カテゴリ:教育普及

創作プログラム「歩く花のともだちをつくろう!」を開催しました

美術館の庭園にあるフェルナン・レジェの「歩く花」のリニューアルを記念して、

10月15日(日)に当館実習室にて「歩く花のともだちをつくろう」ワークショップを開催しました。

大自然の中で悠々としている「歩く花」のともだちを作り、一緒に歩かせようという企画です。

 

 

ワークショップ当日はあいにくの雨だったため、本物を見に行けませんでしたが、

写真を見て、「歩く花」の大きさや重さなどのクイズを通して鑑賞しました。

 

「歩く花」のポーズを真似しながら、自分はどんなともだちを作るか考えていきます。

 

作る形が決まったら、ポーズづくりです。

ペンチで骨組みの手足を曲げてポーズをつくります。

骨組みができたら土台に固定し、紙粘土でどんどん肉付けしていきます。

 

形ができたらいったんお昼の休憩。

紙粘土が乾くのを待ち、午後からは色塗りに入ります。

おともだちの性格やエピソードなどを考えながら着色していきます。

 

土台にも色を塗り、土台にビーズや人口芝、貝殻などの好きな装飾をボンドで貼って・・・完成!

 

しっぽが生えているともだち、姉妹一緒のともだち、海とごみ問題の壮大な物語を秘めたともだちなどができました。

 

かわいらしいともだちができて「歩く花」も喜んでいるでしょう。

参加者のみなさんありがとうございました。

創作プログラム「までいな花-飯舘村の美しい自然を表現しよう」開催しました

9月24日(土)、当館エントランスホールにて、「までいな花-飯舘村の美しい自然を表現しよう」を開催しました。

講師は美術作家で東京工科大学教授の酒百宏一先生です。

 

色鉛筆で飯舘村の葉っぱを写しとり、現在も変わらない美しい村の自然を表現するアートプロジェクトです。

酒百先生は、2021年よりこの活動を始め、県内各地でワークショップをされています。

はじめに、酒百先生からプロジェクトの概要や活動に込めた想いについて、スライドを使いながらお話がありました。

 

「までい」とは、「両手」という意味の「真手(まて)」が語源です。
「手間暇を惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」
といった東北地方で昔から使われている方言です。

今回は、酒百先生が飯舘村の森から集めた葉っぱを元に、丁寧に心を込めて「までいな花」を作っていきました。

 

葉っぱの上に紙を重ね、色鉛筆で写しとっていくと、細かな葉脈が見えてきます。
葉っぱの種類によって、形や大きさ、葉脈の出方が異なります。
何色か色を塗り重ねたり、部分によって色を変えたりしながら、みなさん丁寧に写しとっていきます。

 

写しとった後ははさみで切り、酒百先生が準備した土台に配置し、のりで貼っていきます。

きれいな花ができました!
できあがった花を、並べていきました。
 

同じ葉っぱから作っていますが、塗り方や色合い、葉っぱの組み合わせなどでそれぞれ違った「までい花」が生まれました!

これらの花は、今後様々な場所で作られる予定です。
できた花を集めて、花の空間をつくり飯舘村で展示されます。(展示時期や会場は未定)

今回のワークショップは、当館とNPO法人ふくしま再生の会との共催で実施されました。
酒百先生、参加者のみなさま、そしてスタッフのみなさま、ありがとうございました!

「福島県高等学校文芸研修会」生徒作品を展示中!

9月22日(金)、当館講堂と常設展示室で、「福島県高等学校文芸研修会」が開催されました。

「文芸研修会」は、福島県内の文芸部に所属する高校生を対象に、創作活動の技術力向上や、生徒同士で交流し、
創作技法などについて意見を交換し合うことを目的として開催されています。

今回は、当館の「第Ⅲ期コレクション」の展示作品をみて、詩、短歌、俳句を創作するワークショップが行われました。

〇参加校
東日本国際大学附属昌平高等学校、福島県立会津学鳳高等学校、福島県立安積高等学校、
福島県立安積黎明高等学校、福島県立郡山東高等学校、福島県立須賀川創英館高等学校、
福島県立橘高等学校、福島県立福島西高等学校 8校
〇参加人数
高校1~3年生 38名

はじめに講堂で開会式と、活動の流れについて福島県立福島西高等学校及川俊哉先生から説明がありました。

以下のジャンㇽから一つを選び、作品を作っていきます。

①詩…1篇(20文字20行以内)
②短歌…一首以上
③俳句…一句以上

先生からは、
「いちばんは自分が心動かされる作品について書くこと!」
「作品から感じた感動や書きたいという気持ちを大切にしましょう!」とお話がありました。

さっそく2階にある常設展示室へ。 

 

 自由に展示室をめぐりながら、創作する作品を選んでいきます。

 

感じたことなどをメモしながら、作品をじっくり見てまわっていました。
作品が決まったところで創作へ。
プリントに書いたり、スマートフォンに入力しながら、それぞれ作品を作り上げていきます。

講堂に戻り、次の活動へ。
詩、短歌、俳句のジャンルに分かれて集まり、アイスブレイクと自己紹介をしました。
 
その後、作品の仕上げをして、グループ内でそれぞれの作品を発表しました。
 
お互いの作品のいい点についてコメントし合って、みなさん交流を深めていました。

 

現在、2階常設展示室では、生徒が創作に選んだ作品の近くに、手書きの生徒作品カードを掲示しています。
(一部展示替えに伴いパネルでご紹介しています)

 

会期は12月27日(水)までです。
生徒達が作品から感じた感動や、ひとりひとりの「書きたい」という気持ちが込められた詩、短歌、俳句をぜひご覧ください。

創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました!

7/29(土)、当館実習室にて創作プログラム「彫刻ってなんだ?!石膏型で作品をつくろう」開催しました。
講師は美術家の對木裕里さんです。

挨拶をしたあと、對木さんから今日の活動の流れと、当館の庭にある《歩く花》についてお話を聞きました。
フランス生まれのフェルナン・レジェがつくった《歩く花》。
この彫刻は、大きさが異なるものもありますが、世界中に何体もあります。
どうして何体もあるのでしょう?
実は「型」を使って作品を作っているんです。
このプログラムでは、実際に「彫刻」をつくりながら、彫刻の謎を解き明かしていきます。

実際に庭に出て、《歩く花》をみんなでみます。

 

 脚の部分に触ったりしながら、作品をじっくり観察。
よくみてみると、細かい線やデコボコがあり、作った時の痕跡が感じられます。
指でコンコン!と優しく叩いてみると、中が空洞になっていることが分かります。

当館にある《歩く花》はとても大きく、高さ6メートル、重さは3トンもあります。
(講座開催後塗り直しがされ、現在は色が鮮やかでピカピカな状態をご覧いただけます)

実習室に戻り、石膏型を作って、自分の指や手を型取りしていきます。
部屋に入ると、早速石膏の準備をしていたスタッフの周りに「やりたい!やりたい!」とみんな集まってきます。

水を入れたボウルに、交代しながら石膏をどんどん入れていきます。

石膏が固まるまでの間に、對木さんから作業の説明を聞きます。
まずは手ではなく、指でお試し!
水でといた石膏を紙コップに入れて親子それぞれに配ります。
型を取る指にワセリンをよく塗り、紙コップの中に指を入れます。
そのままなるべく動かないようにします。

  

  
だんだん石膏が固まってきて、温かくなってきました。
石膏は固まる過程であたたかくなるため、「熱い!」と言っている子もいました。 
固まってきたところで指を抜きます。
これで型取りの一通りの流れがわかりました。

みんな一息ついて、いよいよ手の型取りに挑戦です!
對木さんからは、「休む手」をテーマにしようとお話がありました。



水を入れたビニール袋を手の下に置き、ポーズを考えます。
指の曲げ具合やビニール袋の水の量によって、それぞれ違ったポーズになります。 

決まったところで、粘土板の上にポーズを取った手を置きます。
お母さんやお父さんの手を借りながら、ドロドロの状態の石膏を手にのせていきます。
(後で割り出しがしやすくなるよう、石膏に色をつけています)

  

 ここからはスピードが大事!
水が入ったビニール袋と、手が完全に見えなくなるよう、どんどん石膏をのせていきます。
「冷たーい!」という声も聞こえました。

  

埋まらなかった部分や石膏が薄い部分を對木さんとスタッフで補充し、ここから手を動かさないでじっと待ちます。
子ども達はなるべく手を動かさないように気を付けます。

 

しばらくすると、またぽかぽかしてきました。
あと少し!しっかり固まるまで待ち続けます。
對木さんが見て回って、石膏の固まり具合を確認します。

「それでは外してみましょう!」
お母さんやお父さんの手を借りながら、慎重に手を動かし、パカッと手を外していきます。
石膏が入り込んでしまい、なかなか外れない子も!

