カテゴリ:教育普及

平成24年度 学校連携共同ワークショップのご紹介。

本日は、現在エントランスホールにて展示開催しております、当館学校連携事業ワークショップ作品について、その活動内容をご紹介いたします。


当館の学校連携事業は、2003年より実施しております。現在活躍中のアーティストを講師として招き、各学校を会場に児童・生徒と交流しながら、創作活動を中心とした出張ワークショップを展開する事業です。
プロの美術家と交流する貴重な経験と通常の授業では取り上げられていない題材、素材、技法を体験できる機会として県下小、中、高校へ公募し開催しております。
 
今年度は、講師に現代美術家の三瀬夏之介先生をお招きし、三春町立三春中学校、福島県立福島南高等学校、福島県立福島工業高校を会場に開催いたしました。



今回のワークショップは、三瀬夏之介先生の制作の素材でもある水墨の技法を用いて、伝統的な水墨画と現代のマンガが融合した表現に挑戦しました。
 
中国を源流として日本に伝わった水墨画は、京都高山寺に伝わる絵巻物「鳥獣戯画」にも代表されるように、日頃私たちが目にするマンガと深い共通点があります。

ワークショップの中で三瀬先生は、水墨が創り出す白黒濃淡世界の奥深さや現代マンガとの不思議な繋がりをわかりやすく・おもしろく生徒の皆さんにご教授してくださいました。





10月29日午前中は福島工業高校へ



工業高校の生徒さん達は、図面を引くように正確な線を描いております。
筆を使って細い輪郭線を引くためには、高い技術力と集中力が求められます。
作業が始まると、生徒のみなさんは一言も発せず机に向かっていました。

10月29日午後は放課後、福島南高校へ



こちらは、美術部のみなさんと有志の方々。使う画材は墨と筆、普段あまり使うことのない道具に最初はちょっと緊張ぎみでしたが、さすがに美術部と有志の方々です、完成した作品のレベルの高さは初めてと思えませんね。
ぜひ、美術館でご覧ください。

「筆の使い方、輪郭線の太さや細さなど、筆さばき一つで描いたものの個性を表現することができる。」と三瀬先生。こうしたところにも着目して作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

11月19日は三春中学校にお邪魔しました。



2年生の美術の授業(27名)クラスが参加してくれました。三瀬先生は、ワークショップの中でマンガと水墨画の共通点について分かりやすく解説してくださったほか、先生本人が美術を好きになったきっかけなど、小学生時代の実体験等のエピソードを交えながら作品制作の魅力についても話してくださいました。生徒さん達は熱心に耳を傾け、作品制作にとりかかると創意工夫を凝らし、集中して作業に取り組んでいました。



この度の展示は、江戸時代に使われた「模本」と生徒さん達が自ら探し選び出した「現代マンガ」の模写による組み合わせ作品です。筆先の緊張感が伝わる輪郭線の表情や、「江戸時代の模本」と「現代マンガ」の不思議な調和など、生徒さん達が描き出したモノクロームの見応えある作品の数々をどうぞご観覧ください。

展示期間〇2月15日(金)から3月24日(日)
開館時間〇9:30~17:00(最終入館は16:30)
休 館 日 〇月曜日(祝祭日にあたる場合は開館)
     祝祭日の翌日は休館(土日にあたる場合は開館)

来年度(平成25年度)の学校連携共同ワークショップの応募内容は6月号の「福島県立美術館ニュース」に掲載いたします。
来年度も素敵なワークショップを開催する予定です。ぜひご応募お待ちしております!

(くに)

新年恒例 年賀状展開催中!

恒例の年賀状展、只今開催中です!



この展覧会は『生活習慣と美術の関わりを知り、美術により親しんでもらう機会とする事』や『子供の自由な発想と多様な表現の発表の場をつくる事』などを目的に、開かれた美術館づくりの一環として1984年の開館時より開催してきました。



年賀状展は、主に小中学生を中心に応募しております。今年は617通もの年賀状をいただきました!送ってくださったみなさま、本当にありがとうございます!



