福島県立美術館ブログ

映画「トオイと正人」上映会と、アフタートーク開催しました

12月4日に「瀬戸正人 記憶の地図」展が開幕した翌日、12月5日、小林紀晴監督による映画「トオイと正人」の上映会が開催されました。瀬戸正人さんの自伝的エッセー『トオイと正人』(1999年、第12回新潮学芸賞受賞)を元に制作されたドキュメンタリータッチの映画です。

瀬戸正人さんは、1953年にタイのウドーンタニに生まれました。父は福島県国見町出身の残留日本兵、母はベトナム人。冷戦が激化した1961年、ウドーンタニが大火に見舞われたこともあり、瀬戸さんは父の故郷、福島に家族で移り住みます。父親は、ウドーンタニで経営していた写真館を福島でも開業。瀬戸さんはその後、東京で写真を学びますが、写真館を継ぐことなく写真家として歩み始めました。『トオイと正人』は、そうした瀬戸さんの生い立ちをつづった著作です。 

小林さんは、1968年生まれ。1995年のデビュー作『アジアン・ジャパニーズ』以降、写真制作をベースにノンフィクションや小説など多岐にわたる活動をされてきました。「トオイと正人」は映画初監督作品。東京ドキュメンタリー映画祭2021入選、バンコク・インターナショナル・ドキュメンタリー映画祭で新人監督ドキュメンタリー賞を受賞しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の上映会の後、小林紀晴さん、瀬戸正人さんによるアフタートークを行いました。言葉を拾いながら、その様子をご紹介しましょう。

 

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瀬戸:『《バンコク・ハノイ》1982-1987』は、自分が写真家としてやっていこうとした時に、最初にテーマを定めて撮った写真でした。その後、小林さんが『アジアン・ジャパニーズ』という写真集を出されて、こういう若者もいるんだなと、すごく驚きました。

 

小林:『バンコク・ハノイ』は衝撃を受けた写真集です。あの頃、アジアを撮る写真家はあまりいませんでした。

…最初、瀬戸さんのような写真は俺もとれるよ、くらい自信満々でした。しかし実際現地に行ってみたら、人のエネルギーに圧倒されました。自分では無理だ。一種の敗北感がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瀬戸:自分の写真をどこから始めるか、その立ち位置というのは、後から考えると大事です。僕は作家になりたいというところから出発したけれど、食べていけない。…自分の立ち位置をどこに定めるか、どうテーマを決めるか、考えても思い浮かばない。そこで思いついたのが20年ぶりにタイを訪ねることでした。

 

瀬戸:写真で記憶を撮ることはできません。写真を撮った瞬間、記録になっていく。でもそれだけでなくて、写真で記録をとりながら、次々と記憶が蓄積されていく。あの旅は、忘れていた少年時代、言葉も含めて記憶が甦るきっかけとなりました。それから写真というものを深く考えるようになったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瀬戸:タイのウドーンタニが大火にあった。その時父がやっていた写真館も全部焼けたのに、何故家族アルバムが残っているかというと、父親が自分の生活の報告という意味で福島にアルバムを10冊くらい送っていたからです。それが残っていました。家族が見て本当に感動しました。よく撮って福島に送ってくれたと。

 

瀬戸:写真は誰のものか、ということを考えます。100年後、撮った人も撮られた人もいない、カメラも壊れている。写真は、その時に見た人のもの。実は100年後に見たその人のために撮られたのかもしれません。それが写真の本当の意味ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小林:最初『トオイと正人』を読んだ時、自然と映像が浮かんできました。より視覚的でした。他の本を読んでこういう経験はありませんでした。メコン川、阿武隈川が自分の中で交錯して、これは映画になると勝手に思い込んだのです。

・・・それから10年くらい経ち、普通のカメラで映像が撮れるようになった。一人で編集もできることがわかってきたので、できるかなと思った。そこで瀬戸さんにお願いしました。自分のお金で撮っています。最初に読んでから20年くらいがたっていました。

 

小林:今後はやはり写真を中心にやっていきます。写真と映像はやっぱり別もの。

・・・写真は展示で時間軸を変えることができるけれど、映像はそうはいきません。

 

瀬戸:…父親がタイから日本に帰国する時、戦友たちを訪ねて「恩給ももらえるし、帰ろう」と誘ったけれど「もう勘弁してくれ、もう帰れない」と言われたそうです。子供が4~5人いて、お金もない。仕事もうまくいかなかった。だから帰れなかった人たちがたくさんいました。父親は日本に帰ってきてから、戦友たちに、海外から恩給をもらえるように手続きをしてあげました。帰れなかった人たちが1万数千人いると聞いているけれど、どっちが幸せかわかりません。戦争はいろいろな人の人生を狂わせました。僕がこうして帰ってきたのも幸いですよ。

  

瀬戸:小林さんと一緒にメコン川に行きました。それは父親の見た風景を見たいと思ったから。日本兵はみんな見ていました。そして、いつ渡ったらいいか、それともここに留まった方がいいのか考えたと思います。

 

・・・上官に「1ヶ月後に船が上がってきて日本に帰れる。待つ人はここで待ちなさい。」と言われたけれど、父は日本は負けたんだから帰れないと考えた。そういう人たちは離脱するしかありません。でも離脱するということは脱走兵になること。だから戦後、自分から名乗り出てることはなかなかできなかったのです。

 

・・・川を渡るということは、別世界に行くということ。命懸けだったと思います。

 

・・・父も、もしベトナム戦争もなく平和だったら、仕事もうまくいっていたし、戻ってこなかったんじゃないか。人が生きる時の判断って、本当に難しいです。

 

…写真館が嫌で東京に出たけれど、落ち着いたところはポートレート。不思議な巡り合わせです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小林:瀬戸さんと一緒にウドーンタニに行きましたけれど、瀬戸さんはほとんど写真を撮らない。カメラを出さない。その後、タイなどの写真は発表されていますか。

瀬戸:していません。発表するほどのものではない。同じように帰ってくる度に福島も撮っているけれど発表していません。故郷というのは人に見せるものではないという感じ。自分が見るために撮る。

 

小林:写真家の8~9割は生まれたところを撮るんじゃないかという気がする。瀬戸さんが発売されているものはバンコク、ハノイ。でも本来だったらウドーンタニのはず。写真家として、一番の核心を空白にしておく。そこをあえて外してくるところが瀬戸さんなんじゃないかと思っています。

 

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小林さん、瀬戸さん、興味深いお話しを有難うございました。

80名ほどのお客様ととともにお話をお聞きした後、瀬戸さんのサイン会となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回の上映会は1月15日(土)となります。10:30、13:00、15:00の3回上映。

ご覧になれなかった方、是非お出かけください。

観覧は無料ですが、展覧会チケットをお持ちください。

 

 

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第3回報告

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校in福島」第3回報告

 

「ドラえもん展」最終日を二日後に控えた11月21日(日)、写真学校第3回目が開催されました。チケットを買う長い列を横目に見ながら。

さて回も進むにつれ、セレクトの基準も厳しくなって、選ばれる写真の数がぐっと少なくなりました。今回も講座の中で瀬戸さんの写真論が展開されたので、言葉を拾いながらご紹介していきましょう。

 

