カテゴリ:常設展

コレクション展Ⅲご案内 その2

広重ビビッド展が盛り上がりをみせていますが、美術館にお越しの際は2階の常設展示室もお忘れなく。
企画展に関連した展示も行っています。

まず展示室Bでは、浮世絵とフランス美術と題して、フランスでジャポニズムが大流行していた時代の作品を展示しています。



印象派とドーミエの版画。


また、展示室Dでは版画の展示。昭和初期の新東京百景と、斎藤清です。

幕末の広重の名所江戸百景は安政の大地震後に、この新東京百景は関東大震災後に恩地孝四郎らによって制作されました。
どちらも大きな変化のあったときに生み出されたということに考えさせられます。

最後は斎藤清。

会津の風景をさまざまな構図から描いています。広重の構図と比べてみるのもおもしろいです。

なお、以上ご紹介した版画の展示は11月17日までです。
18日からの後期は、ドーミエと斎藤清は異なる作品に、
新東京百景は前期でおしまいで、後期は丸山浩司さんと長谷川雄一さんの作品を展示します。

美術館のまわりは紅葉まっさかり。紅葉狩りがてらぜひ美術館におこしください。

常設展Ⅲオープンしました

常設展Ⅲがオープンしました。
今日はそのうち展示室Aの様子をご紹介します。

まずは酒井三良と小川芋銭の日本画。

代表作《雪に埋もれつつ正月はゆく》をはじめとして、三島町出身の日本画家・酒井三良(1897-1969)の作品がずらりとならびます。
注目は、新収蔵の《冬暖》! 猿の親子が可愛らしいです(写真右から2番目の作品)。

三良が師と仰いだのが小川芋銭(1868-1938)。
福島での旅をもとにした《細道絵日記》と、おならの大会の様子を描いた《於那羅合戦》を展示しています。

写真は《於那羅合戦》から。あまりの臭さに狐も鼻をつまんで逃げてゆきます。
三良と芋銭。ほのぼのとした、ふたりの競演をお楽しみください。

展示室を奥へ進んで行くと今度は洋画。
関根正二を中心に、岸田劉生や村山槐多など大正期の洋画を展示しています。

関根正二(1899-1919)については、1月からの企画展「Gallery f コレクション再発見」展でもご紹介予定ですので、こちらもお楽しみに。

最後に、今年没後10年となる村上善男の特集。

東北を拠点として活躍した美術家・村上義男(1933-2006)の《釘打ち》シリーズ作品を展示しています。

ほかの展示室の様子については次回以降、順次ご紹介していきたいと思います。

美術館のまわりでは木々が色づき始めました。
お散歩がてら、ぜひ美術館へもお立ち寄りください。

コレクション展Ⅱ エルンスト『博物誌』

常設展示室の最後の部屋では、清宮質文の版画の正面に、マックス・エルンストの『博物誌』を展示しています。



全34点のうち、現在13点を展示しています。

様々なものの表面をこすりだすことによって生まれた偶然の模様から、幻想的なイメージが広がっています。



1階の企画展では「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展(~28日まで)を開催していますが、エルンストは、1972年にアメリカのゴサム・ブックマート・ギャラリーでゴーリーの作品を見て、非常に興味を示し、熱狂的な賞讃を与えました。また、ゴーリーは、「マックス・エルンストのコラージュ作品は素晴らしい」とインタビューで話しています。

常設展、企画展とぜひ両方をお楽しみください。

コレクション展Ⅱ 版画作品のご紹介―斎藤清・清宮質文

コレクション展Ⅱについて、今回は版画の展示をご紹介します。

常設展示室Aでは、斎藤清の特集展示として、《凝視》や《会津の冬》シリーズなどの代表作を展示しています。

今回は版画だけではなく墨画もあり、その表現の違いを比べてみることもできます。
版画は展示替えがあり、現在の展示は8月25日まで。
8月26日からの後期には、《競艶》などが出る予定です。

また、展示室Dでは、清宮質文の版画とガラス絵を展示しています。

その深く澄んだ世界は、観る人の心に静かな涼やかな風をはこんできます。
こちらも展示替えがあり、清宮の展示は8月25日まで。
8月26日からは木口木版を展示する予定です。

そろそろ梅雨も明け、いよいよ夏本番。
斎藤清の《会津の冬》、清宮質文の作品と、涼みに美術館へいらしてはいかがでしょうか。

 

新収蔵・石原コレクション

学生の皆さんは夏休みですね。
昨日から、美術館の外では、スマホをかざす学生さんの姿が多くみられるようになりました。
スマホはポケットのなかにしまってから、ぜひ美術館のなかへもお越しください。
2階常設展は高校生以下無料です!