送って頂いた年賀状は「今年の抱負」や「親しい人へのメッセージ」なども添えられ、どれも力作揃いです!
展覧会は1月31日(木)まで県立美術館エントランスホールにて開催しておりますので(無料)ぜひご覧ください!




2013年 みなさまに たくさんのいいえがおが おとずれますよう  こころより おいのりもうしあげます。

(くに)

ふとん山が初日を迎えました

「あそVIVA★びじゅつかん2012」が本日開幕。
今年は小沢剛さんの「あなたが誰かを好きなように、誰もが誰かを好き」という作品をエントランスホールに展示しました。通称ふとん山です。
9時半、美術館が開館する時間。さて、子供たちが来てくれるかしら?
実は本格的な広報活動がまだできていなかったのです。

一番最初に来てくれたのは、お父さんに連れられた女の子。誰もいないし~んとした美術館に足を踏み入れ、なんか間違ったところに来ちゃったんじゃないかといった面持ち。こちらも最初のお客様にちょっと緊張気味で、封筒を渡しながらお話をしました。

封筒の中に、何が入ってる?一枚には、この作品が旅をしてきた先で出会った子供が描いた好きな人の絵。これはあなたへのプレゼント。もう一枚は真っ白だよね。そこには、あなたが好きな人の絵を描いてね。そしてこのカードをふとん山のてっぺんのポストに入れると、この作品が次に行く美術館に遊びに来た子供に、同じようにプレゼントされるんだよ。

早速お絵かきタイムです。そしてそろそろ、こわごわ、ポストカードを手に山を登って行きました。でも、この儀式が無事に終わり、ふとんの山が楽しいところだとわかると、一気に笑顔と歓声が沸き起こります。結局、この女の子は、そのあと、妹とお母さんを連れて戻ってきました。何度も転がり、滑り降り、汗だくだくになって帰っていきました。















手応えを感じた一日でした。
さてさて、これから3か月、どんなことになるでしょう?
みんな来てね!ふとん山は楽しいよ!
 















A.Y.

夏休みの思い出「アートなおはなしかい2012」

遅くなりましたが、今年の夏に開催いたしました県立図書館+県立美術館連携事業「アートなおはなしかい2012」のご報告です。

8月11日に開催しました毎年夏の恒例イベント「アートなおはなしかい」は、ご好評頂き、おかげさまで今年7回目を迎えました。今年のテーマは「ひかり」です。「ひかり」というと、みなさんは何を思い浮かべますか?「太陽の日差し」「照明の灯り」形容詞で言ったら「まぶしい」「暖かい」など、色々連想できそうですね。
 今回は、そんな身近に感じることの出来る「ひかり」について、図書館では「実験!」も取り入れながらの読み聞かせを行い、美術館では、「ひかり」のさすところには「影」ができることを意識しながらの作品鑑賞を行いました。






まずは図書館での読み聞かせです。
図書館での読み聞かせは、聞いているだけでも楽しいのに、今回はなんと「ひかりを見つける実験」付きです!セロハンやCDにひかりを当てると・・・・。
私たちの身のまわりにある「ひかり」には、こんなに様々な「色」があるんですね!

びっくりです。



そして、こんなところでもひかりの観察ができちゃうのです!
(安齋司書力作のネームプレート)

みんな夢中でひかりの観察です!



光の三原色は「赤」「青」「緑」。三色混ぜると、ひかりは「白」になることをみなさんはご存じでしたか?

楽しいひかりの実験盛りだくさんの後は「アン・ジョナス作『光の旅かげの旅』」の読み聞かせでしっとり終了です。

ボリューム満点の楽しい読み聞かせになりました!

次は美術館へGO!



美術館では「光」と「影」の不思議な関係を見つけるところかのスタートです。

ガラスのオブジェに反射する半透明の不思議な「影」。そして、マリソールの作品にライトを当てると作品の顔の表情が変わりました!怒ったり、笑ったり。光の当て方で影のかたちも変わりますが、あわせて顔の表情も変わるのです。不思議ですよね。

さて、光と影の不思議な関係をちょっと体験したところで、いよいよ美術館『光と影、鑑賞の旅』へ出発です!



