や大きさ、葉脈の出方が異なります。
何色か色を塗り重ねたり、部分によって色を変えたりしながら、みなさん丁寧に写しとっていきます。

 

写しとった後ははさみで切り、酒百先生が準備した土台に配置し、のりで貼っていきます。

きれいな花ができました!
できあがった花を、並べていきました。
 

同じ葉っぱから作っていますが、塗り方や色合い、葉っぱの組み合わせなどでそれぞれ違った「までい花」が生まれました!

これらの花は、今後様々な場所で作られる予定です。
できた花を集めて、花の空間をつくり飯舘村で展示されます。(展示時期や会場は未定)

今回のワークショップは、当館とNPO法人ふくしま再生の会との共催で実施されました。
酒百先生、参加者のみなさま、そしてスタッフのみなさま、ありがとうございました!

「福島県高等学校文芸研修会」生徒作品を展示中!

9月22日(金)、当館講堂と常設展示室で、「福島県高等学校文芸研修会」が開催されました。

「文芸研修会」は、福島県内の文芸部に所属する高校生を対象に、創作活動の技術力向上や、生徒同士で交流し、
創作技法などについて意見を交換し合うことを目的として開催されています。

今回は、当館の「第Ⅲ期コレクション」の展示作品をみて、詩、短歌、俳句を創作するワークショップが行われました。

〇参加校
東日本国際大学附属昌平高等学校、福島県立会津学鳳高等学校、福島県立安積高等学校、
福島県立安積黎明高等学校、福島県立郡山東高等学校、福島県立須賀川創英館高等学校、
福島県立橘高等学校、福島県立福島西高等学校 8校
〇参加人数
高校1~3年生 38名

はじめに講堂で開会式と、活動の流れについて福島県立福島西高等学校及川俊哉先生から説明がありました。

以下のジャンㇽから一つを選び、作品を作っていきます。

①詩…1篇(20文字20行以内)
②短歌…一首以上
③俳句…一句以上

先生からは、
「いちばんは自分が心動かされる作品について書くこと!」
「作品から感じた感動や書きたいという気持ちを大切にしましょう!」とお話がありました。

さっそく2階にある常設展示室へ。 

 

 自由に展示室をめぐりながら、創作する作品を選んでいきます。

 

感じたことなどをメモしながら、作品をじっくり見てまわっていました。
作品が決まったところで創作へ。
プリントに書いたり、スマートフォンに入力しながら、それぞれ作品を作り上げていきます。

講堂に戻り、次の活動へ。
詩、短歌、俳句のジャンルに分かれて集まり、アイスブレイクと自己紹介をしました。
 
その後、作品の仕上げをして、グループ内でそれぞれの作品を発表しました。
 
お互いの作品のいい点についてコメントし合って、みなさん交流を深めていました。

 

現在、2階常設展示室では、生徒が創作に選んだ作品の近くに、手書きの生徒作品カードを掲示しています。
(一部展示替えに伴いパネルでご紹介しています)

 

会期は12月27日(水)までです。
生徒達が作品から感じた感動や、ひとりひとりの「書きたい」という気持ちが込められた詩、短歌、俳句をぜひご覧ください。

創作プログラム「歩く花のともだちをつくろう!」を開催しました

美術館の庭園にあるフェルナン・レジェの「歩く花」のリニューアルを記念して、

10月15日(日)に当館実習室にて「歩く花のともだちをつくろう」ワークショップを開催しました。

大自然の中で悠々としている「歩く花」のともだちを作り、一緒に歩かせようという企画です。

 

 

ワークショップ当日はあいにくの雨だったため、本物を見に行けませんでしたが、

写真を見て、「歩く花」の大きさや重さなどのクイズを通して鑑賞しました。

 

「歩く花」のポーズを真似しながら、自分はどんなともだちを作るか考えていきます。

 

作る形が決まったら、ポーズづくりです。

ペンチで骨組みの手足を曲げてポーズをつくります。

骨組みができたら土台に固定し、紙粘土でどんどん肉付けしていきます。

 

形ができたらいったんお昼の休憩。

紙粘土が乾くのを待ち、午後からは色塗りに入ります。

おともだちの性格やエピソードなどを考えながら着色していきます。

 

土台にも色を塗り、土台にビーズや人口芝、貝殻などの好きな装飾をボンドで貼って・・・完成!

 

しっぽが生えているともだち、姉妹一緒のともだち、海とごみ問題の壮大な物語を秘めたともだちなどができました。

 

かわいらしいともだちができて「歩く花」も喜んでいるでしょう。

参加者のみなさんありがとうございました。

創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました!

