カテゴリ:教育普及
創作プログラム「お気に入りの絵を彫ろう 漆の沈金体験」を開催しました
7月10日(日)に当館実習室にて創作プログラム「お気に入りの絵を彫ろう 漆の沈金体験」を午前と午後の部で開催しました。講師は、今年の2~3月にかけて当館にて開催した、福島県ゆかりの若手アーティストを紹介する企画展「福島アートアニュアル2022」に出品いただいた漆芸家の吾子可苗さんです。
はじめに作業工程を説明していただきました。
次に実演です。
「面にしたい場合は線を交差させたり、何本も線を彫る」「線を太くしたい場合は数本線を引いていく」など、わかりやすく教えていただきました。
さあ、各自で制作の時間です。
まずは、皿の上にチャコペーパーをおいて、各自用意したイラストをのせて、鉛筆でなぞっていきます。
図案が漆の皿に写りました。
お皿に写った線を加工した太い釘でなぞり、浅く彫っていきます。釘を立てて持ち、ギリギリと音がすればうまく彫れている証拠です。
「漢字を彫るのが難しい!」との声に、「最初は大まかなところを彫って、釘に慣れてきたら細かいところに彫り進んでいきましょう」と吾子さん。
彫り終わると、表面をきれいに拭き取ります。そして、漆を模様にすり込んでいきます。漆は触れるとかぶれることもあるのですが、挑戦した人は吾子さんの丁寧な指示のもと、気をつけて漆を擦り込みました。
表面についた漆を拭き取って、いよいよ本金を、真綿をつかって模様に蒔き付けます。丸くふわふわふわと蒔き付けていくのがポイントです。
線が金色で浮かび上がると、その美しさにみなさん気持ちが高まります!
お皿の表面についた金粉をきれいに拭き取ったら、完成です。1週間漆が乾くまで、濡れたティッシュを入れた袋で保存します。袋は密閉せずに口を3㎝ほど開けておきます。
受講者の声です。
・初めて漆をつかって模様をつけたので、楽しかった。工夫して彫ったりするのも楽しかった。
・非常に素敵な経験ができました。金粉をつけた時の華やかな瞬間は素晴らしかったです。
・大人がするような沈金の体験をさせて頂けるのがありがたかったです。
ご参加いただいた受講者のみなさま、1週間経ちましたね。お皿にカステラを載せたい、飾りたい、愛でたいとそれぞれ使い方をお考えでしたが、使うのが楽しみですね!
今回のワークショップは、アートアニュアルにあわせた2月開催の予定が、新型コロナウイルスの影響で延期となりました。受講者のみなさまが待ち望んでいたので、無事に開催することができうれしい限りでした。お申し込みいただいたみなさま、吾子さんありがとうございました!
創作プログラム「こけしの源流を想像して、こけしに絵を描こう」を開催しました
6月26日(日)に当館実習室で創作プログラム「こけしの源流を想像して、こけしに絵を描こう」を、午前と午後の部で開催しました。今回は、当館にて開催中の企画展「東北へのまなざし1930-1945」の関連ワークショップです。展覧会のポスター、チラシのデザインを担当された軸原ヨウスケさん(デザイナー)が講師です。
はじめに、伝統こけしの系統の特徴を説明していただきました。
続いて、熟練の伝統こけし工人さんの制作工程の映像を見せていただき、制作意欲が高まっていきます。
いよいよ「幼少期の自分を投影したこけしをつくる」に挑戦です。
まずは、小さい頃の自分を思い出しながら、シートに自分の顔を筆で描く練習です。墨汁と食用の染料(赤・青・黄・緑)を水で溶いたものを使います。
軸原さんにいただいたアドバイスは、「筆に慣れること」「気持ちよくすすっと描ける線、柄を考案して描いていく」でした。
次はロクロの使い方の実演です。ロクロを使ってこけしの髪や模様を描くことができます。
みなさんもロクロを使って模様を入れていきます!
一発勝負なので、筆を入れる受講者の方も手回しロクロを回す軸原さん、美術館スタッフも集中しています。
さらに顔や髪、胴模様を自分好みに仕上げていきます。
最後に、みなさんでこけしの記念撮影をしました!どのこけしもつくった人の“その人らしさ”が表れています。
軸原さんと伝統こけし工人の早坂さんです。
震災で落ち込んでいた時に軸原さんの本(残念ながら絶版)をきっかけにこけしに魅了され癒やされた「こけ女」の方、おじいさまが土湯のこけし工人だった方、現在も鳴子でご活躍されている工人さんなど、こけしと密接な関わりがある方々が軸原さんとこけしに引き寄せられるように集まりました。こけしの奥深さを感じた一日でした。
受講者の方からの感想です。
・想像した以上に筆づかいや絵付けは難しかったが、作品を作る過程が楽しかった。ロクロで色をつけることもできてよかった。
・とてもたのしかったです!!
・工人の方のすごさを体感できました。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。小さなこけしに大きな魅力がつまっていることを教えてくださった軸原さん、本当にありがとうございました。
もののけワークショップを開催しました
5月8日(日)に当館実習室で創作プログラム「もののけワークショップ」を開催しました。講師は画家の香川大介さんです。
今回は親子向けの講座です。香川さんがつくった素焼きのオブジェに絵付けをし、自分だけの“もののけ”をつくります。
まずは、オブジェを選びます。
ひとつとして同じ形のない約30体のオブジェから、自分のお気に入りを選ぶのは楽しい時間です。
選んだら、絵付けの開始です。
「制作時は、集中しないで周りと話しながら、なるべく考えずに手を動かしてほしい」「みなさんに話しかけます、なんならひとりで勝手にラジオになっています」と、香川さん。
考えないで手を動かすという作品づくりに、子どもたちはすいすいと手を動かし、色を付けていきました。大人も筆を動かし始めると夢中モードに。香川さんと話しながらも制作の手は止めず、親子でそれぞれの表現を楽しんでいました。
最後にみなさんと出来上がった作品を鑑賞しました。
“もののけ”集合!
自分だけの“もののけ”が出来上がりました。
素敵なコメントをいただきました。
・ぬるのがたのしかった!
・0から何かを考えるのは難しいと思いますが、今回のような素材をもとにつくり上げていくのは取り組みやすく刺激的でした!
・親子それぞれ作るのが新鮮でした。自分で作るのも楽しいものですね。
・普段できないことを体験し、まわりのみんなの作品に触れ、ますます表現に興味がでたと思います。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そして、楽しい時間を提供してくださった香川さん、本当にありがとうございました!
