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「ブルターニュの光と風」展イベントを開催しました

7月1日から開催中の「ブルターニュの光と風」展。

フランス北西部のブルターニュに所在するカンペール美術館のコレクションを中心に、現地を描いた19世紀以降の絵画作品をご紹介しております。

モネやゴーギャンなど数々の画家達を惹きつけたブルターニュの魅力を堪能しつつ、西洋近代における絵画様式の変遷も同時に分かるのが本展のポイントです。

同じ海景色を描いても作家によってどうして描き方がこれほど違うのか、そもそも画家達は何故ブルターニュに足を運んだのか、超大型の作品から何故サイズが徐々に小さくなっていったのかなど、本展をとおして様々な謎を発見することができます。

開幕してからイベントとして開催した講演会やギャラリートークでは、これらの謎について解説を行ってきました。

そのイベント時の様子を以下にまとめて振り返ります。

 

◆7月2日(日) 「ブルターニュの光と風」展記念講演会 14:00~15:30
講師:千足伸行氏(本展監修者、成城大学名誉教授、広島県立美術館館長)
会場:美術館講堂

    

開幕2日目に、本展の監修を務めて頂いた広島県立美術館長の千足伸行先生にご講演いただきました。
講堂が満員になるほどの盛況ぶりでした。
ブルターニュはキリスト教信仰が特に篤い地域ですが、信仰心の深さが分かるような宗教主題の作品や、ブルターニュの荒れた海を描いた海景画について多く触れていただきました。
人々の信仰心を描いた作品は、アカデミックな画風のものだけではなく、ゴーギャンもブルターニュの伝統衣装のコワフを身につけた女性がお祈りする傑作を多く残しています。
本展には出品されなかった作品群もいつかは見てみたいものです。
ブルターニュに実際に足を運んだことがある先生ならではの現地の写真資料やご感想など、貴重なお話しをたっぷりお伺いできました。

千足先生とご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

 

 

◆7月22日(土)、29日(土) 担当学芸員によるギャラリートーク 14:00~15:00
会場:美術館 企画展示室

  

各日なんと約100人ぐらいのお客様に参加頂きました。
ここまで集まって頂けるなんてびっくり!本当にありがとうございました。
やはり実物を前にして、作品のサイズ感や質感、迫力を肌で感じるのが一番です。
ギャラリートークでは、制作された当時の社会背景や作家に関すること、描かれた主題についてなどなど解説しました。
情報が少しでもあると作品の理解度が深まり、より充実した鑑賞にもなります。

 

実は、イベントのご好評につき、8月もギャラリートークを追加で行うこととなりました!

8月13日(日)、20日(日)の両日14:00~15:00に行います。

申込みは不要です。ご希望の方は観覧券をご購入の上、企画展示室入口にお集まりください。
これからご来館予定の方は、予定を立てられる際の参考としていただければと思います。

 

本展は一部の作品を除いて写真撮影可能、選りすぐりのグッズを揃えた特設ショップも展開しているので、来場されたらぜひ展覧会の思い出をお持ち帰りくださいませ。

  

みなさまのご来館をお待ちしております!

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第5回報告

写真学校の最終回が、12月26日、雪の中、開催されました。

この日は、1月5日から始まる「成果展」の展示作業がメインでしたが、前回、受講生のみなさんからご要望がでて、急遽、瀬戸さんによるギャラリートークが行われることになりました。

通常の13:30開始の1時間前、12:30に企画展示室入口に集合。

美術館でも慌てて告知をしたので、写真学校の受講生以外の方も来られ、約50名の方とともに、会場をめぐりながら瀬戸さんのお話しを聞きました。

まずは、ギャラリートークの様子を、例によって瀬戸さんの言葉を拾いながらご紹介します。

 

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〈Living Room, Tokyo〉

当初から等身大の大きさで展示することを考え、大型カメラで撮っていた。今回の展覧会でそれがようやく叶った。

ここに写し出された外国人たちの見えない背景を、写真だからこそ写せるんじゃないかと思った。見えないものを撮りたい。

記憶が埋め込まれているのが写真の特徴。絵と違って具体的に見える物しか撮れない。でも写っているものを見せたいわけじゃない。それを見た人の眼を見て欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真ってなんだろう。

まぼろし。写真はフィクション。でもリアルでないとフィクションにならない。

まぼろしのように見せるためにリアルに撮った。

その人がどんな本を読んでいるのか、本棚の本のタイトルまで全部読めるように撮った。

僕らの人生もまぼろしだという感覚。ひとりひとりの記憶の地図を辿ってみたら幻だった、本当に人生を歩いてきたのか自信が持てない、そんな感覚がある。

 

〈Picnic〉

最初35mmカメラで撮ろうと思ってお願いしたけれど断られた。ところが、三脚のついた大型カメラを持って、正面から正々堂々と近づくとみんな快く引き受けてくれる。写真の半分以上は交渉力。

聞いてみたら、付き合って平均3か月のカップル。見方によっては儚い風景。

 

〈Binran〉

檳榔(びんろう)は、南太平洋から中東まである、たばこと同じような嗜好品。しかしこうして販売しているのは台湾だけ。夜道を歩いていると、ネオンに輝くビンラン・スタンドはきれいだった。

デジカメ、5000万画素の中判カメラで撮っている。

カメラは、自分が見ていない、感じていたいものまで写し撮ってしまうもの。

 

〈Silent Mode 2020〉

モデルはどこも見ていない。視点がない。カメラとつながっていない。僕とこの人の間には断絶がある。

 

シャッタースピードは5秒。5秒、じっとしてもらう。その間に自分らしさというものが消えていくはずだ、という考え。そのための時間が必要。

その人らしさ、表情はなくなって欲しい。もしかしたら、そこに人間の哀しみ、人生観とかが浮き出て来るんじゃないか。そう写ればいいなぁと期待して撮っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈Fukushima〉

長年東京に住んでいるけれど、震災後、福島いいなぁと、いつの間にかそう思えるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水の波紋の写真。波紋が写っているだけ。でもここから何かを感じて欲しい。

原発事故がなかったら、こういう気持ちにならなかったかもしれない。こういうものの見方をしなかったかもしれない。

 

 セシウムは見えない。どうやって撮ったいいかわからないけれど、写るはずだという思いがあった。


見えないものを見せたい。その決意をこれらの写真(写真集『Cesium-137Cs-』)で表明したかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃畑の写真。きれいな写真だけど、大げさに言うと、この文明が破綻しつつあるんじゃないかということを写したいと思った。

 

〈Bangkok, Hanoi〉

父はラオスで終戦を迎えた。メコン川に引き揚げ船が来ると上官に言われたが、負けた日本に帰れないだろうと考え、現地に残る。しかし離脱したということは脱走したということ。名乗り出ることもできず、タイのベトナム人社会に受け入れてもらい、やがて写真館を経営し、家族を持って暮らした。

 

国王が父の住む町に来た時に、町の他の写真館がみな断った随行カメラマンの仕事を父は引き受けた。その国王の写真で一財産を築くことができた。もしこのお金がなかったら、福島に戻ってこなかったかもしれない。

 

父から、どんな仕事も断らないことを教わった。そこから重要なつながりが広がっていくかもしれない。そうやって仕事をしてきた。

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さて、1時間ほどのギャラリートークが終了し、いよいよ成果展の展示作業です。

 

正面の壁に展覧会の看板と瀬戸さんのステートメントを展示。

 

両脇に受講生のみなさんの写真を貼ります。複数展示写真がある人は、写真を左右にわけ、なるべくかたまらないように、ばらばらに、まずはマスキングテープで思い思いに壁に留めていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上下も左右も気にすることなく、まずは貼っていく。その後、全体のバランスを見ながら、少しずつ動かして調整していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

位置が決まったら、プッシュピンで壁に貼っていきます。

キャプションは付けません。そのかわりそれぞれの番号を写真の下に貼り、誰の写真かわかるようにしました。

 テーマもなく、誰の写真かもすぐにはわかりません。

これまでの講座で瀬戸さんのお話しを聞きながら、写真から何かにじみ出て来るもの、そういうものを目指して写真を撮り、選び、あらためて写真に向き合ってきました。写真に写し出されたそれぞれの記憶の片鱗が集まることで、この展覧会全体から、見る方々に伝わるものが何かあるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さんで記念写真を撮り、瀬戸さんから卒業証書をいただき、この写真学校は終了しました。

瀬戸正人という写真家を知り、瀬戸さんとともに写真について考え、もっと写真が好きになってもらえたのであれば大変嬉しいです。

 

是非たくさんの方に展示を見ていただき、その喜びを共有していただければと思います。

 

 

 

 

瀬戸語録:「瀬戸正人写真学校 in 福島」第1回報告

瀬戸正人さんは1953年、日本人の父親とベトナム人の母親のもと、タイのウドーンタニ市で生まれました。61年、父の故郷福島県の梁川町に家族で移住し、高校生まで福島で過ごします。上京後写真を学び、今では日本を代表する写真家の一人として国内外で活躍されています。

12月4日から当館で、初期作品から最新作までご紹介する「瀬戸正人 記憶の地図」展が始まります。「瀬戸正人写真学校 in 福島」はその関連事業として、8月22日、40名の参加者を迎えて開校しました。講座は6回連続。最後の作品展示を目指し、それぞれが写真との対話を重ねていきます。

写真学校1日目の様子をご紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講座では、瀬戸さんが一人ずつ写真を見ながら、いいものをセレクトファイルにピックアップしていきます。そのために、事前に参加者から各々300枚程度の画像をお送りいただいていました。

コロナウィルス感染拡大のため、残念ながら初回から、瀬戸さんは東京からのZoom参加。他にも2名がZoom参加。あとは美術館の講堂に集合し、それぞれの画像をZoomやプロジェクター投影で共有しながら講座を進めていきました。

 

まずは瀬戸さんと写真との出会いから話が始まりました。

20歳の頃、福島から上京し、写真家・森山大道さんの写真を見て、最初これはどういうことなのかよくわからなかったといいます。というのは、自分が知っていたのは写真館をやっていた父親が撮るポートレートや子供の写真、結婚式の写真。街のゴミまで写す森山さんのストリート写真は、それらとは全く異質の写真だったからです。

瀬戸さんは森山さんに「写真って何ですか?」と聞いたそうです。しかしそこに答えはありません。すべてはそこから始まるのです。「何のために写真を撮るのか」「写真って何なのか」という問いは、「どうやって生きていったらいいのか」と問うのと同じようなもの。誰も答えられません。だから言葉を投げかけ、写真と向き合い、自分の撮りたいものを見出して欲しいのです。見出した時に写真はものすごく面白くなります。この学校でそういうことを体験して欲しい。

この講座への思いをお話しいただきました。

 