7/29(土)、当館実習室にて創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました。
講師は美術家の對木裕里さんです。

挨拶をしたあと、對木さんから今日の活動の流れと、当館の庭にある《歩く花》についてお話を聞きました。
フランス生まれのフェルナン・レジェがつくった《歩く花》。
この彫刻は、大きさが異なるものもありますが、世界中に何体もあります。
どうして何体もあるのでしょう?
実は「型」を使って作品を作っているんです。
このプログラムでは、実際に「彫刻」をつくりながら、彫刻の謎を解き明かしていきます。

実際に庭に出て、《歩く花》をみんなでみます。

 

 脚の部分に触ったりしながら、作品をじっくり観察。
よくみてみると、細かい線やデコボコがあり、作った時の痕跡が感じられます。
指でコンコン!と優しく叩いてみると、中が空洞になっていることが分かります。

当館にある《歩く花》はとても大きく、高さ6メートル、重さは3トンもあります。
(講座開催後塗り直しがされ、現在は色が鮮やかでピカピカな状態をご覧いただけます)

実習室に戻り、石膏型を作って、自分の指や手を型取りしていきます。
部屋に入ると、早速石膏の準備をしていたスタッフの周りに「やりたい!やりたい!」とみんな集まってきます。

水を入れたボウルに、交代しながら石膏をどんどん入れていきます。

石膏が固まるまでの間に、對木さんから作業の説明を聞きます。
まずは手ではなく、指でお試し!
水でといた石膏を紙コップに入れて親子それぞれに配ります。
型を取る指にワセリンをよく塗り、紙コップの中に指を入れます。
そのままなるべく動かないようにします。

  

  
だんだん石膏が固まってきて、温かくなってきました。
石膏は固まる過程であたたかくなるため、「熱い!」と言っている子もいました。 
固まってきたところで指を抜きます。
これで型取りの一通りの流れがわかりました。

みんな一息ついて、いよいよ手の型取りに挑戦です!
對木さんからは、「休む手」をテーマにしようとお話がありました。



水を入れたビニール袋を手の下に置き、ポーズを考えます。
指の曲げ具合やビニール袋の水の量によって、それぞれ違ったポーズになります。 

決まったところで、粘土板の上にポーズを取った手を置きます。
お母さんやお父さんの手を借りながら、ドロドロの状態の石膏を手にのせていきます。
(後で割り出しがしやすくなるよう、石膏に色をつけています)

  

 ここからはスピードが大事!
水が入ったビニール袋と、手が完全に見えなくなるよう、どんどん石膏をのせていきます。
「冷たーい!」という声も聞こえました。

  

埋まらなかった部分や石膏が薄い部分を對木さんとスタッフで補充し、ここから手を動かさないでじっと待ちます。
子ども達はなるべく手を動かさないように気を付けます。

 

しばらくすると、またぽかぽかしてきました。
あと少し!しっかり固まるまで待ち続けます。
對木さんが見て回って、石膏の固まり具合を確認します。

「それでは外してみましょう!」
お母さんやお父さんの手を借りながら、慎重に手を動かし、パカッと手を外していきます。
石膏が入り込んでしまい、なかなか外れない子も!

 

取れた石膏の内側についたゴミを刷毛で取り除き、離型剤をたっぷり、まんべんなく塗ります。
この時、最初にお試しした指の石膏型にも離型剤を塗っておきました。


自分の手の型が完成しました!!
午前中はここまで。
離型剤を乾かしている間に、お昼の休憩です。

 

午後の作業のはじまりです。
内側に塗った離型剤が乾いたところで、型に石膏を流し入れていきます。

  

細かいところまでまんべんなく石膏がいきわたるよう、流し込んだ後に型を動かします。
 

流し込めたら、固まるまでしばらく置いておきます。
この時、最初にお試しで作った指の型にも石膏を流し込みました。

しばらく待って固まったら、いよいよ割り出しです!
對木さんから割り出しのやりかたを教えてもらいます。
金づちを使って、色がついている型を割っていきます。
みんな真剣です。

 

自分の作品の割り出しをしていきます。
初めて金づちを使う子もいましたが、みなさん一生懸命作業に取り組んでいました。

 

作品に残った細かい石膏は、ニードルなど先がとがった道具を使って取っていきます。
最初に作った指の割り出しもしました。

  

朝から1日かけて一生懸命取り組んだ作品が、完成しました!!
最後は鑑賞会。
みんなにタイトルや大変だったところ、感想などを教えてもらいました。
 

みんなの「今」の手の姿が作品としてできあがりました!
對木さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!!

 

創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました

7月16日(日)、22日(土)、23日(日)の3日間、当館実習室にて創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました。

講師は、版画家の安部直人さんです。

安部さんは当館でも作品を収蔵させていただいており、第Ⅱ期常設展示室で作品を展示していました。

 

銅版画技法のひとつであるメゾチントは、深みのある黒を背景に、細かな明暗の調子が表現できます。

この講座では、ベルソー(ロッカー)を使った銅板の「目立て」から始め、それぞれが考えた下絵を元に、はがきサイズ(10×15cm)の作品をつくりました。 

 

~1日目~

安部さんから技法と3日間の流れ、道具の使い方などについて説明を受けました。

メゾチントは、以下のような技法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キズがないきれいな状態の銅板(はがきサイズ)が受講者に1枚ずつ渡されます。

ここに、ベルソーを使って目立てをしていきます。

ベルソーは、櫛のように刃が細かく入っている道具で、ロッカーとも呼ばれます。

これをベルソーの重さを生かしながら、ゆらゆらと横に動かし、少しずつずらしながら傷をたくさんつけていきます。

縦・横・斜め・斜めの4方向に細かい傷をつけていきます。

これを10回やることが目標!と安部さんからお話があり、受講者の方からは「えー!!」と驚きの声が挙がります。

 

この作業と並行して、安部さんが事前に目立てして準備してくださった5×7.5cmサイズの作品制作を行います。

銅板に下絵を写し、パニッシャーとスクレーパーを用いて製版していきます。

「線ではなく、面で表現する」ことが安部さんからアドバイスされました。

道具を鉛筆のように使わず、なでるように使うのですが、コツをつかむまでみなさん何度も試したり、道具や持ち方を変えたりと、工夫していました。

 