創作プログラム「写真のような鉛筆デッサン」を開催しました
4月16日土曜日、当館実習室で創作プログラム「写真のような鉛筆デッサン-自画像を描く-」を開催しました。講師は当館学芸員の大北です。
今回の講座では、形を取ることを省くために写真をトレースして描きます。
形のくるいが無いことで自分の扱えるトーンの幅を増やすことに集中できます。
使用する画材は鉛筆3種類(3B・HB・2H)と、ねりゴム、綿棒です。
2Hの鉛筆は固いので、芯を長めに出してねかせて使います。綿棒は擦筆の代わりです。
左半分は写真をトレースして輪郭やあたりをつけた状態。
右半分は3種類の鉛筆、ねりゴム、綿棒を使って描きました。
まずは、白黒コピーした写真の裏面に、鉛筆の芯の粉末をティッシュペーパーですりこみ、トレースするための準備をします。
次に、色ペンを持ってトレース開始。
目や鼻などの輪郭や明暗が分かれているところをなぞってあたりをつけます。
トレースが終わると、鉛筆で色を入れていきます。固さの違う3種類を使い分けます。
一番暗い色を最初に置くのがポイントで、それを基準にすれば間のトーンをつくりやすくなります。
午前はここで終了。
午後は、立体感を出すべく、ひたすら描きます。受講者の方それぞれ描き方が違うので、その特徴を活かして、個別にアドバイスをしていきます。
苦しい修行のようなデッサンですが、みなさん根気強く取り組み、終盤はそれぞれが何かをつかみ、鉛筆さばきが軽やかになっていきました。
もっと伝えたいことがあったのですが講座終了の時間です。
みなさん扱えるトーンの幅が増えたと思いますので、その感覚を今後の制作に生かしていただければ幸いです。
「今日は楽しかった」「また絵を描く講座を開いてください」「これからもデッサンがんばります!」などのお声をいただきました。嬉しいです。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
学校連携共同ワークショップ参加校作品展がはじまりました。
当館では、県内の子どもたちを対象とした「学校連携共同ワークショップ」を行っております。今年度は、福島県ゆかりの作家であるアーティストの門馬美喜さん、画家の宮嶋結香さん、当館学芸員を講師として、各学校等でワークショップを開催しました。その成果展である、子どもたちが制作した作品約220点を一堂に会する展覧会が2月8日からはじまりました。
門馬さんのワークショップのテーマは「建築廃材で小さなまちをつくろう」です。門馬さんのふるさと相馬市をはじめ、復興に使われたさまざまな形の建築廃材を自由に組み合わせて、ひとりひとりが思い描く、自分が行きたい世界・場所・街を制作しました。廃材の木をそのまま使ったり、のこぎりで切ったり、おもいおもいの街をかたちにしたブックスタンドをつくりました。柿渋で彩色して、味わいある作品に仕上がっています。
福島県立相馬高等学校(美術部)
〈生徒たちの声〉
- 自分の行きたい世界、街、場所をつくることなんてしたことがなかったので、とても新鮮でした。
- 粘土や絵の具などを使用せず木だけの表現のやり方に悩まざるを得ない反面、木がうまく組み合わさった時の達成感を強く感じることができました。
- のこぎりで切ったり、きりで穴をあけたり、くぎを打ったりと普段の生活ではしないことをして、手が痛くなりましたが、とても楽しかったです。
宮嶋さんのワークショップのテーマは、「古紙をつかって絵を描いてみよう」です。紙袋や包装紙、ポスター、チラシなど、一度役目を終えた紙に描きます。破いて描きやすい大きさにして、断面やシワや紙に入っている模様からイメージを膨らませて、描きたい絵を自由に描きます。
二本松市立渋川小学校(4年生) 田村市立要田小学校(5・6年生)
南相馬市立太田小学校(5・6年生) 田村市立大越小学校(6年生)
会津坂下町立坂下中学校(文化部) 須賀川市立小塩江中学校(全校生)
会津若松市立第二中学校(美術部) 郡山市立日和田中学校(美術部)
〈子どもたちの声〉
- 普段使わない紙に、その場で思いついた絵を描いていくと、次の場面が次々にうかんできて、描く手が止まらなくなって、正直悩むと思っていたので、とても楽しくできました。
- 題名は「自然の中にきえた記憶」です。ポスターの絵はそれにぴったりだったので、写真を破って記憶がわれたように使いました。いろいろな記憶があるようにしようと思いました。
- ポスターのジャンプしている女の人を見て、「天使やん」と思ったので、羽をつけました。米袋のぼこぼこを使って犬の毛を再現しました。適当に切った紙からイメージをふくらませるのが楽しかったです。
- 小さい頃、何も考えずに描いた楽しさを思い出すことができた。共同で作品を作ることもできた。
当館学芸員のワークショップのテーマは、「目や鼻や口を描かないで友達の顔を描いてみよう」です。友達の雰囲気や友達から教えてもらった好きな音や物などから想像し、いろいろな画材を使って友達を描きました。
子どもたちは、マチエール(絵肌)作りからこだわりをみせ、作業に没頭する姿が印象的でした。五感を使って友達から感じ取ったことを画面上で表現し、目や鼻はないけれど友達が持っている空気感が伝わる作品をつくりました。紙を貼ったり、ビーズを付けてみたりと、リズミカルな作品に仕上がりました。
福島市教育委員会教育研修課(ふれあい教室)
福島の子どもたちの心豊かな成長を願い、貴重な時間を提供してくださった2名の作家と当事業に協力してくださった多くの方々に深く感謝いたします。
作品をご覧いただいた方から、「賑やかな音楽が流れているイメージ。楽しい!」「子どもたちの元気いっぱいの作品をみて楽しかった」「自由で楽しそうなアウトプットと、その隙間からのぞく現代の子どもたちの鬱屈した感情が見えるところがよかった」など、さまざまな感想をお寄せいただいております。
学校連携共同ワークショップ参加校作品展は2月27日(日)まで展示しています。子どもたちのきらきらした感性、パワーが感じられる作品展となっております。どうぞご覧ください。
場所:当館企画展示室B
観覧料:無料
開館時間:9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日:14日(月)、21日(月)、24日(木)
創作プログラム「窓に描くクリスマス」を開催しました
12月18日(土)、当館実習室、庭園にて創作プログラム「窓に描くクリスマス」を開催しました。
講師は南相馬市在住の画家で絵本作家の小原風子さんです。
今回のワークショップは、みんなでフロッタージュした紙を使って、大きな窓をキャンバスにもみの木やクリスマスの風景を描いて、切って、ちぎって、貼って、つくっていきます。
当日の天気は雪。
まずは、フロッタージュの材料になる葉っぱや実などを採りに、美術館の庭園に。さむい!!!