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中心がない、そういう写真は見過ごされやすい。選択肢の外に置かれやすいのだけど、よく見ると空間、視覚、空気感、大袈裟に言うと自分、その人の世界観が意外と表れる。中心があるとそこに目がいってしまって、中心、ポイントがいいかどうかという議論になりがちだが、中心がない分、作者の考え方、個性が表れやすい。そこを意識して撮れば自分を出しやすい。

 

紅葉はきれいだけれど、これが写真の大問題なんです。撮らされている私がいるパターン。自分が入る余地がない。圧倒的に向こうの方がきれいだし、すごい力を持っているので、どう対峙したらいいのかということになる。いくら撮っても先が見えない。

 

どこに行ったらいいのか、何を撮ったらいいのか、そういうことは普通日常的によくあること。・・・歩いているうちに何か見つかる、見つけちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探していない人のところには現れない。何かないかと探しまわる人のところに現れる。漠然と歩いていても見てないのと一緒。見つけられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ以上寄ると抽象画のようになってしまうけれどまだ具体性が残っている。・・・見る人にいろいろ錯覚させるそのギリギリ。それがいい。

 

たくさん撮るのはいいけれど、その中から選び出す力がないと撮る力になっていかない。

 

この写真はオーソドックスで何も主張していないんですが、何かがいる感じがする。中心がないけど、何かがそこにいる。

 

こういうもの(大きな岩)に神様が宿っているんじゃないかと僕は思っている。何か惹きつけられる。撮りたくなるものですよ。

 

その効果を狙って撮るとして、もうバレちゃっているから面白くないですよね。・・・こうすればこうなる、頭で計算ができている、それを撮った写真はあまり面白くないです。何故かというと考えちゃっているから、もう出来上がっているから感動がないんです。

 

パッと見ちゃった風景がある。実は見たときに撮れちゃっている。しかしそれを人に言ってもわからないので写真に撮る。1秒でカメラを握り、2秒後にそっちに向かい、3秒後にさっき見ちゃった風景はこれかなと思ってシャッターを押す。これにはトレーニングとか経験がいるんですが、見ちゃった時に終わっているという感覚。もう撮れちゃっているんです。

 

(スナップの撮影について)そもそも写真を撮るということ自体が悪意のある行為。写真を撮るという行為の向こうに、人間の何かを暴き出そうという私がいる。それは仕方なくあって写真を撮る。

 

写真は半分に破いても写真。いくら破いても写真です。写真のかけら。かけらでもよくみたら写真なんですよ。

いい写真は半分にしてもいい写真。

 

普通、中心のない写真は(コンテストでは)無視される。皆の常識がそこにないから。審査する側がポイントを評価しているから。僕はそうじゃないと思う。もっと広く見てみたい。ポイントのない写真にも可能性があるんじゃないか。・・・自分でそういう写真を50点くらい作って展示をする。全部中心のない写真。そうすればやっと中心が見えてきたと感じるかもしれない。見えない中心が会場に立ち現れる。・・・架空の柱のようなものがそこに現れる。そういう可能性が写真の中にあるんじゃないかと思っている。中心のないものにこそ自分が表れる。

 

40年前とここ2,3年で、僕の写真は変わってきている。

最初何を撮ったらいいか、何を目指すかわからなかった。どこから始めようか、そう考えた時、生まれたタイ、バンコク、ハノイそして住んでいた家を探しに行こうと思った。自分探しというところから始めて撮ってきた。でも写真家として、作家として勝負していくためには、テーマで見せた方が人に伝わるんじゃないかと考えた。中心のない写真ではダメで中心のテーマを決めてしまう。そして撮る。《リビングルーム》もそう。東京のアパートにいろいろな外国人が来始めた時期で、彼らは部屋にもお国柄を持ち込んでいた。だからドアを開けた途端にその国の匂いがする。それをテーマに据えよう。中心にコンセプトを据えて、中心だけを見せる。そういう手法を随分やってきた。でも最近《セシウム》から、だんだん中心がない写真を撮るようになった。福島の山の中、川を撮っているんだけど福島を撮っているわけではなく、草むらを撮っている。そんな感じ。中心のない写真はこれだって指し示そうかなというのがこれからの僕のテーマなんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真には撮る側、撮られる側、その真ん中にカメラがある。写真ってそれらのあいまいな関係があるから面白い。

自分が撮ったつもりなんだけど、実はいい意味で撮らされたならば素晴らしい。決して撮っている私だけではない。撮られる人、カメラも参加している。自分を主張したい人は主張することもできる。でも自分を消したい人は消すこともできる。

カメラというものがこの世界と自分を繋いでいる。でもそれはすごく曖昧な関係なんだけれど、それを信じないと写真は撮れない。

虚構なんだよ。現実が写っているから現実だろうと思うけど、現実ではない。ペラペラの紙なんですよ。あくまで虚構の世界の中に写真があるの。私が見ちゃったものをカメラは忠実に撮ってくれたということを信じているから写真は成り立っている。

 

写真は誰のものか。写っている人、撮った人、カメラ?

写真は誰のためにあるかと言ったら、この3者は関係ない。100年後、私もあなたもこの世にいない。カメラも壊れている。残っているのは写真だけ。100年前の写真があったとしてこれは誰のものか。実は誰のものでもない。その時に見た人が感動したらその人のものになるんじゃない?

 

父親は写真館をやっていたから、僕たち子どもの写真をいっぱい撮っていて、アルバムにしているわけ。そこには50年前の写真がある。撮ってくれてよかったと思う。お父さんは何のために撮ったのかということを考えると、後で皆で見てくれっていうことなんですよ。写真の意味ってそこにある。こんな有難いことはない。50~60年経って今頃それを感じている。そこに写真の時間的なスパンとか意味がある。

 

写真がわからなければ、音楽も文学もわからないと思う。形が違うだけでみんな繋がっている。やっていることは同じだからわかる、感じられる。

 

自分の写真の問題は意外とひらめき。ひらめいたものを、今までの経験にのっとってやってみようかなと。でも最後まで辿り着けないなと思えば、その時やめようか、あるいは2~3年おいておこうか、そういう風にして進める道がどこにあるかというのを探すんです。

 


なんで明日写真を撮りに行くのかというと、まだ見たことのない写真を探すため。どこかに自分もみたことのないものがあるんですよ。それを撮るために行くの。どこにあるんだろう。つきないんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回も会場からたくさんの質問が出て、興味深いお話を聞くことができました。

有難うございました。

次回は12月12日。いよいよ成果展に向けて、作品をセレクトします。

 

展覧会「瀬戸正人 記憶の地図」展が12月4日(土)にオープンします。瀬戸語録と併せて、是非ご覧ください。

 

「アートミーツクッキー」開催しました

10月30日(土)、当館庭園&常設展示室にて「アートミーツクッキー」を開催しました!

お天気に恵まれて絶好のイベント日和でした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アートとクッキーが出あう」って、どういうこと??? みなさん、はじめは不思議そうに、でも興味津々に参加してくださいました。

 

まず、ポストカードを購入します。それから、常設展を鑑賞し、ポストカードに書かれている質問の答えを自分の言葉で記入します。庭にいるイラストレーターさんにカードを渡し、答えをもとにオリジナルのイラストを描いてもらいます。最後にポストカードの穴にぴったりはまるクッキーをもらったら完成です!