ある程度製版できたところで試し刷りをします。

版にインクをしっかりつめて、余分な分を寒冷紗などでふき取ります。

版の上に紙を置き、プレス機で刷っていきました。

 

白くなるようかなり磨いたつもりでも、刷ってみると思ったよりも絵が出てこないことも。

 

最低1回は全員試し刷りをして1日目は終了。

小さな版を一度製版して刷ってみることで、調子のつけかたや、白くなるように磨く感覚をつかんでいきました。

はがきサイズの銅板の目立て作業は、次回までの宿題とされました。

 

~2日目~

まずは宿題となっていた目立ての出来具合を安部さんがひとりひとり確認。

みなさん1週間のあいだに、目立て作業に取り組んできてくださいました。

20回やりました!という方も。

目立てが済んだ人から下絵を銅板に写し、製版作業に入ります。

並行して、1日目に作った小さい版の本刷りをしました。 

黒インクで刷ってみて、作品によってカラーインクをつめて刷っていきます。

さらに、雁皮摺りをすると、柔らかな黒の調子が出てきます。

小さな版の作品がみなさん完成しました。

 

 はがきサイズの試し刷りをして2日目が終了しました。

 

~3日目~

講座最終日です!

前日の試し刷りをもとに、それぞれはがきサイズの作品の製版作業を進めました。

  

版が完成したところで本刷りへ。

部分的にカラーインクをつめる、雁皮を貼って刷るなどして、それぞれの作品を仕上げていきました。

完成した作品に、エディション、タイトル、日付、サインを記入。

 

全日程が終了しました!

 

受講者からは、次のような感想(一部)をいただきました。

●目立てをつくる作業がとてもたいへんだったけれど、すべての工程が興味深く楽しかった。 

●とても良かったです!充実した3日間でした。ありがとうございます!!

●超楽しかった!!新しい世界がひらけました。

●大好きな愛犬をフワフワにかくことができて大満足です。

●最初どういうものかよく分からずに来てしまい不安だったけど、とても楽しかった!!です!!
目立ては腕がもげるのでは…となるくらいツラかったですが、キレイに色がでたとき、頑張ったかいがあったなと思った。
普段描かない感じの絵ができてよかったです。版画作品をみる際に考えることが変わりそうだと思いました。

 

講師をつとめていただいた安部直人さん、受講者のみなさん、ありがとうございました!

受講者の作品は、1か月ほど当館のエントランスホールで展示させていただきました。

「ブルターニュの光と風」展イベントを開催しました

7月1日から開催中の「ブルターニュの光と風」展。

フランス北西部のブルターニュに所在するカンペール美術館のコレクションを中心に、現地を描いた19世紀以降の絵画作品をご紹介しております。

モネやゴーギャンなど数々の画家達を惹きつけたブルターニュの魅力を堪能しつつ、西洋近代における絵画様式の変遷も同時に分かるのが本展のポイントです。

同じ海景色を描いても作家によってどうして描き方がこれほど違うのか、そもそも画家達は何故ブルターニュに足を運んだのか、超大型の作品から何故サイズが徐々に小さくなっていったのかなど、本展をとおして様々な謎を発見することができます。

開幕してからイベントとして開催した講演会やギャラリートークでは、これらの謎について解説を行ってきました。

そのイベント時の様子を以下にまとめて振り返ります。

 

◆7月2日(日) 「ブルターニュの光と風」展記念講演会 14:00~15:30
講師:千足伸行氏(本展監修者、成城大学名誉教授、広島県立美術館館長)
会場:美術館講堂

    

開幕2日目に、本展の監修を務めて頂いた広島県立美術館長の千足伸行先生にご講演いただきました。
講堂が満員になるほどの盛況ぶりでした。
ブルターニュはキリスト教信仰が特に篤い地域ですが、信仰心の深さが分かるような宗教主題の作品や、ブルターニュの荒れた海を描いた海景画について多く触れていただきました。
人々の信仰心を描いた作品は、アカデミックな画風のものだけではなく、ゴーギャンもブルターニュの伝統衣装のコワフを身につけた女性がお祈りする傑作を多く残しています。
本展には出品されなかった作品群もいつかは見てみたいものです。
ブルターニュに実際に足を運んだことがある先生ならではの現地の写真資料やご感想など、貴重なお話しをたっぷりお伺いできました。

千足先生とご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

 

 

◆7月22日(土)、29日(土) 担当学芸員によるギャラリートーク 14:00~15:00
会場:美術館 企画展示室

  

各日なんと約100人ぐらいのお客様に参加頂きました。
ここまで集まって頂けるなんてびっくり!本当にありがとうございました。
やはり実物を前にして、作品のサイズ感や質感、迫力を肌で感じるのが一番です。
ギャラリートークでは、制作された当時の社会背景や作家に関すること、描かれた主題についてなどなど解説しました。
情報が少しでもあると作品の理解度が深まり、より充実した鑑賞にもなります。

 

実は、イベントのご好評につき、8月もギャラリートークを追加で行うこととなりました!