さて、それぞれの写真を見ていきます。

その中で気になる言葉を拾い上げてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・写真で撮るべきものは何なのか。撮らなくてはならないものがある。それが何かを見つけること、気づくこと。

 

・写真の定番、絵はがきのような写真をやっても面白くない。

 「風景」にしてはいけない。「私」がなくなってしまう。私が見た風景、私が見た証が必要なのです。

 

・例えば樹氷。言ってみればお墓なんだよね。・・・そう見えれば、撮る人がそう感じたら、写真は違うものになる。「風景」にしちゃうと、そうならなくなる。

 

・戦後日本の風景写真は、写真の中に絵画的な構図、立体感、遠近感を持ち込んで、型を作ってしまった。型は教えられるが、しかし写真はそもそも教えられないもの。写真は絵画とは全く違う。

 

・写真は目に見えないものを写せちゃったりする。

 

・「風景」にしてしまうと、それがダイナミックな風景であればあるほど、どんどん向こう側の世界になってしまう。撮った自分の眼が消えてしまう。自分に引き付けられない。まずは見た自分の眼がある。

 

・まず面白いものを発見したら撮る。そしてもう少し広い眼で見て、空気感、光なども考えて撮る。

 

・失敗したかもしれない。しかしカメラが写してしまったものがある。

 

・中心はどこにあってもよい。なくてもよい。これを見て撮影した人の眼差しが感じられることが大事。

 

・この花を通して私のことを見せたい。花ではなく、花を見た私、その眼差しを共有したい。そしてその眼差しに私たちは感動する。

 

・写真は双方向。撮る人の気持ちと、見た人がそれをどう見るか。自分は撮っているからわかっているけれど、見た人はなんだかよくわからないことがある。

 

・写真の神様がいるんだよね。

 

・写真を見る時、重要なものが写っているかいないか。あるかないか。それがすべて。

 これがわかれば、写真に必要なもの、必要でないもの、何が重要なのかがわかる。

 自分と自分の写真との対話、社会、世の中との対話をする。そうすれば、撮るべきものは何か、撮らなくてもいいものは何かがわかる。

 

・見る眼を鍛える。

 

今回は3時間たっぷりやって半分の方の写真しか見ることができませんでした。スタッフ反省です。しかし熱の入った講座でした。次回は全員が参加できるようにスムーズな進行をしてきたいと思います。

最後の展示を目指して楽しくやっていきましょう。

毎回ブログに瀬戸語録をアップしますのでご期待下さい。

見学希望も大歓迎です。お申し出ください。

「勝手に!大津絵ふきだしグランプリ」結果発表

「大津絵展」にあわせ、エントランスホールで開催していた「勝手に!大津絵ふきだしグランプリ」。

28日(日)で展覧会が終了しました!

たくさんのナイス!を獲得した「グランプリ」は…

 

「どこまでが額ですか?」

 18ナイス!を獲得しました!

 

他の作品も、「〇〇賞」で紹介していきます。

「館長賞」

当館の館長が選んだ一枚は…!

 

「福島の酒はんめーべ? もっと飲まんしょ!」

 

「担当学芸員賞」

今回の「大津絵展」を担当した学芸員が選んだのは…!

 

「きみといっしょにいたい」

 

「監視員賞」

日々、作品の安全を見守ってくれている監視員さん達の票を最も集めたのは…!

グランプリも獲得した 「どこまでが額ですか?」でした。

惜しくも一票差で2位だったのは、

 

「これからデートなんでよろしくお願いします」

みなさま、おめでとうございます!

今回ご紹介できなかったふきだしの中にも、楽しいものがたくさんありました!

ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!

ジャポニスム展 第六章

企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。

 

今回は最終回、第6章「アール・デコとジャポニスム」です。

 

アール・ヌーヴォーに続く様式のアール・デコは、20世紀前半の両大戦間期に流行をみせた装飾様式です。
植物モチーフは抽象的な形となり、シンプルかつモダンなスタイルが人気を得ました。
また、工業の進展に伴い、数多くの新しい素材の使用が可能となったのも特徴的な点です。

 

本章で展示されるアール・デコ様式の作品は、日本美術の影響がアール・ヌーヴォーを超えて存続したことを示しています。

それでは、作品をご紹介していきます。

 

アール・デコを代表する作家、ルネ・ラリックの《ナーイアス図飾皿》(1920年頃)。
ギリシャ神話に登場する川や泉の妖精ナーイアスが型押し技法で表されています。
無数の水泡が妖精の体の動きに合わせるように揺らめき、躍動感を感じさせます。
まるで今まさに妖精が水中から浮かび上がってきたかのような錯覚を覚えます。

 

 

スウェーデンのエドワルド・ハルド、オレフォスガラス工場による《網にかかった魚文鉢》(1924年)。
器の周りに、漁網と網にかかった魚がぐるりと一周描かれている面白いデザインです。
水中で魚たちが、徐々に狭まる網の中で戸惑う様子が伝わってきます。

 

 

フランスのガブリエル・アルジー=ルソー《蝶文鉢》(1915年頃)。
茶色がかった色合いの蝶が羽を大きく広げて、器の周りを取り囲むように配されています。
羽の斑紋や立体的な造形など、なかなかリアルな蝶の表現です。器の淡い紫色と羽の緑色の色合いによって、幻想的な雰囲気が醸し出されています。

 

 

ドーム兄弟《ガラス水差》(1910年頃)。
ドーム兄弟は、アール・ヌーヴォー期から活躍していましたが、時代の流れに合わせてアール・デコ様式を取り入れた作品も手掛けるようになり、モダンなセンスによる造形で名声を保持しました。
本作は、表面に艶消しの加工を施して劣化しているような風味をわざと出しています。
フォルムのユニークさと相まって、特殊な色合いと質感により、存在感を感じさせます。

 

 

こちらもドーム兄弟、《多層間金箔封入小鉢》(1925-1930年)。
典型的なお茶碗の形です。色ガラスペーストが全体に滲みとして広がり、不規則な形状の金箔がガラス層の間に挟み込まれることによって、高貴な輝きを放っています。
驚くほど美しい本作は、日本の造形美と漆工芸の世界を集約した名品と言えるでしょう。

 

 

ジャポニスムの影響は、様々な形で表現を変えながら、アール・ヌーヴォー、そしてアール・デコまで続いていたことが分かります。

 

 

 

「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展の紹介は以上となります。

約100年以上前に起こった東西文化交流の熱を、その結果生み出された美しい名作群の魅力を少しでも感じて頂けたら幸いです。

本展は残念ながら中止となってしまいましたが、新型コロナウイルスが収束し、美術館で皆さまとまたお会いできる日を楽しみにしております。

ジャポニスム展 第五章

企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。

 

今回は第5章「もうひとつのアール・ヌーヴォー―ユーゲントシュティール」です。

 

19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米で同時多発的に流行したアール・ヌーヴォー様式ですが、その表現は主にふたつの潮流から成っていました。

ひとつは、植物など有機的なモチーフを曲線美豊かに、アシンメトリーな配置で表すフロレアル・アール・ヌーヴォーというもので、フランスを中心に流行しました。

もう一方は、主にドイツ語圏でもてはやされた幾何学的アール・ヌーヴォー「ユーゲントシュティール」です。
直角や幾何学的なディティールが特徴で、左右対称に表すシンメトリー性や様式化された植物モチーフが好まれました。

 

本章のユーゲントシュティールの作品を見ると、3章で紹介した作品群とは明らかにデザインの特徴が異なることが分かります。

 

それでは、これから作品をご紹介していきます。

ベルリン王立磁器製作所による、(右):《花束文鉢》(1900-1905年)と、(左):《四つ葉クローバー文花器》(1900-1905年)。
1751年に設立されたベルリン王立磁器製作所は、ユーゲントシュティールの時代に最盛期を迎えました。
豊かなフォルムと装飾モチーフで有名となり、幾多の万博で成功を収めました。
両作品とも植物が様式化されており、洗練された優雅さを感じさせます。

 

 

こちらもベルリン王立磁器製作所、(右):《エナメル彩花器》(1910年頃)と、(左):《植物文花器》(1910年頃)。
鮮やかなエナメル彩と小さな金の連珠で装飾されたデザインが規則正しいリズムで配されています。
同製作所が誇る装飾図案の豊富さ、技術の高さが分かります。

 

 

ドイツのビレロイ&ボッホ製陶所による《樹文花器(一対)》(1903年)。
幾何学的に様式化された濃紺の樹木が立ち上がっています。スタイリッシュな造形で、ユーゲントシュティールの特徴を明確に示しています。

 

 

最後にご紹介するのは、フランスのウッツシュナイダー社の《洋蘭文ティーセット》(1910年頃)。
クリーム色の器は、いずれも両側面に豪華な洋蘭のモチーフが配され、金彩や緑色の水滴模様で装飾されています。
このようなティーセットでお茶会をしたらとても優雅なひと時となるでしょうね。

 

 

同じアール・ヌーヴォー様式といえども、ユーゲントシュティールでは幾何学的デザインやシンメトリー性が明確に示されているのが分かります。
同時代の流行でも国や文化圏によって、デザインの特徴が大きく異なる点が面白いと思います。

    

 

次回は最終章の第6章をご紹介します。

ジャポニスム展 第四章

企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を引き続き、ご紹介していきます。

 

今回は第4章「建築の中の装飾陶板―1900年パリ万博のビゴ・パビリオン」です。

 

古くから陶器は、壁や屋根の建築資材やカバータイルとして使われてきましたが、19世紀末になると、工場生産の導入によって大きなサイズの陶板の製造が可能となりました。様々な陶器が作られ、鉄筋コンクリート構造の建造物を飾ったのです。
建築を装飾するそれらの陶器にも、表現のコンセプトや釉薬の使い方において、日本美術の影響は見られます。

 

ここで紹介する作品群は、1900年パリ万博でお披露目された建築用陶器群、いわゆるビゴ・パビリオンの建築装飾の一部です。
建築家ジュール・ラヴィロットが設計・建設し、陶器群はビゴ社が製造しました。

 

このパビリオンは博覧会でグランプリを受賞した後、ブダペスト国立工芸美術館館長によって買い上げられ、ブダペストに移送されました。
しかし、地下室に地下室に仕舞い込まれたそれらの建築装飾は、世界大戦後の動乱と共に長い間忘れ去られてしまいました。
ところが、美術館改修工事の折に発見され、1996年に同館で行なわれた展覧会でようやく一部が展示されるに至りました。

国外においてこれほどまとまった形で展示するのは、本展が初めてだそうです!大変貴重だということが分かりますね。

 

それでは、作品をご紹介していきます。

デザイン:ポール・ジューヴ、ビゴ社製《牡牛図フリーズ装飾陶板》(1898-1900年)。
1900年パリ万博のメインエントランスは、巨大な動物のフリーズで飾られていたそうですが、
本作はメインエントランスの作品をビゴ・パビリオン用に小型化したものの一部です。
万博の雰囲気を今に伝える作品です。