美術館鑑賞の旅は「アート・キューブ」がナビゲーターです。『小さい子チーム』は「カラーキューブ」、『大きい子チーム』は「感覚キューブ・絵画キューブ・色材キューブ」が楽しい鑑賞の旅へ導いてくれます。



大きい子チームは、モネ《ジヴェルニーの草原》の前で「感覚キューブ」を使いました。
感覚キューブは立方体で6つの面に目=視覚、耳=聴覚、鼻=嗅覚、手=触覚、口=味覚、電球=第六感のマークが描かれています。サイコロのように転がして…出た目は電球マーク!これは「ひらめき」のマークです。
「この作品を見て、ひらめいた事や連想した事を教えてください。」
「空に紫色が使われているので、夕方なのかも?」
「お~鋭い意見。この絵を描いたモネなど印象派と呼ばれる画家達は「光と影」に注目していました。
野外にキャンバスを持ち出して同じ場所で何枚も描き、太陽の位置によって変化する「光と影」を描き分けていたのですね。」

そして「感覚キューブ」の後は「絵画キューブ」の登場です。油彩画、水彩画、日本画の感触を実際の作品の前で体験しました。本物には触れないけれど、これなら本物に触った気持ちになれますね。



小さい子チームは「さまざまな作品の中にある光や影」を探し出した後、カラーキューブを使って、いつもとは違う「色の世界」で作品を観る体験をしました。まさに図書館で発見した「ひかりの色」の世界へ飛び込んだような感じです。
そこでは、ワイエスの《冬の水車小屋》が大人気。水車小屋の周囲に降り積もる雪の白さは、色が変わると「全体が暖かそうに見える」「夕方のように見える」など感じ方も様々に変化しました。
こうして、色んな角度から鑑賞を楽しんだ両チームは、無事美術館鑑賞の旅を終えました。

が、なんと最後に楽しい工作が待っていました!

様々な形に切り抜いた色セロハンを半透明の「メダル」の中に詰め込みます。光にかざすと色々な色が重なって輝く「光のメダル」の制作です!時はロンドンオリンピック。今回のアートなおはなしかい参加者は素敵な体験を完了したご褒美に、自分だけの「光のメダル」を獲得しました!おめでと~。という感じですね(笑顔)



「アートなおはなしかい」今年の夏の思い出を「光のメダル」に詰め込んでお持ち帰り頂きました。
ありがとうございました。また来年もお会いしましょう!

(くに)

実技講習会「シャーンと立つ私の姿」報告(後編)



6月9日(土)から始まったタノタイガ氏の実技講座も先週末の6月24日(日)が最終日になりました。

計6回の講座も振り返ってみればあっという間でしたが、受講された方々の完成度の高い作品を観ると、この講座の充実ぶりをうかがい知ることが出来ます。

彫る作業もいよいよ最終段階。個性的な作品がみえてきました。



彫る作業の次は思い思いに着彩です。

 
タノ氏は「あまり細かくアドバイスをすると、それはその人の作品ではなく僕の作品になってしまう」ということで、講座開始当初に技術的なアドバイスをする以外、なるべく話しかけない(制作の邪魔をしない)スタイル。
 したがって、制作をどう進めて良いか戸惑う受講生も・・・・。しかし「悩んで試行錯誤し結果的に失敗しても、それが自分の作品だということを受け入れることも大事」とタノ氏。まさに「自分と向き合う」講座のテーマそのものです。



写真は、完成した作品をいよいよ美術館の前庭に設置している様子です。運良く梅雨の晴れ間の作業になりました。日差しはもう夏の気配です。

そして互いの作品を鑑賞しあい、デジカメなどで画像に収めました。

受講された方々は、前庭に立つ自刻像をみて何を思うのでしょうか?



「シャーン」と立つ、受講された方々の作品をしばしご鑑賞ください。






福島県立美術館では、多彩な講座をご用意して皆様のおこしをお待ちしております。是非ご参加ください!

詳しくは・・・・・
http://www.art-museum.fks.ed.jp/education/kouza.html

(くに)