次に、寒さに負けずにあつめた葉っぱや実を、実習室でフロッタージュします。葉っぱの上に半紙を置き、上からクレヨンなどでこすり、かたちをうつし取ります。
実習室の中の凸凹も探して作品にします。
さらに、等身大の自分を窓に飾るべく、大きな和紙を使って、自分で考えたポーズを型取りしてもらいます。そこに自分の顔を描いていきます。
そして、こんにゃくのりで等身大の自分を窓に貼り付けます。
午前中の活動は、ここで終了です。
午後は、窓に貼り付けたもみの木や等身大の自分に、フロッタージュしたものを使っておもいおもいに制作していきます。
風子さんが海から拾って集めてくださった貝も飾りつけました(こどもたちに大人気だった貝は“ナミマガシワ”といい、幸せを呼ぶ貝といわれているそうです)。
窓にむかって夢中で制作しました。
シンプルな大窓が、躍動感あふれるアート作品に変わりました!信夫山をバックに、たのしく遊ぶ冬景色の作品ができあがりました!
最後にみなさんで鑑賞しました。
のびのびと、また集中して活動されていたので、完成後のみなさんのお顔は充実感に満ちていました。「たのしかった!」「またやりたい!」とのお声、ありがとうございました!
すてきな時間をつくってくださった風子さん、ほんとうにありがとうございました!
瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校in福島」第4回報告
8月に開校した「瀬戸正人写真学校in福島」もいよいよ大詰めになってきました。12月12日日曜日、第4回が展示室Bで開催されました。
これまで美術館の建物の奥にある美術館講堂で開催してきましたが、12月4日に「瀬戸正人 記憶の地図」展が開催し、企画展示室内の最後の部屋を使って行われました。ここは関連映画の予告編をご紹介したり、この写真学校の事業を展開するためにオープンスペースとした部屋です。展覧会を見終わった方が通るスペースでもあるので、写真学校にご参加でない方も「何やってるんだろう?」とちょっと覗いていただける場所になっています。たくさんの方と共に瀬戸さんの言葉に耳を傾けました。
今回は、これまで3回の講座で瀬戸さんにセレクトしていただいた写真に加え、そこで落とされたけれど敗者復活したい自分推し作品、新たに見てもらいたい自信作を提出することが可能になっていました。いよいよ展示作品を決めます。成果展に向け、みなさん心残りのないように、最後のセレクトの回に臨みました。今回はZoom参加はなく、ほぼ全員美術館に集まりました。コロナも落ち着いており、瀬戸さんと直接お話をしながら、納得して作品を決められて本当によかったです。
今回も、瀬戸さんの言葉を拾いながら、様子をご紹介しましょう。
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完成している、安定している写真ではなくて、出来上がっていない写真、半端だと見える写真も、注目しなくてはならないものだと思っている。
…出来上がっていない写真に、写真の神様が宿ることがある。
見る人は、写真の中にポイント(中心)を期待する。撮る人もそれを忖度する。でもそれではいけない。驚きがなくなってしまう。驚きを作るためには裏切る。なかなか難しいけれど。
写真はバラバラなんだけれど、撮った人の世界観がしっかりあればそれはそれでいい。
例えば個展で、40枚バラバラの写真が並んでも、世界観が感じれるのであれば、それでいい。ということは、実は写真はどこを撮ってもいいということ。作家としての世界観があるなら、被写体はなんでもいいということ。それがないならテーマを決めなくてはならないけれど、取っ払えるのなら、取っ払った方がいい。もっと自由であっていい。
中心がない、空気を撮っているような写真。その時何が起きているかというと、撮っている人の内面、気持ちが現れでてくる。
盆踊りの空気感を写しているようなもの。花火を写したわけじゃない。櫓を写したわけでもない。お祭りなんだけれど名付けられないような場所を撮っている。重要なテーマです。
〈展示について〉撮影者の名前もタイトルもいらない。脈絡を無くして展示したい。見た人は誰の写真かなんて関係なく、どれがいいかを見てくれればいい、というところまでしたい。
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ということで、キャプションはなし。各写真の下に、撮影者に対応した番号シールを貼るだけ。
作品は基本的にシャッフルして展示することになりました。瀬戸さんが壁面に写真をレイアウトして下さいます。撮影者順ではありませんし、上下があったり、作品によって感覚を開けたりすることもあるでしょう。
受講生と瀬戸さんの完全コラボレーションということです。
担当としては、わくわく、いや正直ドキドキの方が大きいかも。
何はともあれ、泣いても笑っても26日が最終日です。受講生の皆さんからは、記念写真、卒業証書などいろいろな要望が出ました。名残惜しいですね。
展示は、この企画展示室Bです。
そうそう、受講生のご要望により、当日12:30から瀬戸さんにギャラリートークをしていただくことになりました。ハプニングです。
受講生のみでなく、一般の方もお聞きいただけますので、チケットをお持ちの上展示室入口にお集まりください。
瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第3回報告
瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校in福島」第3回報告
「ドラえもん展」最終日を二日後に控えた11月21日(日)、写真学校第3回目が開催されました。チケットを買う長い列を横目に見ながら。
さて回も進むにつれ、セレクトの基準も厳しくなって、選ばれる写真の数がぐっと少なくなりました。今回も講座の中で瀬戸さんの写真論が展開されたので、言葉を拾いながらご紹介していきましょう。
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中心がない、そういう写真は見過ごされやすい。選択肢の外に置かれやすいのだけど、よく見ると空間、視覚、空気感、大袈裟に言うと自分、その人の世界観が意外と表れる。中心があるとそこに目がいってしまって、中心、ポイントがいいかどうかという議論になりがちだが、中心がない分、作者の考え方、個性が表れやすい。そこを意識して撮れば自分を出しやすい。
紅葉はきれいだけれど、これが写真の大問題なんです。撮らされている私がいるパターン。自分が入る余地がない。圧倒的に向こうの方がきれいだし、すごい力を持っているので、どう対峙したらいいのかということになる。いくら撮っても先が見えない。
どこに行ったらいいのか、何を撮ったらいいのか、そういうことは普通日常的によくあること。・・・歩いているうちに何か見つかる、見つけちゃった。
