カテゴリ:常設展

開館30周年記念 コレクション名作選 始まりました!

福島県立美術館は今年で30周年を迎えます。
それにあわせ、今回の常設展では、コレクション名作選として
当館の代表作を一挙展示しています!

まず第一室。



日本画は小茂田青樹、池田遙邨、速水御舟、安田靫彦などが並びます。
本県出身の勝田蕉琴、酒井三良、大山忠作もお見逃しなく。

奥には伊砂利彦の染色。波の表現が涼やかです。


また、佐藤朝山(玄々)も3点ほど。《冬眠》は蝦蟇の量塊表現が見事です。



第2室は、彫刻と洋画。


建畠覚造の《WAVING FIGURE7(大)》は久しぶり。
また、福島の彫刻家たちの作品の並ぶ様子には圧倒されます。

洋画は、関根正二、村山槐多、岸田劉生など。


そのほか、長谷川利行、松本竣介、麻生三郎、吉井忠、斎藤義重、山口長男なども展示されていますよ。

第三室は海外の作品。


ベン・シャーン、アンドリュー・ワイエスを中心としたアメリカ美術、
また、ピサロ、モネ、コローなどのフランス美術を展示しています。



最後の第四室は版画。


500点を超える斎藤清の所蔵作品のなかから、《凝視》や《会津の冬》シリーズなど、その代表作を展示しています。

反対側の壁は創作版画です。
恩地孝四郎の《母と子》、藤森静雄の《路傍の小猫》など。


また、平川清蔵、川上澄生などの風景版画を展示しています。


版画は前期・後期で展示替えを行います。
後期は、斎藤清は《競艶》など、また創作版画に代わって銅版画を展示する予定でいます。
ぜひどちらもご覧ください!

信夫山を背後とした美術館の景観も美しい季節を迎えました。
ぜひ皆様お誘いあわせのうえお出かけください。



(K.T)

2014年の常設展オープンしました

年度末にメンテナンスのため休館させていただきましたが、4月12日の土曜日に開館。常設展がオープンしました。ご紹介しましょう。

まずは春を感じさせる日本画の部屋から。



小杉放庵の《水荘訪客》や酒井三良の《江南春色》、そして平福百穂の《ふき》、福田豊四郎の《ふるさとへ帰る》が並びます。



反対側には、斎藤清の墨画《野仏田代》。芽吹き始めた春の草花に囲まれて、ひっそりとたたずむお地蔵さんたちを思わせます。その奥には2012年度に新収蔵になった黒沢吉蔵の《桜谷》そして《白い連峰(飯豊)》。福島の春山の風景です。
4月5日から三春町歴史民俗資料館でも黒沢吉蔵の《滝桜》が展示されています。連携企画です。是非そちらと合わせてご鑑賞下さい。
http://www.town.miharu.fukushima.jp/site/rekishi




洋画の部屋に入ると、久しぶりに高橋由一の《鐸木西美像》《栗子山昔時景》が並び、明治から大正期の洋画をご紹介しています。関根正二も《自画像》や《神の祈り》など7点展示しています。



その隣は福島の彫刻家、佐藤朝山(玄々)特集。ごろんとした不思議な木彫《冬眠》や新収蔵の《釈迦如来像》など10点をご紹介します。



そして中谷泰の《常滑》と《炭坑》。実は中谷泰は、26日から始まる「ちひろ美術館コレクション 世界をめぐる絵本の旅」でご紹介する絵本画家いわさきちひろの絵の先生でもありました。最初の夫が亡くなって大連から戻ってきたちひろは、1942年、23歳の時に、すでに文展にも入選し活躍し始めていた洋画家、中谷泰に師事し、油絵を描き始めました。ちひろにとって、再出発のきっかけとなったのです。

 

海外の部屋では、シャガールの版画《死せる魂》、カミーユ・コロー、ポール・ゴーギャン、オーギュスト・ルノワール、カミーユ・ピサロなどフランス美術の名品や、ベン・シャーン、アンドリュー・ワイエスの作品をご紹介しています。

最後の部屋は、いつもとは少し違ったおもむきの空間になっています。



版画の山中現と彫刻の保田春彦のコラボレーション。
山中の作品からは初期のモノクローム、《第一夜》から《第十一夜》。保田春彦は白い木彫《季節の残像》シリーズ。二人の間に特に繋がりはありませんが、展示をしてみるとお互いが引き立て合う不思議な関係が生まれました。この空間から何を感じとるかはご覧になる方しだい。しばし自由に空想を羽ばたかせてみてください。

26日からは先に書いたとおり、「ちひろ美術館コレクション 世界をめぐる絵本の旅」展が始まります。高校生以下無料です。是非お子様とご一緒にお越し下さい。

A.Y.