 

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今回ご協力いただいたイラストレーターのお三方です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大河原健太さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

tomomi takashioさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福田美里さん。

 

参加者のみなさんと和気あいあいとお話ししながら、一枚一枚ていねいに描いてくださいました。手を抜かない作家魂は、さすがです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポストカードの答えと好きな色の「むらさき」から、とってもすてきなオリジナルのイラストになりました!常設展示室で「とけいのおと」がきこえてくるような作品を見つけたようですね。どの作品かしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらのファミリーは、ポストカードの穴は●でした。みどりの山、ダイナミックですね!

 

外が暗くなってからは、エントランスホールへ移動。幻想的な雰囲気の中、描いてもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じっくりと作品を鑑賞して、おうちに帰っても自分だけのイラストとクッキーが楽しめる、とってもおいしいイベントでした!

 

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ご参加いただいたみなさま、ほぼお休みなしで筆を動かしていたイラストレーターの大河原さん、takashioさん、福田さん、ありがとうございました。優しいお味のほっこりするクッキーをつくってくださったぷてぃpetitさん、ありがとうございました。

 

また、当日お手伝いいただいた方々、素敵なイベントを企画してくださったFRIDAY SCREENの坂内さん、鈴木さんありがとうございました!

 

 

 

 

 

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第2回報告

8月22日に開校した「瀬戸正人写真学校in福島」は、コロナの感染拡大のため9月19日は中止となり、10月24日に待望の第2回が開催されました。8月は瀬戸さんには東京からリモートでご参加いただきましたが、今回は来福され、初の対面授業となりました。

 2か月のブランクが空きましたが、今回も力作揃い。

参加者の皆さんには、事前に一人100枚程度の写真を提出していただき、瀬戸さんにあらかじめその中からセレクトしておいていただきました。講座では、一人ひとりのセレクト写真を見ながら、アドヴァイスや評価のポイントをお聞きしました。

 瀬戸さんの言葉を拾い上げながら、3時間にわたった授業の様子をご紹介します。

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写真は皆さんにとって何なのか。何のために撮っているのか。

何故写真を撮り始めたのか。何故写真が好きになったのか。写真を撮るというのはそこから始まっている。

 

写真は誰のためにあるのか。

写真は自分のためにあるのだけれど、見る人がいるから成立する。その両面がある。

写真には、撮られるものがあり、撮った人いて、その間にカメラがある。そしてその写真を見る人がいる。この4者が揃ってはじめて写真が成り立つ。

 

写真を見るというのはどういうことなのか。

きれいな花が写っている。しかし我々はそこを見ているのではない。撮った人の世界観、美学的なこと、人生を含めて、そういうものを感じている。

撮った人からすれば、写真を見られるということは、自分の世界観を覗かれるということ。

 

写真を撮るとはどういうことだろう。

人にはそれぞれ撮らなくてはならないものがあるからそれを撮る。では撮るべきものはどこにあるのか。それを探しに行かなくてはならない。自分を探すようなもの。そこに自分にとって大事なものがある。自分にとって大事なものを見つけて撮るからこそ、それを見た人は感動する。そうであれば、たとえそこに言葉がなくても、通じなくても、人間として世界観が共有できる。

 

写真って現実だと思っているかもしれないけれど、現実ではない。フェイク。現実のコピー。現実はどんどん過ぎていく、変わっていく。写真と現実の間にはギャップがある。カメラは嘘をつくことができる。そこの面白さに気づいて欲しい。

 

しょっちゅう撮っていると、感覚が芽生えたり、発展があったりする。アスリートと同じ。撮る意識を持って頻繁に撮らないと上達しない。

 

滝とか虹とか最低わかるように撮った方がいい。写真には、何が写っているか、具体性がないといけない。

 

何もなくてよい。ポイントがない、空っぽ、そこがいい。

あまりにも空っぽだと写真として成立しないが、そのギリギリのところに実は重要なものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真は何を撮ってもよい。しかし自分にとって撮らなければならないものは強くあって、それを意識したとたんに写真は強くなる。人にインパクトを与えられる。

自分がこれを見たいという感覚をしっかり持てなければ伝わらない。

 

写真において気持ち悪いというのは誉め言葉。変態というのも誉め言葉。

 

みんなが見たことのないような写真がいい。どこかで見たことがあるような写真はいらない、ということ。見たこともないようなものは、実はあまりないけれど、全くないかというとそんなことはない。それを探すことが写真を撮ること。

 

写真を撮る時は、そのままたくさん受け入れて、見せる時は自分の中で処理して切り落としていく。どこまで切り落とせるかが見せる時の勝負。

 

モノクロとカラーは、人格が違うくらいに違うもの。

一つのシリーズの中でモノクロの隣にカラーが並ぶということはあり得ない。

 

写真を撮るということは、常に現実と向き合うこと。我々が目にしたものしか写せない。この世界を受け止めるのが写真。そういう哲学を持とうよ。そのまま受け止めるのが写真という装置。小型で性能のいいスキャナーがカメラだと思っている。写真を撮る行為とは、このカメラを持って世界をスキャンすること。

 

僕には写真の先生が二人いた。森山大道先生は、プリントする時にものすごく手を入れる。だから自分でも再現できない。同じことをしていても毎回微妙に違う。反対に深瀬昌久先生は全く手を入れなかった。そのフィルム、そこに届いた光、感光したものすべてを受け入れた。

手を入れて整えるか、それとも受け入れるか。僕は二人の先生を見ていて、その間を行ったり来たりしている。

 

写真は教えられない。人生どうやって生きたらいいか、誰も教えられないように、写真も教えられないはず。レンズの使い方、現像の仕方、テクニックは教えられるけれど、何を撮ったらいいのか、本質的なことは教えられない。しかし教えるためにポイント(構図の作り方や定型のようなもの)が必要だと考えられるようになった。花ならこう撮らなければならないというように。だから日本全国皆同じような写真になってしまった。戦後日本の独特のシステムだ。根深い話だが、しかしそれは間違っていると言いたい。個性が出せない。写真はもっと自由なはず。

 

写真は芸術。では芸術とは何か。

アメリカの進化生物学者・ダイアモンド博士によれば、芸術とは、

1 人間の行為。人間が作ったもの。

2 美しいもの。「美しい」には色々な意味が含まれる。

3 役に立たないもの。

役に立たないほど美しい。

 


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最後は芸術論で終わりました。もっと自由に解き放たれて、カメラを世界に向けて欲しい。瀬戸さんから受講者へ熱いエールが送られました。

 

芸術が役立つことを何かと求められる昨今、ここまで言い放っていただき胸がすっきりしました。役には立たないけれど、人が生きていくために必要なもの。芸術は不要不急ではないのです。

次回の写真も楽しみにしています。

芸術鑑賞講座を開催しました

10月9日(土)、当館前館長の早川博明氏による芸術鑑賞講座を開催しました。

 