8月13日(日)、20日(日)の両日14:00~15:00に行います。

申込みは不要です。ご希望の方は観覧券をご購入の上、企画展示室入口にお集まりください。
これからご来館予定の方は、予定を立てられる際の参考としていただければと思います。

 

本展は一部の作品を除いて写真撮影可能、選りすぐりのグッズを揃えた特設ショップも展開しているので、来場されたらぜひ展覧会の思い出をお持ち帰りくださいませ。

  

みなさまのご来館をお待ちしております!

色で遊ぼう!マグネットづくりワークショップ

7月9日(日)に、マグネット作りのワークショップを行いました。

今回は色のにじみを楽しんで、気に入った部分を切り取ってマグネットにしました。

 

まずは油性ペンで自由に色を置いて・・・

そこにアルコールを数滴垂らすと・・・

どんどんどんどん滲んでいきます!

どんな色でもどんな滲み方でも、かっこよく、きれいな模様になりました。

模様ができたら円形カッターで切り取ります。

切り取ったらスタッフがマグネットにしていきます。

 

きれいな模様がたくさんできて、一枚の紙の模様からから2つのマグネットを作ったり、たくさんマグネットを作る人もいました。

小さなお子さんから大人の方まで、親子での参加やお友達、ご夫婦と様々な方に参加してもらいました。

お子様はもちろん、大人の方にもおもしろい、と喜んでもらえたことが印象的です。

たくさんのご参加ありがとうございました!

 

次回は8月5日(土)14:30~16:30に行います。

申込は不要です。当館エントランスにお越しください。マグネットを1つ作るにあたり材料費が100円かかります。

 

夏休みの思い出作りにいかがでしょうか。

ぜひご参加ください。

 

 

中学生の職場体験を実施しました

7月4日(火)~7月6日(木)の3日間で中学生の職場体験を実施しました。

新型コロナの影響でここ数年は行われなかったため、令和元年以来の久しぶりの実施となりました。

初日は美術館見学と鑑賞体験ワークショップを実施。

まずはアートカードを使って使って自分を表すカードを選び、理由とともに自己紹介をしました。

 

自己紹介後は美術館内の見学です。展示室やエントランスなど開かれている場所や、事務室や収蔵庫(の前)など裏側をまわり、また美術館に関わる様々な仕事についての説明を受けながら館内を見学しました。

下の写真は、現在の企画展「ブルターニュの光と風」を見学している様子です。ギュダンの「ベル=イル沿岸の暴風雨」の絵の中にウサギと羊がいると聞き、探しているところです。

 

午後は展示室で作品を鑑賞するワークショップを行いました。

おみくじキューブで出てきた形容詞に自分が当てはまると思う作品を選んび、その理由とともに発表しました。

今回は「こわい」というワードが出てきて、それぞれ選んだ作品がまさかのかぶりで3人ずつ2作品を選んだ結果となりました。同じ作品を選んでも、自分で感じたことを言葉にするとそれぞれ異なる発表になりました。同じ作品でもいろんな感想を聞くことができるのが複数人で鑑賞する楽しさです。

そのあとは2班に分かれて作品当てクイズを行いました。

1班は作者の情報からどの作品か当てるクイズ。

2班はジェスチャーからどの作品か当てるクイズ。

時間が限られた中でしたが、問題にする作品を選び、回答者が分かるようにヒントを考えてクイズを行っていました。

2日目は館内の清掃体験と、子ども用作品解説シートの作成を行いました。

子ども用作品解説シートを作って発表することが今回の職場体験の目玉となるため、当館のコレクションから作品を一つ選び、レイアウトや解説シートの内容を考えました。

 

3日目はいよいよ作成した子ども用解説シートを使ってのギャラリートークです。ぎりぎりまで解説シートを作成していたこともあり、とても緊張して発表を迎えました。

それぞれが工夫して作成した解説シートをもとに、立派に発表しました。

3日間お疲れさまでした。

この時に発表した解説シートは現在常設展示室内に展示しております。

お立ち寄りの際にはご覧ください。

 

「アートなおはなしかい」開催しました!

6月17日(土)、おとなりの図書館さんと「アートなおはなしかい」を開催しました。
今回は美術館のエントランスホールからスタート!

まずは図書館さんによる絵本のよみきかせです。 

『まほうのえのぐ』林明子
主人公の女の子と様々な生き物たちが絵具を使って絵を描く様子が楽しい絵本です。

『びじゅつかんへいこう』絵:ピーター・レイノルズ、文:スーザン・ベルデ、訳:なかがわちひろ
美術館で作品と出会うことによって生まれる心の変化を描いており、美術館に行ってみたり、絵を描いてみたくなるような絵本でした。

ここからは展示室へ行き、作品を鑑賞しつつ、関連する絵本などを紹介してもらいます。
まずは2階の常設展示室へ。
最初にみたのは、佐藤玄々(朝山)《蜥蜴》1940年代作。

何の生き物かな?
「トカゲ!」「カナチョロ?」「イモリとかヤモリとか…」
この作品は、《蜥蜴》とタイトルが付いていますが、尻尾の長さなどからカナヘビだと考えられます。
(余談ですが、カナヘビのことを県北出身の美術館スタッフも“カナチョロ”と呼んでいます。)