 

取れた石膏の内側についたゴミを刷毛で取り除き、離型剤をたっぷり、まんべんなく塗ります。
この時、最初にお試しした指の石膏型にも離型剤を塗っておきました。


自分の手の型が完成しました!!
午前中はここまで。
離型剤を乾かしている間に、お昼の休憩です。

 

午後の作業のはじまりです。
内側に塗った離型剤が乾いたところで、型に石膏を流し入れていきます。

  

細かいところまでまんべんなく石膏がいきわたるよう、流し込んだ後に型を動かします。
 

流し込めたら、固まるまでしばらく置いておきます。
この時、最初にお試しで作った指の型にも石膏を流し込みました。

しばらく待って固まったら、いよいよ割り出しです!
對木さんから割り出しのやりかたを教えてもらいます。
金づちを使って、色がついている型を割っていきます。
みんな真剣です。

 

自分の作品の割り出しをしていきます。
初めて金づちを使う子もいましたが、みなさん一生懸命作業に取り組んでいました。

 

作品に残った細かい石膏は、ニードルなど先がとがった道具を使って取っていきます。
最初に作った指の割り出しもしました。

  

朝から1日かけて一生懸命取り組んだ作品が、完成しました!!
最後は鑑賞会。
みんなにタイトルや大変だったところ、感想などを教えてもらいました。
 

みんなの「今」の手の姿が作品としてできあがりました!
對木さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!!

 

創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました

7月16日(日)、22日(土)、23日(日)の3日間、当館実習室にて創作プログラム「光を描く―メゾチント体験―」開催しました。

講師は、版画家の安部直人さんです。

安部さんは当館でも作品を収蔵させていただいており、第Ⅱ期常設展示室で作品を展示していました。

 

銅版画技法のひとつであるメゾチントは、深みのある黒を背景に、細かな明暗の調子が表現できます。

この講座では、ベルソー(ロッカー)を使った銅板の「目立て」から始め、それぞれが考えた下絵を元に、はがきサイズ(10×15cm)の作品をつくりました。 

 

~1日目~

安部さんから技法と3日間の流れ、道具の使い方などについて説明を受けました。

メゾチントは、以下のような技法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キズがないきれいな状態の銅板(はがきサイズ)が受講者に1枚ずつ渡されます。

ここに、ベルソーを使って目立てをしていきます。

ベルソーは、櫛のように刃が細かく入っている道具で、ロッカーとも呼ばれます。

これをベルソーの重さを生かしながら、ゆらゆらと横に動かし、少しずつずらしながら傷をたくさんつけていきます。

縦・横・斜め・斜めの4方向に細かい傷をつけていきます。

これを10回やることが目標!と安部さんからお話があり、受講者の方からは「えー!!」と驚きの声が挙がります。

 

この作業と並行して、安部さんが事前に目立てして準備してくださった5×7.5cmサイズの作品制作を行います。

銅板に下絵を写し、パニッシャーとスクレーパーを用いて製版していきます。

「線ではなく、面で表現する」ことが安部さんからアドバイスされました。

道具を鉛筆のように使わず、なでるように使うのですが、コツをつかむまでみなさん何度も試したり、道具や持ち方を変えたりと、工夫していました。

 

ある程度製版できたところで試し刷りをします。

版にインクをしっかりつめて、余分な分を寒冷紗などでふき取ります。

版の上に紙を置き、プレス機で刷っていきました。

 

白くなるようかなり磨いたつもりでも、刷ってみると思ったよりも絵が出てこないことも。

 

最低1回は全員試し刷りをして1日目は終了。

小さな版を一度製版して刷ってみることで、調子のつけかたや、白くなるように磨く感覚をつかんでいきました。

はがきサイズの銅板の目立て作業は、次回までの宿題とされました。

 

~2日目~

まずは宿題となっていた目立ての出来具合を安部さんがひとりひとり確認。

みなさん1週間のあいだに、目立て作業に取り組んできてくださいました。

20回やりました!という方も。

目立てが済んだ人から下絵を銅板に写し、製版作業に入ります。

並行して、1日目に作った小さい版の本刷りをしました。 

黒インクで刷ってみて、作品によってカラーインクをつめて刷っていきます。

さらに、雁皮摺りをすると、柔らかな黒の調子が出てきます。

小さな版の作品がみなさん完成しました。

 

 はがきサイズの試し刷りをして2日目が終了しました。

 

~3日目~

講座最終日です!

前日の試し刷りをもとに、それぞれはがきサイズの作品の製版作業を進めました。

  

版が完成したところで本刷りへ。

部分的にカラーインクをつめる、雁皮を貼って刷るなどして、それぞれの作品を仕上げていきました。

完成した作品に、エディション、タイトル、日付、サインを記入。

 

全日程が終了しました!

 

受講者からは、次のような感想(一部)をいただきました。

●目立てをつくる作業がとてもたいへんだったけれど、すべての工程が興味深く楽しかった。 

●とても良かったです!充実した3日間でした。ありがとうございます!!

●超楽しかった!!新しい世界がひらけました。

●大好きな愛犬をフワフワにかくことができて大満足です。

●最初どういうものかよく分からずに来てしまい不安だったけど、とても楽しかった!!です!!
目立ては腕がもげるのでは…となるくらいツラかったですが、キレイに色がでたとき、頑張ったかいがあったなと思った。
普段描かない感じの絵ができてよかったです。版画作品をみる際に考えることが変わりそうだと思いました。

 

講師をつとめていただいた安部直人さん、受講者のみなさん、ありがとうございました!

受講者の作品は、1か月ほど当館のエントランスホールで展示させていただきました。

「アートなおはなしかい」開催しました!

6月17日(土)、おとなりの図書館さんと「アートなおはなしかい」を開催しました。
今回は美術館のエントランスホールからスタート!