探していない人のところには現れない。何かないかと探しまわる人のところに現れる。漠然と歩いていても見てないのと一緒。見つけられない。
これ以上寄ると抽象画のようになってしまうけれどまだ具体性が残っている。・・・見る人にいろいろ錯覚させるそのギリギリ。それがいい。
たくさん撮るのはいいけれど、その中から選び出す力がないと撮る力になっていかない。
この写真はオーソドックスで何も主張していないんですが、何かがいる感じがする。中心がないけど、何かがそこにいる。
こういうもの(大きな岩)に神様が宿っているんじゃないかと僕は思っている。何か惹きつけられる。撮りたくなるものですよ。
その効果を狙って撮るとして、もうバレちゃっているから面白くないですよね。・・・こうすればこうなる、頭で計算ができている、それを撮った写真はあまり面白くないです。何故かというと考えちゃっているから、もう出来上がっているから感動がないんです。
パッと見ちゃった風景がある。実は見たときに撮れちゃっている。しかしそれを人に言ってもわからないので写真に撮る。1秒でカメラを握り、2秒後にそっちに向かい、3秒後にさっき見ちゃった風景はこれかなと思ってシャッターを押す。これにはトレーニングとか経験がいるんですが、見ちゃった時に終わっているという感覚。もう撮れちゃっているんです。
(スナップの撮影について)そもそも写真を撮るということ自体が悪意のある行為。写真を撮るという行為の向こうに、人間の何かを暴き出そうという私がいる。それは仕方なくあって写真を撮る。
写真は半分に破いても写真。いくら破いても写真です。写真のかけら。かけらでもよくみたら写真なんですよ。
いい写真は半分にしてもいい写真。
普通、中心のない写真は(コンテストでは)無視される。皆の常識がそこにないから。審査する側がポイントを評価しているから。僕はそうじゃないと思う。もっと広く見てみたい。ポイントのない写真にも可能性があるんじゃないか。・・・自分でそういう写真を50点くらい作って展示をする。全部中心のない写真。そうすればやっと中心が見えてきたと感じるかもしれない。見えない中心が会場に立ち現れる。・・・架空の柱のようなものがそこに現れる。そういう可能性が写真の中にあるんじゃないかと思っている。中心のないものにこそ自分が表れる。
40年前とここ2,3年で、僕の写真は変わってきている。
最初何を撮ったらいいか、何を目指すかわからなかった。どこから始めようか、そう考えた時、生まれたタイ、バンコク、ハノイそして住んでいた家を探しに行こうと思った。自分探しというところから始めて撮ってきた。でも写真家として、作家として勝負していくためには、テーマで見せた方が人に伝わるんじゃないかと考えた。中心のない写真ではダメで中心のテーマを決めてしまう。そして撮る。《リビングルーム》もそう。東京のアパートにいろいろな外国人が来始めた時期で、彼らは部屋にもお国柄を持ち込んでいた。だからドアを開けた途端にその国の匂いがする。それをテーマに据えよう。中心にコンセプトを据えて、中心だけを見せる。そういう手法を随分やってきた。でも最近《セシウム》から、だんだん中心がない写真を撮るようになった。福島の山の中、川を撮っているんだけど福島を撮っているわけではなく、草むらを撮っている。そんな感じ。中心のない写真はこれだって指し示そうかなというのがこれからの僕のテーマなんです。
写真には撮る側、撮られる側、その真ん中にカメラがある。写真ってそれらのあいまいな関係があるから面白い。
自分が撮ったつもりなんだけど、実はいい意味で撮らされたならば素晴らしい。決して撮っている私だけではない。撮られる人、カメラも参加している。自分を主張したい人は主張することもできる。でも自分を消したい人は消すこともできる。
カメラというものがこの世界と自分を繋いでいる。でもそれはすごく曖昧な関係なんだけれど、それを信じないと写真は撮れない。
虚構なんだよ。現実が写っているから現実だろうと思うけど、現実ではない。ペラペラの紙なんですよ。あくまで虚構の世界の中に写真があるの。私が見ちゃったものをカメラは忠実に撮ってくれたということを信じているから写真は成り立っている。
写真は誰のものか。写っている人、撮った人、カメラ?
写真は誰のためにあるかと言ったら、この3者は関係ない。100年後、私もあなたもこの世にいない。カメラも壊れている。残っているのは写真だけ。100年前の写真があったとしてこれは誰のものか。実は誰のものでもない。その時に見た人が感動したらその人のものになるんじゃない?
父親は写真館をやっていたから、僕たち子どもの写真をいっぱい撮っていて、アルバムにしているわけ。そこには50年前の写真がある。撮ってくれてよかったと思う。お父さんは何のために撮ったのかということを考えると、後で皆で見てくれっていうことなんですよ。写真の意味ってそこにある。こんな有難いことはない。50~60年経って今頃それを感じている。そこに写真の時間的なスパンとか意味がある。
写真がわからなければ、音楽も文学もわからないと思う。形が違うだけでみんな繋がっている。やっていることは同じだからわかる、感じられる。
自分の写真の問題は意外とひらめき。ひらめいたものを、今までの経験にのっとってやってみようかなと。でも最後まで辿り着けないなと思えば、その時やめようか、あるいは2~3年おいておこうか、そういう風にして進める道がどこにあるかというのを探すんです。
なんで明日写真を撮りに行くのかというと、まだ見たことのない写真を探すため。どこかに自分もみたことのないものがあるんですよ。それを撮るために行くの。どこにあるんだろう。つきないんです。
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今回も会場からたくさんの質問が出て、興味深いお話を聞くことができました。
有難うございました。
次回は12月12日。いよいよ成果展に向けて、作品をセレクトします。
展覧会「瀬戸正人 記憶の地図」展が12月4日(土)にオープンします。瀬戸語録と併せて、是非ご覧ください。
創作プログラム「墨であそぶ・墨でえがく」開催しました
8月7日(土)、当館実習室にて創作プログラム「墨であそぶ・墨でえがく」を開催しました!
講師は、いわき市ご出身で美術家の久保木桂子さんです。
今回の講座は子ども達向け。
すずりで墨をする体験をして、墨の柔らかなうすい色、はっきりとした黒い色、にじみや線などを使って、いろいろな描き方を楽しみます。
最後に自分ですった墨で色紙に自由に絵を描いてみましょう!
まずは、墨のすり方から。
すずりの丘の部分に水を少し入れ、墨をたてて持ちやさしくすっていきます。
今回子ども達に準備した墨は「すずか墨」というもので、通常の墨よりもすりやすいものになっています。
墨がある程度すれたら、絵皿にうつします。
今一番濃い墨を梅皿の中央に入れて、水を調整しながら周りの仕切りに濃さの違う墨を作っていきます。
説明が終わったところで実際に墨をすってみます!