カナヘビは何をしているところなのかな?
「獲物を見てる」「川に流されているんじゃないかな?」
作品をみながら自由に思ったことをお話します。

カナヘビがどんな生き物なのか、知ることができると、もっと色々な想像が膨らむかもしれません。
図書館さんから『かなへび』文:竹中践、絵:石森愛彦 を紹介してもらいました。
絵本の中には、作品とそっくりの体勢で木の上でひなたぼっこしているカナヘビがいました。
作品を見ながら、何をしているところなのかな?と想像してみるのもおもしろいですね。

ここでクイズ!この作品はどうやってできているでしょうか?
「粘土」「下は竹で、上が木でできてる」「プラスチック」…。
子ども達はもう一度作品をじっくり見ながら予想します。
ヒントになる隣の作品を見てみました。

 
佐藤玄々(朝山)《巣鶏》1920年頃作。
「木だ!」と子ども達から声があがりました。
《蜥蜴》と《巣鶏》は作者が同じであること、実際に木を彫っている様子の写真などを紹介しました。

今日は特別!展示ケースを外し、普段は見られない作品の裏側をみんなでみます。

 

《巣鶏》はにわとりと2羽のひよこ、それぞれの足が彫られ、色が塗られています。
玄々の作品は、裏側まで彫ってある作品がいくつかあります。

ここで、図書館さんからにわとりの親子をテーマにした絵本をよみきかせしてもらいました。

『ロージーのひよこはどこ?』作:パット・ハッチンス、訳:こみやゆう
めんどりのロージーがひよこを探して歩き回るおはなしです。鮮やかな色彩がとても可愛らしい絵本でした。

次は絵を見てみましょう。
山口華楊《畑》1925年

何が見えるかな?
「スイカ」「ナス」「豆」「スズメ」「判子」…。
作品には様々な種類の野菜が描かれています。
作者が押した印に気づいてくれた子もいました。
ナスや豆は普段目にしているものとはちょっと種類が違うかも?
京都の野菜が描かれているようです。
描いてある野菜をよーく見てみると、スイカの模様やナスのヘタのとげなど細かい部分まで描かれていることが分かります。

ここで、畑をテーマにした絵本を紹介してもらいました。

『はたけうた』作:田島征三
畑で育つ野菜たちが生き生きと、力強く描かれています。
ヨイショ、ドッコイショ、チョイトナーなどと合いの手が散りばめられ、聞いていて楽しい絵本でした。

 1階の特集展「眼にうつる詩」の展示室へ。
美術作品と文学をテーマにした当館所蔵作品のテーマ展示です。

まずはみんなで休憩室へ入り、山中現『きたのまち』をよみきかせしてもらいました。

「山のむこうに山が見える」そんな一文からはじまる本は、優しい色合いが魅力的です。
作者の山中さんは喜多方市出身の作家で、『きたのまち』は故郷をイメージして作られたそうです。
展示室へ移動し、今回展示している山中さんの《水の庭》2003年刊をみます。

作品を見ると、子ども達から「切り絵かな?」などと作り方に関心を寄せる言葉がありました。
この作品は木版画であること、よーく見るとインクがきらきらしていることなどをお話しました。

最後はとっても小さな作品をみんなで見ました。

タイトルを隠し、何が描いてあるか、みんなでお話しながら見ていきます。
「キツネ」「アジサイ?」「池?」
「隣の作品と似てるからブドウ!」など、鋭い意見も飛び出しました。
この作品には実は元になっている物語があることを伝え、図書館さんに本を紹介してもらいました。

『キツネとブドウ』文:蜂飼耳、絵:さこももみ
キツネが必死でブドウを取ろうとする様子がユーモラスに描かれた絵本です。

ということで、この小さな作品は桂ゆき《ブドウとキツネ》制作年不詳。
この作品は、紙やキャンバスではなく、透明なガラスに描かれていることをお話しました。

最後は実習室での工作です!
今回は《ブドウとキツネ》をテーマに、ガラス絵風の絵をつくりました。

危ないのでガラスではなく、透明な下敷きを使います。
短時間で仕上げるため、2枚の下敷きで絵具を挟む方法で実施しました。
1枚目にキツネと自分のイニシャル、丸いスタンプを押していきます。

ここまでできたら2枚目。
紙パレットの片側に、自分の好きな色を出していきます。
二つに折って手で絵具をのばし、紙パレットを開くと、不思議な模様の出来上がり!

 
絵具を挟むようにして、2枚をぴったり重ねます。

 

作品が完成!
スタッフが窓に貼り付けていきました。
光にかざすと絵具がよりきれいに見えます。

 

最後にみんなで記念撮影。
ご参加いただいたみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!

創作プログラム「音の風景~心象表現を楽しもう~」開催しました!

5月13日(土)、創作プログラム「音の風景~心象表現を楽しもう~」を開催しました。
講師は作家の福田美里さんです。

宮城県を拠点に制作活動をされていて、当館では、2021年、22年に開催した庭園活用イベント、
「Art meets cookies」でも、作家のひとりとしてご協力いただきました。
今回の創作プログラムでは、美術館周辺の音を観察し、言葉や絵で表現していきます。

はじめに、福田さんから自己紹介と、プログラムの流れについてお話がありました。
美術館の庭園を散歩して、“気づき”を採集。その後実習室に戻って制作をします。

前半は参加者全員で一緒に歩きながら、どのようなことを感じたのか、それぞれワークシートに言葉や絵でメモしていきます。 
外に出ると、さっそく鳥のさえずりが聞こえてきました。
池の水面には様々な模様が見えます。

芝生の上に座ってみると、ザッザッと葉っぱのこすれる音や、手触りを感じられます。
寝転がってみると…太陽の光が!