まずは図書館さんによる絵本のよみきかせです。 

『まほうのえのぐ』林明子
主人公の女の子と様々な生き物たちが絵具を使って絵を描く様子が楽しい絵本です。

『びじゅつかんへいこう』絵:ピーター・レイノルズ、文:スーザン・ベルデ、訳:なかがわちひろ
美術館で作品と出会うことによって生まれる心の変化を描いており、美術館に行ってみたり、絵を描いてみたくなるような絵本でした。

ここからは展示室へ行き、作品を鑑賞しつつ、関連する絵本などを紹介してもらいます。
まずは2階の常設展示室へ。
最初にみたのは、佐藤玄々(朝山)《蜥蜴》1940年代作。

何の生き物かな?
「トカゲ!」「カナチョロ?」「イモリとかヤモリとか…」
この作品は、《蜥蜴》とタイトルが付いていますが、尻尾の長さなどからカナヘビだと考えられます。
(余談ですが、カナヘビのことを県北出身の美術館スタッフも“カナチョロ”と呼んでいます。)

カナヘビは何をしているところなのかな?
「獲物を見てる」「川に流されているんじゃないかな?」
作品をみながら自由に思ったことをお話します。

カナヘビがどんな生き物なのか、知ることができると、もっと色々な想像が膨らむかもしれません。
図書館さんから『かなへび』文:竹中践、絵:石森愛彦 を紹介してもらいました。
絵本の中には、作品とそっくりの体勢で木の上でひなたぼっこしているカナヘビがいました。
作品を見ながら、何をしているところなのかな?と想像してみるのもおもしろいですね。

ここでクイズ!この作品はどうやってできているでしょうか?
「粘土」「下は竹で、上が木でできてる」「プラスチック」…。
子ども達はもう一度作品をじっくり見ながら予想します。
ヒントになる隣の作品を見てみました。

 
佐藤玄々(朝山)《巣鶏》1920年頃作。
「木だ!」と子ども達から声があがりました。
《蜥蜴》と《巣鶏》は作者が同じであること、実際に木を彫っている様子の写真などを紹介しました。

今日は特別!展示ケースを外し、普段は見られない作品の裏側をみんなでみます。

 

《巣鶏》はにわとりと2羽のひよこ、それぞれの足が彫られ、色が塗られています。
玄々の作品は、裏側まで彫ってある作品がいくつかあります。

ここで、図書館さんからにわとりの親子をテーマにした絵本をよみきかせしてもらいました。

『ロージーのひよこはどこ?』作:パット・ハッチンス、訳:こみやゆう
めんどりのロージーがひよこを探して歩き回るおはなしです。鮮やかな色彩がとても可愛らしい絵本でした。

次は絵を見てみましょう。
山口華楊《畑》1925年

何が見えるかな?
「スイカ」「ナス」「豆」「スズメ」「判子」…。
作品には様々な種類の野菜が描かれています。
作者が押した印に気づいてくれた子もいました。
ナスや豆は普段目にしているものとはちょっと種類が違うかも?
京都の野菜が描かれているようです。
描いてある野菜をよーく見てみると、スイカの模様やナスのヘタのとげなど細かい部分まで描かれていることが分かります。

ここで、畑をテーマにした絵本を紹介してもらいました。

『はたけうた』作:田島征三
畑で育つ野菜たちが生き生きと、力強く描かれています。
ヨイショ、ドッコイショ、チョイトナーなどと合いの手が散りばめられ、聞いていて楽しい絵本でした。

 1階の特集展「眼にうつる詩」の展示室へ。
美術作品と文学をテーマにした当館所蔵作品のテーマ展示です。

まずはみんなで休憩室へ入り、山中現『きたのまち』をよみきかせしてもらいました。

「山のむこうに山が見える」そんな一文からはじまる本は、優しい色合いが魅力的です。
作者の山中さんは喜多方市出身の作家で、『きたのまち』は故郷をイメージして作られたそうです。
展示室へ移動し、今回展示している山中さんの《水の庭》2003年刊をみます。

作品を見ると、子ども達から「切り絵かな?」などと作り方に関心を寄せる言葉がありました。
この作品は木版画であること、よーく見るとインクがきらきらしていることなどをお話しました。

最後はとっても小さな作品をみんなで見ました。

タイトルを隠し、何が描いてあるか、みんなでお話しながら見ていきます。
「キツネ」「アジサイ?」「池?」
「隣の作品と似てるからブドウ!」など、鋭い意見も飛び出しました。
この作品には実は元になっている物語があることを伝え、図書館さんに本を紹介してもらいました。

『キツネとブドウ』文:蜂飼耳、絵:さこももみ
キツネが必死でブドウを取ろうとする様子がユーモラスに描かれた絵本です。

ということで、この小さな作品は桂ゆき《ブドウとキツネ》制作年不詳。
この作品は、紙やキャンバスではなく、透明なガラスに描かれていることをお話しました。

最後は実習室での工作です!
今回は《ブドウとキツネ》をテーマに、ガラス絵風の絵をつくりました。

危ないのでガラスではなく、透明な下敷きを使います。
短時間で仕上げるため、2枚の下敷きで絵具を挟む方法で実施しました。
1枚目にキツネと自分のイニシャル、丸いスタンプを押していきます。

ここまでできたら2枚目。
紙パレットの片側に、自分の好きな色を出していきます。
二つに折って手で絵具をのばし、紙パレットを開くと、不思議な模様の出来上がり!

 
絵具を挟むようにして、2枚をぴったり重ねます。

 

作品が完成!
スタッフが窓に貼り付けていきました。
光にかざすと絵具がよりきれいに見えます。

 

最後にみんなで記念撮影。
ご参加いただいたみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!

創作プログラム「音の風景~心象表現を楽しもう~」開催しました!

5月13日(土)、創作プログラム「音の風景~心象表現を楽しもう~」を開催しました。
講師は作家の福田美里さんです。

宮城県を拠点に制作活動をされていて、当館では、2021年、22年に開催した庭園活用イベント、
「Art meets cookies」でも、作家のひとりとしてご協力いただきました。
今回の創作プログラムでは、美術館周辺の音を観察し、言葉や絵で表現していきます。

はじめに、福田さんから自己紹介と、プログラムの流れについてお話がありました。
美術館の庭園を散歩して、“気づき”を採集。その後実習室に戻って制作をします。

前半は参加者全員で一緒に歩きながら、どのようなことを感じたのか、それぞれワークシートに言葉や絵でメモしていきます。 
外に出ると、さっそく鳥のさえずりが聞こえてきました。
池の水面には様々な模様が見えます。

芝生の上に座ってみると、ザッザッと葉っぱのこすれる音や、手触りを感じられます。
寝転がってみると…太陽の光が!

「まぶしい!」と参加者の方から声が聞こえると、「その感覚もぜひメモしてください」と福田さんから声がかかります。
みなさん感じたことや気づいたことをメモしていきます。

次は美術館の正面入り口へ。


このあたりは石が敷かれていて、芝生とは足の裏に感じる硬さも異なります。
「自分が鳴らす音にも注目してみてください」と福田さん。
遠くからは電車の音も聞こえてきます。

大きな彫刻《歩く花》(フェルナン・レジェ、1952-53年※寄託)の前へ。
彫刻を触ってみると、金属の質感や表面にあるデコボコなどが感じられました。 

奥に進んでいくと、今度は砂利道に変わります。
梅の木を見上げると実がなっていました。
落ちている実を拾ってみると、ふわふわとしたさわり心地。
この季節ならではの光景です。
砂利道から少しはずれると、落ち葉がいっぱい積もっています。
踏んでみると、ガサガサッと気持ちのよい音がしました。

あづまやに集合し、前半は終了。

後半は一人ひとり好きなところをめぐっていきます。 
庭園の一番奥にある水路のはじまりは小さな滝のよう。
「こんなところに滝があるんだ!」と驚きの声も聞こえました。

 

大きな枝を見つけました!

 

実習室に戻り、みんなで“気づき”を共有します。

 

・鳥のさえずり

・人工的なものと自然物の音の違い

・いつもは無意識に感じていることを意識する時間になり、自分の視点が変わる、意識が変わる感覚があった

・歩いている時間にしあわせを感じた

・大きな枝を見つけた

・風に吹かれるユキヤナギの揺れ方の違い

などなど…。みなさんたくさんの“気づき”を紹介してくださいました。 

次は制作です!
庭園の散歩で感じたことや気づきを、表現していきます。

 

今回は、B5サイズのボードとはがきサイズの画用紙に、アクリル絵具で描きます。
制作の前に、福田さんが今回のワークショップのために作った参考作品などを見せていただきました。

自身が感じたことの中の1つに着目して、それを全面に描く一場面型や、
感じたことを1枚の絵の中にたくさん描いていく地図型などがあり、描き方は自由とお話がありました。
また、表現のヒントになるよう、デカルコマニーやドリッピングなどの技法を紹介してくれました。

ここからは自由に制作していきます。
 

 

  

ローラーを使ったり、筆に水をたくさん含ませて描いたり、コラージュをしたり…
みなさん思い思いに表現していきます。
作品が完成しました!