 

 

デザイン:G.ニコレ、ビゴ社製《水中図フリーズタイル》(1898-1900年)。
こちらも生き物を描いた作品。大小さまざまな魚やヒラメが泳いでいます。
水草も描かれていて、よく見ると細かく表現されていることが分かります。

 

 

デザイン:アルフレッド=ジャン・アルー、ビゴ社製《蛙図フリーズタイル》(1898-1900年)。
蛙の脚がタイルをまたいでいますが、ここで分割するのは理由があります。
並べる際に、タイルごとに焼き上がりの色が異なっていても自然に見せられるためだそうです。工夫されているのが分かります。

 

 

デザイン:ピエール・ロシュ、ビゴ社製《自転車に乗る人物図フリーズタイル》(1898-1900年)。
自転車を全速力で漕ぐ人物の列が描かれています。丸い輪二つで自転車を表し、上半身から布がたなびくことで疾走感が表現されています。
19世紀に発展した産物のひとつが自転車。当時の自転車ブームを生き生きと伝えています。

 

 

         

(左):ビゴ社製《草花図壁面カバー装飾陶板》(1898-1900年)。
大型の豪華なタイルは、建造物の内装用に、玄関ホールの内壁カバータイルとして制作されました。
本作は、濃淡のある青い地に植物が2枚にわたって大きく表されています。玄関にこのような装飾があると、とても優雅な気持ちになるでしょうね。


(右):デザイン:ヤーノシュ・バッハ、ジョルナイ陶磁器製造所製《蔓花図フリーズタイル-建築用陶器》(1911年)。
ハンガリーのジョルナイ陶磁器製造所は、芸術的な装飾品ばかりでなく、数百種に上る建築用装飾陶器も製造しました。
フリーズ用タイルの一部である本作は、かつてブダペストのある高級賃貸住宅の窓枠を飾っていたそうです!

 

 

このように華やかで細かな装飾を施した陶器で建築物を彩るのは西洋的な文化ですが、
特に陶磁器の生産が盛んなハンガリーでは、自国を代表する文化の一つであるとも言えるでしょう。

実際、ブダペスト国立工芸美術館の屋根はジョルナイ陶磁器製造所によるタイルが使用されていて、素晴らしい美しさを誇っています。

 

次回は第5章をご紹介します。

ジャポニスム展 第三章

企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を前回に引き続き、ご紹介していきます。

 

今回は第3章「アール・ヌーヴォーの精華―ジャポニスムを源流として」。本展のメインの章になります!

 

アール・ヌーヴォー様式の源泉のひとつとなり、芸術のあらゆる領域へと広がりを見せたジャポニスム。
本章では、作品を特徴に基づいて4つのセクションに分類し、体系的にご紹介しています。

 

 

 

第一セクション:花のモチーフ

西洋美術においても、植物など自然の描写は昔から行われてきましたが、それらはほとんど物語画や人物画の背景であったり、教訓的な意味を担った静物画であったりしました。

一方、日本美術では、植物の造形美そのものが作品の主題として成り立ち、茎や蔓による曲線美や花の可憐さなど、表現は多様に富んでいました。
また、構図もアシンメトリー(非対称)で、細部の表現は精緻で洗練されたものでした。

このような日本美術の特徴が活かされたアール・ヌーヴォー様式の作品が並びます。

  

      エミール・ガレ《洋蘭文花器》1900年頃            エミール・ガレ《クレマチス文銀製台付花器》1900年頃 

 

 

   

     ジョルナイ磁器製造所《葡萄新芽文花器》1898-99年             ドーム兄弟《水辺風景図花器》1910年頃

 

 

第二セクション:表面の輝き

日本の品々のうちでも、蒔絵の漆芸品には大きな意義がありました。
表面に蒔かれた金や銀の粉の煌めきは、古くから黄金を特別視していた西洋の人々にとって特に魅力的に映りました。

ジャポニスムはアメリカでも流行しましたが、ルイス・カンフォート・ティファニーも日本工芸の金属的な輝きに魅せられたひとりです。
ティファニーが開発した虹色の光を放つファブリルガラスは、類いまれな華やかさと洗練さを備えたものですが、日本の金工芸の影響をも想起させます。

 

 

 

第三セクション:伝統的な装飾モチーフ

日本のデザイン表現の特徴のひとつに、植物や雲や波などの自然の装飾文様・モチーフを繰り返し反復させるという手法があります。

ヨーロッパの工芸界もこの日本美術の装飾表現を採用しましたが、反復するモチーフを正確に絵付けするのは非常に繊細な作業でした。

ジョルナイ陶磁器製造所は、玉虫色に輝くエオシン彩を用いたり多彩な色合いでもって描き出し、驚くほど美しく細密な装飾表現を実現させています。

   

成型 デザイン:シャーンドル・アパーティ・アブト            ジョルナイ陶磁器製造所《黄色のヤグルマギク文花器》1900年頃
ジョルナイ陶磁器製造所《花瓶》1903年

                                                  

                                                                            

          左:《花煙帯文花器》1898年、右:《天空風景文花器》1898年 ともにジョルナイ陶磁器製造所作

 

 

第四セクション:鳥と動物

動物のモチーフは、西洋美術においても古くから様々な形で描かれてきましたが、脇役的な立場で描写される場合が多く、主役として扱われることはあまりありませんでした。

一方の日本美術では、動物の描写が際立っており、作品の要として描き出されることが多くありました。
動物の特性を観察し、生き生きと面白く表現した浮世絵や根付けは、ヨーロッパ美術の動物表現にも影響を与えました。

   

 ルイス・カンフォート・ティファニー《孔雀文花器》1898年以前          エミール・ガレ《昆虫文花器》1889年以前

 

 

    

  シャーンドル・アパーティ・アブト、ジョルナイ陶磁器製造所     左:ロイヤルドルトン社《ヨークシャー豚像》1905年頃
 《狩りをする雌ライオン像》1908年                 右:チャールズ・ジョン・ノーク、ロイヤルドルトン社
                                  《スコッチテリア像》1904-10年

 

 

 

芸術家が日本美術の表現を吸収して理解し、自分なりの表現へと昇華させていった跡が作品から感じられますね。

現在ほど情報量の波に溢れていなかった時代に生じた東西交流が、このような形で美しい作品群に結晶したことを考えると感慨深いです。

 

 

 

次回は4章をご紹介します。

ジャポニスム展 第二章

企画展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」展より、全6章からなる展示の様子を前回に引き続き、ご紹介していきます。

 

今回は第2章「日本工芸を源泉として―触感的なかたちと表面」です。

 

東洋の工芸では、作品の形状に自然の造形をそのまま「かたち」として取り入れることが多々あります。たとえば、瓢形の器や果実の形をした器などです。
このような発想は、古代ギリシャやローマ時代の造形を伝統的なフォルムとして参照してきたヨーロッパの人々にとって新鮮なものでありました。 

また、西洋文化では釉薬や顔料は、表面を均一に覆い、計算通りの完璧な仕上がりとなった場合に高く評価されました。
その一方、東洋では、作品の焼成中に起こる事態や偶発性も制作過程のひとつとしてとらえ、自由な創作の余地をはらんでいました。 

このような東洋の陶磁器の影響を受けて、多くのヨーロッパの作家が、東洋的なフォルムを採用したり、表面に特殊な色合いや質感を出そうと釉薬の様々な実験を行なったりし、成果を収めました。

 

 

 

それでは、2章の作品をいくつかご紹介していきます。

 

こちらは、スウェーデンのロールストランド磁器製造所作の《結晶釉花器》(1903年頃)です。
シンプルな色と形が、結晶釉の美しさを引き立てています。雪の結晶のようにも、咲き誇る桜の花びらのようにも見えてくるほど美しいです。
気品に満ちていて、日本人の感性に強く響くものがあります。

 

 

 

続くこちらも、ハンガリーのジョルナイ陶磁器製造所作の《結晶釉花器》(1902年)。
瑠璃色が美しく輝く作品です。縦方向に濃く流れる結晶の蔓とその周りを染める淡い色彩は、まるで青い藤の花を彷彿とさせます。

 

 

 

ハンガリーのイエネー・ファルカシュハージ=フィッシェルとヘレンド製陶所が制作した《瓢形花器》(1901年)です。
瓢箪の形は、東洋の工芸に特徴的な形です。また、このくすんだ色合いと不規則に浮かぶ茶色の斑紋が日本らしさを一層感じさせます。
ヘレンド製陶所はハンガリーの陶磁器ブランドとして、テーブルウェアなどで有名ですが、かつてはこのようなジャポニスムの作品も手掛けていたんですね。 

 

 

   

こちらは、スウェーデンのアウグスト・ヘルマン・ノイド作の《青春と老いを象徴する飾壺》(1896年)です。
不思議な球根型をした作品には、片面に、髪に花を挿した若い女性の肖像が、もう片面にはしわだらけの老婆の顔が配されており、「青春」と「老い」を象徴的に示しています。時の流れはまたたく間に移ろいゆき、生命は儚いというメッセージを伝えています。
釉薬の濃淡と浮彫で表情を細かく描き出す技術が素晴らしいです。 

 

 

 

最後にご紹介するのは、テプリツェ=ツルノヴァニ製陶所の《ラスター結晶釉花器》(1900年頃)です。
全体を紫や青、緑、黄色の金属光沢のある結晶ラスター彩が覆っています。
光の当たり具合によって色合いが変わりますが、日本工芸で使われる螺鈿(貝殻の内側の七色に光る層を装飾に用いる技法)と通じているようにも思われます。
魅惑的な色合い、結晶釉のきらめきと光沢感、それらを効果的に引き出す不思議な形状。いずれを見ても完成度の高い作品です。

 

 

1章で表された日本的なモチーフは影を潜めても、かたちと表面の質感から日本らしさが感じられます。
新しい技法による表現に果敢に挑戦した芸術家の努力を思い浮かべると素敵ですね。

 

   

   

 

次回は3章をご紹介します。

「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ展」第一章

当館は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月10日まで企画展・常設展含め全館臨時休館となりました。

企画展「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」についても残念ながら中止が決定となりました。再開を楽しみにされていた皆様には心よりお詫び申し上げます。何卒ご理解の程、お願い申し上げます。
観覧券の払い戻し対応については、本展公式HPよりご確認ください。
http://www.fct.co.jp/Japonisme_F/



中止を受けましたが、会場では美しい作品群がいまも展示されています。
ぜひ皆様にご覧になっていただきたいので、前回に引き続き、本展の紹介を行なっていきます。

 

