福島県立美術館ブログ

千甕展ギャラリートーク開催

本日、千甕展のギャラリートークを行いました。
仏画、洋画、漫画、日本画、南画と、さまざまなことに手を染めた、まさしく縦横無尽な画家・小川千甕。
その幅広い画業を、今回の展覧会を企画した担当学芸員がわかりやすく説明します。



千甕の絵の雰囲気そのままに、ほのぼのと、時にはお客様と対話しながら進みました。

ギャラリートークは来月にももう一度、11/15(土)14時から行います。

また、そのほかにもイベントとしては、今月10/26(日)14時から講演会があります。
前川公秀氏(DIC川村記念美術館顧問)、山田敦雄氏(目黒区美術館学芸員)、
野地耕一郎氏(泉屋博古館分館長)らが千甕についてさまざまな視点からお話しくださいます。

観れば観るほどその魅力に引き込まれる千甕の絵。
とてもよかった、と監視員に声をかけてお帰りになられるお客様がとても多いです。
ぜひ足をお運びください。

K.T.

小川千甕展はじまりました!

画家・小川千甕のほぼはじめての回顧展です。

 

こんな実力者が紹介されずにいたのが不思議です。
作品がたくさん残っているのはありがたいことでした。

浅井忠の弟子だっただけあり、こんなに上手いのです。


そしてこんなふうに面白いのです。


ヨーロッパ遊学中、安井曾太郎とルノワールに会いに行ったりしました。

旅を愛し、ほのぼのとした田園風景を描きました。


描かれる人や自然はいつも優しくて、こちらを歓迎してくれます。


なぜ当館でご紹介するかというと、福島を何度も何度も訪れたゆかりの画家だからです。
福島、坂下、喜多方、白河、須賀川、棚倉、国見。
とくに大正期の美術愛好団体「喜多方美術倶楽部」の人たちが千甕を支援しました。

おすすめはユーモアたっぷりの絵巻《二人旅の巻》。
喜多方の岩田圭一郎と桧原、猪苗代へのスケッチ旅行を描いたものです。
千甕は漫画家でもありました。(福島限定展示)


晩年になればなるほど縦横無尽。


千甕は「せんよう」と読むのが正式ですが、
若い頃に挿絵を描いた本に「ちかめ」とルビを振られ、
そのほうが人気があったので、まあいいか、
と自分でも「ちかめ」とサインしたりしています。

初日には、千甕のご遺族がかけつけてくださいました。



10月26日(日)には、前川公秀氏、山田敦雄氏、野地耕一郎氏という
豪華ゲストをお招きし、「小川千甕の魅力を語る」トークイベントを開催します。

この展覧会は、東京六本木の泉屋博古館分館(2015年3月7日~5月10日)、
京都市の京都文化博物館(2015年12月8日~2016年1月31日)に巡回します。

M.K

コレクション展III始まっています!

すっかり秋めいてきた今日この頃、美術館のまわりでも紅葉が始まりました。
芸術の秋、散策がてら、ぜひ美術館にいらしてみませんか。

美術館では現在、企画展『小川千甕展~縦横無尽に生きる 彼は仏画師・洋画家・漫画家・日本画家だった。』(近々こちらブログで紹介予定)が、また、2階常設展示室ではコレクション展IIIが始まっています。
今日はコレクション展IIIの内容についてご紹介します。

まず、第1室は、コレクション・クッキング(C.C.)展企画の高校生キュレーターによる展示です。



なんだかいつもとは雰囲気の異なる、おもしろそうな空間になっています。
こちらについてはC.C.展フェイスブックで詳しくご紹介していますので、
ぜひこちらをご覧ください。
https://www.facebook.com/collectioncooking

第2室も盛りだくさんです。
まずは、大正期を中心とした洋画・日本画。



河野保雄氏によるコレクションをご寄贈いただき、厚みのある作品群となりました。
岸田劉生の作品が、洋画のほか、日本画、版画(第1室)も展示されていることに注目です。

奥の壁は、小川千甕展関連展示「喜多方美術倶楽部小特集」。

 

大正7年、福島県喜多方に美術愛好団体「喜多方美術倶楽部」が結成されました。
小川千甕ほか、小川芋銭などがたびたび福島にやってきて制作活動を行いましたが、それらの作品の一部を展示しています。

第2室には、ほかにも、創作人形、抽象絵画・彫刻などを展示しています。




第3室は、海外の作品。
アメリカ美術はワイエスを中心に、ジョン・スローンや国吉康雄などの作品も展示しています。



フランス美術は、印象派のほか、今回はドーミエの風刺版画が出ています。

 

最後の第4室は版画。
斎藤清は、今回は古都シリーズを中心に展示しています。



反対側の壁は清宮質文。版画を11点、またガラス絵も2点展示しています。




版画は11月半ばに展示替えを行います。
後期は、斎藤清は外国シリーズ、
また、清宮に代わって、日和崎尊夫や柄澤齊の木口木版が展示される予定です。

こちらもどうぞお楽しみに。

K.T.