最後はみんなで作品を並べて鑑賞会です。

自分が作った作品や、今日の活動についての感想をお話していただきました。
 

受講者からの感想(一部)です。

・普段感じることのないことを感じて、絵を描くということが大変おもしろかった

・自分が感じたことを表現するプロセスがすごく楽しかった。

・小さいころにもどったようなゆったりとした時間を過ごせたのがよかった。

・自由さが心地よかった。

・静かな環境の祖と庭を散歩して目、耳、感覚などを働かせる。

・時間が足りなかった。


普段何気なく見たり聞いたり、感じたりしていることを、改めて意識してゆっくりと全身で感じとる。
自分自身ともじっくり向き合う時間になったように思います。

福田さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

「美をつくし」展マグネット作りワークショップ

4月29日(土)と、5月14日(日)に、「美をつくし」展と関連したマグネット作りのワークショップを開催しました。

 

 

 

葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』、尾形光琳の『円形図案集』、原在中の『百鬼夜行絵巻』を原画としたぬり絵から好きな作品を選び、色鉛筆で色を塗っていきました。

 

ぬり絵が完成したら、スタッフが缶マグネットに仕立てました。

 

同じぬり絵で制作しても、参加者の方たちが創意工夫をたくさん発揮してくれて、一つとして同じものがない多彩な作品が生まれました。

参加者の作品の一部をご紹介します。

 

 

 

たくさんのご参加ありがとうございました。

また、今後も企画展を中心にこのようなワークショップを開催していきます。

詳細が決まりましたら当館HP等でもお知らせしていきますので、ぜひご参加ください。

創作プログラム「ピンホールカメラを作って撮影してみよう」開催しました

2月4日(土)、当館実習室にて創作プログラム「ピンホールカメラを作って撮影してみよう」を開催しました。
講師は須賀川市出身の写真家、村越としやさんです。

村越さんには、3月5日まで開催されていた「福島アートアニュアル2023」にご出品いただいていました。

箱にあけた小さな針穴から入る光によって外の像を写し取る「ピンホールカメラ」。
今回の講座では、ピンホールカメラを手作りし、風景や人物などを撮影し、最後に暗室で現像をしました。

午前中はカメラづくりです。
村越さんが準備した型紙を元に、黒い厚紙をカッターで切り抜いていきます。

 

切り抜くのは全部で3枚。
切り抜いた紙に切り込みや折り目を入れ組み立てると、3つの小さな箱ができあがりました。

この3つの箱を組み合わせて、光が入り込まない暗箱が完成。
箱ができたところでピンホールづくりへ。
小さく切ったアルミ板を、紙ヤスリで薄く削っていきました。

ここで一番大事な穴あけの作業。
まち針を使ってアルミ板にピンホールをあけます。
きれいに穴があいているか、ライトボックスの光を当てて確認します。

ピンホールがあいたアルミ板を、箱に切り抜いた穴に貼り付けます。
最後にピンホールの上にパーマセルテープを貼ってシャッターを作り、カメラの完成です! 
午前中はここまで。

 

午後からは撮影・現像作業をしました。
まずは撮影の流れについて村越さんから説明をしていただきました。
それぞれ作ったカメラのピンホール面から印画紙面の長さと、ピンホールの大きさを元に、F値(絞り値)を計算します。
撮影場所の明るさから露出時間(シャッターを開けている時間)を決め、撮影へ。

部屋を真っ暗にして、印画紙を箱の中にセットし、最初の1枚は試し撮りです。
ピンホールカメラを持って、全員で屋外に出て撮影します。


試し撮りが終わると、部屋を真っ暗にして現像作業を行います。
デジタルではないので、現像するまでどのように撮れているのか分からないわくわく感があります。

カメラの中から印画紙を取り出し、現像液→停止液→定着液→水洗という流れで浸していきます。
現像液の中で真っ白な印画紙に像が浮かび上がる様子はとても面白いです。
現像した写真(ネガ)を見ながら、箱に隙間があいていないか、露出時間は適当かなどを村越さんに相談します。

ここからはそれぞれの作業へ。

1、暗室で印画紙を箱の中にセットする

2、外に出て自由に撮影をする

3、暗室に戻って印画紙を取り出す

4、現像作業

これを時間がある限り繰り返していきました。


講座の日は曇ったり急に晴れてきたりと、天気が変わりやすかったため、露出時間を調整しながら撮影していました。

現像したネガの中から気に入ったものを、引き伸ばし機を使ってネガからポジに反転する作業をします。
時間いっぱいまで、みなさん撮影と現像に取り組んでいました。
現像した写真をお互いに見せあいながら、
「どこを撮ったの?」
「この写真おもしろいね!」
などと、楽しそうにお話されていました。

 

今はデジタルカメラやスマートフォンで気軽に写真を撮ることができ、写真を撮る仕組みについて意識することはなかなかありません。
今回の講座は写真の原理を体感する貴重な機会となりました。

受講者の方からいただいた感想(一部)です。

・カメラのことをもっと深く知れて、体感できてよかったです。
・カメラを手作りして実際に写真が撮れるなんて驚きです!
・写真のしくみや成り立ちを理解でき、写真ができてくるのが”出会い”みたいでおもしろかったです。

村越さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

今年も、おとなりアーティスト・学校連携共同ワークショップ参加校作品展がはじまりました!

当館では、県内の子どもたちを対象とした「学校連携共同ワークショップ」を2003年より行っております。福島県ゆかりのアーティストを講師に招き各学校等でワークショップを開催しています。今年度は、FRIDAY SCREENのお二人、よしもとみかさんを講師としてお招きしました。参加した子どもたちによる成果展が2月4日からはじまりました。

 

FRIDAY SCREENのワークショップのテーマは「もりもりもじ!」です。私たちの周りに溢れている「文字」をテーマにしたワークショップです。

 

福島市教育委員会教育研修課(ふれあい教室)

ふれあい教室のテーマは、「空間に自分の好きな言葉を植えよう」です。自分の好きな言葉を「植物のような」デザインにし、その言葉が地面から生えているように立体を作りました。

 

展示室に足を踏み入れると、まるで植えられたような「文字」が迎え入れてくれます。「ぐーん」は展示室の天井を突き抜けるくらいの大きさです。

 

重い「あ」、軽い「あ」、喜んでいる「あ」など、いろんな「あ」を描きました。

 

郡山市緑ヶ丘中学校・郡山第一中学校(美術部)

こちらのテーマは、「君×(駆ける)  kimi-kakeru」です。友達の走る姿に音をつけて音をデザインしました。漫画でよく見かける効果音を、友達の走る姿にぴったりの音とデザインで表現しました。「ペムッペムッペムッ」「すっっすっ」「ドウタッ」。それぞれの個性が光ります。

 

 

よしもとみかさんのワークショップのテーマは、「私のいまを色と形で表現してみよう」です。よしもとさんと学校の先生が、子どもたちに合う素材や画材を選び、それぞれの学校で違う内容のプログラムをつくりました。

 

会津坂下町立坂下中学校(文化部)

 

10メートルのキャンバスに、全身を使ってダイナミックに描きました。躍動感ある作品です。

 

会津若松市立第二中学校(美術部)

プラスチックの板に紙を貼り、オイルパステルで色を塗りました。やわらかな色合い、個性的な形が独特な存在感を放っています。

 

いわき市立小名浜第三小学校(2年生)

 

よしもとさんが鳴らすピアノの音から、色や形のイメージを膨らませ、赤・青・黄の絵の具だけを使って描き、色々な形に切りました。子どもたちの小さな手から次々と楽しい作品が生まれていきました。

 

小野町立小野小学校(5年生)

 