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、1月5日に開館いたしました。
現在ご覧いただけるのは、年末にご紹介をした福島藝術計画の事業、学校連携共同ワークショップで制作された子供達の作品。それから新年に展示替えをした常設展示です。

今日は、常設展をご紹介しましょう。

第一室は、ダイナミックな展示になりました。



現代日本画を代表する一人、田渕俊夫の《惶I》《惶II》。いずれも10mという大作です。
震災を挟んで制作された作品で、一昨年当館で開催された個展に出品された後、ご寄贈いただいた新収蔵作品です。



その向かいに並ぶのは、戦後の日本画の切り開いた横山操の3点。いずれも重量級。3点そろい踏みというのは、かなり久しぶりの展示だと思います。田渕の白と横山の黒、日本画の二つの表現が好対照をなす、面白い展示になりました。



第二室の最初は、池袋モンパルナスと福島の作家たちの特集です。
昭和前期、東京、池袋界隈には芸術家たちが集まったアトリエ村がありました。吉井忠、鎌田正蔵、若松光一郎、春日部たすく、長沢節など福島の作家たちも多く集まっていました。新収蔵作品も含め、ご紹介しています。



隣には、吉井忠の《広津先生》。
福島の松川事件の被告支援者の一人、作家・広津和郎の肖像画を吉井が描いた作品です。
社会派の吉井は、冤罪事件として被告人支援運動が起こった松川事件にも当然関心を抱いていました。長年、この支援運動に携わってきた所蔵者から昨年度寄贈を受けた新収蔵作品です。



さらに隣には、戦後の具象彫刻が並び、その向こうに関根正二と大正期の洋画が並びます。



第三室に移動しましょう。
アンドリュー・ワイエスの《ガニングロックス》《冬の水車小屋》《農場にて》。



隣にはベン・シャーンが並びます。
今回は、《ラッキードラゴン》、そして『久保山とラッキードラゴン伝説』という本をご覧いただきながら、3月1日にビキニ環礁で被曝をした第五福竜丸の事件にシャーンがどのように関わったのかをご紹介しています。



第四室には、ベン・シャーンのリルケ『マルテの手記』をテーマにした最晩年の版画集も展示しています。



そして、斎藤清の《会津の冬》から11点。
最後に、しっとりと会津の雪景色をご堪能下さい。

A.Y.

常設その2

常設展示、まだまだみどころいっぱい。

定番の関根正二と大正期の洋画。



麻生三郎とその周辺。

 



ワイエスとアメリカン・リアリズム。



そして斎藤清の女性像まで。向かいはピカソのリトグラフ、《二人の女》。




秋の深まりとともに、芸術と味覚を求めて、旅に出ましょう!

HY

10月になりました。

若冲フィーバーも一段落。
10月1日から常設展示も装いを新たにしました。
今回の特集テーマは、コレ。
・勝田蕉琴と福陽美術会の画家たち
・麻生三郎とその周辺
・ワイエスとアメリカン・リアリズム
・斎藤清の女性像
このほか定番化している関根正二と大正期の洋画、佐藤朝山(玄々)と福島の彫刻なども展示されています。

今回、特にご紹介するのは、「勝田蕉琴と福陽美術会の画家たち」。
福島県を代表する日本画家、勝田蕉琴(かつたしょうきん、1879-1963)。
没後50年を迎えた今年、蕉琴の代表的作品と、彼が大正時代に結成した「福陽美術会」の画家の日本画をあわせて展示し、明治~大正、昭和戦前の日本画を福島から振り返ります。







 

 

HY

常設展示「横尾忠則と同時代のポスター」のご紹介

企画展示室で開催している「横尾忠則ポスター展」。
実は福島県立美術館では、横尾さんの版画を収蔵しており、今、常設展示室の最後の部屋Dにおいて「横尾忠則と同時代のポスター」という特集で展示をしています。
企画展をご覧になった方は、是非常設展にもお立ち寄り下さい。企画展観覧券をお持ちの方は観覧無料です。