すずりと墨を1人1セットずつ準備し、久保木さんの説明を振り返りながら墨をすっていきます。
学校での習字の授業は3年生くらいから始まるそうなので、初めて墨をさわる子もいました。
ある程度の量の墨ができるまで、10分ほどすり続けるため、途中お休みを入れながらみなさん集中して手を動かしていました。
墨の準備ができたら、試し描きです。
おとな向けの時と同じく、雪村周継の《花鳥図屏風》をまねして、線を引く、濃淡をつける、ぼかし、かすれなどを練習します。
なんとなく筆の使い方や墨の感じに慣れてきたら、それぞれ準備してきた下絵や写真を元に試し描き。
久保木さんからのアドバイスをもらいながら、どんな風に描いていくか考えます。
今回は色は入れず、墨だけを使って描くので、濃さの違いを生かして描いていきます。
お昼休憩の前に、開催中の「ミネアポリス美術館展」をみんなでみに行きました。
とっても大きな水墨画が並んでいます。
午前中にまねして描いてもらった雪村の屏風もみてもらいました。
まねしてもらったのは白鷺やツバメがいる一部分を切り抜いたものだったので、全体をみてみると、目がぎょろりとした鯉などもいて驚いている子もいました。
観覧が終わったところで午前中の活動は終了。
お昼休憩をとります。
午後は、いよいよ本番の色紙に描いていきます!
それぞれ準備してきた描きたいものを、自由に描いていきます。
ドリッピングをしたり、墨の濃淡を使い分けて表現したり、みなさんそれぞれ工夫を凝らして描いていました。
最後に名前を入れて、作品が完成!
みんなの作品を並べて鑑賞会をします。
一人ひとり作品について、工夫したところや感想をお話してもらい、久保木さんからもコメントをもらいました。
下描きからどんな風に作品が変わっていったのか、説明してくれた子もいました。
子ども達からは、
・さいしょはうまくできなかったけど、さいごはうまくできてうれしい。
・水とすみの量で、いろいろなことを表せることが分かった。
・むずかしかったけど楽しかった。
・すみをするのが楽しかった。
などと感想をいただきました。
久保木桂子さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
創作プログラム「水墨画体験」②
◆◆◆2日目◆◆◆
「水墨画体験」2日目は、前日に描いた本紙をパネルにはるところから始まります。
パネルのふちにのりを塗ります。
本紙の裏に刷毛で水をぬり、パネルに本紙をのせてやさしくはりつけていきます。
これでパネルの準備が終わりました。
乾くのを待つ間に、墨をすって準備します。
いよいよ作品を仕上げていきます。
今回は作品によって墨だけでなく、顔彩も使って色を入れていきました。
途中、久保木さんからのアドバイスで、にじみ止めのためにドーサを引く作業なども入れながら、みなさん黙々と創作に取り組んでいました。
最後は作品をイーゼルに並べて講評会。
自分の作品について、どのように描いたのか、工夫した点や難しかった点などについて、一人ひとりお話していただきました。
久保木さんからも、それぞれの作品についてコメントをいただきました。
受講者の方からは、
・おもしろかった。水墨画ははじめてだったが、思った以上に表現できた。
・なかなか思うように描けなかったが、ドーサの使い方など、大変勉強になった。
・1人1人の作風に合わせてきめ細かいアドバイスを先生からいただいて制作できてよかった。
などの感想をいただきました。
久保木桂子さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
創作プログラム「水墨画体験」①
7月31日(土)、8月1日(日)の2日間、当館実習室にて創作プログラム「水墨画体験」を開催しました。
講師はいわき市ご出身の美術家、久保木桂子さんです。
今回の講座では、硯で墨をすることからはじめて、墨の濃淡やにじみ、ぼかし、かすれや、はっきりとした線、溜まり、日本画の絵の具を併用して色彩を加えた具墨(ぐずみ)など様々な表現方法を体験します。
その後、各自が準備したスケッチや下絵をもとに、F4号サイズの水墨画、または色彩を用いた墨彩画を各々の表現で描いていくという流れでした。
◆◆◆1日目◆◆◆
まずはパネルの下準備から。
パネルのふちの部分にのり打ちをしていきます。
のりを乾かしている間に、墨の準備へ。
久保木さんが墨の持ち方やすりかたを丁寧に教えてくださいました。
膠を硯に1さじ分のせて、優しく墨をすっていきます。
説明が終わったところで、一人一つずつ硯と墨を持って机に移動し、墨をすっていきます。
みなさん集中して取り組んでいます。
ある程度すったところで、墨は絵皿へ移動。
硯は傷んでしまわぬよう、すぐに水で洗います。
梅皿の中央に濃い墨を置き、水を足しながらさまざまな濃さの墨を周りの仕切りにつくっていきます。
墨ができたら試し描きです。
現在「ミネアポリス美術館展」で展示されている雪村周継の《花鳥図屏風》を参考にしながら、筆の動かし方や濃淡のつけかたなどを試していきます。
だいたい筆と墨の感じに慣れてきたところで、それぞれ自分が持ってきた下書きを元に、どのように描いていくか考えていきます。
愛猫の写真や風景写真を持ってきた方や、モチーフとなる花やスケッチを持参した方などがいらっしゃいました。
どのように描き進めていくか久保木さんと相談しながら、下書き用の和紙に描いていきます。
早く進んだ方は、本紙に描いていきます。
最後ににじみ止めのためのドーサ引きと、裏打ちの作業をして、1日目は終了しました。
「アートなおはなしかい」開催しました!
7月24日(土)、おとなりの図書館さんと一緒に「アートなおはなしかい」を開催しました。
まずは図書館での絵本のよみきかせ。
ストレッチで体をほぐした後、紹介されたのは『まいごのたまご』(作:アレックス・ラティマー / 訳:聞かせ屋。けいたろう)です。
どこかの巣からころがり落ちてしまった、恐竜のまいごのたまごが、お母さんをさがすおはなしです。
2冊目は、『びじゅつかんへいこう』(文:スーザン・ベルデ /絵:ピーター・レイノルズ/訳:なかがわちひろ)。
美術館ってどんなところなんだろう?どんな風に楽しめるのかな?
そんなことを考えさせてくれる絵本でした。
次はとなりの美術館へ。
最初にみたのは大きな屏風。
まずは、何が描かれているのか、みんなで絵全体を見てみます。
木や葉っぱ、花、池などが描かれています。
絵の中に巣があることに気づいてくれた子がいました。
どんな生き物の巣なのでしょうか?
絵の中には他に生き物が描かれていないため、何の巣なのかは分かりません。
この絵は、勝田蕉琴作《安らかなる鳥の巣》。
描かれたのは今からちょうど100年前の1921年です。
みんなだったら、この鳥の巣からどんな鳥が生まれると思うかな?