正方形の紙に数字を書いて画面を分割し、オイルパステルで色を塗りました。割りばしで引っかいたり、オイルで溶かして制作しました。小さな画面に数字が楽しげに描かれています。

 

西郷村立米小学校(1・2年生)

 

赤・青・黄3色の色水を大きな画用紙に垂らします。紙の端を友達ともって、画面上で色水を動かします。3色が混ざり合うことで複雑な色調が生まれ、幻想的な作品です。

 

子どもたちに「つくる喜び」を与えてくださったFRIDAY SCREENのお二人、よしもとみかさん、当事業にご協力くださった多くの方々に心より感謝いたします。

 

おとなりアーティスト・学校連携共同ワークショップ参加校作品展は、2月26日(日)まで開催しています。子どもたちの充実した活動の足跡がダイレクトに感じられます。みなさまのご来場をお待ちしております。

 

会場:当館企画展示室B

入場:無料

開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)

休館日:6日(月)、13日(月)、20日(月)、24日(金)

 

創作プログラム「シルクスクリーンでオリジナルTシャツを作ろう!」を開催しました

1月15日(日)に当館実習室にて創作プログラム「シルクスクリーンでオリジナルTシャツを作ろう!」を開催しました。講師は、版画家の大河原健太さんです。

大河原さん着用のTシャツは大河原さんがデザインしたもの。大河原さんは人気ブランドのデザインの仕事もされています。

 

「シルクスクリーンはどんな版画?」「木版みたいに反転しないの?」の受講者の質問に、大河原さんは実演開始。下準備が済んだ版に白いインクをのせてスクィジーでのばすと・・・

 

黒い画用紙に大河原さんが描いた絵が現れました!実際の工程を見て、みなさん納得。

仕組みがわかったところで、作業に入ります。

 

まずは、下絵の準備です。下絵をあらかじめ準備されていた方も多くて、木枠のついたA4サイズの版と下絵のサイズ調整を行いました。木枠の内側2㎝ほど余白をつくると、印刷しやすくなるので、そのサイズに収まるようにします。

 

 

下絵を版にトレースします。版を浮かせて、ペンタイプの描画材を使って下絵をなぞります。

 

 

面の部分は、面相筆に描画剤をつけて塗っていきます。

 

 

絵を版に写し終わったら、版を裏にしてスクィジーで乳剤をのばして、目止めをします。

 

 

乳剤をドライヤーで乾かし乾燥させます。

 

 

洗い油を版に塗り、筆を使って描画剤を溶かします。その後、版を水で洗い、乾燥させます。

 

洗い油で描画剤を溶かすと、トレースした線や面部分の細かな目にインクが通る状態になります。

 

午前はここまでです。

 

午後からいよいよ印刷していきます。初めに、多色刷りとグラデーションの色付けの仕方をレクチャーしてもらいました。

 

シルクスクリーン用の絵具やアクリル絵具から自分の使いたい色を選びます。アクリル絵具を使う場合はメディウムを混ぜて、水飴くらいの固さに調整していきます。また、色に透明感を出していきたい場合はメディウムを足すと効果的です。

 

さあ、印刷開始です。

版上の使わない絵はマスキングテープで目止めをしておき、インクを絵の横に多めに置きます。

 

 

スクィジーを斜め45度の角度で引きます。

 

 

絵が写りました!

 

刷り終わったら、版を水洗いし、乾かします。版を何度も使うことができるので、持参のトートバッグやTシャツなどにどんどん印刷していきました。

 

 

こだわりの作品が次々と出来上がりました!

 

 

 

 

受講者の方からです。

 

・とても楽しかった。シルクスクリーンについてよく理解できた。

・自分の絵がプリントされてうれしい!

・反転など考えなくてもそのまま版にできるなど簡単で大変楽しめた。

 

みなさん、ご自分のこだわりがつまった作品をつくりあげていて、どの作品も素敵でした。困っている時にはすぐにアドバイスをして、細やかに指導してくださった大河原さん、ありがとうございました!

創作プログラム「想像のお庭を作ろう」を開催しました

12月11日(日)に当館実習室にて創作プログラム「想像のお庭を作ろう」を開催しました。講師は、美術作家の杉浦藍さんです。

 

今回のプログラムは、事前準備として、参加者に日常生活の中で自分のまわりにあるものを写真に撮ってきてもらいました。それをA4の紙に印刷し、色紙として制作に使っていきます。

 

参加者も杉浦さんもいろんな写真を前にワクワク。「これは何かな?」「ロディだよ!」「これは?」「水滴が付いた麦茶のコップ」など、聞いてみないとなんだかわからない不思議なものから、脂がのったステーキ、タイヤ、レゴなど、ユニークなお気に入りのものがたくさん集まりました。

 

次に、杉浦さんに葉や茎のつくり方のコツを教えてもらいました。

 

見本の想像の植物には葉脈があると思ったら、葉脈に見えていたのは道ばたで見かけたカラスよけネットだったり、穴が開いている葉っぱと思いきやプラスティックのカゴだったり。写真の柄や形、色などを生かして切り取り、貼り付けて立体にしていきます。

 

さあ、好きな色紙と容器を選んで制作開始です。

 

 

杉浦さんは自分のやりたいように自分だけの植物をつくってください!とのことで、自分のペースで制作していきます。

 

 

 

 

撮った写真の模様を生かして、想像力を使って、手を動かして、いろいろな植物ができていきます。

 

 

和気あいあいと活動して、あっという間に制作時間が過ぎました。

 

完成です!作品をみんなで鑑賞しました。

 

どれもおもしろい植物です。それぞれのこだわりを聞くのも楽しい時間です!

 

がんばりました!ダイナミックな植物ができたね。

 

 

受講者の方からです。

 

・手の中でいろんな花や葉ができてきて、楽しかった。頭の中の完成図と違うものができた。

・子どもの想像力はこちらが思いもしないものを作り出すので、とても楽しく過ごせました。

・面白かったです。3歳でも参加できることがわかったのが1番の収穫でした。

 

楽しくて想像力を刺激する制作時間をつくってくださった杉浦さん、ありがとうございました!

 

創作プログラム「鍾馗様の小旗を作ろう」を開催しました

11月20日(日)に当館実習室にて創作プログラム「鍾馗様の小旗を作ろう」を開催しました。今回は、当館にて開催中の企画展示「亜欧堂田善展」の関連ワークショップです。講師は、伝統工芸須賀川絵のぼりの吉野屋六代目大野青峯さんです。

 

まず、大野さんから絵のぼりの成り立ちについてお話がありました。江戸時代に男の子が生まれると、のぼり旗に絵を描きお祝いするようになりました。「須賀川絵のぼり」は白河藩主松平定信の御用絵師亜欧堂田善が、和紙や布地に唐の守り神である鍾馗を描き、庭先に立てたのが始まりで、田善から弟子・安田田騏へ、田騏から吉野屋の初代大野松岳へと継承されて、今に至ります。

 

お話が終わり、制作の開始です。

はじめに、オリジナルの落款を作ります。自分の名前をそれぞれ考えたデザインで型紙に書いていきます。

  

 

型紙から各自がデザインした文字をカッターで切り取っていきます。ここで切り取る際のポイントがあります。型紙の字や図がスポッと抜けないよう、線が曲がるところやぶつかるところは、切り取らないでつなぎとして残すようにします。

   

 

 

落款ができあがったら、鍾馗様の図柄を選びます。

 

左の鍾馗様は不動、真ん中は四方八方に目を配り、右は動きがあるポーズをとっています。大野さんは、左は長男、真ん中は三男、右は次男へののぼり旗としておすすめするそうです。みなさんは、自分の好きな図柄、お孫さんへのおくりものなど、それぞれ選ばれていました。

 

さあ、馬毛のハケを使って顔料をすりこんでいきます。

 

顔料を付けすぎると滲み、逆に足りないとかすみます。加減を調整しながらすりこみます。

 

仕上がりはどうでしょうか?