収蔵しているのは1974年制作の《聖シャンバラ》(シルクスクリーン、オフセット)10点組。



1970年代はじめ、入院生活や三島由紀夫の割腹自殺などショッキングな出来事を体験した横尾さんは、徐々に精神世界へと傾倒していきます。
特にビートルズに強い関心を持っており、彼らがインドに深く傾倒していたことを知って、ヒンズー文化に強い興味を抱くようになます。そして1974年にはインド行きを実現しました。
横尾さんのインドへの関心は主にシャンバラに向けられていました。
シャンバラとは、地球の内部の空洞に存在するアガルタ王国の首都の名前であり、その地下世界のピラミッドには巨大な四次元エネルギーが秘められ、太陽と交流しているというのです。横尾さんは自らもこのシャンバラにたどり着きたいと願っていました。
そのためにはチャクラ(人間の身体にある神のエネルギーのセンター)の覚醒が必要なのだそうです。
《聖シャンバラ》は、そこにいたるまでの瞑想のプロセスをテーマとした作品です。



常設でこの作品を見て、また企画展に戻ることも可能です。
版画作品とポスターでは確かに表現は異なりますが、比べることで、この時代の横尾さんの関心のありかがよく見えてくるはずです。

ところで、今日は、ワークショップ「私自身のための広告ポスターを作ろう!」に参加してくれた高校生たちがワークショップ作品の展示を見に来てくれました。
こちらは2F常設展示から降りてきたところ、エントランスホール奥の壁面です。是非お忘れなくご覧下さい。




A.Y.

あけましておめでとうございます。

皆様、あけましておめでとうございます。
昨年中は、県美ブログを読んでいただき、本当に有り難うございました。
本年もまたご愛顧下さいますようお願い申し上げます。
時々遊びに来て下さいね。
スタッフ一同、楽しいブログを目指したいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、美術館は1月5日から開館しております。

常設展第Ⅳ期が始まりました。

展示室Aで開催中の特集展示は、凄いボリュームです。ご紹介しましょう。

「特集展示:100年前の展覧会-アートクラブから二葉会へ-」


(垂れ幕からして、担当のかなりの力の入れようがご覧頂けるかと・・・)

およそ100年前の1911(明治44)年春のこと、福島市に県内初の洋画団体「アートクラブ」が誕生しました。
東京美術学校洋画科を卒業したばかりの油井夫山(ゆいふざん・1884-1934)が中心となり、展覧会の開催と洋画、写真、日本画の啓蒙普及を目指して結成されたグループです。みんなまだ20代の作家の卵たちでした。
展覧会などどうやって開けばいいのか見当もつかなかった若者たちが、福島の地で、創ることから何かを始めようとしていたのです。

会場には、会員たちの作品や彼らが編集した雑誌、写真アルバムが所狭しと展示されていて、100年前の熱気がそのままに伝わってきます。

 



「アートクラブ」は1922年に解散しますが、写真の方はその後「二葉会」に引き継がれていきました。今回は小関庄太郎らの写真で、その活動もご覧いただきます。



資料も充実させた、担当学芸員渾身の展示をどうぞじっくりとご覧下さい。

明日1月12日には、学芸員によるギャラリートークがあります。

 日時:1月12日[土] 14:00~
 *観覧券をお持ちの上、展示室にお集まり下さい。

皆様のお越しをお待ちしております。

ちなみに、本展示のギャラリートークは、2月9日[土]、3月9日[土]にも開催予定です。

第2室目以降のご紹介は、またあらためて。

ではまた。

A.Y.

コレクション展3、始まっています!