今年度3回目となる今回のテーマは「ティツィアーノと《聖愛と俗愛》」。

豊かな色彩で人物を生き生きと描き出す、ヴェネツィア派の巨匠の名画を楽しみました。

《聖母被昇天》《ウルビーノのヴィーナス》など他の傑作も併せて紹介しました。

ティツィアーノは代表作といえるものがいくつもあり、改めて偉大な画家であったことが分かります。

早川さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

次回は12月11日。今年度最後の芸術鑑賞講座です。

「カラヴァッジョと聖マタイ伝連作」をテーマに行います。

※今年度の受講者の募集は、定員に達したため終了しました。

 

芸術鑑賞講座を開催しました

8月14日(土)、芸術鑑賞講座「名画との対話」を開催しました。
第2回のテーマは、「ジョルジョーネと《ラ・テンペスタ(嵐)》」。
講師は当館前館長の早川博明氏です。

ジョルジョーネは、イタリア盛期ルネサンス時代に活躍したヴェネツィア派の天才画家。
伝染病のため34歳で亡くなっており、ジョルジョーネ作とされる作品はかなり少ないです。
講座では、代表作の《ラ・テンペスタ(嵐)》の他、《自画像》や《三人の哲学者》などの作品をご紹介しました。

今回はコロナウイルス感染症対策のため、会場を講堂に変更して開催しました。
早川さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

次回のテーマは「ティツィアーノと《聖愛と俗愛》」。
開催日は10月9日(土)です。

※今年度の受講者の募集は、定員に達したため終了しました。

創作プログラム「墨であそぶ・墨でえがく」開催しました

8月7日(土)、当館実習室にて創作プログラム「墨であそぶ・墨でえがく」を開催しました!
講師は、いわき市ご出身で美術家の久保木桂子さんです。

今回の講座は子ども達向け。
すずりで墨をする体験をして、墨の柔らかなうすい色、はっきりとした黒い色、にじみや線などを使って、いろいろな描き方を楽しみます。
最後に自分ですった墨で色紙に自由に絵を描いてみましょう!

まずは、墨のすり方から。
すずりの丘の部分に水を少し入れ、墨をたてて持ちやさしくすっていきます。
今回子ども達に準備した墨は「すずか墨」というもので、通常の墨よりもすりやすいものになっています。

墨がある程度すれたら、絵皿にうつします。
今一番濃い墨を梅皿の中央に入れて、水を調整しながら周りの仕切りに濃さの違う墨を作っていきます。

説明が終わったところで実際に墨をすってみます!
すずりと墨を1人1セットずつ準備し、久保木さんの説明を振り返りながら墨をすっていきます。

 
学校での習字の授業は3年生くらいから始まるそうなので、初めて墨をさわる子もいました。
ある程度の量の墨ができるまで、10分ほどすり続けるため、途中お休みを入れながらみなさん集中して手を動かしていました。

 

墨の準備ができたら、試し描きです。
おとな向けの時と同じく、雪村周継の《花鳥図屏風》をまねして、線を引く、濃淡をつける、ぼかし、かすれなどを練習します。

 

なんとなく筆の使い方や墨の感じに慣れてきたら、それぞれ準備してきた下絵や写真を元に試し描き。
久保木さんからのアドバイスをもらいながら、どんな風に描いていくか考えます。
今回は色は入れず、墨だけを使って描くので、濃さの違いを生かして描いていきます。

 

お昼休憩の前に、開催中の「ミネアポリス美術館展」をみんなでみに行きました。
とっても大きな水墨画が並んでいます。

 

午前中にまねして描いてもらった雪村の屏風もみてもらいました。
まねしてもらったのは白鷺やツバメがいる一部分を切り抜いたものだったので、全体をみてみると、目がぎょろりとした鯉などもいて驚いている子もいました。

 

観覧が終わったところで午前中の活動は終了。
お昼休憩をとります。

午後は、いよいよ本番の色紙に描いていきます!
それぞれ準備してきた描きたいものを、自由に描いていきます。

 

ドリッピングをしたり、墨の濃淡を使い分けて表現したり、みなさんそれぞれ工夫を凝らして描いていました。

 

最後に名前を入れて、作品が完成!
みんなの作品を並べて鑑賞会をします。

  

一人ひとり作品について、工夫したところや感想をお話してもらい、久保木さんからもコメントをもらいました。
下描きからどんな風に作品が変わっていったのか、説明してくれた子もいました。

 

子ども達からは、

・さいしょはうまくできなかったけど、さいごはうまくできてうれしい。
・水とすみの量で、いろいろなことを表せることが分かった。
・むずかしかったけど楽しかった。
・すみをするのが楽しかった。

などと感想をいただきました。

久保木桂子さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第1回報告

瀬戸正人さんは1953年、日本人の父親とベトナム人の母親のもと、タイのウドーンタニ市で生まれました。61年、父の故郷福島県の梁川町に家族で移住し、高校生まで福島で過ごします。上京後写真を学び、今では日本を代表する写真家の一人として国内外で活躍されています。

12月4日から当館で、初期作品から最新作までご紹介する「瀬戸正人 記憶の地図」展が始まります。「瀬戸正人写真学校 in 福島」はその関連事業として、8月22日、40名の参加者を迎えて開校しました。講座は6回連続。最後の作品展示を目指し、それぞれが写真との対話を重ねていきます。

写真学校1日目の様子をご紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講座では、瀬戸さんが一人ずつ写真を見ながら、いいものをセレクトファイルにピックアップしていきます。そのために、事前に参加者から各々300枚程度の画像をお送りいただいていました。

コロナウィルス感染拡大のため、残念ながら初回から、瀬戸さんは東京からのZoom参加。他にも2名がZoom参加。あとは美術館の講堂に集合し、それぞれの画像をZoomやプロジェクター投影で共有しながら講座を進めていきました。

 

まずは瀬戸さんと写真との出会いから話が始まりました。

20歳の頃、福島から上京し、写真家・森山大道さんの写真を見て、最初これはどういうことなのかよくわからなかったといいます。というのは、自分が知っていたのは写真館をやっていた父親が撮るポートレートや子供の写真、結婚式の写真。街のゴミまで写す森山さんのストリート写真は、それらとは全く異質の写真だったからです。

瀬戸さんは森山さんに「写真って何ですか?」と聞いたそうです。しかしそこに答えはありません。すべてはそこから始まるのです。「何のために写真を撮るのか」「写真って何なのか」という問いは、「どうやって生きていったらいいのか」と問うのと同じようなもの。誰も答えられません。だから言葉を投げかけ、写真と向き合い、自分の撮りたいものを見出して欲しいのです。見出した時に写真はものすごく面白くなります。この学校でそういうことを体験して欲しい。

この講座への思いをお話しいただきました。

 

さて、それぞれの写真を見ていきます。

その中で気になる言葉を拾い上げてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・写真で撮るべきものは何なのか。撮らなくてはならないものがある。それが何かを見つけること、気づくこと。

 

・写真の定番、絵はがきのような写真をやっても面白くない。

 「風景」にしてはいけない。「私」がなくなってしまう。私が見た風景、私が見た証が必要なのです。

 

・例えば樹氷。言ってみればお墓なんだよね。・・・そう見えれば、撮る人がそう感じたら、写真は違うものになる。「風景」にしちゃうと、そうならなくなる。

 

・戦後日本の風景写真は、写真の中に絵画的な構図、立体感、遠近感を持ち込んで、型を作ってしまった。型は教えられるが、しかし写真はそもそも教えられないもの。写真は絵画とは全く違う。