版画の展示替えをしました!

現在常設展にて好評開催中の『コレクション展II 開館30周年記念 コレクション名作選』。
昨日閉館後に版画の展示替えを行いました。

常設展は年に4回の展示を行っていますが、
版画は作品保護のため、半期で展示替え、つまり年8回の展示を行っています。

今回は、前期の創作版画にかわり銅版画が展示されています。
 

長谷川潔、駒井哲郎、浜口陽三らの、モノクロームによる静謐な夢見る世界が展開されます。

また、斎藤清は前期に引き続き代表作を展示しています。
 

夏の暑いなか《会津の冬》シリーズをみるのもいいものです。

美術館内は、作品保護のため一定の温湿度に保たれています。
残暑厳しい頃、ぜひ美術館に涼みにいらしてみませんか。

K.T.

コレクション・クッキング、髙野正晃さんWS開催

8月7日、「コレクション・クッキング」の出品作家、髙野正晃さんが福島文化笹谷幼稚園でワークショップ「ぼくらのねんどじま」を開催して下さいました。楽しかったですよ。

その時の様子をFacebookにアップしましたのでご覧下さい。

http://www.facebook.com/collectioncooking

A.Y.

コレクション・クッキング展

暑中お見舞い申し上げます。
毎日暑い日が続いておりますが、みなさんお元気でしょうか。

さて、30周年記念の「コレクション・クッキング 近くを視ること/遠くに想いを馳せること-対話と創造」展がオープンし、2週間が経ちました。

展覧会の様子は、オープン前からFacebookで随時情報をアップしています。
是非チェックして下さい。
http://www.facebook.com/collectioncooking

ところで、「コレクション・クッキング」って料理の展覧会ですか?と聞かれることがあります。いえいえ、違います。
どのようにしたらコレクション(美術作品)を美味しく味わうことができるのか、いろいろな方とその料理の方法を考えてみようという企画です。展覧会の他にもワークショップなど複数の企画を含んだ通年プロジェクト。
本展は、そのメインとなる企画です。
3,300点を超える当館のコレクション作品と4組の福島県作家のコラボレーション展。
作り手・作家の視点からコレクションを料理していただきます。

料理人は、古川弓子(1975年会津若松市生)、three(1986年福島市生3人のユニット)、三瓶光夫(1974年須賀川市生)、髙野正晃(1965年いわき市生)。それぞれ異なった視点から、作品を選び、展示空間を作りました。


古川弓子


three


三瓶光夫


髙野正晃

それぞれの作家とコレクション作品との間で交わされた対話に耳をかたむけてみませんか?
涼しい美術館でゆっくりとした時間を過ごし、リフレッシュして下さい。
皆様のお越しをお待ちしております。

A.Y.

開館30周年記念 コレクション名作選 始まりました!

福島県立美術館は今年で30周年を迎えます。
それにあわせ、今回の常設展では、コレクション名作選として
当館の代表作を一挙展示しています!

まず第一室。



日本画は小茂田青樹、池田遙邨、速水御舟、安田靫彦などが並びます。
本県出身の勝田蕉琴、酒井三良、大山忠作もお見逃しなく。

奥には伊砂利彦の染色。波の表現が涼やかです。


また、佐藤朝山(玄々)も3点ほど。《冬眠》は蝦蟇の量塊表現が見事です。



第2室は、彫刻と洋画。


建畠覚造の《WAVING FIGURE7(大)》は久しぶり。
また、福島の彫刻家たちの作品の並ぶ様子には圧倒されます。

洋画は、関根正二、村山槐多、岸田劉生など。


そのほか、長谷川利行、松本竣介、麻生三郎、吉井忠、斎藤義重、山口長男なども展示されていますよ。

第三室は海外の作品。


ベン・シャーン、アンドリュー・ワイエスを中心としたアメリカ美術、
また、ピサロ、モネ、コローなどのフランス美術を展示しています。



最後の第四室は版画。


500点を超える斎藤清の所蔵作品のなかから、《凝視》や《会津の冬》シリーズなど、その代表作を展示しています。

反対側の壁は創作版画です。
恩地孝四郎の《母と子》、藤森静雄の《路傍の小猫》など。


また、平川清蔵、川上澄生などの風景版画を展示しています。


版画は前期・後期で展示替えを行います。
後期は、斎藤清は《競艶》など、また創作版画に代わって銅版画を展示する予定でいます。
ぜひどちらもご覧ください!