本展は全6章で構成されています。

はじめの第1章は「自然への回帰―歴史主義からジャポニスムへ」

ヨーロッパの一般大衆が初めて日本文化に触れる機会を得たのは、1862年のロンドン万国博覧会と1867年のパリ万国博覧会でした。
海を渡りやってきた日本の珍しい品々は、古典的な芸術ルールに慣れていたヨーロッパの人々に衝撃を与え、多くの芸術家や工房が日本趣味に基づく作品の制作に着手しました。

ここでは、日本美術の影響がもっとも強く認められるジャポニスムの初期段階の作品を紹介しています。
日本的な装飾や直線的・平面的な表現、大胆な構図など、日本らしさが明確に表現されています。

 

しかし一方で、作品の仕上げ方は、設計通りの完璧な仕上がりが目指されており、日本美術の特徴のひとつである偶発性の美の追求は無視されています。
なめらかな表面と計算通りにデザインが精緻に反映されているのが優れた作品という、西洋の伝統的な意識は変わらずに示されていました。

 

それでは作品を何点かご紹介いたします。

  

こちらは、ハンガリーを代表する製陶所のジョルナイ陶磁器製造所が作成した《滝に植物蝶文スツール》(1896年)。
ユーリア・ジョルナイが日本の布地を見本にデザインしました。
蝶の後ろに縦に長く伸びているのが滝です。もともとの布地デザインでは滝は青色でしたが、黄金色に変わりました。(筍のようにも見えるような?)
背景の赤に色が映えて調和のとれた豪華で美しい装飾となっています。

 

 

  

続いては、マルク=ルイ・ソロン(伝)、ミントン社制作の《尾長猿文飾壺》(1877年頃)。
深い藍色の地をバックに、イチジクの木の枝を渡る尾長猿が精巧な絵付けで描かれています。また、幾何学文様が描かれた丸文が何か所かに配されています。
躍動感あふれる見事な造形と装飾のいずれにおいても日本美術の影響が表れている逸品です。

 

 

  

展示室でひときわ目を引くのが、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家エミール・ガレの《菊花文花器》(1896年頃)。
日本美術でよくみられる帯状の霞や靄の上に、色鮮やかな菊の花々が描かれています。
植物学者としての側面ももっていたガレは、自邸の庭で2,500種以上の植物を栽培し、その中には日本由来の品種も相当ありました。
日本のことを「キクの国」と呼び、日本美術に強い興味を抱いていたガレの趣味が顕著に示されています。

 

 

  

                                

こちらは、フランスの陶芸家ジョゼフ=テオドール・デックによる《花鳥文花器》(1880年頃)です。
みずみずしい自然の描写、今まさに飛んできたかのような生命力に満ちた鳥の表現が素晴らしいです。
日本の花鳥画を思わせる作品ですが、黄色と目の覚めるようなスカイブルーの色の組み合わせは日本では中々生まれなかったのではないでしょうか。

また、作品左右の側面には、口に輪を咥えた獅子がいます。東西の表現が混ざったような造形に感じられます。
見れば見る程おもしろい作品です。

 

 

    

最後にご紹介するのは、フランスのフランソワ・ロラン、ロラン&フィス・ファイアンス製陶所作《花枝にとまる鳥図花器》(1872年頃)です。
灰色の地にダイナミックな筆使いで花鳥図が描かれています。正面には、花のもと枝にとまる鳥が一匹、裏面には、植物のあいだを二匹のトンボが飛んでいます。
日本の陶磁器や水墨画を参照して描いたのでしょうか。手本を見つめながら絵付けに励む作者の姿が想起されます。

 

 

ほかにも1章ではジャポニスムの影響がよく分かる作品群が展示されています。

当時西洋で巻き起こった日本ブームの熱が伝わってくるようです。

  

 

 

 

次回は第2章をご紹介します!

ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ

3月24日より開幕した企画展「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」。

5月10日までの開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月19日から5月6日まで急遽臨時休館となりました。

観に行く予定だったけれども行けなかったという方もいらっしゃるかと思います。web上ではありますが本展についてこれから何回かにわたりご紹介していきたいと思います!

  

 

 

まずは、素晴らしい作品群をお貸出し頂いた「ブダペスト国立工芸美術館」についてご説明します。

同館の創設は1872年に遡ります。1896年に建築家エデン・レヒネルの設計によって建物が生まれ変わり、ハンガリアン・アールヌーヴォーを代表する記念碑的建築となりました。まさに建物自体が作品です。(ちなみに美術館の屋根には、ジョルナイ陶磁器製造所製のタイルが使われているんですよ!)

そして当時の館長イエネー・ラディシッチ氏の下で、若い世代の芸術家達を刺激するような名品・優品群が収集され、また同時に彼ら現代作家の作品も多く購入されました。その結果、国際的に名高い第一級のアール・ヌーヴォーコレクションが形成されるに至ったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場展示室にて ブダペスト国立工芸美術館の外観・内観写真紹介コーナー

 

 

本展のテーマは「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」。

同館から本展には、日本趣味、いわゆるジャポニスムの影響が感じられる作品群がセレクトされ出品されています。

19世紀半ばに開国した日本から多くの文物が西洋に渡り、欧米では日本ブームが巻き起こりました。新しい表現を開拓したいと模索していた芸術家達にとって、目新しい日本の文物や美術作品はまさに天からの啓示のようなものでした。

浮世絵が印象派やゴッホなどのポスト印象派に影響を与えたことは広く知られているかと思いますが、このように日本の品々が欧米に影響を与えた文化現象のことを「ジャポニスム」というんですね。

 

ジャポニスムが瞬く間にもてはやされた後、19世紀末に流行を見せるのが「アール・ヌーヴォー」様式です。

アール・ヌーヴォーは表現としては、有機的な植物モチーフや流線的な表現が特徴です。その根底には、自然そのものの造形美に目を向け、芸術品に取り入れる日本美術の考え方・姿勢が影響源のひとつとして表れています。

 

 

本展に出品されている作品も、日本美術の造形的特徴やモチーフを率直に反映させたものから、さらに一歩踏み込み、作者のオリジナル性溢れる表現へと昇華させたものまで様々な形で日本美術のエッセンスが表現されています。

ジャポニスムからアール・ヌーヴォー期の宝石のように美しい工芸品を通して、西洋から見た日本、また私たちが考える「日本らしさ」「西洋らしさ」に思いを馳せることができる展覧会です。

 

次回からは、展示風景をご紹介していきます!

「アートカード★チャレンジ」展終了しました

掲載が遅くなりましたが、3月8日(日)「コレクション再発見2020」で開催していた「アートカード★チャレンジ」展が終了しました。

今回展示を考えてくれたのは、福島市立野田中学校の3年生117名の生徒さん達でした。

 2月29日(土)に予定されていた代表生徒によるギャラリートークが中止となりました。

また、会期中に、3年生全員で展覧会を観覧する予定でしたが、臨時休校となりみんなで一緒にご覧いただくことができませんでした。 

少しではありますが会場写真を掲載し、来場者の方々からいただいたメッセージを紹介したいと思います。

展覧会会場前の看板                     「アートカード★チャレンジ」展入り口

 

今回の活動は、第3学年の生徒、4クラス117名の美術科の授業で実施されました。

はじめにアートカードを用いたゲームで当館の収蔵作品に親しみました。その後、クラスごとに展示のテーマを考え、下記の4つのテーマが決まりました。

    1組…「孤独」       2組…「Face」
    3組…「Let’s think !」    4組…「Sky Sea」
最後に、各クラス4,5名で6つのグループに分かれ、テーマに合うと思う作品を1点ずつ選び、作品に対して感じたことや考えたことなどをまとめました。

それぞれのクラスの展示をご紹介します。(順番は会場内の順路、太字は生徒からのコメントなど)

 

2組「Face」

人の顔はそれぞれ個性をもっていて、表情の表現の仕方も違ってくるから、いろいろな顔があるという気持ちからこのテーマにしました。

 

選ばれた作品は、右から

ベン・シャーン《ラッキードラゴン》、国吉 康雄《婦人と子供》、脇田 和《窓》、

斎藤 清《凝視(花)》、玉川 信一《樹のある風景》、ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子を被る女》

ルノワール《帽子を被る女》には、生徒さんからこのようなコメントがありました。

「この顔を選んだ理由は、人物の顔の印象は優しいイメージを持っていますが、

背景は彼女の心情を表したかのような、薄暗い感じの色使いから、悲しさを連想させると思ったからです。」

 

4組「Sky Sea」

同じ青でも、空と海で違っていて、その違いや空の広さ、海の深さ、

自然の壮大さを数々の絵画で表現しているところを伝えたいと思い、「Sky Sea」というテーマにしました。

選ばれた作品は、右から

鎌田 正蔵 《小家族(A)》、カミーユ・コロー《ヴィル・ダブレー―林を抜けてコロー家へ向かう池沿いの道》、百瀬 寿《NE.Blue,Blue,Blue and Blue》

クロード・モネ《ジヴェルニーの草原》、福王寺 法林《バドガオンの月》、伊砂 利彦《瀬》

カミーユ・コロー《ヴィル・ダブレー》には、生徒さんからこのようなコメントがありました。

「この絵は、地面にある土や、暗い色などと対比させることによって、空の青さをとても強調しています。

全体的に黒が多いので、夜に近づいていることがわかります。

木々はいろいろな色を使ってあり、本物のように今にも動きそうな感じがします。」

 

1組「孤独」

人間関係の残酷さ、一筋の光に求めるもの、旅立ちの寂しさに、何か訴えかけるものを感じました。
その中に「孤独」というものが共通していたので、「孤独」というテーマにしました。

選ばれた作品は、右から

マックス・エルンスト『博物誌』《光の輪》、斎藤 清《会津の冬(51)》、野田 哲也 《日記1976年8月19日》、

アンドリュー・ワイエス《ガニング・ロックス》、山中 現 《第三夜》、速水 御舟《晩冬の桜》

速水 御舟《晩冬の桜》について、生徒さんからこのようなコメントがありました。

「みなさんの桜に対するイメージは何ですか?きっと春の満開の桜の様子を頭に浮かべると思います。

しかし、この絵のタイトルを読んでみてください。《晩冬の桜》と書かれています。

なぜ作者は冬の桜を描いたのでしょうか?