10月3日よりコレクション展3が始まりました。
田渕俊夫展やふとん山にいらしていただいた後は、2階の常設展示室へもぜひ足をお運びください。

まず入ってすぐの部屋には日本画と洋画が展示されています。
日本画の今回のテーマは〈歴史と神話〉。

 

艶やかな作品に、どきどきさせられます。

洋画のコーナーでは関根正二を中心に、大正・昭和初期の名画をご覧いただけます。




第2室は抽象の部屋。



抽象の絵画と彫刻を同室にてご堪能ください。

フランスやアメリカの作品は、今回は第3室に移りました。

 

場所が違うと雰囲気も違くなるような気がするから不思議です。

最後の部屋は斎藤清と創作版画。



会津の秋の風景に、どこか懐かしい気持ちにさせられます。

 

急に肌寒くなりだした今日この頃ですが、
ほっとあたたかい気持ちになってお帰りいただければと思っています。

ぜひ足をお運びください。
お待ちいたしております。

(T)

コレクション展II、はじまりました!

ベン・シャーン展をご覧になった後は、2階「コレクション展」にも足をお運びください。

今回は、皆で夜まで展示作業をがんばった力作です。
コーナーごとにそれぞれの学芸員が企画しているので、
小さな7つの展覧会をお楽しみいただけます!

まず、「伊砂利彦の染織」。
ご遺族から去年度ご寄贈をいただいた作品を中心に展示しています。
京都の染織家、伊砂さんのテーマは「松」「水」「音楽」など。



涼しそうです。

「斎藤清と長谷川雄一の版画」。
先週全館復旧を果たしたお隣の県立図書館では、「長谷川雄一 希望の大地」展を開催中。
タイアップ企画です。ぜひあわせてご覧ください。




「戦後の具象と社会」
ベン・シャーン展の関連企画。
福島市出身の吉井忠は、常磐炭田や松川事件に取材するなど、
社会への視点を持ち続けた洋画家です。
京都に滞在中のベン・シャーンを訪ねて、肖像を描いています。
吉井のほか、麻生三郎、鈴木新夫、菊地養之助、横山操、野地正記ら社会派の画家を取り上げています。

 

「河野保雄コレクションⅡ」。
昨年に続いて、寄託作品のご紹介です。
谷中安規のカワユくて強い、小さな宇宙。
6月に新たにコレクションに加わったばかりの、山口薫「水」。昭和19年の作品。

 


そのほか、「夏の日本画」「フランス美術の名品」「大正期の洋画」では、
おなじみのモネ、ルオーや関根正二の作品をご覧いただけます。

 

最後に。
震災で転倒、傷ついてしまったエミリオ・グレコ「スケートをする女」です。
修復が済み、免震台の上で晴れやかにポーズ。
常設展示室を出たところにあります。




コレクション展Ⅱは、9月30日までです。(途中、版画の展示替あり)

(増)

美術館、再オープンしました!

皆様、お久しぶりです。

美術館は無事に建物の復旧工事と庭の除染作業を終え、4月7日土曜日、ほぼ2ヶ月ぶりに再オープンいたしました。

2012年度第1期のコレクション展の見所をご紹介しましょう。

まずは小川芋銭の《鍾馗図》。
入り口で仁王立ちになったごっつい表情の鍾馗さまが邪気を払ってくれます。
新学期に胸をはずませている福島の子供たちが、どうか元気で過ごせるように祈りをこめて。




2室目に移りましょう。
6月3日から開催される「ベン・シャーン」展に向けて、当館で収蔵しているアメリカの美術をご紹介しています。
ベン・シャーンが学んだアート・ステューデンツ・リーグで教鞭をとっていたジョン・スローン。
1930年代、ニューヨークの熱気を描き出したレジナルド・マーシュ。
アメリカの田舎の生活を取り上げたトーマス・ハートベントン。
アメリカで活躍していた国吉康雄、清水登之や石垣栄太郎など日本の画家たち。
そこにアンドリュー・ワイエスが加わります。
シャーンの芸術を育んだアメリカ・リアリズムの流れをご覧いただきます。




3室目は版画です。
「斎藤清 木版画の魅力 木目を生かす、版木をひっかく」と題して、技法の側面から斎藤清の木版画をご紹介します。
あわせて版木も展示していますので、是非ご覧ください。




ところで、彫刻はどこかとっつきにくいと思っている方はいらっしゃいませんか?
4室目では、石原コレクションの中から彫刻5点を展示しています。
これらの小彫刻たちは、作家の手が一つ一つの形を愛おしむように生み出していることを示しています。
落ち着いた雰囲気の中で、彫刻とのあらたな出会いを体験していただければ幸いです。




コレクション展は装いもあらたに、皆様のご来館をお待ちしております。

A.Y.