「まぶしい!」と参加者の方から声が聞こえると、「その感覚もぜひメモしてください」と福田さんから声がかかります。
みなさん感じたことや気づいたことをメモしていきます。

次は美術館の正面入り口へ。


このあたりは石が敷かれていて、芝生とは足の裏に感じる硬さも異なります。
「自分が鳴らす音にも注目してみてください」と福田さん。
遠くからは電車の音も聞こえてきます。

大きな彫刻《歩く花》(フェルナン・レジェ、1952-53年※寄託)の前へ。
彫刻を触ってみると、金属の質感や表面にあるデコボコなどが感じられました。 

奥に進んでいくと、今度は砂利道に変わります。
梅の木を見上げると実がなっていました。
落ちている実を拾ってみると、ふわふわとしたさわり心地。
この季節ならではの光景です。
砂利道から少しはずれると、落ち葉がいっぱい積もっています。
踏んでみると、ガサガサッと気持ちのよい音がしました。

あづまやに集合し、前半は終了。

後半は一人ひとり好きなところをめぐっていきます。 
庭園の一番奥にある水路のはじまりは小さな滝のよう。
「こんなところに滝があるんだ!」と驚きの声も聞こえました。

 

大きな枝を見つけました!

 

実習室に戻り、みんなで“気づき”を共有します。

 

・鳥のさえずり

・人工的なものと自然物の音の違い

・いつもは無意識に感じていることを意識する時間になり、自分の視点が変わる、意識が変わる感覚があった

・歩いている時間にしあわせを感じた

・大きな枝を見つけた

・風に吹かれるユキヤナギの揺れ方の違い

などなど…。みなさんたくさんの“気づき”を紹介してくださいました。 

次は制作です!
庭園の散歩で感じたことや気づきを、表現していきます。

 

今回は、B5サイズのボードとはがきサイズの画用紙に、アクリル絵具で描きます。
制作の前に、福田さんが今回のワークショップのために作った参考作品などを見せていただきました。

自身が感じたことの中の1つに着目して、それを全面に描く一場面型や、
感じたことを1枚の絵の中にたくさん描いていく地図型などがあり、描き方は自由とお話がありました。
また、表現のヒントになるよう、デカルコマニーやドリッピングなどの技法を紹介してくれました。

ここからは自由に制作していきます。
 

 

  

ローラーを使ったり、筆に水をたくさん含ませて描いたり、コラージュをしたり…
みなさん思い思いに表現していきます。
作品が完成しました!

最後はみんなで作品を並べて鑑賞会です。

自分が作った作品や、今日の活動についての感想をお話していただきました。
 

受講者からの感想(一部)です。

・普段感じることのないことを感じて、絵を描くということが大変おもしろかった

・自分が感じたことを表現するプロセスがすごく楽しかった。

・小さいころにもどったようなゆったりとした時間を過ごせたのがよかった。

・自由さが心地よかった。

・静かな環境の祖と庭を散歩して目、耳、感覚などを働かせる。

・時間が足りなかった。


普段何気なく見たり聞いたり、感じたりしていることを、改めて意識してゆっくりと全身で感じとる。
自分自身ともじっくり向き合う時間になったように思います。

福田さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

「美をつくし」展マグネット作りワークショップ

4月29日(土)と、5月14日(日)に、「美をつくし」展と関連したマグネット作りのワークショップを開催しました。

 

 

 

葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』、尾形光琳の『円形図案集』、原在中の『百鬼夜行絵巻』を原画としたぬり絵から好きな作品を選び、色鉛筆で色を塗っていきました。

 

ぬり絵が完成したら、スタッフが缶マグネットに仕立てました。

 

同じぬり絵で制作しても、参加者の方たちが創意工夫をたくさん発揮してくれて、一つとして同じものがない多彩な作品が生まれました。

参加者の作品の一部をご紹介します。

 

 

 

たくさんのご参加ありがとうございました。

また、今後も企画展を中心にこのようなワークショップを開催していきます。

詳細が決まりましたら当館HP等でもお知らせしていきますので、ぜひご参加ください。

福島アートアニュアル展 触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ

3月4日(土)、「福島アートアニュアル2023展」の関連イベントとして、「触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ」を開催しました。

このイベントは、視覚障害者の方々と晴眼者の参加者とがいっしょに、視覚以外の感覚や言葉を用いて作品を鑑賞するワークショップで、毎年1回開催しています。

今年は企画展「福島アートアニュアル2023 境界を跨ぐ―村越としや・根本裕子」に際して行いました。

出品作家の根本裕子さんに講師になっていただき、会場に展示中の《野良犬》シリーズをみんなで触れて、感想を言葉に出しながら鑑賞しました。
陶土で形作られ焼き上げられた犬たちを鑑賞した、その様子をご紹介します。

 

今年も午前と午後の2回にわけて鑑賞会をそれぞれ行いました。

嬉しいことに参加者が例年より多く、午前午後合わせて23名の方がご参加されました。
視覚障害の方と晴眼者の方が同じグループになるようなグループ分けで、各回4~5名ずつ4グループに分けて活動を行いました。

 