 

・写真は目に見えないものを写せちゃったりする。

 

・「風景」にしてしまうと、それがダイナミックな風景であればあるほど、どんどん向こう側の世界になってしまう。撮った自分の眼が消えてしまう。自分に引き付けられない。まずは見た自分の眼がある。

 

・まず面白いものを発見したら撮る。そしてもう少し広い眼で見て、空気感、光なども考えて撮る。

 

・失敗したかもしれない。しかしカメラが写してしまったものがある。

 

・中心はどこにあってもよい。なくてもよい。これを見て撮影した人の眼差しが感じられることが大事。

 

・この花を通して私のことを見せたい。花ではなく、花を見た私、その眼差しを共有したい。そしてその眼差しに私たちは感動する。

 

・写真は双方向。撮る人の気持ちと、見た人がそれをどう見るか。自分は撮っているからわかっているけれど、見た人はなんだかよくわからないことがある。

 

・写真の神様がいるんだよね。

 

・写真を見る時、重要なものが写っているかいないか。あるかないか。それがすべて。

 これがわかれば、写真に必要なもの、必要でないもの、何が重要なのかがわかる。

 自分と自分の写真との対話、社会、世の中との対話をする。そうすれば、撮るべきものは何か、撮らなくてもいいものは何かがわかる。

 

・見る眼を鍛える。

 

今回は3時間たっぷりやって半分の方の写真しか見ることができませんでした。スタッフ反省です。しかし熱の入った講座でした。次回は全員が参加できるようにスムーズな進行をしてきたいと思います。

最後の展示を目指して楽しくやっていきましょう。

毎回ブログに瀬戸語録をアップしますのでご期待下さい。

見学希望も大歓迎です。お申し出ください。

創作プログラム「水墨画体験」②

◆◆◆2日目◆◆◆

「水墨画体験」2日目は、前日に描いた本紙をパネルにはるところから始まります。
パネルのふちにのりを塗ります。
本紙の裏に刷毛で水をぬり、パネルに本紙をのせてやさしくはりつけていきます。

  
これでパネルの準備が終わりました。
乾くのを待つ間に、墨をすって準備します。

いよいよ作品を仕上げていきます。
今回は作品によって墨だけでなく、顔彩も使って色を入れていきました。

 

 

 
途中、久保木さんからのアドバイスで、にじみ止めのためにドーサを引く作業なども入れながら、みなさん黙々と創作に取り組んでいました。

最後は作品をイーゼルに並べて講評会。
自分の作品について、どのように描いたのか、工夫した点や難しかった点などについて、一人ひとりお話していただきました。
久保木さんからも、それぞれの作品についてコメントをいただきました。

 

受講者の方からは、

・おもしろかった。水墨画ははじめてだったが、思った以上に表現できた。
・なかなか思うように描けなかったが、ドーサの使い方など、大変勉強になった。
・1人1人の作風に合わせてきめ細かいアドバイスを先生からいただいて制作できてよかった。

などの感想をいただきました。

久保木桂子さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

創作プログラム「水墨画体験」①

7月31日(土)、8月1日(日)の2日間、当館実習室にて創作プログラム「水墨画体験」を開催しました。
講師はいわき市ご出身の美術家、久保木桂子さんです。

今回の講座では、硯で墨をすることからはじめて、墨の濃淡やにじみ、ぼかし、かすれや、はっきりとした線、溜まり、日本画の絵の具を併用して色彩を加えた具墨(ぐずみ)など様々な表現方法を体験します。
その後、各自が準備したスケッチや下絵をもとに、F4号サイズの水墨画、または色彩を用いた墨彩画を各々の表現で描いていくという流れでした。

◆◆◆1日目◆◆◆

まずはパネルの下準備から。
パネルのふちの部分にのり打ちをしていきます。

のりを乾かしている間に、墨の準備へ。
久保木さんが墨の持ち方やすりかたを丁寧に教えてくださいました。
膠を硯に1さじ分のせて、優しく墨をすっていきます。


説明が終わったところで、一人一つずつ硯と墨を持って机に移動し、墨をすっていきます。


みなさん集中して取り組んでいます。
ある程度すったところで、墨は絵皿へ移動。
硯は傷んでしまわぬよう、すぐに水で洗います。
梅皿の中央に濃い墨を置き、水を足しながらさまざまな濃さの墨を周りの仕切りにつくっていきます。

墨ができたら試し描きです。
現在「ミネアポリス美術館展」で展示されている雪村周継の《花鳥図屏風》を参考にしながら、筆の動かし方や濃淡のつけかたなどを試していきます。
 

だいたい筆と墨の感じに慣れてきたところで、それぞれ自分が持ってきた下書きを元に、どのように描いていくか考えていきます。
 

愛猫の写真や風景写真を持ってきた方や、モチーフとなる花やスケッチを持参した方などがいらっしゃいました。
どのように描き進めていくか久保木さんと相談しながら、下書き用の和紙に描いていきます。
早く進んだ方は、本紙に描いていきます。
最後ににじみ止めのためのドーサ引きと、裏打ちの作業をして、1日目は終了しました。

 

「アートなおはなしかい」開催しました!

7月24日(土)、おとなりの図書館さんと一緒に「アートなおはなしかい」を開催しました。

まずは図書館での絵本のよみきかせ。
ストレッチで体をほぐした後、紹介されたのは『まいごのたまご』(作:アレックス・ラティマー / 訳:聞かせ屋。けいたろう)です。

どこかの巣からころがり落ちてしまった、恐竜のまいごのたまごが、お母さんをさがすおはなしです。

2冊目は、『びじゅつかんへいこう』(文:スーザン・ベルデ /絵:ピーター・レイノルズ/訳:なかがわちひろ)。
美術館ってどんなところなんだろう?どんな風に楽しめるのかな?
そんなことを考えさせてくれる絵本でした。

次はとなりの美術館へ。
最初にみたのは大きな屏風。


まずは、何が描かれているのか、みんなで絵全体を見てみます。
木や葉っぱ、花、池などが描かれています。
絵の中に巣があることに気づいてくれた子がいました。
どんな生き物の巣なのでしょうか?
絵の中には他に生き物が描かれていないため、何の巣なのかは分かりません。

この絵は、勝田蕉琴作《安らかなる鳥の巣》。
描かれたのは今からちょうど100年前の1921年です。
みんなだったら、この鳥の巣からどんな鳥が生まれると思うかな?
大きいかな?小さいかな?羽の色は?それぞれ心の中で想像します。

巣が出てくる絵だったので、図書館さんから『ふしぎな鳥の巣』(作・絵:鈴木まもる)という本を紹介してもらいました。

さまざまな鳥が作る巣を、緻密な絵とともに紹介している本です。
ヒナを守るために入口が分からないようになっている巣や、アパートのように複数の鳥が住む巣など…。
一見巣には見えないものもあり、とても面白い本でした。

次にみたのは、クロード・モネ作《ジヴェルニーの草原》。
描かれた季節はいつ頃か?時間は何時ころか?など、絵から想像しながらみていきます。
この絵にも描かれている「積みわら」が描かれた3点の作品画像を見ながら、それぞれが描かれた時間帯についてみんなで予想しました。