大きいかな?小さいかな?羽の色は?それぞれ心の中で想像します。
巣が出てくる絵だったので、図書館さんから『ふしぎな鳥の巣』(作・絵:鈴木まもる)という本を紹介してもらいました。
さまざまな鳥が作る巣を、緻密な絵とともに紹介している本です。
ヒナを守るために入口が分からないようになっている巣や、アパートのように複数の鳥が住む巣など…。
一見巣には見えないものもあり、とても面白い本でした。
次にみたのは、クロード・モネ作《ジヴェルニーの草原》。
描かれた季節はいつ頃か?時間は何時ころか?など、絵から想像しながらみていきます。
この絵にも描かれている「積みわら」が描かれた3点の作品画像を見ながら、それぞれが描かれた時間帯についてみんなで予想しました。
季節や時間よって移り変わる光を描こうとしたモネ。
そのモネの生涯をやさしいイラストとともに知ることができる、
『ぼくはクロード・モネ』(作:林綾野 / 絵:たんふるたん)という絵本を紹介してもらいました。
次の作品に進む前に、よみきかせしてもらったのは『アヒルかも!ウサギかも!』
(作: エイミー・クラウス・ローゼンタール トム・リヒテンヘルド/ 訳: せきね みつひろ)。
一枚の同じ絵でも見方によって、アヒルにもウサギにも感じられます。
自分には何に見えるか…?そんなことを考えながら楽しめる絵本です。
次に紹介したのは、不思議な生き物が描かれた絵。
この生き物は何に見えるかな?
ほとんどの子が、「亀に見える」と答えてくれました。
何匹いるかな?指差ししながら数えてみます。
この作品は桂ゆき作《親亀の背中に子亀をのせて》。
作品をみている途中、「何か貼ってあるように見える」「デコボコしてる」
ということに気づいてくれた子がいました。
この作品は板の上にくしゃくしゃにした紙が貼り付けてあり、コラージュという技法で作られています。
最後に、絵のモチーフにもなっている亀について詳しく知ることができる『こうら』(文:内田 至 / 絵:金尾 恵子)という本を紹介してもらいました。
亀は、実は恐竜の時代から固い”こうら”で身を守ってきました。
危険が迫るとこうらを膨らませるパンケーキガメなど、
さまざまな種類の亀とこうらの機能について、緻密な絵とともに知ることができる本でした。
作品をみた後は工作の時間!
図書館さんに戻って画用紙を使った工作をしました。
今回は、《安らかなる鳥の巣》の作品から、「ゆらゆらうごく鳥をつくろう」というテーマで作りました。
作品の中には鳥が出てきませんでしたが、どんな鳥が生まれるのか想像しながら作っていきます。
大小さまざまな大きさに切った丸い画用紙を組み合わせて、好きな色や模様の羽やくちばしを付けていきます。
最後に目を描いて完成!
リボンを付けたり、羽の模様を描いたり、尾羽を付けてみたりと、みんなそれぞれ工夫をこらして作ってくれました。
ご参加いただいたみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!
創作プログラム「おさんぽ美術館―マップをつくろう」開催しました
6月20日(日)、創作プログラム「おさんぽ美術館―マップをつくろう」開催しました。
イラストレーターの佐藤ジュンコさんが作ってくれたマップ。
今回はこのマップを見ながら美術館の庭やエントランスホールをおさんぽし、気に入った場所や発見したことなどを絵やことばにして小さな紙にかいていきます。
はじめに、美術館スタッフから新しいイラストマップのこと、今日の活動の流れ、注意事項についてお話しました。
その後はマップを手に、自由に美術館をめぐります。
梅雨入りしたばかりで前日は雨。
ですがプログラム当日、幸い雨は降らず、曇り空だったので予定通り屋外で活動することができました。
ちょうどアジサイがきれいに咲いていました。
みなさん花の形をじっくり見ながら、丁寧に描いていました。
他にも梅の木になった実や、かわいらしい形の葉っぱ、青々とした竹など、色々なものを発見していました。
ひととおり庭をめぐると、館内へ。
エントランスホールにある彫刻作品を見ながら描いたり…
建物の大きな窓などを気に入って描いている子もいました。
実習室に戻って色塗り。
色鉛筆やクーピー、ポスカやペンなどを使って色を塗っていきます。
みんな集中して描いていたので、描く時間を少し延長。
たくさんお気に入りを見つけてくれて、10枚くらい描いている子もいました。
最後に、大きなマップの前で発表会。
描いた絵について、何を見つけたのか?どんなところが気に入ったのか?などを紹介してもらいました。
発表が終わると、見つけた場所に貼り付けていきます。
(描いてもらった作品全部は貼りきれなかったので、特に気に入っているものを選んでもらいました。)
大きなマップが子ども達のお気に入りで埋められていきました。
みなさんそれぞれいろんな場所でお気に入りを見つけて描いてくれました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
完成したマップは、エントランスホールで7月4日(日)まで展示しています。
ご来館の際にはぜひご覧ください。
庭園は、季節ごとに異なる種類の花が咲いていたり、さまざまな鳥や虫もいて色々な発見ができる場所です。
美術館に展示されている作品ももちろんですが、美術館の建物や庭も楽しんでいただけるといいなと思います。
当館にいらした際にはぜひイラストマップを手に、お気に入りの場所を見つけてみてください。
創作プログラム「木っ端でカタチをつくろう」開催しました!
6月6日(日)、創作プログラム「木っ端でカタチをつくろう」開催しました!
美術館再開後、初となったワークショップ。
宮城県在住の彫刻家、佐野美里さんが講師です。
今回は広い空間ということで、当館エントランスホールを会場にしました。
1人1つ円形のシートで制作するのは、コロナウイルス感染症対策のための佐野さんのアイデアです。
自己紹介のあと、まずは、佐野さんが作った作品をみんなで囲んでじっくりみます。
佐野さんが「何に見える?」と聞くと、「猫っぽい」「犬!」などと子ども達から声があがります。
「どういう風に見えてもいいんだよ。作品の見方は自由。思ったことを大切にしてね。」と佐野さん。
次はとなりに置かれた作品をみてみよう。
美術館に所蔵している笹戸千津子さん作《彫刻家》(1988年作、ブロンズ)。
いつもはさわれない美術館の作品ですが、今日は特別。
きれいに洗った手でみんなでやさしくさわります。
実物大の頭像は、師匠である佐藤忠良さんをモデルにしています。
佐野さんが「どんな感じがする?」と聞くと、
「ひんやりしてる」「つめたい」などと子ども達から感想がありました。
「これは金属で作られているんだよ。」
中央にあるマリノ・マリーニの《騎手》を示しながら、「この大きな作品もそうだよ」と説明してくれました。
今度は佐野さんの木彫をさわってみます。
「さわり心地はどうかな?」
「デコボコしてる!」「ザラザラ」などと子ども達から声があがりました。
今回のワークショップでは、佐野さんが木彫を作った後に出た木っ端を使います。
持ってきてくれた3作品。
それぞれ表情があり、とっても愛らしいです。
佐野さんが作品に使っている木は”クスノキ”という名前の木であること。
東北にはほとんどなく、あたたかい地域で育つこと。
「神様の木」とも言われていることなどをお話してくれました。
「みんなは『となりのトトロ』って見たことあるかな?トトロが住んでいた木がクスノキだよ」
クスノキを作品に使っていますが、作品を作る中でどうしても木片や木っ端がたくさん出ます。
今回はみんなにこの木っ端と木片を使って作品を作ってもらいます。
大切な木の一部を使って、みんなで作品に生まれ変わらせます。
早速制作へ。
まずは並べられた大きな木片の中から、1つ気に入ったものを選びます。
次に、1人1つずつ準備されたトレーにカラフルに着色された木っ端を入れてきます。
(木っ端は佐野さんが制作で出た木っ端の中から、大きめのものを選んで絵具で着色してきてくれました)
赤や青、ピンクや黄色、金色や銀色など、色々な色や形の中から好きなものを選んでいきます。
木片と木っ端を選んだら、円形シートの中でみんな自由に接着していきます。
同じ色の木っ端を集めて貼ったり、大きな目玉を付けたり、木っ端を手で割って形を変えたり…。
途中で木っ端の山から欲しい木っ端を探し、色や大きさにこだわりながらどんどんくっつけていきます。
みんなそれぞれ思い浮かんだ“カタチ”ができてきます。
黙々と制作に取り組んで…完成!