その桜は、すっかり葉が落ちていて、見どころがありません。背景も何一つ描かれていません。

でも、描いた理由があるはずです。

私たちは、この桜の心情を考えて描いたのでは、と推測しました。

春とは違って、人が寄り付かないことへの寂しさ、「孤独」さがあふれていると思います。

1組のテーマは「孤独」。この絵のイメージも「孤独」だと思います。」

 

3組「Let's think !」

このテーマにした理由は、いろいろな捉え方の出来る作品をあえて選択し、その作品について深く考えてほしいと思ったからです。

「Let's think (考えてみよう)」ということで、作品に思いを馳せてみてください。

また、私たちのキャプションも参考に、自分の捉え方を創作してみてください。

選ばれた作品は、右から

若松 光一郎《COMPOSITION・30.8.82》、橋本 章《武装する都市》、小林 浩《星辰軌道》、

マルク・シャガール《少年時代の思い出》、オノサト・トシノブ 《シルクNo.10》、吉井 忠《赤い風景》

若松 光一郎《COMPOSITION・30.8.82》について、生徒さんからはこのようなコメントがありました。

「音楽や楽器がたくさんあることで、この絵から何か音が聞こえそうだと感じました。

どんな音楽が聞こえてくるのか考えさせられる作品だと思います。また、夢の中のようにも思えます。

さまざまな向きでバラバラの文字のようなものが散りばめられていて、作者は何を伝えたいのか、見る人によって考えさせられる作品です。」

 

他にも、 展示室で生徒さんたちの活動の様子をパネルで紹介しました。

 

1:20の展示室模型に作品を並べてみながら、展示を考えました。

 

来場者からの感想やメッセージを一部ご紹介します。

~メッセージカードから~

  • 皆さんが「チャレンジ」したと知り、私自身もこれらの絵を見たらどう感じるだろう、ということを意識して鑑賞しました。ただなんとなく眺めるよりも作品に一層興味がわき、あれこれ思いめぐらせながら皆さんの考察を読むひとときがとても楽しく感じました。たまたま立ち寄った美術館でのすてきな出会い、ありがとうございました。
  • 中学3年生という多感な時期に、みなさんが絵をどう感じていらっしゃるのか、とても新鮮な気持ちで見せていただきました。これまで何度か見た作品もみなさんの解説のおかげで新しい視点をもつことができました。
  • 紹介のところにあったみなさんの写真にうつる顔がいきいきしていて、みていてとても楽しかったです。テーマにそって絵を選び、思いを語る。そんな授業私も受けてみたかったな~。素敵な時間をありがとうございました。先生のご指導も素晴らしいですね。
  • どのクラスも作品の選び方がとてもステキで、自分では考えつかないような発想が多く、面白く見ることができました。「この作品の意図は?作家の気持ちは?」と考えてみることの楽しさを改めて感じることができました。とってもステキな展示、ありがとうございました!
  • とても面白かったです。まずどうしてこの絵を選んだか、それが興味をひきました。そしてずっとながめているうちにメッセージ又は自分なりに伝わってくる事を感じ、それを文章にきちんとまとめられていてステキです。こういう見方もあるのか!ととても参考になりました。一人で鑑賞しましたが、皆さんたちと一緒にお話しながら、“ああ観える!こう観える!”と多角的に作品を見られたと思います。楽しかったです。ありがとうございました。
  • みなさんのコメントがどんな批評よりもシンプルな言葉でしかも、深い。新鮮。いつもみている作品に別の見方があるよとみなさんに教えてもらいました。ありがとう!
  • 皆さんがどきどきしながら、わくわくしながら話し合って選んだ姿が浮かびます。発表をお聞きしたかったです。しかし、芸術の深さや美しさを感じ取る心の授業に参加できて、皆さんはラッキーと思いますヨ。きっと何かが残るでしょう。3年生の皆さん、先生方、美術館の皆様に感謝致します。(保護者より)
  • アートカードチャレンジおつかれさまでした。あなた達の視点による作品の展示はとても新鮮なものにうつりました。あなた達のギャラリートークがあると知り、どのような話が聞けるのか、楽しみでした。中止となりとても残念です。でも、よい展示でした。ありがとう。
  • とても素晴らしい展示でした。テーマを決め、その作品から感じたコメントも付いていて、とてもみごたえがありました。学芸員さんとはまた違った視点がとても面白かったです。私も一緒にアートについて語り合いたいと思えるほどでした。ありがとうございました。
  • いろいろな絵を見て、考え、他の人たちにもどう伝えるか、良い経験をされたと思います。共通の絵を大人数で見ることにより、自分には感じなかったことも、聞くことにより共感するという機会もあったのではないでしょうか。きっと一人で見るより楽しい経験となり、後々豊かな鑑賞への足がかりになったことと思います。それがこちらにも伝わるような絵画展でした。ありがとうございました。
  • 通常の展示とちがい、題に対するイメージ、そこからつながる絵。そしてさらにそれに対するイメージと、とても楽しませていただきました。私はもうみなさんのおばあちゃんの歳なので感じ方、考え方がとても新鮮でした。ありがとう!
  • 知っている作品の気づかなかった魅力に気づいたり、知らない作品を知るきっかけをいただきました。選んだ作品や、選ばれなかったけれど気になった作品の背景にみなさんが興味を持って調べる手がかりになるとよいなと願っています。

 

~アンケートから~

  •   アートカードチャレンジはとてもおもしろい。同じ中学生が考えたと思うと、わたしも参加したいと思った。(郡山市・14才・女性)

  •   観ていておもしろかった。野田中の生徒達による説明も良かった。中学生としての捉え方が良いと思う。(福島市・44才・女性)

  •  中学生の絵に対する思いがわかり楽しかった。中学生にいろんな絵を見て、芸術に興味をもってもらえたらうれしいです。心の栄養になりますように。(伊達市・66才・男性)

 

野田中学校3年生のみなさん、ギャラリートークで発表予定だった4名の代表生徒さん、ありがとうございました!

今回は展示を全員でご覧いただくことができず、発表の機会もなくなってしまい、本当に残念でした。

美術科の中條先生、木島先生、約1年間にわたりお世話になりました。ありがとうございました!

そしてご来館いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ「神話と機械を見聞きする」

「やなぎみわ展 神話機械」関連事業として、触って、話して、見て楽しむ美術館賞ワークショップを開催します。

毎年1回開催している、見える人、見えない人一緒に作品鑑賞をするワークショップです。

今年は「やなぎみわ展」で行います。

福島県立福島工業高校も協働して制作された本展のための新作《神話機械》を鑑賞します。近年やなぎさんの創作は、視覚だけでなく五感を使う方向に向かっているように思います。作品鑑賞も見るだけでなくて、いろいろな方法がチャレンジできるのではないでしょうか。

普段は入れないマシンエリアに入って、マシンを触ったりしながら鑑賞。そして言葉や音を使って機械とコラボレーションし、五感で作品を体験します。

見える人も、いつもと少し違った鑑賞をしてみませんか。是非ご参加ください。

〇日時:9月1日(日) ①10:30~ ②14:00~ 同じ内容なので、どちらかお選びください。
〇会場:美術館企画展示室など
〇講師:やなぎみわ氏、当館学芸員
〇協力:半田こづえ氏(明治学院大学非常勤講師)
    真下弥生氏(ルーテル学院大学非常勤講師)
〇費用:無料
〇対象:各回中学生以上の視覚障がい者5名程度、晴眼者5名程度
〇要申込 総合受付、電話024-531-5511、美術館HPより

「アートカード★チャレンジ」展 ギャラリートーク開催しました

2月24日(日)、当館企画展示室「アートカード★チャレンジ」展会場でギャラリートークを開催しました。

今年で3回目の開催となった展覧会。

テーマや作品、展示の順番などを福島県立福島東高校の生徒さんたちに考えてもらいました。

展覧会タイトルは「愛のかたちと家族のかたち」。

今回は、活動の中心となってくれていた美術部の生徒さん達によるギャラリートークを開催しました。

まずはじめに、今回の展覧会が完成するまでにどのような活動を行ったのか、順を追ってパネルの前で説明しました。

今回の活動では、はじめに美術の授業を選択している2年生の生徒43名がアートカードを使いながら、それぞれ展覧会のテーマを考えました。

その後、美術部の生徒5名が、提出された43名分の展覧会のテーマを整理、検討しひとつのテーマ「家族」に絞りました。

 

決定したテーマに沿い、アートカードになっている作品以外の所蔵品にも選択の範囲を広げ、作品選定をしました。

多くの人に楽しんでほしいという想いから、

「母のぬくもり子の想い」「楽しかった思い出」「忘れられない風景」「色いろな家族」、4つの小テーマ(セクション)を考えました。

 

 各セクションの内容を説明し、いくつかの作品について、自身が作品から感じとったことや、観覧者に特に注目してほしい部分を紹介しました。

 

描かれている人物の表情や視線の先、描かれた時代などにも着目しながら、作品についてお話しします。

 

最後に、来場者の方から感想をお聞きしました。

ここで高校生への質問もいただきました。

今回の展覧会で、自分が感じたことや考えたこと、普段の制作についてなどしっかり答えていました。

美術部のみなさん、顧問の真柴先生、ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました!

展覧会は3月10日(日)まで。

観覧料は無料です、ぜひご来館ください。

「アートカード★チャレンジ」観覧に東高の生徒さんが来てくれました

2月22日(金)、午前と午後の二回に分かれて、福島東高校の生徒さん達が来館しました。

現在開催中の「ギャラリーF 2019 コレクション再発見展」のひとつ「アートカード★チャレンジ」は、福島東高校のみなさんに展示のアイデアを出してもらいました。

今日来館してくれた、美術を選択している2年生のみなさんは、アートカードを使いながら、1人ずつ展覧会の企画書を考えました。

43名分の企画書の中から美術部の生徒さん達に選ばれたテーマは「家族」。

46点の作品が4つのテーマに分かれて展示されています。

みなさんじっくり一点一点を見ていました。

 

24日(日)は、今回中心になって活動した東高校の美術部の生徒さん達によるギャラリートークを開催します。

展覧会を考えていくまでの流れや、生徒さん達自身が作品からどのようなことを感じとったのかなどを、作品を前にお話しします。

1階の企画展示室にて14:00から。

事前の申し込みは不要です。参加をご希望の方は展示室入口にお集まりください。

 

「福陽美術会100年」ギャラリートークを開催しました

現在当館では1階企画展示室で「Gallery F 2019 コレクション再発見」展を開催中です。

2月10日(土)は「福陽美術会100年」展について、担当学芸員によるギャラリートークを開催しました!

会場をめぐりながら、福陽美術会結成の経緯や活動内容、そして所属していた作家たちについて紹介しました。

それぞれの作家の画風や、魅力などに触れながら、約1時間来場者のみなさまと福島の日本画100年をたどっていきました。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

 

次回の「福陽美術会100年」関連イベントは下記のとおりです。

ギャラリー対談

「東北の日本画家群像-秋田と福島を中心に-」

・日時:3月2日(土)14:00~15:30

・会場:企画展示室(申し込み不要、聴講無料)

・講師:山本丈志氏(秋田県文化振興課学芸員)×堀宜雄(当館学芸員)

 

また、もうひとつの企画「アートカード★チャレンジ」では、下記の関連イベントを開催します。

福島東高校生徒によるギャラリートーク

・日時:2月24日(日)14:00~

・会場:企画展示室 (申し込み不要、聴講無料)

 

ぜひご来館ください!