季節や時間よって移り変わる光を描こうとしたモネ。
そのモネの生涯をやさしいイラストとともに知ることができる、
『ぼくはクロード・モネ』(作:林綾野  / 絵:たんふるたん)という絵本を紹介してもらいました。

次の作品に進む前に、よみきかせしてもらったのは『アヒルかも!ウサギかも!』
(作: エイミー・クラウス・ローゼンタール トム・リヒテンヘルド/ 訳: せきね みつひろ)。

一枚の同じ絵でも見方によって、アヒルにもウサギにも感じられます。
自分には何に見えるか…?そんなことを考えながら楽しめる絵本です。

次に紹介したのは、不思議な生き物が描かれた絵。

この生き物は何に見えるかな?
ほとんどの子が、「亀に見える」と答えてくれました。
何匹いるかな?指差ししながら数えてみます。
この作品は桂ゆき作《親亀の背中に子亀をのせて》。
作品をみている途中、「何か貼ってあるように見える」「デコボコしてる」
ということに気づいてくれた子がいました。
この作品は板の上にくしゃくしゃにした紙が貼り付けてあり、コラージュという技法で作られています。

最後に、絵のモチーフにもなっている亀について詳しく知ることができる『こうら』(文:内田 至 / 絵:金尾 恵子)という本を紹介してもらいました。

亀は、実は恐竜の時代から固い”こうら”で身を守ってきました。
危険が迫るとこうらを膨らませるパンケーキガメなど、
さまざまな種類の亀とこうらの機能について、緻密な絵とともに知ることができる本でした。

作品をみた後は工作の時間! 
図書館さんに戻って画用紙を使った工作をしました。
今回は、《安らかなる鳥の巣》の作品から、「ゆらゆらうごく鳥をつくろう」というテーマで作りました。
作品の中には鳥が出てきませんでしたが、どんな鳥が生まれるのか想像しながら作っていきます。

大小さまざまな大きさに切った丸い画用紙を組み合わせて、好きな色や模様の羽やくちばしを付けていきます。

最後に目を描いて完成!
リボンを付けたり、羽の模様を描いたり、尾羽を付けてみたりと、みんなそれぞれ工夫をこらして作ってくれました。



ご参加いただいたみなさま、図書館スタッフのみなさま、ありがとうございました!

創作プログラム「おさんぽ美術館―マップをつくろう」開催しました

6月20日(日)、創作プログラム「おさんぽ美術館―マップをつくろう」開催しました。

イラストレーターの佐藤ジュンコさんが作ってくれたマップ。
今回はこのマップを見ながら美術館の庭やエントランスホールをおさんぽし、気に入った場所や発見したことなどを絵やことばにして小さな紙にかいていきます。

はじめに、美術館スタッフから新しいイラストマップのこと、今日の活動の流れ、注意事項についてお話しました。
その後はマップを手に、自由に美術館をめぐります。

梅雨入りしたばかりで前日は雨。
ですがプログラム当日、幸い雨は降らず、曇り空だったので予定通り屋外で活動することができました。

  

ちょうどアジサイがきれいに咲いていました。
みなさん花の形をじっくり見ながら、丁寧に描いていました。
他にも梅の木になった実や、かわいらしい形の葉っぱ、青々とした竹など、色々なものを発見していました。

ひととおり庭をめぐると、館内へ。

 

エントランスホールにある彫刻作品を見ながら描いたり…
建物の大きな窓などを気に入って描いている子もいました。

実習室に戻って色塗り。
色鉛筆やクーピー、ポスカやペンなどを使って色を塗っていきます。

 

みんな集中して描いていたので、描く時間を少し延長。
たくさんお気に入りを見つけてくれて、10枚くらい描いている子もいました。

最後に、大きなマップの前で発表会。
描いた絵について、何を見つけたのか?どんなところが気に入ったのか?などを紹介してもらいました。

発表が終わると、見つけた場所に貼り付けていきます。
(描いてもらった作品全部は貼りきれなかったので、特に気に入っているものを選んでもらいました。)
大きなマップが子ども達のお気に入りで埋められていきました。

 

みなさんそれぞれいろんな場所でお気に入りを見つけて描いてくれました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
完成したマップは、エントランスホールで7月4日(日)まで展示しています。
ご来館の際にはぜひご覧ください。

庭園は、季節ごとに異なる種類の花が咲いていたり、さまざまな鳥や虫もいて色々な発見ができる場所です。
美術館に展示されている作品ももちろんですが、美術館の建物や庭も楽しんでいただけるといいなと思います。
当館にいらした際にはぜひイラストマップを手に、お気に入りの場所を見つけてみてください。

 

芸術鑑賞講座を開催しました

6月12日(土)、当館講義室にて「芸術鑑賞講座―名画との対話」を開催しました。

この講座では、西洋美術史を彩る巨匠たちの美しい名画に秘められた絵画表現の意味と魅力を読み解いていきます。

全部で4回開催する講座の第1回目のテーマは、「レオナルド・ダ・ヴィンチと《モナ・リザ》」。

複雑な表情で、多くの人々を魅了するこの作品は、レオナルドが亡くなるまで手元に置いていました。

今回の講座では、《岩窟の聖母》や《最後の晩餐》など他の作品についても触れながら紹介しました。

 

 

次回のテーマは「ジョルジョーネと《ラ・テンペスタ(嵐)》」。

開催日は8月14日(土)です。

※今年度の受講者の募集は、定員に達したため終了しました。

 

創作プログラム「木っ端でカタチをつくろう」開催しました!

6月6日(日)、創作プログラム「木っ端でカタチをつくろう」開催しました!
美術館再開後、初となったワークショップ。
宮城県在住の彫刻家、佐野美里さんが講師です。
今回は広い空間ということで、当館エントランスホールを会場にしました。
1人1つ円形のシートで制作するのは、コロナウイルス感染症対策のための佐野さんのアイデアです。

自己紹介のあと、まずは、佐野さんが作った作品をみんなで囲んでじっくりみます。

佐野さんが「何に見える?」と聞くと、「猫っぽい」「犬!」などと子ども達から声があがります。
「どういう風に見えてもいいんだよ。作品の見方は自由。思ったことを大切にしてね。」と佐野さん。
次はとなりに置かれた作品をみてみよう。
美術館に所蔵している笹戸千津子さん作《彫刻家》(1988年作、ブロンズ)。

いつもはさわれない美術館の作品ですが、今日は特別。
きれいに洗った手でみんなでやさしくさわります。
実物大の頭像は、師匠である佐藤忠良さんをモデルにしています。

佐野さんが「どんな感じがする?」と聞くと、
「ひんやりしてる」「つめたい」などと子ども達から感想がありました。
「これは金属で作られているんだよ。」
中央にあるマリノ・マリーニの《騎手》を示しながら、「この大きな作品もそうだよ」と説明してくれました。
今度は佐野さんの木彫をさわってみます。

「さわり心地はどうかな?」
「デコボコしてる!」「ザラザラ」などと子ども達から声があがりました。
今回のワークショップでは、佐野さんが木彫を作った後に出た木っ端を使います。

持ってきてくれた3作品。
それぞれ表情があり、とっても愛らしいです。

 