佐野さんに見てもらいます。
それぞれ、何を作ったのか?どんなところにこだわったのか?
など、佐野さんがインタビューしていきます。
最後に大きな佐野さんオリジナルの大きな虫眼鏡で鑑定!
作品をじっくり見ながら「本物」かどうか鑑定していきます。
完成した作品をお互いに見たり、お話を聞いたりしながら、1人1人に拍手をしました。
子ども達の想いやこだわりがつまった“カタチ”が完成しました!
講師を務めてくださった佐野美里さん、アシスタントをしてくださった佐野麻里菜さん、
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
現在開催中の特集展「佐藤玄々の彫刻」では、相馬市生まれの彫刻家佐藤玄々(朝山)の作品を展示しています。
希望された方にはワークショップ終了後、展示室で作品をみてもらいました。
ネコやトカゲ、ウサギやにわとり…など、玄々の作品には生き物をモチーフにしたものが多いです。
みなさんじっくりと1点1点ご覧になっていました。
こちらの展示は6月20日(日)までです。
ぜひご来館ください。
福島県立美術館の「イラストマップ」ができました!
福島県立美術館のイラストマップができました!
当館は5月21日まで改修工事のため休館中です。
もっと美術館に親しんでほしい、楽しんでほしいという想いから、休館中に「美術館イラストマップ」を制作しました!
イラストは、福島県伊達市霊山町生まれで、仙台市在住のイラストレーター佐藤ジュンコさんに描いていただきました!
実際にみなさまにご覧いただけるのは、5月22日の開館以降ですが、
とってもかわいいイラストマップの一部をご紹介します。
美術館では季節によってたくさんのドングリが発見できます…!
かわいらしいドングリたち。
ジュンコさんも登場します!
どこを歩いているのでしょうか?マップから探してみてくださいね。
他にも、館内にある部屋の紹介や…
美術館に展示されている彫刻作品も紹介しています!
ご来館の際には、ぜひ手に取って館内と庭をめぐってみてください。
今回のマップづくりでは、実際にジュンコさんと美術館スタッフで館内や庭園を歩きながら打ち合わせをしました。
普段見慣れた美術館の景色も、ジュンコさんと一緒に改めてじっくりと見てみると色々な発見があり、私たちスタッフも楽しい時間となりました。
(庭で「コンコンコン!!」と一生懸命音を立てるキツツキに出会った時には驚きました)
とっても魅力的なイラストマップが完成しました!
何度も美術館に足を運んでいただいたイラストレーターの佐藤ジュンコさん、本当にありがとうございました!
このイラストマップは、福島県立美術館と福島県立美術館協力会で制作しました。
制作にあたり、エツコ&ジョー・プライス夫妻から受けた、福島県の子ども達に対する美術教育支援のためのご寄付を活用させていただきました。
ご夫妻に対し心から感謝申し上げます。
「まんまるもじゃもじゃポケットつきバッグをつくろう!」開催しました。
3月13日(土)創作プログラム「まんまるもじゃもじゃポケットつきバッグをつくろう!」を福島市子どもの夢を育む施設こむこむ「つくろうの部屋」で開催しました。
講師はFRIDAY SCREENの鈴木孝昭さん、坂内まゆ子さんです。
今日のワークショップでは、ダンボール織りでカラフルなポケットつきバッグをつくります。
紙や布など、いろんな素材でポケットを織りましょう!
経糸をダンボールに張ったら制作開始です!紙や布はこのように細長く切ります。
たくさんある材料から使いたいものを選びます。お店みたいで選ぶのも楽しいですね。
選んだ材料を経糸に通して織っていきます。
細い糸は何本も束ねるとボリュームが出せます。
数種類の毛糸を組み合わせるのもいいですね。
和紙の素材感もいいアクセントになります。
完成まであと少し!
経糸を切って結ぶと、もまんまるもじゃもじゃポケットの完成です!
バッグに貼り付けたら素敵な作品の完成です。
鈴木さん、坂内さん、参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
共催 福島県立美術館 公益財団法人福島市振興公社
「グリザイユ技法で花を描く」開催しました。
2月13日(土)福島市アクティブシニアセンター・アオウゼで「グリザイユ技法で花を描く」を開催しました。
本来時間のかかる技法ですが、アクリル絵の具を併用して3時間半で完結させます!