2階常設展示室で開催中のコレクション展Ⅱについて、
今回は、新収蔵の石原コレクションについてご紹介します。

石原コレクションは、横浜市の会社経営者、故・石原巌氏が蒐集されたコレクションです。
福島県に深いゆかりのあった石原氏のご意志を受けて、このたび94点もの作品をご寄贈いただきました。
今回はそのうちの一部、ロダンをはじめとする彫刻と、シャルル・デスピオなどの素描を展示しています。



来期はさらに展示スペースをひろげて、引き続き石原コレクションの名品の数々をご紹介していく予定です。
どうぞお楽しみに。

荻生天泉特集

コレクション展は、一週間ほどのお休みの期間に展示替えをしました。
第II期は、特集が二つあります。

その1、没後70年・荻生天泉特集 (展示室A ;斎藤清の展示とシェア)
その2、石原巌コレクション (展示室B;「草木のある風景」の展示とシェア)

今回は荻生天泉特集をご紹介!
福島県二本松市出身の日本画家、荻生天泉(1882-1946)は、橋本雅邦に師事し、東京美術学校に学んで文展、帝展で活躍しました。
没後70年の今年、天泉の作品と、明治末〜大正時代の画家たちをあわせて展示し、その画業を振り返ります。

荻生天泉 《待宵》1925年 第3回日本画会展出品/ 《書聖》(藤原行成) 1935年 日本画会昭和10年展出品 県立図書館蔵/《花卉虫鳥類写生図巻》1921年 など。

7月9日〜10月10日まで展示しています。



常設展「コレクション展 IV」が始まりました

みなさま新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

美術館は1月6日に開館し、常設展示室では「コレクション展 IV」が始まりました。
さっそくその中身をご紹介しましょう。

まず第1室に入ると巨大な日本画がまず目に飛び込んできます。ガラスケースに並んでいるのが、須賀川出身で昨年没後50年を迎えた須田■中(すだ・きょうちゅう)[■:王へんに共]の作品です。
『渓の葉月』では、川のせせらぎが聞こえて来そうなほど生き生きとした描写が目を奪います。夏が恋しくなる一品。隣の『篝火』は鵜飼の様子を描いたもの。燃え盛る炎と鵜の群れが闇夜に浮かび上がっています。静と動がドラマチックに対比された須田の代表作です。


向かいの壁では、須田と同時期に活動していた日本画家・星茂、常盤大空(ときわ・たいくう)、福王寺法林(ふくおうじ・ほうりん)の作品をご紹介しています。
奥には、昨年生誕100年を迎えた二本松ゆかりの画家野地正記の作品が続きます。巨大な『スダマティ(死んでしまった) 』の精緻な筆遣いをご堪能ください。
 

第2室では「100年前の関根正二」と題して、わずか20歳でこの世を去った関根とその友人たちの作品をできるかぎり時間軸に沿って展示しています。関根の書簡をはじめ、現在行方の分からない絶筆「慰められつゝ悩む」の絵葉書など貴重な資料もあわせて展示しています。


続いて、河野保雄氏のコレクションから絵画と彫刻作品をご紹介しています。絵画では吉井忠、麻生三郎、鶴岡政男の洋画とともに、川西英、谷内六郎、初山滋などかわいらしい小品も並んでいます。
 

第3室には、アメリカとフランスの名画が並んでいます。
ワイエスの『ガニング・ロックス』に描かれた男の肌には、陽の光を浴びてキラキラ輝く髭までしっかり描かれています。質感まで伝わってくるその表現描写から、おもわずこの男の生き様まで想像できてしまいそうです。
つづいてベン・シャーンの『ドレフュス事件』、『リルケ『マルテの手記』より:一行の詩のためには…』シリーズから数点、また『ラッキードラゴン』などをご紹介しています。
そしてフランスからはジョルジュ・ルオーの『超人』と版画集『ミセレーレ』から4点が並びます。ふっくらしたほっぺた、分厚い唇につぶらな瞳の『超人』はなんとも憎めません。
 

最後の第4室には齋藤清とフランスのマックス・エルンストの版画が並んでいます。
 

1月はほかにも「美術館への年賀状展 2015年」や「円空展」など、様々な展覧会がもりだくさんです。「学校連携共同ワークショップ・参加校作品展」も1月12日まで開催中です。皆様おさそいあわせのうえ、ぜひ美術館に遊びに来てください!