信夫山を背後とした美術館の景観も美しい季節を迎えました。
ぜひ皆様お誘いあわせのうえお出かけください。



(K.T)

ワークショップ「福島を撮る」レポート

特集展示「瀬戸正人 バンコク・ハノイ・福島」展の開催にともなって、ワークショップ「福島を撮る」が、6月14日‐15日に開催されました。



これは、写真家・瀬戸正人さんと一緒に美術館周辺を歩きながら写真撮影をし、その後撮った作品を瀬戸さんに選んでもらって印刷し、美術館のエントランス・ホールに展示するというもの。

当日は天候にも恵まれ、絶好の散策日和となりました。
瀬戸さんが出したお題は、散策で出会った人を撮るというもの。
いざ散策を始めると、なかなか人に遭遇せずという予想だにしない展開にもかかわらず、
みなさん楽しく、思い思いの写真を撮影することができました。

2日目は、前日に撮った写真を、各自10枚ほど瀬戸さんに選んでもらい、インクジェット・プリンターで2L版に印刷しました。そこからさらに瀬戸さんが厳選した写真を、各自A4版に印刷して、みなさんで展示しました。

 

同じ場所を散策したのに、出来上がった写真はみなそれぞれ違っていて、ひとりひとりの個性がよく表れていました。また見慣れた福島の町には、まだまだ美しいものがそこら中に転がっていると気付かせてくれるワークショップでした。

参加してくださったみなさん、ワールドカップの誘惑にも負けず参加してくださりありがとうございました。

参加者のみなさんが撮影し、一緒に展示した写真は、美術館のエントランス・ホールに6月29日まで展示されています。



なお、本ワークショップは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社様より、
デジタル一眼レフカメラとインクジェット・プリンターをお借りして行いました。

S.A.

コレクション・クッキング

前回「瀬戸正人展」の予告をしましたが、さらに次の企画のご紹介をしましょう。



タイトルは「コレクション・クッキング」。
料理の展覧会ですか?と聞かれるのですが、料理の展覧会ではありません。
美術作品を料理する、つまり味わい方、楽しみ方をみんなで考え、骨の髄まで美味しくいただきましょう、というわけです。
福島県立美術館は今年30周年を迎えます。これまでに縁あって美術館に収蔵された作品は3,300点を超えました。これらの作品をいろいろな方々と共に、いろいろな方法で楽しみたいと思います。実は展覧会だけではありません。常設展や館長講座、ワークショップ、そして近隣の施設との連携企画など、1年を通していろいろなことにチャレンジし、コレクションを味わい尽くそうというプロジェクトなのです。

そのメインの企画が展覧会「近くを視ること/遠くに想いを馳せること-対話と創造」です。
福島県出身の4人の作家たち、古川弓子(1975年、会津若松市生まれ)、three(1986年、福島市生まれ)、三瓶光夫(1974年、須賀川市生まれ)、高野正晃(1965年、いわき市生まれ)が、それぞれコレクションの中から作品を選び、自身の作品とコラボレーションします。今、作家さんたちの制作も追い込みに入っているようです。
コレクションがどのように料理され、どんな空間が生まれるでしょうか。展覧会を通して、コレクションの新たな魅力を作家、来館者の皆様と共有したいと考えています。

どうぞご期待下さい!

今回は展覧会だけでなく、いろいろな企画があります。そしていろいろな方々と一緒に活動をしていきます。若い方々も含め、広く発信をしていきたいと考え、コレクション・クッキングのFacebookを立ち上げました。情報はこちらで発信をしてきます。
Facebook:Collection Cooking(コレクション・クッキング 福島県立美術館)

是非チェックして下さい!
そして「いいね!」をクリックするのをお忘れなく。

A.Y.

「瀬戸正人展」のお知らせ

ご好評いただいている「世界をめぐる絵本の旅」展が終了すると、6月10日(火)から「瀬戸正人 バンコク・ハノイ・福島」展が始まります。



瀬戸正人さんは、当館でも何度か作品をご紹介してきた日本を代表する写真家です。
1953年、日本人の父とベトナム人の母のもと、タイのウドーンタニに生まれました。1961年に父の故郷、福島県梁川町に移り住み、高校を卒業するまで福島で育ちます。父は写真館を営んでいました。

卒業後、東京写真学校で写真を学び、森山大道や深瀬昌久らに師事。写真の腕を磨きます。
1989年、写真集『バンコク、ハノイ 1982-1987』で日本写真協会新人賞を受賞。96年には都会に生きる人々を特異な視点で捉えた写真集『Silent Mode』『Living Room, Tokyo 1989-1994』で第21回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。

また99年、自伝エッセー『トオイと正人』で第12回新潮学芸賞を受賞し、文筆活動も行っています。
http://www.setos.jp/index.html

本展では、当館の収蔵作品の《バンコク、ハノイ 1982-1987》を含め、これまで撮りためてきた福島の風景、震災後の福島、そして昨年発表した『Cesium-137Cs』から合わせて約50点を展示し、瀬戸さんの身体に寄り添ってきた原風景、「福島」の姿を辿ります。

会期中、ワークショップも開催します。

「福島を撮る」
瀬戸さんと一緒に、美術館周辺を歩きながら写真撮影。そして講評会。エントランスホールに作品を展示します。

日時:6月14日(土)13:00~16:00、15日(日)10:30~16:00
対象:一般15名程度 2日間参加できる方(要申込・多数の場合は抽選)
経費など:無料(カメラはご持参いただくか、貸与も可。プリント代も含みます。)
締切:6月8日(日)
協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

奮ってご応募下さい。
絶対に面白いです!間違いありません。

A.Y.