講師は当館学芸員の大北です。
描く花はピンクのガーベラです。
あらかじめグレーのジェッソを引いたキャンバスに花の輪郭を鉛筆で描きます。
鉛筆の作業が終了したら、白のアクリル絵の具で描きます。
水の量を調整することで明暗をつけていきます。
リラックスして描くのではなく集中を続ける修行のようになってしまいました。
時間設定に無理があったと反省しています…。
乾燥させたら油絵の具で彩色します。
色を薄く何度も重ねることで空間感が出るのですが、今日は時間が限られているので一層だけにします。
こんな感じです。
設定に無理があったのですが、短時間でここまで仕上げる皆さんのスキルや集中力に脱帽しました。
参加していただきありがとうございました。
アクリル絵の具と油絵の具を併用することで時間短縮だけではなく、それぞれの特性を生かせばおもしろい表現が可能になります。
いろいろ試していただければ嬉しいです。
学校連携共同ワークショップ参加校作品展を開催しました
福島県ゆかりの作家(アーティストNaomi Horiike、アートユニットFRIDAY SCREEN)を講師に招き、各学校等で子ども達が制作した作品の全てを前期、後期に分けて展示しました。
会場は当館が改修工事のため福島市子どもの夢を育む施設こむこむの企画展示室です。
前期「FRIDAY SCREENワークショップ」では、子ども達の生活する地域の魅力や児童生徒の実態などを作家が担当者から聞き取り、全ての開催地で違う内容のワークショップを行いました。
どのワークショップも段階を踏むスタイルのため、子ども達は考えること、ひらめくことを楽しみながら魅力的な作品を仕上げました。自らが難しさを楽しむ時間がそこにはあり、教育現場に必要とされる自主性、創造力の伸長が期待できるワークショップになりました。
福島県立小野高等学校(美術部)
福島市教育委員会教育研修課(ふれあい教室)
二本松市立渋川小学校(5年生)
会津美里町公民館
田村市立大越小学校(6年生)
郡山市立日和田中学校(美術部)
作家のホームページでも各ワークショップについて紹介しています。
後期「Naomi Horiikeワークショップ」では、多くの子ども達が「仲良く楽しめた」「笑顔になれた」と振り返っています。
印象的だった感想の中に「アートとはたった一つのくくりではなく、生活の中に無限大に広がっていると思います」「私たちの人生もアートなんだと感じました」という言葉がありました。これらは、自分の中で積み上げてきた概念に疑問を抱いたから生じるもので、Naomiさんと時間を共有した子ども達の感性が、より一層磨かれることを予感させてくれます。
郡山市立緑ヶ丘中学校(美術部)
郡山市立御舘中学校(2年生)
会津坂下町立坂下中学校(美術部)
福島県立相馬高等学校・相馬東高等学校・原町高等学校(美術部)
会津若松市立第一中学校(美術部)
会津若松市立第二中学校(美術部)
作家のホームページでは各ワークショップの動画を紹介しています。
福島の子ども達のために貴重な時間を提供してくださった3名の作家と、当事業に協力してくださった多くの方々に感謝いたします。
創作プログラム「魔法陣!ソーシャルディスタンシング!!」開催しました!
当館は現在改修工事のため休館中です。
12月12日、福島市のこむこむさんで創作プログラム「魔法陣!ソーシャルディスタンシング!!」開催しました。
大きな紙の上でグルグル!体を動かして「魔法陣」を描いていきます。
講師は東北芸術工科大学講師のイシザワエリさんです。
アシスタントには、学生の富樫さんと長岡さんが来てくれました。
「みんなならどんな魔法を使いたいかな?」
「おいしい食べ物が出てくる魔法!」
「コロナがなくなる魔法!」…
さまざまな魔法が子ども達から出てきます。
「まずは魔法の杖をつくってみよう」
並べられた流木から、1本好きなものを選びます。
中には子ども達の身長よりもずっと長―い木も!
「魔法陣をどんな色にする?」
1人1本ペンを選び、カラフルなテープで木にくくりつけます。
ここまでできたら飾り付け!
机に並べられた色々な柄の布や毛糸、タッセル…
ここから好きなものを選んで貼り付けたり結んだりしてオリジナルの魔法の杖にしていきます。
毛糸やリボンをくるくる巻き付けて結んだり…
テープや布を巻いたり…
オリジナルの杖が完成!
みんなで高く掲げて、魔法使いになったみたいです!
完成した杖で、大きな紙に魔法陣を描いていきます。
全身を使って紙全体にぐるぐる!
大きな紙に寝転がりたくなっちゃいます。
次は水でといた絵具を魔法陣にたらしていきます。
刷毛に絵具をしみこませて飛ばしたり
手のひらでスタンプする子も!
最後の仕上げ!魔法陣でキラキラさせたいところに、ラメが入ったのりを塗り、パウダーをふりかけます!
魔法陣が完成しました!
最後に、イシザワさんから子どもたちにインタビュー。
どんな魔法を使いたいと思って魔法陣を描いたのか聞いていきます。
みんなそれぞれ、さまざまな魔法をこめた素敵な魔法陣と杖ができあがりました。
最後はみんなで集合写真!
イシザワさん、富樫さん、長岡さん 、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
ご協力いただいたこむこむスタッフのみなさま、ありがとうございました!
創作プログラム「ガラスフュージングを楽しもう」開催しました!
当館は現在改修工事のため休館中です。
10月25日(日)、福島市アクティブシニアセンター・アオウゼさんを会場に、創作プログラム「ガラスフュージングを楽しもう」開催しました。
講師に、ガラス作家の近岡令先生。アシスタントに近岡明美先生にお越しいただきました。
「フュージング」とは電気炉を使って板ガラスを溶かす技法です。
今回の講座では、ガラス板の中から好きな色を選んでカットし、透明なガラス板に自由に並べて、10cm角程度の小皿をつくります。
まずはガラス板の色選び。
複数の色のパターンから選んだり、自分なりに組み合わせを変えたりしてデザインを考えます。
(デザインは大きく四角形と多角形に分かれています)
デザインシートを参考にしながら、色ガラスの板を選んでいきます。
色が決まったところで、板ガラスをカットしていきます。
近岡先生から、ガラスカットの仕方についてレクチャーしていただきました。
ガラス板にガラスカッターで傷を付け、手やペンチを使って線のところでガラスを割ります。
ガラスカッターの持ち方や角度、切った時に出る音など、ガラス板をカットする時のコツを教えていただきました。
自分のデザインに合わせて油性ペンで下書きをし、ガラス板を切っていきます。
最初は恐る恐る切っていた方もだんだん慣れ、パキッとガラスが割れるのを楽しんでいました。
カットするうちに、元々のデザインに一工夫加えて、三角形や六角形を入れたりしている方もいました。
この間に、電気炉の中に入れていたガラスが溶けた様子をみなさんにご覧いただきました。
(アオウゼさんの七宝焼き用電気炉をお借りしました)
手前にある2層に重ねてある四角形のガラスが、熱で溶かすことで白い板の上にあるような丸い形になります。
ガラスの種類によっては、溶ける前と後で色の印象が異なるものもありました。
それぞれガラス板のカットが終わったところで、よごれのふき取りと接着作業へ。
ガラス板を配置し、フュージングのりを使って仮り留めしていきます。
仮留めが終わったところで終了。
作品は近岡先生の工房で焼成していただきました!
近岡先生より完成後の写真をいただきました。
みなさんとっても素敵な小皿が完成しました!
返却は本日からですので、ご自宅で飾ったり小物を置くなどして楽しんでいただければと思います。
今回の講座は、春の企画展「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」に合わせて4月に開催が予定されていました。
しかし、緊急事態宣言にともない開催できなくなった講座でした。
近岡先生たちのご厚意により開催を延期させていただき、無事10月に開催することができました。
近岡令先生、明美先生、そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!
また、AOZスタッフのみなさま、ありがとうございました!
次回は12月にこむこむさんを会場に創作プログラムを開催します。