はじめに、参加者・スタッフ全員実習室に集まります。
スタッフから「福島アートアニュアル展」と本日のワークショップについて、簡単に概要を説明します。

次に自己紹介をし、根本さんからこれから行う鑑賞ワークショップについて、視覚情報や感じたことなど情報をどんどん言葉に置き換えてグループで共有してほしいということ、他の人の意見を受けて作品のイメージが変化するのを楽しんでもらいたいということなど、お言葉をいただきました。

 最初の自己紹介の時点ですでに盛り上がるなど、みなさんすぐに打ち解けられて良い感じです。

 

 

さっそく展示室に移動します。

まずは一番手前にいる野良犬のところで全員集合。

ここでスタッフから鑑賞の流れについて説明を行います。
グループごとの活動になりますが、最初に晴眼者の参加者の方には、自分たちが空間のどの辺りにいるか・展示室の広さ・明るさなど状況説明をしていただくことをお願いしました。
つぎに視覚障害の方を中心に、そして晴眼者の方も作品に実際に触れます。
目で見える情報、触ってわかる情報、感じたこと、思い出したことなど、各自の感想を言葉に出して共有しようというのをお伝えしました。
みんなで丁寧に、ほかの参加者の意見にも耳を傾け、会話をとおして新しい見方に出会えることに期待です。

 

 

さて、グループに分かれて鑑賞スタートです。

犬が部屋のどこら辺にいるか、どういう姿勢でいるか、また犬の表情など「見える」情報を言葉にしていきます。

触って、皮膚のしわやただれを感じ取ったり、爪や口など一部釉薬がかかっている部分とそうでない部分との違いに気づいていきます。

威嚇して怪我のある犬については「野良犬でこれまで大変な思いをしてきたんだね」など、その犬がそれまで辿ってきた背景も想像します。

ポージングやサイズ感を含めて、その犬の力が強いか弱いかを推測したり、「威嚇しているけど目線は正面を向いてないから実は怯えているのでは?」「意外と気肉質だね~」というように、複数人で鑑賞すると自分一人では気づけなかった側面を発見して「確かに!」と盛り上がりました。

  

  

 

また、今回は作家の根本さんもいらっしゃるので、制作期間や制作工程、技法等、疑問に感じた点をその場でご本人に聞けるのがとても有り難かったです。

 

鑑賞時間の約40分はあっという間でした。

最後は各グループで部屋をぐるっとして、沢山いるほかの野良犬たちの前でも足を止めながら展示室を出ました。

 

触察鑑賞のあとは実習室に戻り、参加者一人ずつ感想を述べて共有します。一部紹介します。

・触って分かる細部の情報を言葉で伝えるのはできたけど、情景を言葉にするのは難しかった

・見たときの感情を言語化する難しさを感じた

・事前に一人で見たときとは見え方が変わって見えた

・触ってみて、野良は野良なりの苦労があると感じた

・触感としては冷たいけど、いろいろ想像しているうちに、温かさを心と頭で感じることができた

・自分一人では気づけない視点を、みなさんと楽しく話しながら触りながら感じられたのがよかった

・展示の配置にも意味があるだろうなと感じた

・目が見えているはずなのに気づかなかったことがあるのを、見えない人から教えてもらえた
 このような機会がもっとあると嬉しい

などなど

 

「参加してよかった」と言っていただけたのが本当に何よりでした。

この鑑賞ワークショップは毎年行っていますが、そのたびに驚きと新鮮さ、鑑賞する楽しさを感じます。

今回の発見と気づき、反省点等、次年度ワークショップの内容に繋げていきます。

ご参加いただいたみなさん、そして根本裕子さん、本当にありがとうございました。

創作プログラム「ピンホールカメラを作って撮影してみよう」開催しました

2月4日(土)、当館実習室にて創作プログラム「ピンホールカメラを作って撮影してみよう」を開催しました。
講師は須賀川市出身の写真家、村越としやさんです。

村越さんには、3月5日まで開催されていた「福島アートアニュアル2023」にご出品いただいていました。

箱にあけた小さな針穴から入る光によって外の像を写し取る「ピンホールカメラ」。
今回の講座では、ピンホールカメラを手作りし、風景や人物などを撮影し、最後に暗室で現像をしました。

午前中はカメラづくりです。
村越さんが準備した型紙を元に、黒い厚紙をカッターで切り抜いていきます。

 

切り抜くのは全部で3枚。
切り抜いた紙に切り込みや折り目を入れ組み立てると、3つの小さな箱ができあがりました。

この3つの箱を組み合わせて、光が入り込まない暗箱が完成。
箱ができたところでピンホールづくりへ。
小さく切ったアルミ板を、紙ヤスリで薄く削っていきました。

ここで一番大事な穴あけの作業。
まち針を使ってアルミ板にピンホールをあけます。
きれいに穴があいているか、ライトボックスの光を当てて確認します。

ピンホールがあいたアルミ板を、箱に切り抜いた穴に貼り付けます。
最後にピンホールの上にパーマセルテープを貼ってシャッターを作り、カメラの完成です! 
午前中はここまで。

 

午後からは撮影・現像作業をしました。
まずは撮影の流れについて村越さんから説明をしていただきました。
それぞれ作ったカメラのピンホール面から印画紙面の長さと、ピンホールの大きさを元に、F値(絞り値)を計算します。
撮影場所の明るさから露出時間(シャッターを開けている時間)を決め、撮影へ。