佐野さんが作品に使っている木は”クスノキ”という名前の木であること。
東北にはほとんどなく、あたたかい地域で育つこと。
「神様の木」とも言われていることなどをお話してくれました。

「みんなは『となりのトトロ』って見たことあるかな?トトロが住んでいた木がクスノキだよ」
クスノキを作品に使っていますが、作品を作る中でどうしても木片や木っ端がたくさん出ます。
今回はみんなにこの木っ端と木片を使って作品を作ってもらいます。
大切な木の一部を使って、みんなで作品に生まれ変わらせます。

 

早速制作へ。
まずは並べられた大きな木片の中から、1つ気に入ったものを選びます。
次に、1人1つずつ準備されたトレーにカラフルに着色された木っ端を入れてきます。

(木っ端は佐野さんが制作で出た木っ端の中から、大きめのものを選んで絵具で着色してきてくれました)
赤や青、ピンクや黄色、金色や銀色など、色々な色や形の中から好きなものを選んでいきます。

木片と木っ端を選んだら、円形シートの中でみんな自由に接着していきます。

 

同じ色の木っ端を集めて貼ったり、大きな目玉を付けたり、木っ端を手で割って形を変えたり…。
途中で木っ端の山から欲しい木っ端を探し、色や大きさにこだわりながらどんどんくっつけていきます。
みんなそれぞれ思い浮かんだ“カタチ”ができてきます。

 

黙々と制作に取り組んで…完成!
佐野さんに見てもらいます。
それぞれ、何を作ったのか?どんなところにこだわったのか?
など、佐野さんがインタビューしていきます。

 

最後に大きな佐野さんオリジナルの大きな虫眼鏡で鑑定!

作品をじっくり見ながら「本物」かどうか鑑定していきます。
完成した作品をお互いに見たり、お話を聞いたりしながら、1人1人に拍手をしました。

 

子ども達の想いやこだわりがつまった“カタチ”が完成しました!

講師を務めてくださった佐野美里さん、アシスタントをしてくださった佐野麻里菜さん、
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

現在開催中の特集展「佐藤玄々の彫刻」では、相馬市生まれの彫刻家佐藤玄々(朝山)の作品を展示しています。
希望された方にはワークショップ終了後、展示室で作品をみてもらいました。

ネコやトカゲ、ウサギやにわとり…など、玄々の作品には生き物をモチーフにしたものが多いです。
みなさんじっくりと1点1点ご覧になっていました。
こちらの展示は6月20日(日)までです。
ぜひご来館ください。

2021年度常設展Ⅰ期はじまりました

当館は、昨年9月から施設の改修工事により休館しておりましたが、工事完了にともない5月22日(土)より再オープンいたしました!

 

改修工事では、屋根の減災化工事や、企画展示室壁面と企画・常設展示室の床面の全面貼り替え、照明のLED器具への更新が主なものでした。

照明器具の更新により、展示室内の明るさが格段にアップし、作品の見栄えもよりはっきりと鮮明に感じられるようになりました。

 

再オープン後最初の常設展ということで、第一期では当館コレクションの選りすぐりの名品を展示します。

会期は5月22日(土)~9月5日(日)まで。料金280円でご覧頂けます。(高校生以下無料)

 

展示の様子をここで少しご紹介します。

 

【第一室め:日本画の名品】

最初の部屋では、近代日本美術を代表する巨匠や福島ゆかりの日本画家たちによる逸品を展示しています。

 

掛け軸では、平福百穂、小杉放庵、横山大観、酒井三良など。自然や農村風景を主題にしており、心が和む描写です。

屏風では、勝田蕉琴と福田豊四郎を展示しています。

 

向かい側の壁では、人物を描いた作品が並びます。

橋本関雪、速水御舟、安田靫彦ら院展で活躍した巨匠の優品や、会津出身の日本画家・猪巻清明の《はさみ将棋》を展示しています。

いずれも完璧な構図と高い完成度で見入ってしまいます。

 

展示室奥のほうでは、松本榮、大山忠作、室井東志生を出品しました。全員福島出身で、人物画を得意とした画家です。

 

そのほか福王寺法林、山本丘人の大作や小川芋銭が来県した際に描いた《細道絵日記》の絵巻も展示しています。

*《細道絵日記》は前期展示での出品。後期展示では、酒井三良の《水郷の一日》を出品します。

 

 

【第二室め:アメリカの美術、フランス美術の名品】

続く第二室は、当館の海外コレクションの選りすぐり作品がまとめて展示されています。

アメリカ美術では、ジョン・スローンやレジナルド・マーシュの大型作品を久々に出品しました。

また、当館のアメリカ美術コレクションを代表する画家ベン・シャーンとアンドリュー・ワイエスももちろん展示しています。

第五福竜丸事件を主題にしたシャーンの《ラッキードラゴン》、そしてワイエスの作品で特に人気の高い《松ぼっくり男爵》《そよ風》を一度に観覧でき、見応えがあります。

   

フランス美術のコーナーでは、バルビゾン派のコローや印象派の代表的作家モネとルノワールの作品を展示しています。モネは今回久しぶりの出品です。

また、ゴーゴリの小説にシャガールが挿絵を寄せた版画集《死せる魂》シリーズも一部展示しています。こちらは会期中展示替えを行います。

 

 

 

【第三室め:関根正二と近代の洋画】

三番目の部屋では、白河出身で大正期に活躍した夭折の天才画家・関根正二と、大正~昭和にかけて活動した洋画家たちの作品を展示しています。

関根の作品では、《姉弟》《神の祈り》などコレクションの代表作のほか、今回なんと、新発見のデッサンを特別出品させて頂いております(個人蔵)。

貴重なタイミングですので、ご来場の際はお見逃しなく。

 

関根以外の作家では、青木繁、岸田劉生、安井曾太郎、村山槐多、松本竣介ら近代洋画の代表作家や、吉井忠、鎌田正蔵など昭和に活躍した福島出身画家の作品を展示しています。

   

洋画では照明器具更新の効果が特に感じられるように思います。厚塗りされた絵具の色味が以前より鮮やかに見えるようになりました。

 

 

【第四室め:斎藤清の版画、銅版画の魅力(*前期)】

最後の部屋です。片方の壁面では、福島を代表する版画家・斎藤清の作品を10点展示しています。初期から後半にかけての画業を追える出品内容です。
構図と色彩の効果が際立つ、斎藤さん特有のモダンなセンスによって表された作品群は、いま見ても非常に新しく感じます。

 

向かい側の壁では、前期展示では「銅版画の魅力」と題して、長谷川潔、駒井哲郎、浜田知明、浜口陽三の作品を展示しています。
いずれも日本の近代版画を代表する作家です。メゾチントによる奥深い漆黒の表現やエッチングで表された繊細な作品世界をお楽しみください。

後期展示では、明治後期から展開された創作版画運動について、山本鼎をはじめとする作家たちの作品を取り上げます。

 

これからの梅雨の時期と夏の暑い季節、休日の予定も天候に左右されることが多くなりそうですが、美術館内は年間通して快適な環境です。

リニューアルされた館内で皆様のご来場をお待ちしております。

 

【美術館再オープン】~図録フェア、ポストカードプレゼント企画開催中!~

当館は施設の改修工事が完了し、5月22日(土)よりリニューアルオープンいたしました!