「Gallery F 2019 コレクション再発見」展はじまりました!

本日より、1階企画展示室にて「Gallery F 2019 コレクション再発見」展がはじまりました。

当館のコレクションを様々な角度から紹介するこの企画は、今回で3回目を迎えました。

今回は「アートカード★チャレンジ」、「福陽美術会100年」ふたつの企画を開催しています。

それぞれ簡単にご紹介します。

 

◆◆◆◆◆

まず、入ってすぐの部屋の「アートカード★チャレンジ」展。

当館では2017年度からアートカード『ぽけっとアート』の貸出をはじめました。

この展覧会では、福島県立福島東高等学校の生徒達が、アートカードを使って考えたテーマと作品を元に、それを実際に当館のコレクションを並べて再現しています。

テーマは「愛のかたちと家族のかたち」

このテーマを、さらに4つのセクションに分けて作品を選びました。

 

展示する順番や位置も、模型を使って考えました。

今回はアートカードの作品だけでなく、他のコレクションにも範囲を広げて選んでいます。

展示されている作品は全部で46点。

高校生たちはどのようなセクションを設け、どのような作品を選んだのでしょうか?

それぞれのセクションにつけられた、美術部の生徒さんのコメントもご覧いただきながら、ぜひお楽しみください。

 

会場内では、生徒たちが展覧会を考えるまでの活動風景もパネルで紹介しています。

エントランスホールには、『ぽけっとアート』体験コーナーもあります。

 

2月24日(日)は、福島東高校美術部の生徒さん達によるギャラリートークを開催します。 

ぜひご来場ください!

 

◆◆◆◆◆

通路を通って先に進むと、「福陽美術会100年」の会場に入ります。

この展覧会では、福島県出身の日本画家によって結成された美術団体である「福陽美術会」の活動を振り返ります。

1919年4月に東京で結成された福陽美術会。

福陽美術会創設の先頭に立ち、自ら会長となった勝田蕉琴(かつたしょうきん・棚倉町生まれ)。

荻生天泉(おぎゅうてんせん・二本松市生まれ)や太田秋民(福島市生まれ)。

 

坂内青嵐(ばんないせいらん・会津美里町生まれ)や湯田玉水(南会津町生まれ)。

 

酒井三良(三島町生まれ)や角田磐谷(つのだばんこく・石川町生まれ)、大山忠作(二本松市生まれ)・・・など

  

官展系の作家を中心に、大正新南画など会派を越えて福島県の作家が結集しました。

会場では寄せ書きや資料なども展示しています。

展示点数は資料を含め約70点。

福島の日本画100年を振り返ることができる展覧会です。

10日(日)、14時からは会場内で「福陽美術会100年」のギャラリートークを開催します。

申し込みは不要です。

ご希望の方は企画展示室会場入り口にお集まりください。

 

◆◆◆◆◆

「Gallery F 2019 コレクション再発見」展は、3月10日(日)まで開催しています。

観覧料は無料です。ぜひご来館ください。

企画展「土に挑む―走泥社の作家たち―」展はじまりました!

15日(土)より、1階企画展示室にて「土に挑む―走泥社の作家たち―」展が開幕しました。

この展覧会では、戦後、日本陶芸界に新風を巻き起こした前衛陶芸家集団、「走泥社(そうでいしゃ)」の作家作品を紹介しています。

走泥社は、1948年に京都の若手陶芸家たちによって結成されました。

今回取り上げているのは、結成時のメンバーであり中心として活躍した、八木一夫(1918-1979)、山田光(1923-2001)、鈴木治(1926-2001)の3名。

 

三者はそれぞれ陶芸家やろくろ職人の父のもとで、やきものにかかわりの深い環境に育ちました。

戦後、美術界の動きや海外の作品などに影響を受けた彼らは、やきものによる新しい表現を模索し、やがて器としての機能を持たない作品をつくりだすようになります。

この展覧会では、40点の作品により、彼らの多彩な創作活動の一端をご覧いただきます。

 八木一夫

 

山田光

 

鈴木治

 

今回は、当館所蔵作品の他、個人蔵の作品と、多治見市にある岐阜県現代陶芸美術館さんから作品をお借りしました。

当館で開催するやきものの企画展は、約10年ぶりとなります。

彼らのエネルギーに満ちた作品をぜひご覧ください。

 

14日講演会「安西水丸さんのこと」について

明日14日(土)14:00~15:30、嵐山光三郎氏と南伸坊氏による講演会「安西水丸さんのこと」を福島県立美術館講堂で開催します。

開場は13:00です。お電話で予約された方は、講堂前の受付にてお名前を仰っていただきますようお願い申し上げます。

おかげさまで満席となり、当日は混雑が予想されます。なるべくはやくに受付のうえ、講演会が始まる15分前には会場へお入りくださいますようご協力をお願い申し上げます。

また、駐車場には限りがございます。できるだけ公共交通機関をご利用くださいますようお願い申し上げます。

なお、申し込みの受付は終了し、当日のキャンセル待ちの受付もございません。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

「イラストレーター 安西水丸」展 始まりました!

「イラストレーター 安西水丸」展が始まりました!

 

安西水丸(1942-2004)は、1970年代より多方面で活躍したイラストレーターです。

村上春樹氏とのお仕事や、名作『がたんごとんがたんごとん』や『ピッキーとポッキー』などの絵本がよく知られています。

また、絵を描くだけでなく、小説やエッセイも手掛けました。

今回の展覧会では、そうした水丸さんの生涯のお仕事の全貌をイラストレーションの作品を中心にご紹介しています。

 

入り口の壁には水丸さんの言葉が。 生涯にわたり「その人にしか描けない」「魅力のある絵」を目指しました。

 

皆さん、真剣に、そして楽しげにご覧になっています。

 

当館の重要な収蔵作家のひとりに、アメリカの作家・ベン・シャーンがいますが、水丸さんも大きな影響を受けています。

そうした学生時代の作品や、少年時代に描いた絵(とてもお上手です!)なども展示しています。

また、水丸さんの制作方法についても、実際にお使いになっていたパントーンの切り抜きや映像とともにご紹介しています。

 

公私ともに深いおつきあいのあった、嵐山光三郎氏、村上春樹氏、和田誠氏ら3氏とのお仕事についてのコーナーもあります。

 

 

そして、最後には、あの本のあのシーンが大きくなって登場です! ぜひ一緒に写真を撮ってくださいね。

 

 グッズもたいへん充実しています。どれもこれもかわいいです。

なお、図録をお買い上げの方、先着100名にポスターをプレゼントしています。

 

ぜひお越しくださいませ。

ポーラ美術館展 5万人達成!

今月22日、「ポーラ美術館コレクション展」の来場者が5万人を達成しました!

5万人目となったのは、福島市よりお越しの大槻丈夫さん、郁子さんご夫妻。

テレビユー福島の信国一朗 代表取締役社長と福島県立美術館の早川博明館長から 記念品としてキビタンぬいぐるみと図録が贈られました!

大槻さんご夫妻は「偶然、5万人目になりびっくりしました。セザンヌやピカソなどどの作品も素晴らしく、中でもルノワールのレースの帽子の少女は一番印象に残りました。」とご感想を述べて下さりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本展もいよいよ今週末でおしまいです。多くのお客様のご来場をお待ちしております。

 

*明日23日(土)は夜間開館日です。

(20:00まで開館、最終入館は19:30/常設展は17:00まで)

是非ご利用ください!

ポーラ美術館展 4万人達成!

今月15日、「ポーラ美術館コレクション展」の来場者が4万人を達成しました!

4万人目のお客様は、福島市よりお越しの安田宏美さんと娘さんの結理奈さん、 結理奈さんの祖母の菅野敏子さん。3世代でのご来場です。

当館の早川博明館長から、記念品としてキビタンぬいぐるみや図録が贈られました。おめでとうございます!

鑑賞を終えて、安田さんは「もともと絵が好きということもあり 主人がチケットを購入してくれました。今日は母と娘で鑑賞に来ました。まさか自分が4万人目だなんてビックリです。」とご感想を述べて下さりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本展もあとちょうど1週間で閉幕です・・・。

まだご覧になっていない方、もう一度名作に会いたい方、心のエネルギーをチャージしたい方、お早めにご来場下さい!

 

*最終日前日の6月23日(土)は夜間開館となっております。

(20:00まで開館、最終入館は19:30/常設展は17:00まで)

作品をゆっくり堪能できる機会ですので、是非ご利用ください。

ポーラ美術館展 ギャラリートークを開催しました

6月15日(金)、当館企画展示室にて担当学芸員によるギャラリートークを開催しました!

展示室を巡りながら、作品の前で作者や作品が描かれた背景などについて紹介しました。

 

今回もたくさんの方々にご参加いただきました。ありがとうございました。

6月16日(土)、市内にあるアオウゼにて「まちなか美術講座」を行います。
展覧会出品作家・作品を中心に、19世紀後半から20世紀前半までのフランスの美術や文化についてお話しいたします。

第 5 回 6/16(土)

「前衛の舞台:モンマルトルとモンパルナス」

時間:14:00~15:30 

会場:アオウゼ 大活動室

※ 聴講無料です。事前登録の必要はありません。
※ 各回定員50名です。満席の場合は入場を制限させていただく場合があります。

ポーラ美術館展、会期終了が迫ってきました。 ご来場をお待ちしております!

ポーラ美術館コレクション展 3万人達成!

本日、「ポーラ美術館コレクション展」の来場者が3万人を達成しました!

3万人目となったのは、鮫川村よりお越しの鈴木香・眞理子ご夫妻。 ラジオ福島丹治睦夫常務取締役総務局長から記念品としてワイドFM対応ラジオと図録などを贈呈しました。

おめでとうございます!

鑑賞を終えて、鈴木さんは「ゆっくり観たいと思い、平日に来館しました。 奥行きが深く色彩が豊か。音声ガイドを使って目と耳で堪能しました。」と感想を述べられました。

 

本展の会期は残り約2週間ほど。

終了が迫ってまいりましたが、これから行われるイベントなど、下記の通りございます。是非ご見学・ご参加ください。

●「てんてん絵画体験!」ワークショップ:6月10日(日)①10:00~12:00 ②14:00~16:00 ※受講は締め切りました。ご見学のみ可能です。

●担当学芸員によるギャラリートーク:6月15日(金)14:00~ 

●簡単にできる!缶バッジ作りワークショップ:6月15日(金)14:30~

ギャラリートークと缶バッジについては、事前申込不要です。

 

会場の混雑を避けたい!という方には、6月23日の夜間開館(20:00まで開館、最終入館は19:30、常設展は17:00まで)のご来場がオススメです。

 

皆様のお越しをお待ちしております。

ポーラ美術館展 2万人達成!