部屋を真っ暗にして、印画紙を箱の中にセットし、最初の1枚は試し撮りです。
ピンホールカメラを持って、全員で屋外に出て撮影します。


試し撮りが終わると、部屋を真っ暗にして現像作業を行います。
デジタルではないので、現像するまでどのように撮れているのか分からないわくわく感があります。

カメラの中から印画紙を取り出し、現像液→停止液→定着液→水洗という流れで浸していきます。
現像液の中で真っ白な印画紙に像が浮かび上がる様子はとても面白いです。
現像した写真(ネガ)を見ながら、箱に隙間があいていないか、露出時間は適当かなどを村越さんに相談します。

ここからはそれぞれの作業へ。

1、暗室で印画紙を箱の中にセットする

2、外に出て自由に撮影をする

3、暗室に戻って印画紙を取り出す

4、現像作業

これを時間がある限り繰り返していきました。


講座の日は曇ったり急に晴れてきたりと、天気が変わりやすかったため、露出時間を調整しながら撮影していました。

現像したネガの中から気に入ったものを、引き伸ばし機を使ってネガからポジに反転する作業をします。
時間いっぱいまで、みなさん撮影と現像に取り組んでいました。
現像した写真をお互いに見せあいながら、
「どこを撮ったの?」
「この写真おもしろいね!」
などと、楽しそうにお話されていました。

 

今はデジタルカメラやスマートフォンで気軽に写真を撮ることができ、写真を撮る仕組みについて意識することはなかなかありません。
今回の講座は写真の原理を体感する貴重な機会となりました。

受講者の方からいただいた感想(一部)です。

・カメラのことをもっと深く知れて、体感できてよかったです。
・カメラを手作りして実際に写真が撮れるなんて驚きです!
・写真のしくみや成り立ちを理解でき、写真ができてくるのが”出会い”みたいでおもしろかったです。

村越さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

今年も、おとなりアーティスト・学校連携共同ワークショップ参加校作品展がはじまりました!

当館では、県内の子どもたちを対象とした「学校連携共同ワークショップ」を2003年より行っております。福島県ゆかりのアーティストを講師に招き各学校等でワークショップを開催しています。今年度は、FRIDAY SCREENのお二人、よしもとみかさんを講師としてお招きしました。参加した子どもたちによる成果展が2月4日からはじまりました。

 

FRIDAY SCREENのワークショップのテーマは「もりもりもじ!」です。私たちの周りに溢れている「文字」をテーマにしたワークショップです。

 

福島市教育委員会教育研修課(ふれあい教室)

ふれあい教室のテーマは、「空間に自分の好きな言葉を植えよう」です。自分の好きな言葉を「植物のような」デザインにし、その言葉が地面から生えているように立体を作りました。

 

展示室に足を踏み入れると、まるで植えられたような「文字」が迎え入れてくれます。「ぐーん」は展示室の天井を突き抜けるくらいの大きさです。

 

重い「あ」、軽い「あ」、喜んでいる「あ」など、いろんな「あ」を描きました。

 

郡山市緑ヶ丘中学校・郡山第一中学校(美術部)

こちらのテーマは、「君×(駆ける)  kimi-kakeru」です。友達の走る姿に音をつけて音をデザインしました。漫画でよく見かける効果音を、友達の走る姿にぴったりの音とデザインで表現しました。「ペムッペムッペムッ」「すっっすっ」「ドウタッ」。それぞれの個性が光ります。

 

 

よしもとみかさんのワークショップのテーマは、「私のいまを色と形で表現してみよう」です。よしもとさんと学校の先生が、子どもたちに合う素材や画材を選び、それぞれの学校で違う内容のプログラムをつくりました。

 

会津坂下町立坂下中学校(文化部)

 

10メートルのキャンバスに、全身を使ってダイナミックに描きました。躍動感ある作品です。

 

会津若松市立第二中学校(美術部)

プラスチックの板に紙を貼り、オイルパステルで色を塗りました。やわらかな色合い、個性的な形が独特な存在感を放っています。

 

いわき市立小名浜第三小学校(2年生)

 

よしもとさんが鳴らすピアノの音から、色や形のイメージを膨らませ、赤・青・黄の絵の具だけを使って描き、色々な形に切りました。子どもたちの小さな手から次々と楽しい作品が生まれていきました。

 

小野町立小野小学校(5年生)

 

正方形の紙に数字を書いて画面を分割し、オイルパステルで色を塗りました。割りばしで引っかいたり、オイルで溶かして制作しました。小さな画面に数字が楽しげに描かれています。

 

西郷村立米小学校(1・2年生)

 

赤・青・黄3色の色水を大きな画用紙に垂らします。紙の端を友達ともって、画面上で色水を動かします。3色が混ざり合うことで複雑な色調が生まれ、幻想的な作品です。

 

子どもたちに「つくる喜び」を与えてくださったFRIDAY SCREENのお二人、よしもとみかさん、当事業にご協力くださった多くの方々に心より感謝いたします。

 

おとなりアーティスト・学校連携共同ワークショップ参加校作品展は、2月26日(日)まで開催しています。子どもたちの充実した活動の足跡がダイレクトに感じられます。みなさまのご来場をお待ちしております。

 

会場:当館企画展示室B

入場:無料

開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)

休館日:6日(月)、13日(月)、20日(月)、24日(金)