 

第1段階はこれで完了です。鍾馗様の全体図が小旗に付きました。

 

第2段階は、顔料が付かなかったつなぎの部分(サンプルでは赤い箇所)を、面相筆で描いていきます。

 

細い線が途切れたつなぎ部分は、繊細な筆づかいが求められるので、サンプルと見比べながらみなさん慎重にじっくりと筆を運んでいました。

 

同様に、自作の落款にも顔料をすりこみ、つなぎ部分をうめていきます。

 

 みなさん途切れている部分を丁寧につないで仕上げていきました。

 

最後に、アイロンをして小旗に棒とひもをつけてもらいます。

 

 

完成しました!

 

自分だけのオリジナルの小旗が出来上がりました。

 

受講者の方からです。

 

・こんなに本格的にやるとは思っていなかったのでびっくりです。感動です。

・大変良かったです。孫にプレゼントいたします。

・筆でかくのは難しかったけれど、きれいにできあがってよかったです。

 

 お子さんが小さい時に吉野屋さんにのぼりを作ってもらい、毎年端午の節句にのぼり旗を立てている参加者の方がいらっしゃいました。地元に根付く伝統工芸を体験できる機会をつくってくださった大野さん、アシスタントの安齋さんありがとうございました!

創作プログラム 「ドローイング、ドローイング、ドローイング。」楽しかったです!

創作プログラム

「ドローイング、ドローイング、ドローイング。」

 

講師:美術家・小沢剛氏

日時:11月3日(祝・木)

場所:美術館エントランスホール、庭園

参加者:高校生23名

 

11月3日、秋晴れの気持ちのいい日、美術家の小沢剛先生をお招きし、23名の高校生とともに、ドローイングをテーマにしたワークショップを開催しました。その様子をご紹介しましょう。

 

9時半。開館と共に大きなクラフト紙が敷き詰められたエントランスホールに集合。

さて、これからいったい何が始まるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは小沢さんが「ドローイング」って何、そしてこれから何をするのかを簡単に説明して下さいました。「ドローイング」とは画材を手にして紙の上で腕を動かす、その痕跡のこと。今日は二つの方法でドローイングをしていきます。

 

その前に、緊張をほぐすアイスブレイク。みんなで常設展示室に向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの展示室で、「自分だったらどの絵が欲しい?」という小沢さんの問いに10秒で回答。絵の前で、どこが好き、どこが気になったかを発表しながら、少しずつ気持ちをほぐしていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の展示室には小沢さんの「ベジタブル・ウェポン」シリーズ8点が展示されています。若い女性が野菜の銃を構えた不思議な写真を前に、どのように作品が制作されたのか、そこに込められた小沢さんの想いをお聞きしました。

 

鑑賞が終わったところで、エントランスホールに再集合。

いよいよドローイングに取りかかります。最初は約2メートル四方のクラフト紙に墨でドローイング。しかも音楽に耳を傾けながらの描画です。

でも、いきなり大きな紙に描くのは大変。まず小さな紙でエクセサイズです。小沢さんがのこぎりを叩いたり、縄跳びをぶんぶんとまわしたりして音を出し、それを聞きながらA3の画用紙にドローイングをして墨の感じをつかみました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、本番です。15分程度のオーケストラの演奏を聴きながらクラフト紙にドローイングをしていきました。演奏が終わったところで、一旦手を止め、それぞれの作品について参加者の話を聞きながら小沢さんが丁寧に講評。そして今聞いた音楽が、クラウディオ・アバド指揮ベルリンフィルの演奏によるチャイコフスキーの「1812年」という曲で、1812年のフランス・ナポレオン軍のロシア進軍を撃退するロシア軍の様子を表現したものであることが紹介されました。しかし今年2月のロシアのウクライナ進攻後、演奏するのはふさわしくないという意見もあるいわくつきの曲だそうです。芸術が政治に利用されることがある、そして社会状況によって作品の解釈が大きく変化することを知りました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に、自衛隊による同じ曲の演奏が流れました。実際の大砲の音が加わり、印象がかなり異なります。

午前中は二つの演奏をバックグラウンドに、筆に一杯墨を含ませて滲みを用いて描いたり、ドリッピングしたり、あるいは細い筆で線を描いたり、思い思いに耳と手と体を使って大きな紙に描きました。

 

 

 

 

 

 

さて、午後は一転、美術館の庭でパノラマドローイングです。最初は4人ずつ、次に8人ずつ、位置を換えながらグループで円を作り、A4の大きさの画用紙に鉛筆で、それぞれが目の前に見えている風景を描いていきます。それらを円形につなげればパノラマになるのです。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後は、美術館正面の彫刻、井上武吉作《my sky hole 82-2》の周りに集まって全員で大きな一つの円を作り、庭園、美術館、図書館など周囲の風景をスケッチしました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それらを一つのパノラマ画にする作業は美術館スタッフの担当。別室でパソコン作業により個々の画像を繋げて1枚の長い紙にプリントアウトし、パノラマに仕上げていきます。

 

その間、エントランスホールで高校生たちはアートブックの制作に取り掛かりました。午前中、自分が描いた墨ドローイングから好きなところをA3の大きさにトリミングし、切り取ります。8枚切り取り、ストーリーを思い描き、構成を考えて順番を決めていきました。そして最初のエクセサイズで描いたA3のドローイングを表紙にして、糊で貼り合わせていけば、1冊のアートブックが完成です。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな紙に描いたものを、小さくトリミングしていくと、イメージの印象が大きく変わるものです。余白を大きく入れてみたり、ある部分にフォーカスしてみると不思議に物語が見えてくることがあります。

それぞれのアートブックができたところで、お互いの作品を鑑賞。自分は誰のどこのページが気に入ったか、好きか、いいところを見つけて発表し、作品を講評しあいました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている間に、パノラマドローイングが出来上がってきました。最後にみんなで作った一つの風景を観賞。

観察、接続、思考、感情、偶然、即興、鉛筆、墨汁、小さな画用紙、身体サイズの紙、そして編集。今日体験したいろいろなドローイングのやり方、そして楽しみ方を振り返りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盛りだくさんの一日。スタッフも、高校生たちのパワーに圧倒された熱い一日でした。

 

それぞれの墨ドローイングを1枚ずつ使って作った共同アートブック、パノラマドローイングは、現在エントランスホールで展示しています。是非ご覧ください。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は震災後の2012年、小沢さんは同じエントランスホールで《あなたが誰かを好きなように、誰もが誰かを好き》(通称ふとん山)を展示して下さいました。多くの子供たちが遊びに来てくれたのですが、今回の参加者の中にも二人いました。感無量でした。今回のワークショップも参加者の記憶のどこかにとどまり、10年後、20年度、何かのきっかけで思い起こしてもらえれば嬉しいです。小沢さん、本当に有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アートなおはなしかい2022」を開催しました

9月23日(金・祝)、県立図書館さんと「アートなおはなしかい2022」を開催しました。

今回は、当館で開催中の企画展「生誕100年朝倉摂展」の関連イベントでもありました。

 

はじめに図書館で絵本をよみきかせてもらいました。美術館での作品鑑賞に関連する絵本を選んでいただきました。

 

1冊目は、『アンジェリーナ はじめてのステージ』(キャサリン・ホラバード 著/ヘレン・クレイグ 絵/おかだよしえ 訳)です。バレエ好きのアンジェリーナとヘンリーが舞台に出演するお話です。2冊目は、『あいうえおうた』(谷川俊太郎 文/降矢なな 絵)です。谷川さんの生み出すことばがリズミカルで耳に心地のよい絵本です。

 

それから、美術館へ移動して「生誕100年 朝倉 摂展」を鑑賞しました。彫刻家・朝倉文夫さんの娘の朝倉摂さんの回顧展です。絵画、舞台、絵本と多彩に活躍した女性アーティストです。