ただいま開催中の「ポーラ美術館コレクション モネからルノワール、ピカソまで」展。

25日には来館者2万人を達成しました。

 

 

当日は担当学芸員によるギャラリートークも行われました。

モネやルノワールと同じ時代を生きた批評家たちの言葉を交えながら、いくつかの作品の魅力に迫りました。

 

今では名の知られた彼らも、当時は辛辣な批判を受けていました。

それまでの伝統を打ち破って、新しいものを生み出そうとするとき、

そのあまりに革新的な表現方法が受け入れられるのには、時間がかかるのですね。

 

 

次回のギャラリートークは6月1日(金) お楽しみに!

 

 

会期も残すところあと一か月を切り、いよいよ盛り上がってきました!

この機会に、ぜひ美術館へ足をお運びください。

 

なお、美術館駐車場は数に限りがありますので、こちらにお越しの際は、

公共交通機関のご利用をおすすめいたします。

 

 

ポーラ美術館展 1万人達成!!

5月10日(木)、ポーラ美術館コレクション展の来場者が1万人を突破しました!

1万人目の方は、山形県からお越しの菅野ご夫妻。実行委員会を構成しているテレビユー福島の信国一朗社長から二人に図録などの記念品をお贈りしました。おめでとうございます!

菅野ご夫妻とTUF信国社長

 

また、翌日の11日には担当学芸員によるギャラリートーク第1回目を開催しました。

展覧会の概要と作品数点に焦点を絞り、解説いたしました。

みなさん熱心に話に耳を傾けています。ご参加いただきまして、ありがとうございました!

 

ギャラリートークはあと3回、下記の日程で開催予定です。

日時:5月25日、6月1日、6月15日(いずれも金曜)  14時から開始

場所:企画展示室(要・観覧券)

 

珠玉の作品達にみなさま是非会いに来てください!

ポーラ美術館コレクション展開幕!本日入場者5千人を達成しました!

「ポーラ美術館コレクション―モネ、ルノワールからピカソまで」展が4月28日に開幕しました。本展は、箱根にあるポーラ美術館が誇るフランス近代美術のコレクションから計20名の作家の作品72点を紹介する内容となっております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして本日、入場者が早くも5千人を突破しました!記念すべき5千人目のお客様は、喜多方市からお越しの平方さんご一家です。当館の鶴見副館長から記念品を贈呈しました。鑑賞を終えたのち、平方さんは「実際に見る作品はどれも素晴らしくて、ぜひ知り合いにも薦めたいです。」と笑顔でお話していました。

 平方さんご一家と鶴見副館長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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このように感動のお言葉を頂けた展示作品たちが一体どのようなものなのか、気になりますね。展示室を少し覗いてみましょう。

↓↓↓

本展は美術史の流れに沿う形で3章構成により作品を紹介しております。

1章では、近代絵画の扉を開いたマネから始まり、モネやルノワールなど印象派の画家たちの作品を展示しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ モネはなんと8点出品。このコーナーだけでも充分見応えがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本展目玉の《レースの帽子の少女》。これを含めルノワールの作品8点に関しては写真撮影ができます。よい記念になりますね。撮影に関する注意事項は当館で必ずご確認下さい。

 

続いて2章は、はじめにゴーガンやセザンヌなどポスト印象派の作品が並びます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ セザンヌは5点出品されます。素晴らしい作品ばかりです。こちらのコーナーもお見逃し無く!

そのほか、フォーヴィスムを代表するマティスや、ボナール、デュフィなど鮮明な色彩表現を特徴とした作家たちの作品が一堂に会しております。当時の華やかなパリの様子や雰囲気が伝わってくる素敵な空間です。

 

最後の3章は、ブラックとピカソの作品12点を展示しております。特にピカソはキュビスムを生み出した時代から晩年の作品まで、画風の変遷をたどれる内容となっております。

 

以上、ここでは一部のみのご紹介のみのご紹介しかできませんが、他にも展覧会を一層楽しめる各種イベントやお得なサービス等を多数揃えております。詳細は本展公式ホームページでご確認ください。

皆様のご来場を心よりお待ちしております。

ギャラリーF 小学生によるギャラリートーク開催!

2月17日(土)、当館企画展示室にて桜の聖母学院小学校5年生によるギャラリートークを行いました!

今回で2回目となった「実践 福島県立美術館アートカード」。

今年度から貸出を開始した当館アートカード『ぽけっとアート』を使い、子ども達に展覧会を考えてもらいました。

桜の聖母学院小学校のみなさんは、「みて、かんじて、あじわう展覧会」というタイトルの展覧会をつくってくれました。

 

展覧会を考える際は、はがきサイズのアートカードでしか、ほとんどの作品を見ていません。

ギャラリートーク本番の日、子ども達は自分たちが考えた展覧会の会場と選んだ作品を初めて見ました。

カードで見た時には、実際の大きさや質感までは分かりません。

作品を実際に見ると、予想よりも大きかったり、小さかったり・・・。

ツルツルしていたり、ザラザラ、デコボコとしていたり・・・。

 

 

実際に見た感想なども踏まえて、発表の原稿を付け足したりします。

ひととおり見た後は、実際に使うマイクや道具を使いながらリハーサル。

先生からのアドバイスをもらいながら、練習を進めていました。

 

いよいよギャラリートーク本番です!

保護者の方もふくめ、たくさんの方々が集まりました。

展覧会ができるまでにどんな活動をしたのか、ゲームなどの実演も交えてお話ししてくれました。

作品について話しているときは、となりにいるお友達がカードをお客さんに見せたりと、協力しながら発表を進めていきます。

 

今回の展覧会は、以下4つのグループに分かれて作品を選んでいます。

◆聴覚グループ・・・〇〇の音、声、曲などが聞こえてきそうな作品

◆触覚グループ・・・(さわったら)〇〇そうな作品 

◆嗅覚・味覚グループ・・・〇〇のにおい、かおり、味がしそうな作品

◆気持ちグループ・・・〇〇な気持ちがする作品


それぞれ、選んだ作品の近くに立ち、どのようなことを作品から感じたのか発表します。

 

最後に、保護者の方や来場者の方からの感想もいただきました。

終わった後、子ども達から「緊張した~」という声も聞こえましたが、みなさんとても落ち着いてお話していました。

桜の聖母5年生のみなさん、図画工作科担当の奥山先生、担任の高橋先生、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

小川千甕と門間春雄」ギャラリートーク開催しました!

2月10日(土)、当館学芸員によるギャラリートークを開催しました。
ギャラリーF2018を開催中の企画展示室で、「小川千甕と門間春雄」をテーマに展示室をめぐります。

この展覧会では、京都生まれで福島にゆかりの深い画家、小川千甕(1882-1971)と、福島市瀬上のアララギ派歌人・門間春雄(1889-1919)をご紹介しています。

 

ギャラリートークの時だけ特別に!展示ケースの中にある画帖をご覧いただきました。
普段の展示では、開いているページしかご覧いただけませんが、今回は学芸員がページを開きながら、どのような場面が描かれているかということについてもご紹介しました。

ギャラリートークにご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

スペシャル・ギャラリートークを開催しました!

2月3日(土)、「Gallery F2018 コレクション再発見」展初日、関連イベントとしてスペシャル・ギャラリートークを開催しました。
講師は、喜多方市美術館の後藤學館長です。



今回は「生誕110年 渡部菊二」に合わせ、会津若松市出身の水彩画家、渡部菊二の魅力についてご紹介いただきました。
2007年の生誕100年の際は、喜多方市美術館で回顧展が開催されました。

 

菊二の独特の色彩感覚や、作品の構図などについても詳しくお話しいただきました。
今回当館の展示では、菊二の他にも会津出身、ゆかりの水彩画家を紹介しています。


後藤館長、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

「Gallery F 2018 コレクション再発見」はじまりました!


本日より「Gallery F 2018 コレクション再発見」がはじまりました!



展覧会のポスターやチラシ、看板などは明るい黄色で統一されていて、とっても目立ちます。

「Gallery F コレクション再発見」とは・・・
小さな展覧会を「GalleryF」と名付けました。
福島県立美術館は、1984年に開館して以来、約3800点の作品をコレクションしてきました。
その中から、今まで紹介できなかった作品や新収蔵品を取り上げたり、テーマを絞って掘り下げたり、小さいからこそチャレンジしコレクションの多様な魅力をご紹介しようという企画です。昨年から始まったこの企画は、今年度3つのGalleryFをオープンいたします。

1、生誕110年 渡部菊二展



渡部菊二(1907-47)は、福島県会津若松市に生まれ、主に戦前期に活躍した水彩画家です。
1940年に春日部たすくらとともに水彩連盟を結成。明快な色彩と斬新な構図で新しい水彩画の方向を模索しました。

 

また、持ち前の繊細な線描と優れたデザイン感覚で本の装幀や挿絵も手がけています。
本展では生誕110年を記念し、当館所蔵の水彩画20点を中心に、近年新たに発見された挿絵原画などをご紹介し、菊二の画業を振り返ります。

2、小川千甕と門間春雄-福島の文芸と美術-



小川千甕(1882-1971、京都市生まれ)は福島県にゆかりの深い画家です。
福島市瀬上のアララギ派歌人・門間春雄(1889-1919)や、会津若松、喜多方の文芸愛好家たちが、千甕たち画家を支援し、当地から多くの作品が生まれました。

 

この展覧会では、新規に寄贈された小川千甕の水彩・日本画作品、新規寄託となった門間春雄関係の書簡、「喜多方美術倶楽部」関係資料によって、大正時代の福島を舞台にした、文芸と美術のネットワークをご紹介しています。


3、実践 福島県立美術館アートカード



「アートカード」は、当館所蔵作品の画像をカード形式にした鑑賞用補助教材です。
アートカードの様々な遊びを通して、多くの子ども達が美術作品に関心を深めていくことを目的とし、2017年度から教育機関への貸出をはじめました。
本展では、このアートカードを使って、桜の聖母学院小学校5年生の児童たちが考えた小さな展覧会「みて、かんじて、あじわう展覧会」を開催しています。

  

あわせて、子ども達がテーマを元に作品を選び、展覧会が完成していくまでの授業風景などをパネルで紹介しています。



アートカード体験コーナーもあります。ぜひ実物をご覧ください。

今回は一度に3つの展覧会を楽しむことができます。
会期は3月4日(日)まで。観覧料は無料です。
ぜひお越しください!