みなさま大変お待たせしました。

 

再開館を記念した特別企画ということで、特集展示「佐藤玄々の彫刻/福島の作家・福島の風景」期間の6/20(日)までは、

ご来場のお客様全員にポストカード1枚を差し上げております。

 

また、館内ブックショップでは現在、図録2,000円以上お買い上げの方に、当館の絶版図録1冊プレゼント企画を実施中です。

プレゼントの図録内容はその場でのお楽しみ。(*在庫なくなり次第終了)

お帰りの際にこちらも是非のぞいてみてください。

福島県立美術館の「イラストマップ」ができました!

福島県立美術館のイラストマップができました!

当館は5月21日まで改修工事のため休館中です。
もっと美術館に親しんでほしい、楽しんでほしいという想いから、休館中に「美術館イラストマップ」を制作しました! 
イラストは、福島県伊達市霊山町生まれで、仙台市在住のイラストレーター佐藤ジュンコさんに描いていただきました!

実際にみなさまにご覧いただけるのは、5月22日の開館以降ですが、
とってもかわいいイラストマップの一部をご紹介します。 

 

美術館では季節によってたくさんのドングリが発見できます…!
かわいらしいドングリたち。

ジュンコさんも登場します!
どこを歩いているのでしょうか?マップから探してみてくださいね。

他にも、館内にある部屋の紹介や…

 

美術館に展示されている彫刻作品も紹介しています!
ご来館の際には、ぜひ手に取って館内と庭をめぐってみてください。

今回のマップづくりでは、実際にジュンコさんと美術館スタッフで館内や庭園を歩きながら打ち合わせをしました。
普段見慣れた美術館の景色も、ジュンコさんと一緒に改めてじっくりと見てみると色々な発見があり、私たちスタッフも楽しい時間となりました。
(庭で「コンコンコン!!」と一生懸命音を立てるキツツキに出会った時には驚きました)


とっても魅力的なイラストマップが完成しました!
何度も美術館に足を運んでいただいたイラストレーターの佐藤ジュンコさん、本当にありがとうございました!

このイラストマップは、福島県立美術館と福島県立美術館協力会で制作しました。
制作にあたり、エツコ&ジョー・プライス夫妻から受けた、福島県の子ども達に対する美術教育支援のためのご寄付を活用させていただきました。
ご夫妻に対し心から感謝申し上げます。

「まんまるもじゃもじゃポケットつきバッグをつくろう!」開催しました。

3月13日(土)創作プログラム「まんまるもじゃもじゃポケットつきバッグをつくろう!」を福島市子どもの夢を育む施設こむこむ「つくろうの部屋」で開催しました。

講師はFRIDAY SCREENの鈴木孝昭さん、坂内まゆ子さんです。

今日のワークショップでは、ダンボール織りでカラフルなポケットつきバッグをつくります。

紙や布など、いろんな素材でポケットを織りましょう!

 

  

経糸をダンボールに張ったら制作開始です!紙や布はこのように細長く切ります。

 

 

たくさんある材料から使いたいものを選びます。お店みたいで選ぶのも楽しいですね。

 

 

 

選んだ材料を経糸に通して織っていきます。

 

細い糸は何本も束ねるとボリュームが出せます。

 

 

数種類の毛糸を組み合わせるのもいいですね。

 

和紙の素材感もいいアクセントになります。

 

 

完成まであと少し!

 

 

経糸を切って結ぶと、もまんまるもじゃもじゃポケットの完成です!

 

 

バッグに貼り付けたら素敵な作品の完成です。

鈴木さん、坂内さん、参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

共催 福島県立美術館 公益財団法人福島市振興公社

「グリザイユ技法で花を描く」開催しました。

2月13日(土)福島市アクティブシニアセンター・アオウゼで「グリザイユ技法で花を描く」を開催しました。

本来時間のかかる技法ですが、アクリル絵の具を併用して3時間半で完結させます!

講師は当館学芸員の大北です。

 

描く花はピンクのガーベラです。

 

あらかじめグレーのジェッソを引いたキャンバスに花の輪郭を鉛筆で描きます。

 

鉛筆の作業が終了したら、白のアクリル絵の具で描きます。

水の量を調整することで明暗をつけていきます。

 

リラックスして描くのではなく集中を続ける修行のようになってしまいました。

時間設定に無理があったと反省しています…。

 

乾燥させたら油絵の具で彩色します。

色を薄く何度も重ねることで空間感が出るのですが、今日は時間が限られているので一層だけにします。

こんな感じです。

 

設定に無理があったのですが、短時間でここまで仕上げる皆さんのスキルや集中力に脱帽しました。

参加していただきありがとうございました。

 

アクリル絵の具と油絵の具を併用することで時間短縮だけではなく、それぞれの特性を生かせばおもしろい表現が可能になります。

いろいろ試していただければ嬉しいです。

学校連携共同ワークショップ参加校作品展を開催しました

福島県ゆかりの作家(アーティストNaomi Horiike、アートユニットFRIDAY SCREEN)を講師に招き、各学校等で子ども達が制作した作品の全てを前期、後期に分けて展示しました。

会場は当館が改修工事のため福島市子どもの夢を育む施設こむこむの企画展示室です。

 

 

 

前期「FRIDAY SCREENワークショップ」では、子ども達の生活する地域の魅力や児童生徒の実態などを作家が担当者から聞き取り、全ての開催地で違う内容のワークショップを行いました。

どのワークショップも段階を踏むスタイルのため、子ども達は考えること、ひらめくことを楽しみながら魅力的な作品を仕上げました。自らが難しさを楽しむ時間がそこにはあり、教育現場に必要とされる自主性、創造力の伸長が期待できるワークショップになりました。

 

福島県立小野高等学校(美術部)

 

 

福島市教育委員会教育研修課(ふれあい教室)

 

 

二本松市立渋川小学校(5年生)

 

 

会津美里町公民館

 

 

田村市立大越小学校(6年生)

 

 

郡山市立日和田中学校(美術部)

 

作家のホームページでも各ワークショップについて紹介しています。

 

 

 

後期「Naomi Horiikeワークショップ」では、多くの子ども達が「仲良く楽しめた」「笑顔になれた」と振り返っています。

印象的だった感想の中に「アートとはたった一つのくくりではなく、生活の中に無限大に広がっていると思います」「私たちの人生もアートなんだと感じました」という言葉がありました。これらは、自分の中で積み上げてきた概念に疑問を抱いたから生じるもので、Naomiさんと時間を共有した子ども達の感性が、より一層磨かれることを予感させてくれます。

 

郡山市立緑ヶ丘中学校(美術部)

 

 

郡山市立御舘中学校(2年生)

 

 

会津坂下町立坂下中学校(美術部)

 

 

福島県立相馬高等学校・相馬東高等学校・原町高等学校(美術部)

 

 

会津若松市立第一中学校(美術部)

 

 

会津若松市立第二中学校(美術部)

 

作家のホームページでは各ワークショップの動画を紹介しています。

 

 

福島の子ども達のために貴重な時間を提供してくださった3名の作家と、当事業に協力してくださった多くの方々に感謝いたします。