 

まず鑑賞したのは、珠玉の挿絵が展示されている絵本のパートにある「てまりのうた」です。

「てまりのうた」は、うさぎ、まり、みかん、雨など絵本に出てくる題材が美しく描かれた挿絵で構成されています。ここでは「うさぎ」の作品を観て、うさぎが画面から前足やしっぽがはみ出しているくらい大きく描かれていることに気付きました。

 

次に「てんぐのかくれみの」を鑑賞しました。

こちらの作品は、「かくれみの」の部分が光沢あるフィルムでコラージュされています。「この絵の中で、1カ所だけ違う方法でつくられているのはどこかな?」と問いかけると、「もくもくしたけむりの描き方!」「天狗と女の子の着物の赤が違う!」「かくれみのが光っている!」など、子どもたちはいろいろな視点から答えを出してくれました。子どもたちの豊かな感性に拍手です。

 

そのあとは、お楽しみのよみきかせタイムです。展示室内の特設の絵本コーナーで読んでいただきました。

実際の作品を観てすぐに『てんぐのかくれみの』(岡本良雄 案/朝倉摂 画)を読んでもらいました。彦一が天狗の子どもから透明人間になれるかくれみのをだまし取って、いたずらをしていく展開にハラハラ。みんな集中してお話に聞き入っていました。

 

そして、原画が展示されている本を紹介していただきました。

『てまりのうた』(与田準一 さく/朝倉摂 え)、『三月ひなのつき』(石井桃子 さく/朝倉摂 え)、『スイッチョねこ』(朝倉摂 絵/大佛次郎 文)の3冊です。『スイッチョねこ』は、ねこが虫を食べちゃうと聞いてみんなびっくり!

 

本の紹介が終わると再び作品鑑賞へ。舞台美術のパートに移動しました。舞台美術家としても活躍された摂さんが手がけた舞台模型「ハムレット」を鑑賞しました。

図書館でよみきかせてもらった『アンジェリーナ はじめてのステージ』を参考に、模型の中でアンジェリーナやヘンリーがどのようにステージに立つか想像しました。

 

そして、摂さんと詩人・谷川俊太郎さん、グラフィックデザイナー・粟津潔さんで合作した「衝立」を鑑賞しました。

「この絵からどんな音がするかな?」と子どもたちに聞いてみると・・・。目玉がびっしり描かれたワンピースからはギョロギョロ、包丁からザクザク、瓶からリンリン、電球からピカピカ、釘からトントン、虫からニョロニョロ、カサカサ、目玉からパチパチなどなど。絵からいろいろな音が聴こえてきたようです。

 

作品鑑賞と絵本のよみきかせの後は、美術館の実習室で工作の時間です。今回は、《スイッチョねこ》の作品から、ガチャガチャスタンプを使ってポストカードをつくりました。

 

まず、スポンジを輪ゴムと毛糸でまとめてガチャ玉の中に入れてスタンプを作ります。

 

子どもたちの小さな手でひとつにまとめるのは大変そうでしたが、みんな頑張りました。

 

次に、ガチャガチャスタンプとアクリル絵の具を使って、美術館スタッフお手製のポストカードにスタンプします!

 

みんなポンポンポンとスタンプを押して、素敵なポストカードが出来上がりました!

 

本好きな子どもたちが集まったので、貸し出し可能な摂さんの絵本を借りに、図書館へ戻っていきました。きっと絵本を読んだら、みんなで一緒に鑑賞した摂さんの作品を思い出すね!ガチャガチャスタンプも再利用できるので、また家で工作してみてね!

 

ご参加くださったみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!

創作プログラム「うるしをみがいて作るピカピカ猫のブローチ」を開催しました

7月30日(土)に当館実習室にて創作プログラム「うるしをみがいて作るピカピカ猫のブローチを午前と午後の部で開催しました。今回は、当館にて開催中の特集展示「みんな大好き!福島ねこづくし展」の関連ワークショップです。講師は、漆芸家の平井岳さんと綾子さんです。

 

岳さんは、制作に加えて漆掻きの仕事もしています。国産の漆が貴重で手に入りにくくなっていることから、自分で漆を採取するようになったそうです。映像を見ながら漆掻きの現場について解説していただきました。

 

 

実際に使っている漆掻きの道具をみせてもらいました。

 

数日前に山に入って漆を掻いた岳さんの道具です。刃の形状が独特で、掻く道具はずっと昔から変わっていない伝統的なものです。漆掻きに携わっている人は岳さんを含めて福島県ではお二方だけ。自然と向き合いながら、木から樹液を1滴1滴採取するという話をみなさん興味深く聞きました。

 

漆のお話を聞いた後は、猫のブローチをつくっていきます。まずは、綾子さんの実演です。

 

 

作業工程がわかったところで、制作開始です。岳さん、綾子さんがつくった漆が塗られた猫型のプレートをみがいていきます。塗ってある色、塗り方もランダムなので、どんな色や模様がでてくるかはみがいてみてのお楽しみです!

 

 

みがくのに3種類の研磨剤を使います。1番目に使うペースト状の研磨剤、2番目、3番目のクリーム状の研磨材です。1番目はこの中では粒子が粗いですが、粗いといっても目には見えない粒子の大きさです。2番目、3番目に進むにつれて粒子が細かくなっていきます。粒子を細かくしていくことでツヤを出していきます。また、どのくらい模様を出すかはそれぞれの好みで、銀色の表面を残してもOKです。いい感じになったと思えば、次の研磨剤に進みます。

 

 

細かい所は綿棒を使ってみがいていきます。

 

 

ヤスリも使います。日常生活では使うことのない目がとても細かいヤスリで、光沢を出していきます。銀色部分をこするとメタリック感が出ます。

 

 

3番目の研磨剤の段階にいっても、みがきが足りないと思ったら、1、2番目の研磨剤にもどってみがいても大丈夫です。いったりきたりしながら自分好みのピカピカ具合までみがいていきます。

 

 

 

ブローチの表面をエタノールで拭き取ります。岳さんにピンを付けてもらって完成です!

 

 

岳さんと綾子さんから「漆は年月が経つと強くて固くなる不思議な塗料」「漆は経年で色が明るくなり発色がよくなるので、猫ブローチは使ううちに明るくなっていきます」「お手入れはたまに指でみがいてみてください」と教えていただきました。

 

最後に出来上がったばかりの「ピカピカ猫ブローチ」を付けて、特集展示「みんな大好き!福島ねこづくし展」を鑑賞しました。今回は、制作も鑑賞も楽しむプログラムでした。

 

受講者の声です。

 

・うるしが身近に感じられるワークショップでした。

・1人1人ちがう模様でかわいかったです。

・うるしのことがわかってよかったです。国産うるしの伝統を感じました。

・磨くのに没頭できたので、気持ちもすっきりしました。

 

暑い中参加してくださったみなさまありがとうございました!漆に親しむ機会を提供してくださった岳さん、綾子さん、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創作プログラム「お気に入りの絵を彫ろう 漆の沈金体験」を開催しました

7月10日(日)に当館実習室にて創作プログラム「お気に入りの絵を彫ろう 漆の沈金体験」を午前と午後の部で開催しました。講師は、今年の2~3月にかけて当館にて開催した、福島県ゆかりの若手アーティストを紹介する企画展「福島アートアニュアル2022」に出品いただいた漆芸家の吾子可苗さんです。

 

はじめに作業工程を説明していただきました。

 

 

次に実演です。

 

 

「面にしたい場合は線を交差させたり、何本も線を彫る」「線を太くしたい場合は数本線を引いていく」など、わかりやすく教えていただきました。

 

さあ、各自で制作の時間です。

 

まずは、皿の上にチャコペーパーをおいて、各自用意したイラストをのせて、鉛筆でなぞっていきます。

 

 

図案が漆の皿に写りました。

 

お皿に写った線を加工した太い釘でなぞり、浅く彫っていきます。釘を立てて持ち、ギリギリと音がすればうまく彫れている証拠です。

 

 

 

「漢字を彫るのが難しい!」との声に、「最初は大まかなところを彫って、釘に慣れてきたら細かいところに彫り進んでいきましょう」と吾子さん。

 

彫り終わると、表面をきれいに拭き取ります。そして、漆を模様にすり込んでいきます。漆は触れるとかぶれることもあるのですが、挑戦した人は吾子さんの丁寧な指示のもと、気をつけて漆を擦り込みました。

 

 

表面についた漆を拭き取って、いよいよ本金を、真綿をつかって模様に蒔き付けます。丸くふわふわふわと蒔き付けていくのがポイントです。

 

 

線が金色で浮かび上がると、その美しさにみなさん気持ちが高まります!