8000人、ギャラリートーク、県立図書館展示

斎藤清からのメッセージ展、本日観覧者数8000人となりました。
8000人目の方に館長から図録とカレンダーをプレゼントいたしました。


今日は最後のギャラリートークを開催いたしました。
多くの方にご参加いただきました。


それから、お隣の県立図書館で、
斎藤清関連の図書コーナーを作っていただいています。
(~12/6)

50年代の画集など、貴重な画集や図録がお手にとってご覧いただけます。
もちろん貸出もOKです。
展覧会のあとは、県立図書館へもお寄りください。

斎藤清展講演会

今日は「斎藤清の創造力と美」と題した館長による講演会がありました。
館長は、当館準備室時代より勤務し、斎藤清さんともおつきあいがありました。

斎藤清さんご本人より作品をご寄贈いただいた経緯や、当館と斎藤清作品の歩み、斎藤清の創造力のひみつ等について、
貴重な写真等を交え、お話をしました。



みればみるほど、知れば知るほどに、惹きつけられる斎藤清作品です。
展覧会もいよいよあと2週間。ぜひご覧ください。

ミニ・ギャラリートーク

本日は、斎藤清からのメッセージ展、ミニ・ギャラリートークでした。
30分の縮小版で展示室を御案内いたします。
次回は11月30日(木)14:00~ 、

1時間じっくりギャラリートークは12月2日(土)14:00~

ご参加ください。

4000人です!

斎藤清からのメッセージ展、本日観覧者4000人になりました。4000人目は福島市内から来られた方。記念品を副館長からプレゼントいたしました。ありがとうございます。

ギャラリートークを開催しました。

「斎藤清からのメッセージ展」今日は担当学芸員によるギャラリートークを開催しました。
肌寒い天気にもかかわらず、大勢の方にご参加いただきました。

初期作品を中心に、技法の解説、画風の変遷などをご説明しました。

斎藤清展3000人!

ご好評いただいております斎藤清からのメッセージ展では、本日3000人目のお客をお迎えいたしました!



郡山市からお越しいただきました石山様と菅野様です。館長より展覧会図録と斎藤清カレンダーをプレゼント。

明日からの3連休は、美術館はイベントが目白押し!
ワークショップほか、4日の2時からはギャラリートークを行います。

今月7日までは県の教育週間。高校生以下は無料となります。
ぜひご家族でお越しくださいませ。

日曜、講演会があります。

10月29日(日)14:00~美術館講堂にて、
講演会「斎藤清の芸術ーその国際的評価をめぐって」が開催されます。
講師は聖徳大学教授、桑原規子氏。
日本の近代版画研究の第一人者です。
海外調査の成果も含め、最先端のご報告をいただきます。
無料でご聴講いただけます。是非ご参加ください!

ホールにお地蔵様出現

さて、ねこの撮影スポットがホールにできたことはご報告しましたが、今度は巨大なお地蔵様があらわれました!

すごい迫力です。

展示室で「会津の冬」115点をご覧になって階段をあがると・・・

「かすみ 慈愛」(1991年)を4mにひきのばしたものです。

撮影OKですので、是非SNSでご紹介ください。

斎藤清展のみどころ紹介1

今日から、展示の内容をちょっとご紹介しましょう。

作品が231点ある他に、様々な資料類によって、斎藤さんの全貌がご理解いただけるようになっています。

まず、初期作品に使われた版木。独学で版画をはじめた斎藤さんの版木は、初期には一枚だけで、絵を描くように絵具を載せて摺られていました。
「凝視(花)」などは、キリでがりがりと版木を削って木目を浮き出しています。

雪の厚みをグラデーションであらわす「ぼかし」、ごまのような模様ができる「ごまずり」などの技法についてもご紹介しています。

グッズ売り場です。

「斎藤清からのメッセージ」展、グッズ売り場をのぞいてみましょう。
ねこのトートバッグ、カードセットがおすすめです。カレンダーや額絵、もちろん絵葉書も充実しています。



そして深く斎藤清を知りたい方のために。231点の図版に加えて資料を掲載、論文3本と詳細な年譜、文献を網羅した展覧会図録。

今ならお買い上げの方に展覧会のポスターをプレゼント!
このポスター、なかなかおしゃれだと評判です。

斎藤清のすべてを知りたい方へ

「斎藤清からのメッセージ」展、展示点数はなんと231点。
最大規模の回顧展です。

出世作の「ミルク」(1949年)、国際展で一躍注目を集めた「凝視(花)」(1950年)など有名どころから、こんな珍しい屏風まで。

そして京都、奈良の古寺や古仏をテーマにした1960年代の作品
それからライフワークである故郷・会津の風景画
とくに1970-97年制作された「会津の冬」全115点をはじめて一堂に展示しています。

360度、どこを見ても白と黒の世界。行けども行けども雪。
何故斎藤はここまで執拗に会津を描いたのか。雪景色を通して何を見ていたのか。

展示室で追体験できます。

撮影スポットができました!

ねこといっしょに写真をパチリッ!
企画展「斎藤清からのメッセージ」展に展示されている作品「凝視(猫)」のねこが撮影スポットに登場です!
展覧会観覧の記念に猫と写真はいかがですか?

斎藤清からのメッセージ展オープンしました!

「生誕110年・没後20年 斎藤清からのメッセージ」展がついにオープンしました!

当館の斎藤清コレクションは、1980年に作家本人より、それまで大事に手元に置いておいた主要作品のほとんどが寄贈されたことに始まります。
その後も新作ができるたびにエディションナンバー1の作品をご寄贈いただき、最終的には約500点もの質の高いコレクションが形成されました。

今回の展覧会はこうした作品群に斎藤清が込めた思いを、あらためて振り返ってみようというものです。

7日行われた開会式の様子です。


初日からたくさんの人にお越しいただきました。


今回の展覧会では、これぞという名品や、当館でしか見られない作品が多数展示されています。
また、1970年からの《会津の冬》シリーズ全115点をすべて展示しているのも見どころです。

画集ではわからない、作品の持つ質感などを、実際に足を運んでご覧いただければと思います。

「斎藤清からのメッセージ展」ただいま準備中

10月7日(土)に開幕する「斎藤清からのメッセージ展」。
ただいま展示作業真っ最中です。

今日は、展覧会準備中の展示室を少しだけ覗いてみましょう!

先ずは脚立にのぼって、ぱしゃり!



すこしだけ高い位置からの眺めなのに、いつもよりも違って見えますね。
メインビジュアルの《凝視(猫)》が見えます。
床には展示前の資料類が並べられています。これを机に乗せれば完了です。




作品はすべて壁に吊りおわりました。作業もあと少しです。
ただいま美術品展示のエキスパートの日本通運の皆さんがキャプションを付けています。

キャプションの上端に赤いラインの光が走っているのが見えますか?
このラインに合わせてキャプションを取り付けていきます。結構大変な作業です。

今回の目玉はなんといっても、代表作《会津の冬」シリーズ全115点が展示されることです。
展示室はこんな感じです。



作業中の展示室。いかがでしたか。
開幕まであと2日。この秋イチオシの展覧会に乞うご期待!




ラルティーグ展、ギャラリートークを開催しました!

9月8日(金)、現在開催中の「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」のギャラリートークを開催しました!


ラルティーグが日本でどのように取り上げられてきたのかという話からはじまり、彼が幼少期から晩年までに撮った写真について、会場を一緒に巡りながらご紹介しました。
ラルティーグが写真を撮っていた頃、美術界ではどのような動きがあったのか、当時のフランスの流行や影響などについても触れてお話しました。
途中、熱心な方から様々な質問が飛び交いながら、ギャラリートークは進んでいきました。


ラルティーグの魅力をじっくり味わうことができた1時間でした。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

ラルティーグ展の会期も残すところ1日となりました。
ぜひご来館ください!

ラルティーグ展、ギャラリートーク開催しました!


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29()、現在開催中の「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」のギャラリートークを開催しました!




幼少期のカメラとの出会いから、何気なく撮っているかのようにも見えるラルティーグの写真が撮影されるまでの背景。
撮影された人々のファッションがどのようなものに影響を与えたのかという裏話まで・・・。

カメラの機能や技法についての説明も交えながら、ラルティーグの魅力についてたっぷりお話ししました。



ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

ラルティーグ展、次回のイベントは下記のとおりです。

 

ゲストトーク

「ラルティーグ:アマチュアから写真史の巨匠へ」

講師●金子隆一氏(写真史家)

日時●86() 14:0015:30

場所●企画展示室 *企画展観覧料が必要です

内容●東京都写真美術館で長年写真展を企画した金子氏に、写真史におけるプロとアマ、写真集の魅力について作品を前にお話しいただきます。あわせて、福島の写真家・小関庄太郎についても振り返ります。

 

こちらもぜひご参加ください!

 

ラルティーグ展オープン

毎日暑かったり、どしゃ降りがきたり、やや不安定なお天気が続いていますね。
さて、2017年度の夏の企画展は、写真展です。
「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」
長ったらしくて舌をかみそうなんて言わず、ラルティーグというフランスの写真家の世界をのぞいてみましょう!

ラルティーグは、1894年パリ郊外に生まれ、1986年に92歳で没するまで、アマチュア写真家として20世紀を見つめ続けました。
彼は、何と6歳でカメラと出会い、8歳からマイ・カメラで写真を撮り始めたんです。
早熟!っていうかどういうお家ですか、ソレ⁉


パパが撮影したラルティーグが、お出迎え。


ジャンプするネコ、階段を跳びおりる女性、プールでバック転するおじさんなど、古き良きフランスの奇妙な出来事が満載です!
163点の写真に、アルバムや日記などの資料が展示されていて、100年前にタイムスリップ!


100年前のカラー写真もあります。


ボクと肩を組んで写真を撮ってネ!
待ってるヨ!

展覧会は9月10日まで。会期中イベントも盛りだくさん。
月曜はお休みです(8/21県民の日は開館です!)。

ギャラリートーク

広重ビビッド展の2回目のギャラリートークが開かれました。

今回は、広重展担当の紺野学芸員です!


これを楽しみに待っていたお客様もたくさんいらっしゃいました。


紺野学芸員によれば、広重の視線を作品を通して追体験できるのが楽しいとのこと。
たとえば、《名所江戸百景 深川洲崎十万坪》では、大空を飛ぶ鷲の視線から絵を見ますが、これは、広重が火消しの仕事で高い火の見櫓に登ったことがあるからだそうです。なるほど!
(上の写真は《六十余州名所図会 阿波鳴門の風波》ですネ)

身振り手振りで約一時間、あっという間にギャラリートークが終わりましたが、さらに質問のある方もいて、約30分の質問ぜめ!


熱心なお客様がとても多く、改めて広重人気のすさまじさを実感した次第です。

会期もあとわずか。もう一度作品をじっくり見ると、また新たな発見があるかも!

紺野さん、お疲れさまでした。
聞き終わったお客様の晴れ晴れした表情がとても印象的でした。
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