常設展の版画の展示替を行いました。

すっかり寒くなった今日この頃、美術館まわりの紅葉も見頃を迎えています。

昨日閉館後、常設展の版画の展示替えを行いました。

まずは常設展示室Cのドーミエ。
今度は『当世代議士鑑』の立法議会シリーズです。



また、常設展示室Dの斎藤清は外国シリーズになりました。
メキシコ、フランス、アメリカと、一緒に旅する気分です。



反対側の壁は、日和崎尊夫と柄澤齊の木口木版です。
木口木版による緻密な表現に魅了されます。

 

企画展「小川千甕展」も今月24日までとなりました。
ぜひ美術館にお出かけください。

K.T.

コレクション展III始まっています!

すっかり秋めいてきた今日この頃、美術館のまわりでも紅葉が始まりました。
芸術の秋、散策がてら、ぜひ美術館にいらしてみませんか。

美術館では現在、企画展『小川千甕展~縦横無尽に生きる 彼は仏画師・洋画家・漫画家・日本画家だった。』(近々こちらブログで紹介予定)が、また、2階常設展示室ではコレクション展IIIが始まっています。
今日はコレクション展IIIの内容についてご紹介します。

まず、第1室は、コレクション・クッキング(C.C.)展企画の高校生キュレーターによる展示です。



なんだかいつもとは雰囲気の異なる、おもしろそうな空間になっています。
こちらについてはC.C.展フェイスブックで詳しくご紹介していますので、
ぜひこちらをご覧ください。
https://www.facebook.com/collectioncooking

第2室も盛りだくさんです。
まずは、大正期を中心とした洋画・日本画。



河野保雄氏によるコレクションをご寄贈いただき、厚みのある作品群となりました。
岸田劉生の作品が、洋画のほか、日本画、版画(第1室)も展示されていることに注目です。

奥の壁は、小川千甕展関連展示「喜多方美術倶楽部小特集」。

 

大正7年、福島県喜多方に美術愛好団体「喜多方美術倶楽部」が結成されました。
小川千甕ほか、小川芋銭などがたびたび福島にやってきて制作活動を行いましたが、それらの作品の一部を展示しています。

第2室には、ほかにも、創作人形、抽象絵画・彫刻などを展示しています。




第3室は、海外の作品。
アメリカ美術はワイエスを中心に、ジョン・スローンや国吉康雄などの作品も展示しています。



フランス美術は、印象派のほか、今回はドーミエの風刺版画が出ています。

 

最後の第4室は版画。
斎藤清は、今回は古都シリーズを中心に展示しています。



反対側の壁は清宮質文。版画を11点、またガラス絵も2点展示しています。




版画は11月半ばに展示替えを行います。
後期は、斎藤清は外国シリーズ、
また、清宮に代わって、日和崎尊夫や柄澤齊の木口木版が展示される予定です。

こちらもどうぞお楽しみに。

K.T.

版画の展示替えをしました!

現在常設展にて好評開催中の『コレクション展II 開館30周年記念 コレクション名作選』。
昨日閉館後に版画の展示替えを行いました。

常設展は年に4回の展示を行っていますが、
版画は作品保護のため、半期で展示替え、つまり年8回の展示を行っています。

今回は、前期の創作版画にかわり銅版画が展示されています。
 

長谷川潔、駒井哲郎、浜口陽三らの、モノクロームによる静謐な夢見る世界が展開されます。

また、斎藤清は前期に引き続き代表作を展示しています。
 

夏の暑いなか《会津の冬》シリーズをみるのもいいものです。

美術館内は、作品保護のため一定の温湿度に保たれています。
残暑厳しい頃、ぜひ美術館に涼みにいらしてみませんか。

K.T.