 

お皿の表面についた金粉をきれいに拭き取ったら、完成です。1週間漆が乾くまで、濡れたティッシュを入れた袋で保存します。袋は密閉せずに口を3㎝ほど開けておきます。

 

 

受講者の声です。

 

・初めて漆をつかって模様をつけたので、楽しかった。工夫して彫ったりするのも楽しかった。

・非常に素敵な経験ができました。金粉をつけた時の華やかな瞬間は素晴らしかったです。

・大人がするような沈金の体験をさせて頂けるのがありがたかったです。

 

ご参加いただいた受講者のみなさま、1週間経ちましたね。お皿にカステラを載せたい、飾りたい、愛でたいとそれぞれ使い方をお考えでしたが、使うのが楽しみですね!

 

 

今回のワークショップは、アートアニュアルにあわせた2月開催の予定が、新型コロナウイルスの影響で延期となりました。受講者のみなさまが待ち望んでいたので、無事に開催することができうれしい限りでした。お申し込みいただいたみなさま、吾子さんありがとうございました!

 

 

 

 

創作プログラム「こけしの源流を想像して、こけしに絵を描こう」を開催しました

6月26日(日)に当館実習室で創作プログラム「こけしの源流を想像して、こけしに絵を描こう」を、午前と午後の部で開催しました。今回は、当館にて開催中の企画展「東北へのまなざし1930-1945」の関連ワークショップです。展覧会のポスター、チラシのデザインを担当された軸原ヨウスケさん(デザイナー)が講師です。

 

 

はじめに、伝統こけしの系統の特徴を説明していただきました。

     

 

続いて、熟練の伝統こけし工人さんの制作工程の映像を見せていただき、制作意欲が高まっていきます。

 

いよいよ「幼少期の自分を投影したこけしをつくる」に挑戦です。

まずは、小さい頃の自分を思い出しながら、シートに自分の顔を筆で描く練習です。墨汁と食用の染料(赤・青・黄・緑)を水で溶いたものを使います。

 

軸原さんにいただいたアドバイスは、「筆に慣れること」「気持ちよくすすっと描ける線、柄を考案して描いていく」でした。

 

次はロクロの使い方の実演です。ロクロを使ってこけしの髪や模様を描くことができます。

 

 

みなさんもロクロを使って模様を入れていきます!

 

 

一発勝負なので、筆を入れる受講者の方も手回しロクロを回す軸原さん、美術館スタッフも集中しています。

 

さらに顔や髪、胴模様を自分好みに仕上げていきます。

 

 

 

最後に、みなさんでこけしの記念撮影をしました!どのこけしもつくった人の“その人らしさ”が表れています。

 

 

                                    軸原さんと伝統こけし工人の早坂さんです。

 

震災で落ち込んでいた時に軸原さんの本(残念ながら絶版)をきっかけにこけしに魅了され癒やされた「こけ女」の方、おじいさまが土湯のこけし工人だった方、現在も鳴子でご活躍されている工人さんなど、こけしと密接な関わりがある方々が軸原さんとこけしに引き寄せられるように集まりました。こけしの奥深さを感じた一日でした。

 

受講者の方からの感想です。

 

・想像した以上に筆づかいや絵付けは難しかったが、作品を作る過程が楽しかった。ロクロで色をつけることもできてよかった。

・とてもたのしかったです!!

・工人の方のすごさを体感できました。

 

ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。小さなこけしに大きな魅力がつまっていることを教えてくださった軸原さん、本当にありがとうございました。

 

 

もののけワークショップを開催しました

5月8日(日)に当館実習室で創作プログラム「もののけワークショップ」を開催しました。講師は画家の香川大介さんです。

今回は親子向けの講座です。香川さんがつくった素焼きのオブジェに絵付けをし、自分だけの“もののけ”をつくります。

 

まずは、オブジェを選びます。

ひとつとして同じ形のない約30体のオブジェから、自分のお気に入りを選ぶのは楽しい時間です。

 

選んだら、絵付けの開始です。

 

 

「制作時は、集中しないで周りと話しながら、なるべく考えずに手を動かしてほしい」「みなさんに話しかけます、なんならひとりで勝手にラジオになっています」と、香川さん。

 

考えないで手を動かすという作品づくりに、子どもたちはすいすいと手を動かし、色を付けていきました。大人も筆を動かし始めると夢中モードに。香川さんと話しながらも制作の手は止めず、親子でそれぞれの表現を楽しんでいました。

 

 

最後にみなさんと出来上がった作品を鑑賞しました。

 

“もののけ”集合!

 

自分だけの“もののけ”が出来上がりました。

 

素敵なコメントをいただきました。

 

・ぬるのがたのしかった!

・0から何かを考えるのは難しいと思いますが、今回のような素材をもとにつくり上げていくのは取り組みやすく刺激的でした!

・親子それぞれ作るのが新鮮でした。自分で作るのも楽しいものですね。

・普段できないことを体験し、まわりのみんなの作品に触れ、ますます表現に興味がでたと思います。

 

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そして、楽しい時間を提供してくださった香川さん、本当にありがとうございました!

創作プログラム「写真のような鉛筆デッサン」を開催しました

4月16日土曜日、当館実習室で創作プログラム「写真のような鉛筆デッサン-自画像を描く-」を開催しました。講師は当館学芸員の大北です。

 

今回の講座では、形を取ることを省くために写真をトレースして描きます。

形のくるいが無いことで自分の扱えるトーンの幅を増やすことに集中できます。

 

使用する画材は鉛筆3種類(3B・HB・2H)と、ねりゴム、綿棒です。

2Hの鉛筆は固いので、芯を長めに出してねかせて使います。綿棒は擦筆の代わりです。

 

左半分は写真をトレースして輪郭やあたりをつけた状態。

右半分は3種類の鉛筆、ねりゴム、綿棒を使って描きました。

 

まずは、白黒コピーした写真の裏面に、鉛筆の芯の粉末をティッシュペーパーですりこみ、トレースするための準備をします。

 

 

次に、色ペンを持ってトレース開始。

目や鼻などの輪郭や明暗が分かれているところをなぞってあたりをつけます。

 

トレースが終わると、鉛筆で色を入れていきます。固さの違う3種類を使い分けます。

一番暗い色を最初に置くのがポイントで、それを基準にすれば間のトーンをつくりやすくなります。

 

午前はここで終了。

 

午後は、立体感を出すべく、ひたすら描きます。受講者の方それぞれ描き方が違うので、その特徴を活かして、個別にアドバイスをしていきます。

苦しい修行のようなデッサンですが、みなさん根気強く取り組み、終盤はそれぞれが何かをつかみ、鉛筆さばきが軽やかになっていきました。

 

もっと伝えたいことがあったのですが講座終了の時間です。

みなさん扱えるトーンの幅が増えたと思いますので、その感覚を今後の制作に生かしていただければ幸いです。

 

「今日は楽しかった」「また絵を描く講座を開いてください」「これからもデッサンがんばります!」などのお声をいただきました。嬉しいです。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。